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★オンラインゲームファーストインプレッション★

コミカルに、シンプルに、楽しく!
劇的に生まれ変わった新時代の「Battlefield」
「Battlefield Heroes」

  • ジャンル:オンラインFPS
  • 開発元:EA DICE
  • 発売元:Electronic Arts
  • プラットフォーム:Windows XP/Vista
  • 利用料金:無料(予定)
  • サービス開始日:2008年中を予定



 今年、ミリタリーアクションFPSの金字塔「Battlefield」シリーズに、新たなフランチャイズが誕生する。今回ご紹介する「Battlefiield Heroes」は、大ヒットFPS「Battlefield」シリーズの開発を手掛けてきた実力派のデベロッパーEA DICEが放つ、大注目のオンラインFPSだ。

 「Battlefield Heroes」は、これまでシリーズ作品が辿ってきたパッケージ販売路線を離れ、ゲームクライアントをWebでダウンロードして、EAのマッチングシステムを使ってオンライン対戦するという、いわゆる「オンラインゲーム」の形式で提供される作品だ。

 韓国や日本では、このような形式で提供されるオンラインFPSのサービスは珍しいものではなくなっているが、FPSの本家本元である北米・欧州ではパッケージ販売が主流であるのが現状だ。その中で「Battlefield Heroes」は、古くから本格的なFPSを制作してきたメーカーが本腰を入れてオンライン展開を睨んでいる点で画期的だといえる。

 この作品は2008年中の正式サービス開始を目指し、現在はメディア関係者限定のクローズドβテストを実施している。この度はβテストに参加してゲームに触れることができたので、βテストから得られた感触を御紹介したい。

 なお、気になる日本展開については未定のままとなっている。また、今回使用した素材は、プレイ中のものではなく、エレクトロニック・アーツより提供を受けたもののみを使用している。あらかじめご了承いただきたい。


■ コミカルなグラフィックスとオンライン要素が融合した「Battlefield」

 FPSファンにとって「Battlefield」シリーズはほとんど説明不要と思われるが、簡単に紹介すると、リアル感とミニチュア感が相半ばする絶妙な広さの戦場を舞台に、2陣営が拠点の奪い合いをするというチーム戦FPSである。ミリタリー系の「リアルっぽさ」とアクションシューティングの両立が見事に成されているのがシリーズの特徴で、代表作の「Battlefield 2」は世界でミリオン級の大ヒットを記録した。

 今回の「Battlefield」は、現代戦をモチーフにしてきた近作とはうってかわり、初代「Battlefield 1942」と同じ、第二次世界大戦時の戦場風景を基本テーマとする作品になっている。登場陣営名はフィクションとなっているが、いかにもドイツ風の「National Army」と、どう見ても米英仏連合軍にしか見えない「Royal Army」の2陣営の戦いが描かれる。

 一目見て面白いのがそのグラフィックスだ。シリーズ伝統の写実主義をぶち破り、イラスト風のレンダリングを取り入れてコミカル路線を取っている。Valveの「Team Fotress 2」っぽい、というのは禁句かもしれないが、ノリはとても近く親しみやすい映像だ。

 ゲームを始める方法は、よくあるオンラインFPSと同じく、公式サイト上でアカウントを取得して、ゲームクライアントをダウンロードしてインストールしたのち、ログインするという方式になっている。従来の「Battlefield」シリーズと大きく異なるのは、ゲームを起動する前にWeb上でプレーヤーキャラクタを作る仕組みになっていることだ。

 プレーヤーキャラクタは1アカウントで複数持つことができる。キャラクタを作るには、まず陣営を選択し、3つの基本クラス「Soldier」、「Gunner」、「Commando」のいずれかを選択。すると3Dアバターのカスタマイズ画面になるので、肌色、髪型、ひげなどを選んで、自分好みのキャラクタを作成する。

 こうして作成したキャラクタを継続的にプレイする本作では、キャラクタの成長要素もある。ゲーム中で手柄を立てると得られるポイントでキャラクタのレベルが上がっていく仕組みや、特殊ミッションで獲得できる「AP(Ability Point)」を使って特殊能力を付け加えていく要素などもあるのだが、まずは核となるゲーム内容に触れておこう。

「National Army」。どう見てもドイツ軍風のいでたち。兵器も4号戦車っぽいものやBF109っぽいものになっている 「Royal Army」。米英仏の連合軍風のキャラクタたちが賑やかな雰囲気をかもし出す。戦車はM4シャーマンで、戦闘機はスピットファイア?


