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ゲーマーにも初心者にも意外とわかる!!
「KORG DS-10」講座【第2回】

  • ジャンル:音楽ツール
  • 発売元:株式会社AQインタラクティブ
  • 価格:4,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(7月24日)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)



【編集部より】前回に続いてゲヱセン上野氏による「DS-10」講座の後編をお届けします。サンプル音源を多数用意してあるので、実際に各説明の効果がよくわかると思います。是非最後までおつきあいいただき、いろいろ試しながら「DS-10」を楽しく遊び倒してください!


■ DS-10でできること《音色作成編2 & 活用編》

  前回は「DS-10」の基本的な使い方やアナログシンセの仕組みなどを解説したが、それらがある程度飲みこめれば、残りの機能を理解するのはわりと簡単。ちょっとしたテクニックも織り交ぜながら、その他の機能を紹介しよう。

● SYN1/2パッチでさらに深まる音作り

 マップ画面の「SYN1(2) PATCH」を選ぶとシンセ・パッチ・パネル画面に移行する。MG(Modulation Generator)で発生させた低周波電圧をVCO、VCF、VCAに加え、時間とともに音色や音程を変化させるなど、凝った音作りを行なうための画面だ。端子間をケーブルで結ぶ(パッチング)には、タッチペンで2点間をスライドさせればよい。ここからは、実例を挙げて効果を見ていこう。

【例1……ビブラート】【例2……トレモロ】【例3……レトロ・コンピュータ】
サウンドサンプル1 サウンドサンプル2 サウンドサンプル3
MGの三角波出力をPITCH INに入れると、周期的に音程を振るわせるビブラートがかかる。FREQツマミでビブラートの速さ、PITCH INツマミでビブラートの深さ(音程の変化量)を調整しよう。PITCH INツマミはほんの少し回すだけで十分だ MGの三角波出力をVCA INに入れた場合には、周期的に音量を増減するトレモロがかかる。FREQツマミでトレモロの速さ、VCA INツマミでトレモロの深さ(音量の変化量)を調整しよう レトロな映画やアニメに登場するコンピュータは、なぜかランダムな音を鳴らしながら作動していることが多い(笑)。そんな音を再現するには、S&HをPITCH INに入れればOK。S&H(Sample & Hold)とは、早い話が「ランダム」だ。シンセ・シーケンスで鳴らすなら同じ音程で全ステップを埋め尽くし、GATEはすべてLEGATOにしておこう
【例4……金属音】
サウンドサンプル4
VCO2をVCA INに入れて変調をかけると、非整数倍音を多く含む金属的な音も作ることができる。例えばこの画面のようなセッティングを行なうと、かわいいベルのような音が鳴る(ツマミの角度がわずかに変わるだけでまったく違った音になってしまうので、このセッティングを参考に各自試行錯誤してくださいませ)

サウンドサンプル5
 他に、ノコギリ波や三角波をCUTOFF INやPITCH INに入れてFREQを低めに設定し、音色・音程をじわじわ変化させるワザもある。加えて、シーケンサーのPANを1音ずつ変えたりエフェクターを使ったりして作ったサンプルが右のサンプル5。2音出ているように聞こえるが、シンセ1のみで発音させている。

 工夫次第で変化に富んだ音が作れるので、実際にあれこれいじってみるのが一番だ。

● 一風変わった入力デバイス「カオス・パッド」

 カオス・パッドは、「DS-10」に搭載されているペンタブレットのような(仮想)入力デバイス。マップ画面で「SYN1(2) KAOSS」を選択すると現われ、画面の大部分を占める黒い部分をタッチしたり、スライドしたりすることで、音程や音色などをリアルタイムにコントロールできる。

下画面上部の「1」、「2」、「3」はカオス・パッドで操作するパラメータを切り替えるためのボタン。初期状態では「NOTE・GATE」(音程・音長)、「VOL・PAN」(音量・定位)、「PEAK・CUTOFF」(VCFパラメータ)が設定されている。
 なお、「1」選択中に「SET」をタッチすればキーとスケールを、「3」選択中に「SET」をタッチればX・Y軸に割り当てるパラメータを自由に変更できる。
 また、キーボード画面同様に赤○ボタンを押せば録音も可能。録音後のデータ修正はシンセ・シーケンサー画面で行なえる

● 工夫を凝らして、スペックを越えるサウンド作り!

 DS-10の欠点をしいてあげるなら、モノフォニックシンセ2音+ドラム4音の限られたリソースで曲作りをしなければならない点だが、無い物ねだりをしても始まらない。ここはひとつ工夫と努力と気合いで克服していこう。

 ひとつめの解決策は分散和音(アルペジオ)のフレーズを作り、1声で和音を表現する方法。コードを構成する音をいっぺんに鳴らさず、1音ずつ順に演奏するアルペジオは、ファミコンソフトのBGMでもよく用いられた「音数の少なさをカバー」するのに便利な常套手段である。エフェクターでディレイをかければ、擬似的に2~3音同時発音しているようにも聞こえる。

