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8月16日オープン
「flat flat」はゲームをあまりプレイしないようなユーザーに向けてハンゲームの楽しさをアピールする施設として企画された店舗だ。店内には数十台の試遊台を設置し、来訪者が自由にゲームをプレイできる。タッチパネルを使った特別なゲームもプレイでき、他にもドリンクの販売や化粧品や入浴剤のサンプルを配布するサンプルショップとしての側面も持っている。
「flat flat」は、「待ち合わせや暇つぶしなど、“ふらっと”訪れることができる場所になって欲しい」という想いで名付けられたという。NHN Japanが手がける初の店舗ということもあり、内覧会にはプレスの他、多くの関係者が訪れた。コアなゲームファンに向けた、「ゲームセンター」ではなく、気軽にゲームに触れてもらうことを目指した、非常にユニークなアプローチである。
■ 未来の公園をイメージした、“触って楽しめる”新しいゲーム空間
「街にはまだまだふらっと立ち寄り、気軽に遊べるような空間は少ない。家でのPCや携帯電話に加え、街でも楽しめるような新しいライフスタイルを『flat flat』で提案していきたいと考えています。今後とも支援よろしくお願いします」と森川氏は語った。 続いて壇上に上がったのは、「flat flat」の内装を設計した建築家の迫慶一郎氏。迫氏はSAKO建築設計工社を立ち上げ、日本と北京に事務所を持ち、日本や中国、韓国などで様々な建物を手がけている。中国での仕事はテレビなどのメディアにも取り上げられている新進の建築家だ。迫氏は「flat flat」の設計に関し、ゲームを“リアルな日常の中に非日常を発生させるもの”と捉え、「未来の公園」というコンセプトの上で設計を行なったという。 曲線で有機的な、体にまとわりつくような「洞窟」のイメージを持たせ、奥へ奥へと探検したくなるような空間として設計したとのことだ。「多くの人がこの未来の公園に訪れてくれることを願っています」と、迫氏は言葉を結んだ。この後、NHN Japanが8月17日より東京、大阪地区で放映する、俳優の加瀬亮さんを起用したハンゲ.jpのCMが先行上映されてオープニングセレモニーは終わった。CMに関しては、画像とともに紹介したい。 「flat flat」には57台の試遊台が設置されており、来場者は無料でゲームを楽しむことができる。57台のうち、21台はタッチパネルを使った特別な試遊台で、通常のハンゲームではなく、フラッシュゲームの「プチハンゲーム」から選別された、21種類のゲームが楽しめるようになっている。これらのゲームはログインの必要がなく、モニタに直接指で触れながらプレイできる。タッチパネルの試遊台で使用されているハードは一般販売されているタッチスクリーンを使ったマシンだが、ゲームのチューニングやシステムのプログラムなどはNHN Japanの自社開発によるものだ。 残り36台は通常のPCだが、デフォルトの画面がログイン画面となっており、ハンゲームユーザーはIDを使うことですぐにプレイできる。IDを持たないユーザーはボタン1つでゲストとしてすぐにプレイすることが可能になっている。50種類以上の様々なゲームをすぐにプレイできるように画面構成をカスタマイズしている。 通常の試遊台では、そのまま全国のハンゲームプレーヤーとゲームが楽しめるようになっている。試遊台でのプレイでは、ショートメッセージを送る機能など一部の機能は制限され、また、チャットにはフィルタリングが入っているなど、家庭で遊ぶ場合とは違う部分もある。試遊台近くには、初めての人にもゲームを楽しんでもらえるようにスタッフが常にいて、フォローしてくれる。 ユニークなのが店頭にある「Photo掲示板」だ。横にあるカメラで自分を写せば、そのまま、データとして「Photo掲示板」に入る。来場者はここでタッチパネルを操作すると、自分の写真や他の人の写真を見ることができる。このシステムも自社開発とのことで、今後は印刷機能を持たせるなど、「次世代のプリクラ」を目指し、システムを考えていくという。 店内にはドリンクコーナーがあって、コーヒーやオレンジジュースなどを購入することができる。ココアやラテもあってメニューは充実している。飲み物はすべて200円だが、ハンゲーム会員は半額の100円で購入できる。原宿の他のカフェより明らかに安い価格設定だ。ドリンク目的に会員になる、という来場者もいるのではないだろうか。
この他に、店の奥には「サンプリングコーナー」がある。アンケートに答えるとサンプル商品がもらえる、いわゆるサンプルショップとなっている。現在既にお菓子や化粧品、入浴剤などが並べられていた。ちなみに「flat flat」ではアンケートに答えるだけでなく、ハンゲーム(もしくはハンゲ.jp)の会員であることも条件だ。この他、タイアップのプロモーションも計画しているという。
■ 「原宿に向けたアプローチを!」 コア層へ向かいがちな思考を廃したNHN Japanスタッフの挑戦
面白いのが、以前のテナントで使われていた、2階へ通じる階段をそのまま残しているところだ。階段の先はふさがっており、実用的ではないように見えるのだが、ここは「座って休む場所」なのだという。階段に座り込んで雑談するような若者向けの仕掛けというわけだ。この空間の利用法は迫氏の提案とのこと。階段の横のスペースでは、ハンゲームのマスコットのぬいぐるみなどのグッズの販売が予定されている。 「flat flat」を企画したNHN Japan経営企画室の永田幹広氏は「携帯ゲームの先を体験してもらいたい」という想いから、この店舗が実現したと語る。新しい客層を開拓するためにスタッフで意見を出し合い、“触れてもらう”をキーワードに、販売されているタッチパネルのシステムをハンゲーム用にカスタマイズするなど、これまでと全く違うことにチャレンジしていったという。 「ゲームユーザーならこうだろ」という意見に流れがちな企画を、永田氏は新しいユーザーに対しての企画にするために方向性を考えていった。迫氏という建築家の力を借りたのも、全く新しいアプローチを狙ったものだという。永田氏のチームはこの「flat flat」を第一弾として、店舗そのもののアプローチと共に、異なるアプローチも考えていくとのことだ。 永田氏の言葉からは、これまでにない新しいプロジェクトを進めているという“気合い”が強く伝わってきた。ゲーム開発者、運営スタッフは、ゲームプレーヤーに向けての企画を突き詰めていきがちだ。しかし、全く異なる“テーマ”を提示されたとき、スタッフはなにができるか、「flat flat」その答えの1つといえるだろう。
“ハンゲームのポテンシャル”にも注目したい。子供のころからゲームに囲まれている若年層のユーザーはカジュアルなゲームに対してどう興味を持つのか、実際どのように楽しんでいるかは、コアなゲーム、そしてコアなユーザーに目が行きがちな我々ゲームメディアとしても少し距離を感じる、というのが正直なところだ。「原宿にゲームが遊べるお店を出す」というテーマに挑戦した「flat flat」でどのような光景が見られるか、とても興味が惹かれる。
□NHN Japanのホームページ (2008年8月14日) [Reported by 勝田哲也]
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