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★DSゲームレビュー★

「人」を介したビル経営の醍醐味を満喫しよう
「ザ・タワーDS」

  • ジャンル:ビル経営シミュレーションゲーム
  • 発売元:デジトイズ株式会社
  • 価格:4,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(6月26日)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)



 デジトイズ株式会社から発売された「ザ・タワーDS」。その名称から、あのガウディのように独創的な塔を建築するゲームかと想像してしまうかもしれないが、実際は高層ビルを経営するゲームだ。

 この「ザ・タワーDS」はシリーズものとして1994年のMachintosh版から始まり、セガサターン、プレイステーション、任天堂ゲームボーイアドバンスなど数多くのプラットフォームで発売され、世界中で大ヒットしている。さっそく本作の特徴や魅力を、建物を建設する過程を紹介しつつ、具体的に解説していこう。


■ 4つのプロジェクトを完遂せよ

 本作では「分譲マンション」、「ビジネスホテル」、「ショッピングモール」、「複合高層ビル」からなる4つのプロジェクトを完遂することが目標となっている。プロジェクト毎に設定されている条件を満たせばクリアとなる。全てクリアすると誰も見たことのない奇跡の光景が見れるらしい……どんな光景か楽しみだ。

 「分譲マンション」、「ビジネスホテル」、「ショッピングモール」など特定の業種に特化したプロジェクトはDS版で初登場となっている。また、DS版ということで、ゲストキャラクタとしてマリオも登場する。

最初のプロジェクトは「分譲マンション」。うまく経営できるか腕の見せ所 すべてのプロジェクトを成功させ、「THE TOWER」の称号を得よう!



■ 社長からの説明と建築用地の決定  

 ゲームをスタートすると社長が登場し、何をするべきか教えてくれる。所々に出てくる社長の説明は長く、全て読むのはひと苦労かもしれないが、重要な情報が数多く含まれているので、初心者は特に見逃さないようにしてほしい。見逃したとしてもゲーム中にセレクトボタンを押し「大室社長の部屋」に行くことで再確認できるので、わからないことがあれば、ちょくちょく見てみよう。

 社長の指示に従っていくと、まずは建築用地の決定から始めることになる。マップから建築用地を十字ボタンとタッチペンで選択する。選択肢は最初は1つしかないので迷うことはないだろう。建築用地が決定したら、再度社長からプロジェクトの特徴が説明される。住人の特徴、移動設備、住宅についてなど、重要な情報を知ることができる。これらの情報は目標を達成するのに必要な情報ばかり。よく説明を聞いてビル経営を始めよう。

建築用地の決定。決定する前に建築用地の概要やクリア目標なども表示される 社長からの説明。しっかりと説明を聞くことでスムーズにプレイを進めることができる

TIPS:社長からの説明はしっかり頭にいれよう。もし忘れたらすぐにセレクトボタンを押し、「大室社長の部屋」へ行こう。



■ 基礎建築 

 最初のプロジェクト「分譲マンション」では、「マンションの住人を30人にする」のが第一の目標だ。

 ビル経営の第一段階として、1Fにロビーを作ることになる。操作は簡単で、タッチペンをスライドさせるか十字ボタン+Aボタンで建築用地いっぱいにロビーを広げるだけだ。ここで注意したいのは、建築用地から非常階段がはみ出すまでロビーを広げることだ。なるべく広く作っておくと、より多くの物件や設備を設置できるため有利になる。ロビーには何も設置できないので、物件や設備は2階以上か地下に設置することになる。

初期の建築用地。このままでは狭く、目標を達成することはままならない ロビーを広くすると、多くの物件や設備を設置できるスペースができる

 次に住宅の設置だ。住宅は売れると販売収入が得られる。ただし、家賃収入はないので定期的に収入が得られる訳ではない。社長から、人気の物件は1LDKであり、1LDKに住む家族の人数が増えると2LDKの需要が増してくるとの説明がある。このことから、まずは1LDKを設置しよう。Rボタンでメニューを呼び出し、「住宅」カテゴリ内にある1LDKを選択し、設置場所を決定すれば完了だ。全ての物件や設備はRボタンのメニューから設置、撤去が行なえる。忘れないようにしよう。また、住居は地下には設置できないため、2階以上に設置することになる。資金を考えて、多少余裕を持って設置すると安心だ。

 また、分譲価格はRボタンを2回押すと表示されるメニューの「賃料の変更」から変更が可能。安くすれば売れやすく、高くすれば売れにくいが多くの収入が見込める。ただし、最初のプロジェクトでは特に変更しなくても目標は達成できるだろう。

Rボタンでメニューを出して、設置したい物件や設備を選択する なるべく余計な隙間を作らないように設置すると効率がいい 3階に隙間を空けて設置してみたが、2階と比べると設置できる物件が1つ少なくなってしまった


 住宅の設置が終わったものの、住宅に×マークが付いてしまう。これはエレベーターや階段などの移動設備がなく、誰も利用できないからだ。これではせっかく設置した住宅も売れず、何もならない。エレベーターや階段など移動設備がなければ、すべての物件は利用できないので注意しよう。