■ 核となるゲーム性は初代「Battlefield 1942」に近い。プラスアルファのシステムも

路地での戦闘。本作は近距離での混戦が頻発するようなバランスに作られており、スピーディな戦いを楽しめそうだ
 ゲームを起動するとアバターの選択画面になり、そこでキャラクタの服装や装備を変更できる。準備ができたらゲーム開始だ。マッチングサーバーが自動的に適当なゲームセッションを選び、プレーヤーを参加させる仕組みで、いわゆる「クイックマッチ」に近い形だ。

 ゲームルールはほぼ「Battlefield 1942」とほとんど同じで、マップ上にいくつか配置されている陣地に一定時間張り付くことで占拠できる仕組み。敵プレーヤーを倒すごとに敵チームの「チケット」を減少させ、最終的にチケットがゼロとなったチームが負けというものだ。ルール的に少々異なるのは、「Battlefield 1942」にはあった、全陣地を占拠すると他方のチームのチケットが高速に減少していく仕組みが無いことだ。

 現在のβで実装されているマップは、住宅が立ち並ぶ街をモチーフとした「Victory Village」と、海岸沿いの田園風景をモチーフとした「Seaside Skirmish」の2種。前者は狭い路地での歩兵戦が中心で、後者は広い土地での戦車戦、航空戦もあり、にぎやかなマップだ。

 3つのプレーヤークラス「Soldier」、「Gunner」、「Commando」の役割分担は、その戦闘スタイルで明確な違いがある。「Soldier」はサブマシンガンやショットガンで武装できるほか、自分と味方の体力を回復する特殊スキルを持っており、歩兵戦闘で活躍。「Gunner」はロケットランチャーを装備可能で、対戦車戦闘のスペシャリストだ。「Commando」は敵から見えなくなるステルス能力を持っていて、背後から敵をナイフで刺したり、スナイパーライフルで狙撃して戦う。

 射撃のダメージは従来のシリーズに比べて控えめで、1人の敵を倒すまでにマシンガンなら7~10発、ショットガンなら直撃で2~3発が必要だ。しかも弾はバラけやすく、なかなか命中しない。このため、銃撃戦が長時間に及びやすく、合間に回復スキルを使ったりしつつ、工夫しながら戦う余地が生まれている。出会い頭の照準能力だけでなく、スキルを巧く織り交ぜて戦えるかどうかが勝敗を左右するわけだ。

特殊スキルの一例「Blasting Strike」。周囲の敵が吹っ飛ぶ!
 広いマップでは乗り物の利用が重要になってくるが、これも従来とは一味違う感じだ。戦車の砲弾は射程距離が短く、山なりの弾道を描いて飛ぶので、長距離から狙撃し続けるような戦いはしづらく、自然と近接戦になる。戦闘機の武装は機銃のみで、ちょこまかと動く歩兵を打ち抜くのは至難の業。したがって超低空飛行で轢いてしまうのが効果的と、グラフィックスに劣らず漫画チックな戦い方が主流になるバランスである。

 このようにまとめられたゲーム性はシンプルかつスピーディ、そしてカジュアルだ。プレイ感覚としては、ゲームデザインが複雑化した「Battlefield 2」以降のパッケージ作品よりも、初代「Battlefield 1942」を彷彿とさせる。そしてプラスアルファとなるプレーヤーの特殊スキルは戦闘の幅を広げる役割を果たしており、現代風アレンジとしてなかなか好印象だ。