サウンドサンプル6 サウンドサンプル7
例えばCM7(ド・ミ・ソ・シ)、FM7(ファ・ラ・ド・ミ)をアルペジオで鳴らしてみるとこんな感じになる。サンプルフレーズでは前半4小節はエフェクターなし、後半4小節はディレイをかけている ディレイの「FEEDBACK」(反復)を大きめに設定する場合は、思い切って音を間引いたほうが気持ちよい響きになる。SYNCは「BPM」に設定してテンポと同期させておこう。サンプルフレーズの最初の4小節はエフェクターなし、次の4小節はシンセのみにディレイをかけ、最後の4小節はドラムにもディレイをかけている。なお、エフェクターにはディレイの他にフランジャーとコーラスが用意されているが、解説は割愛させていただく。かたじけない

 次に紹介するのは、ドラムトラックをシンセトラックとして使う小技。

 ドラム・シーケンサーはドラム音しか出せないと思いきや、初期状態では単にドラム音がプリセットしてあるだけなのだ。マップ画面右端の「DRUMS」を選択すると4つのドラム・パッドが表示されるので、画面左上の「EDIT」をタッチしたあと、DRUM 1~4のいずれかをタッチしてみよう。

マップ画面の「DRUMS」を選ぶと、この画面に移行する。4つのパッドを叩くと、それに対応するドラム音が鳴り、画面上部の赤○をタッチすればドラム・シーケンサーへの録音も可能だ。ドラム音色をエディットするには、画面左上の「EDIT」を押してからエディットしたいパッドをタッチ ドラム・エディット画面は、一部のツマミが省略されているものの、シンセ・エディット画面とほぼ同じ。「DRUM EDIT PATCH」を選ぶとパッチングによる音作りもできる
ドラム・シーケンサーは一見、発音タイミングしか設定できないように見えるが、左端の1~4をタッチすると、シンセ・シーケンサーのような画面に変わり、音程やパンポット等の打ち込みも可能となるのだ!

サウンドサンプル8
 ただし、注意すべき点がある。ドラム音色は全パターン共通で使用されるため、4つのドラム音をすべてシンセ音に変えてしまうと、別のパターンを選択してもドラムの音は出せなくなる。ドラム音も使いたい場合、最低1音はドラム用に残しておこう。

 でもって、このテクニックを用いて作ったサンプルパターンが右のサンプル8。わかりやすいようにコード、ドラム、シンセ1、シンセ2の順で音を重ねている。

 コードはドラム・シーケンサーを使って演奏。具体的にはDRUM 1~3でコードを、DRUM 4でドラムを鳴らしている(音色は1~4まですべて変更した)。ドラム用のトラックが1本しかなくても、音程を変えれば2種類のドラムが鳴っているように聞こえる。


■ 音楽の知識がなくても十分楽しいDS-10

 今回説明できなかった機能や使い方はまだあるが、キリがないのでひとまずお開き。DS-10ユーザーは、各自精進してくださいませ。そうそう、マニュアルの「セッションのセーブ」(P13)、「音色のロード・セーブ」(P28)、「パターンのコピー」(P43)は最低限読んでおくと、パターン作成時や音色作成時にきっと役立ちます。

 音楽ソフトというと「音楽の知識もないし五線譜もよくわかんない」と尻込みする人も多そうだが、幸か不幸かDS-10には五線譜が一切表示されない。思いついたフレーズを鳴らすには、方眼状のマス目にドットを打っていくだけだ。フレーズが思いつかなければDSの上に豆でもまいて、そこらへんのハトにシンセ・シーケンサー画面をつつかせればよい(編集部注:鳩に画面をつつかせたことによりニンテンドーDSが損傷した場合、編集部ならびに筆者は責任を負いかねます)、(筆者注:じゃあ、コメをまいてスズメにつつかせましょう)、(編集部注:鳥類全般つつかせたらダメ! フンもされるし!)。

 ともあれ、もしこの記事を読んで「ちょっと難しそうだけど、ひょっとしたら楽しいかも?」と興味がわいたらぜひともDS-10に触れていただきたいものです。そんな人が増えてくれることを期待しております。

【著者紹介】
ゲヱセン上野……編集者・ライターでありつつ、かつてはプログラマ、そしてサウンドコンポーザーとして「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」、「いただきストリート 私のお店によってって」、「けろけろけろっぴの大冒険」、「MOTHER2 ギーグの逆襲」などのタイトルに携わる。

(C) 2008 KORG Inc. All rights reserved. (C) 2008 PROCYON STUDIO CO., LTD. All rights reserved. (C) 2008 AQ INTERACTIVE INC.Game Design, Game System and Game Engine by cavia inc.Synthesizer Design and Sound Engine by KORG Inc.

□AQインタラクティブのホームページ
http://www.aqi.co.jp/
□製品情報
http://www.aqi.co.jp/product/ds10/index.html
□関連情報
【8月18日】ゲーマーにも初心者にも意外とわかる!!
「KORG DS-10」講座【第1回】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080818/ds10.htm
【3月12日】AQインタラクティブ、アナログシンセの銘機をDS上で再現!
DS用音楽ツール「KORG DS-10」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080312/korg.htm

(2008年8月19日)

[Reported by ゲヱセン上野(ハト派)]



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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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