 エレベーターや階段を設置してみよう。階段は設置費用が安く、維持費もかからない。ただし、利用者にストレスがかかり、連続利用上限は2回までとなっている。あくまでエレベーターと併設することで効果を発揮するものと憶えておこう。

 エレベーターは移動にストレスがかからず非常に優秀な移動設備と言えるが、設置費用と維持費が高いことに注意しよう。またエレベーターはカゴの増設や、停止階、休日・平日における時間ごとの急行設定などもできる。序盤は気にせず初期値のまま利用しても問題ないだろう。

 ただし、住人が増えたり、高層化してくるとエレベーターの待ち時間が増え、利用者のストレスが増加してしまう場合にはカゴを増設したり、停止階の設定などをしてストレスを解消していこう。また、エレベーターは物件に重ねて設置できることは憶えておいてほしい。

 移動設備の設置が終わると設置した住宅の表示に変化が起き、×マークから「FORSALE」や「SOLD」となる。「FORSALE」は売り出し中、「SOLD」は売約済みとなり、少し待つと住人がやってくる。

接続できないと×マークが付く。この状態では住人はやってこない。階段やエレベーターなどの移動設備を設置し、住民が利用できるように整えよう

TIPS:ロビーは建築用地いっぱいに広げよう。
TIPS:何かを設置するにはまずRボタンでメニューを開く。
TIPS:誤った位置に設置してもあせらずにタッチペンで移動しよう。
TIPS:各階に必ず移動設備を設置しよう。
TIPS:階段だけでなくエレベーターも設置しよう。
TIPS:エレベーターは各種物件と重ねて設置できる。



■ 都市機能 

 次に準備が必要になってくるのがビル管理運営に必要な都市機能であるゴミ回収場と警備室だ。設置しないと、ビル経営には大きな支障をきたす重要な設備だ。Rボタンメニューから「都市機能」を選択すれば設置できる。

 ゴミ回収場がなかったり、ゴミ回収場がゴミであふれていると住人はゴミを自宅に持ち帰り、ゴキブリ発生の原因となるため絶対に設置しておきたい。ゴミ回収場は地下にのみ設置可能で、初期値では住宅12件分のゴミ処理能力しかない。必要に応じて規模を拡張していこう。ただし、拡張すればするほど維持費もあがるので資金と相談しながら決めていこう。

 警備室はビル内の盗難や火災の発生を抑制してくれる。盗難が発生すると住人の評価が極端に下がり、住人が退去してしまうのでこれも設置は必須だ。警備室はどこにでも設置可能だが、最初のプロジェクトでは地下2階まで使える上に、住居は地下には設置できないので地下に設置しよう。警備室も必要に応じて拡張していくこととなる。もちろん警備室も拡張すると維持費が上がってしまう。

ゴミ回収場を地下1階に設置。クリーンな住宅を維持しよう 警備室を地下2階に設置。火災や盗難を未然に防ごう

TIPS:ゴミ回収場と警備室は必ず設置しよう。
TIPS:都市機能の設備にも移動設備の設置を忘れずに。
TIPS:規模に応じて都市機能を拡張しよう。



■ その後の展開

 これにて一通りの設備の設置が完了した。あとは需要に合わせて、必要な住宅や設備を設置していこう。4階以上になってくると階段だけでは厳しくなってくるため、エレベーターは必ず設置しなければならない。順調に経営が進み、1LDKの住人が増えると2LDKへの住み替え要望が下画面中央に表示される。すぐに2LDKを設置しよう。要望を無視して、2LDKを設置しないと、住人はいなくなってしまう。

 要望が出た後に2LDKを設置すると「RESERVED」と表示される。これは住み替えの予約の表示であり、数日後には住み替えが完了する。 下画面中央や上画面上部に表示されるインフォメーションは重要なものばかりなので、見逃さないように注意しよう。

エレベーターを設置。高価な設備ではあるが住民のストレスをためない優秀な移動設備だ 2LDKへの住み替え要望がきたので2件設置してみた。1件は「RESERVED」が表示され、住み替えの予約が完了したことを示している

 この調子で住宅を設置し、住人を増やしていこう。住み替えが完了した場合、元の1LDKの部屋をタッチして掃除すれば、再度売りに出せるのですぐに掃除は重要なポイント。また、Aボタンを押し続けることで時間の早送りが可能だ。操作の必要がない時は、どんどん使っていくといいだろう。不必要になった住居があれば撤去し、隙間なく住居を設置していくと効率がいい。誤って設置した場合でもタッチペンを使って左右に移動させることができる。また、Bボタンを押すことで住宅や設備の状況が確認できる。何か問題がないか、なるべく確認しよう。

住人が増え、次々と2LDKへの住み替え予約が入ってきた 空き部屋となった部屋をタッチして掃除し、再度売りに出そう

 第一の目標である「マンションの住人を30人にする」を達成すれば社長から報奨金がもらえる。 プロジェクトのクリア目標である「マンションの住人を80人以上にし、3LDK住宅に住民を住み替えさせる」をクリアすべくビルを経営していこう。