 キャラクタの成長要素としては、条件を満たすとアンロックされる上級の武器や、特殊ミッションをクリアして獲得する「AP」を使って身に着ける追加の特殊能力などが用意されている。特殊能力については、例えば「Soldier」クラスであれば「燃える弾丸」や「グレネードを同時に複数投擲」といったスキルがあり、しかもひとつのスキルに沢山のAPを割り振って重点的に強化することも可能なようだ。現在の段階ではこのあたりの機能が使えない状態で、実際のプレイで確認することはできなかったが、正式サービスでは長期間プレイするための材料として充実が図られることになるだろう。

ゲーム性はカジュアル寄りになり、結果的には初代「Battlefield 1942」に近くなった感じを受けた。大きな違いとしては、オンラインゲーム的な要素としてキャラクタ固有のスキルがいくつかあり、巧く使って立ち回ることが勝敗を決める大きなファクターになっている


■ EAが基本プレイ無料の市場に打って出る意欲作。日本を含むアジア圏でのサービスも有力

 オンラインサービスとしての展開を狙う「Battlefield Heroes」では、まず2008年中に北米でのサービスが開始される予定となっている。映像もゲーム性もカジュアル路線にシフトしたことで、従来の「Battlefield」ファンのみならず一般ゲーマーも巻き込んでいくというのが、EA DICEの狙いだろう。

 今回プレイした感触から言うと、FPSとしての楽しさはしっかりと実現されており、そこはさすがに「Battlefield」シリーズの本家本元による作品として申し分ない。これが無料でプレイできるなら多くのユーザーが集まることは十分期待できそうだ。ただし、オンラインサービス向けの仕様であるキャラクタ固定という制限から、戦闘状況に合わせてクラスを変更することはできないため、シリーズのファンとしてはやや窮屈な印象もあった。

 本作がオンラインサービスとして成功するためには、FPSとしての楽しさだけでなく、オンラインならではの機能をもっともっと充実させていく必要があるだろう。現在のところ、前述したキャラクタカスタマイズや成長要素のほか、クラスや戦闘内容毎のランキングシステムの存在が確認できてる。

 しかしそれだけでは不十分だ。特に、参加するゲームセッションを選択することのできない現行のシステムでは、友達やチームメンバーと一緒にプレイする仕組みを別途用意しなければ円滑なマッチングは難しいだろう。少なくとも現時点ではそのような支援機能の存在を確認できなかったので、もし無ければ早急に整備を進める必要がある。このあたりの機能が充実し、オンラインゲームとしてキッチリとまとまった仕様を備えることになれば、北米以外へのサービス展開も当然視野に入ってくるはずだ。

 近年EAはオンライン市場に積極的になりつつあり、今年には「FIFA Online 2」を日本を含むアジア圏で本格稼動させているという経緯がある。そのEAの稼ぎ頭のひとつであるEA DICEが本腰を入れて開発している本作を、有望なアジアのオンラインゲーム市場に投入したい、と考えるのは至極妥当なことだ。

 となれば「FIFA Online 2」と同じく、「Battlefield Heroes」で日本国内サービスが行なわれる可能性は非常に高いと言える。「サドンアタック」、「スペシャルフォース」などが人気を集めつつ既に飽和状態にある日本のオンラインFPS市場ではあるが、実績あるFPSタイトル開発元であるEA DICEの作品がその世界に入ってくることになれば、また新たな流れが期待できそうだ。

日本国内でのサービスがあるかどうかは不明だが、近年のEAの取り組みを見る限り、かなり可能性が高いと見ていいだろう。オンラインFPS市場における「黒船」になるかどうか、まずは米国でのサービス状況に注目していきたい

(c)2008 Electronic Arts Inc. All rights reserved.


□Electronic Arts(英語)のホームページ
http://www.ea.com/
□Electronic Arts Japan(日本語)のホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□「Battlefield Heroes」の公式サイト(英語)
http://www.battlefield-heroes.com/
□関連情報
【2月29日】EA DICE、2008年新作タイトル発表会レポート その2
WIN「Battlefield Heroes」、Xbox 360/PS3/WIN「Mirror's Edge」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080229/dice.htm
【1月22日】EA、「Battlefield Heroes」
2008年夏に欧米で無料配信開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080122/bf.htm

(2008年10月3日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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