住人が30人を超え、グレードアップ!報奨金がもらえる 新たな物件3LDKが登場。クリアを目指してがんばろう

TIPS:住人からの住み替え要望にはすぐに対応しよう。
TIPS:掃除が必要な物件の掃除はお忘れなく。
TIPS:Aボタンを押し続ければ時間を早送りできる。
TIPS:時間は常に流れている。考え事はセレクトボタンのメニュー開いた状態でしよう。
TIPS:グレードアップ後、建築用地が拡大されている。時期を見て、ロビーを拡大しておこう。



■ ストレス 

 ビル経営に重要な要素としてストレスがある。これはエレベーターの待ち時間が長い場合などにたまっていくものだ。ストレスは住民の色で見分けることができる。ストレスの軽い順に黒→ピンク→赤となる (青い人はデリバリー業者など外部からの利用者なので住民としてはカウントされない)。ストレスがたまり続けると住人は退去してしまうのでストレスを感じさせないように、序盤はビルをあまり高く作らない方が得策だ。

 ある程度の資金があれば、エレベーターのカゴが増設でき、高層化に対応できるだろう。それでも住人のストレスが解消されない場合は、エレベーターのターボ加速を使ったり、運行状況を変更したり、階段を併設するなどして対応していこう。

6階の住人が赤くなっている。早くストレス解消しないと退去してしまう恐れがある エレベーターのカゴを増設。これで大幅にストレスが解消されるはずだ

TIPS:設備を整えたり、素早い対応で、住民のストレスを解消しよう。



■ 様々なイベント

 ビルを経営しているとイベントが発生する。例えば、出産した子供の名前をつけたり、ゴキブリが発生したり、息を吹きかけて火災を消化したり、ビルに侵入した犬をタッチペンで捕まえて外に逃がしたりと様々だ。イベントによっては、住人にとって一大事となる恐れもある。すばやく対応していこう。

 重要なイベントの1つにマリオタワーがある。時折、上画面上部に社長からマリオタワーに関する依頼が表示される。すぐにスタートボタンを押して、マリオタワーを選択しよう。エレベーターの加速装置と集客装置を使って、目標人数をマリオタワー上部に運ぶボーナスゲームだ。確実に成功させ、報奨金をゲットしよう。プロジェクトが進むごとに資金繰りが厳しくなってくる。社長からの依頼はとてもありがたく感じるだろう。

子供の名前を付けてほしいとの依頼が。素敵な名前を付けてあげよう。名前を付けた子供は台詞が表示されるようになる マリオタワーイベントが発生。見事こなして報奨金をゲットし、ビル運営資金に充てよう。イベント中は懐かしいあのBGMが!

TIPS:マリオタワーはまず加速装置を作動させ「SUPER TURBO」を維持しつつ、集客装置でお客さんを呼び込もう。



■ さまざまなプロジェクトで飽きさせない

 「分譲マンション」のプロジェクトを見事達成すると、評価が表示される。同じプロジェクトでも達成までの時間短縮や的確な住民への対応を心がけてみたりと何度でも遊べる楽しさがある。そしてプロジェクトはまだまだ続くのだ。分譲ではなく売り上げにより収入が変わるファーストフード店やスカイロビーなどの設備など新たな要素が続々と登場してくる。経験と知識を活かし、すべてのプロジェクト達成を目指そう。

個別評価。納得のいく成績となるまでやり直すのもいいだろう 次なるプロジェクトは「ビジネスホテル」。「分譲マンション」とは違った経営が求められる

TIPS:各プロジェクトに合わせた手法で、それぞれのビルの経営を行なおう。



 筆者にとって、このタイプのゲームは難しく、とっつきづらい印象があったものの、ある程度の操作と知識を憶えてしまえば、さほど難しいものではなく、どんどんとのめり込んでいく体験をした。量は多いものの、充実したヘルプ機能があるおかげで、そのつど必要な知識やどういった方針で建設を進めていけばいいかはおのずとわかってくる親切さがありがたかった。DSというハードでサクサクとプレイできるので、暇な時間を見つけてこつこつプレイするには向いているタイトルであることもうれしい。

 また、本作は単純に目標を達成すべく、ビルを経営するだけでない、という点も魅力的に映った。そのビルには生活する住人がいる。名前を付けてあげた子供が「ゲームでもやろっと……」、「ママと一緒に買い物だ!」などと話しているのを見ていると、微笑ましさが感じられた。住人からの要望が出ても、資金がなく対応してあげられず申し訳ない気分になったり、設備の設置が功を奏し住民のストレスを解消できた時の喜びなど、「人」を介したビル運営の楽しさをぜひ、皆さんにも体験していただきたい。

(c) 2008 DigiToys Inc. All rights reserved.

□デジトイズ株式会社のホームページ
http://www.digitoys.tv/
□「ザ・タワーDS」のページ
http://www.digitoys.tv/tower/
□関連情報
【3月17日】デジトイズ、高層ビル経営シミュレーションの最新作
DS「The Tower DS」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080317/tower.htm

(2008年8月12日)

[Reported by 木原卓]



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