今回から、生まれ変わった「ストリートファイター」のプレイガイドをお届けする。まずは「システム解説編」として、前作からの変更点と、新システムの概要をお伝えしたい。シリーズ経験者にも、そうでない方にも、このゲームの魅力をお伝えできれば幸いだ。
現在明らかになっている使用可能キャラクタは、「ストリートファイターII」のデフォルトキャラクタ8キャラと、四天王キャラ4キャラ、新キャラクタ4キャラの合計16キャラ。
このことからもうかがえる通り、ゲームのシステムはどちらかと言えば前作の「ストリートファイターIII」シリーズよりも、「ストリートファイターII(以下ストII)」シリーズ(主に『スーパーストリートファイターII X』(以下『スパIIX』)のシステムを意識したものになっている。
システム面の変更点でも、変更したというよりも、「スパIIX」に戻した、という表現の方が適切だと思われるものが多く存在する。
本項では、新システムを除いた旧作からの変更について、代表的なものを、「ストリートファイターIII 3rd STRIKE(以下III 3rd STRIKE)」から変わらない点と、「スパIIX」に戻された点に分けて紹介したい。
項目数だけを見ると継承された点の方が多く、「III 3rd STRIKE」に近いように見えるが、「スパIIX」に戻された点はゲームの核であった部分であるため、実際の感覚は「スパIIX」により近いと感じた。
継承された項目は投げシステムやダッシュ・バックダッシュなど、操作に関する項目が多い。全体的なゲームの雰囲気や駆け引きは「スパIIX」に近く、操作感覚は「III 3rd STRIKE」に近いと言えるのではないだろうか。
上記既存システムの変更点に加えて、本作から新たに追加された新システムもいくつか存在する。代表的なものを紹介していこう。
本作を特徴付ける、代表的なシステムがこのセービングアタックだと思われる。中P+中Kで出すことができ、技モーションはキャラクタによって異なる。
この技を一言で言うならば、「相手の攻撃に1発だけ耐えられる打撃技」である。しかしその他にもセービングアタックにはいくつかの特徴があり、これによって本作を特徴付ける重要な役割を担っている。
各要素について、順を追って説明していきたい。
以上が現在わかっているセービングアタックの特徴だ。
セービングアタックのキャンセルに使うダッシュは硬直が短く、展開が早いのでコマンド入力は難しくなるが、これらの行動を使いこなせるようになると非常に「『ストIV』らしい」動きができるようになるので、ぜひともマスターしておきたい。
相手の攻撃に対して、攻撃判定発生前にこちらの攻撃を当てると、カウンターヒットとなり、一部の攻撃のヒット効果が変化する。詳しい計算式は現段階では不明だが、ダメージも増加しているようだ。
特に、セービングアタックの1段階目がカウンターヒットした場合は、崩れ状態を誘発し、連続技を決めることができるので、非常に重要だ。
スーパーコンボ(以下スパコン)ゲージは前作そのままの機能で継承されている。原則攻撃をヒットorガードさせることで徐々にたまっていくが、必殺技の場合は空振りでも増加する。
最大4目盛りまでためることができ、EX必殺技で1目盛り、EXセービングで2目盛り、スーパーコンボで4目盛りを消費する。
リベンジゲージは今作から新たに追加された新システムで、ダメージを受けることで徐々にたまっていく。相手の攻撃をセービングした場合でもダメージを受けたとみなされ、ゲージが増加する。相手の飛び道具系の必殺技にセービングを狙うなどすれば、効率よくリベンジゲージをためることができるわけだ。
このリベンジゲージが50%以上蓄積されると、ウルトラコンボが使用できるようになる。こちらはスパコンゲージと違い、発動可能な50%の部分以外に目盛りが存在せず、ウルトラコンボ発動時点で全消費される。その時点でたまっていたリベンジゲージの量によって、ウルトラコンボのダメージは変化する。
スパコンゲージとリベンジゲージの最大の違いは、ラウンド間で持ち越しされるかされないか、と言う点。スパコンゲージはラウンドをまたいで持ち越されるが、リベンジゲージは毎ラウンド0からスタートになる。場面にもよるが、連続技の締めに使う場合などは、用途の多いスパコンゲージよりもリベンジゲージを優先して使っていく方が良いのではないだろうか。
ここまで本稿では、シリーズ作品の慣例に則り、前作からの変更点に注目して記事を進めてきた。しかし本作に関しては、長い歴史を持つ「ストリートファイター」シリーズだけに、必ずしも前作のプレーヤーがメインのプレーヤー層であるとは限らないだろう。
そこで本項では、「ストII」シリーズのユーザーに対して、本作をプレイする上での心構えに関して少しだけ触れておきたい。
本作では、「ストII」シリーズになかった操作がいくつか追加されている。これらのうちで、少々クセのあるものの入力のコツについて触れておきたい。
立ち回りに関しては、ベースとなる部分は「ストII」シリーズと同様で問題ないと感じた。その上で、多少感覚が変わっているかな、と感じている部分のみに絞って解説しておきたい。
誤解を恐れずにものすごく大雑把に言ってしまえば、「ストII」シリーズからの変更点はこのぐらいである。あとはダッシュが存在することや、カウンターヒットが存在することなど、細かい部分は色々変わっているものの、意識せずとも対戦にはさほど影響を与えないので、はじめはあまり考えすぎず、好きなようにプレイしてみたらいいのではないだろうか。
「ストII」シリーズで有効であった、“飛ばして落とす”戦術は本作でもかなり有効である。
セービングアタックはどちらかと言えば付加的な要素なので、最初は無理に使おうとしなくとも、基本をしっかり抑えておく方が重要だと感じた。
ここまでゲーム内容についてのみ解説を行なってきたが、ここでシングルプレイでのゲームモードについても少し触れておきたい。
店舗の設定にもよるが、本作でゲーム開始時に選択できるゲームモードは通常以下の3種。
対人戦を行ないたいプレーヤーは、通常アーケードモードを選択することになると思うが、まだキャラクタの操作に慣れていない場合などにはビギナーモードを選択すると、3ステージ目まではシングルモードで練習できる。特に初めてプレイする場合などは、右も左もわからない状態であるはずなので、非常にありがたいモードだ。トライアルモードも対人戦にはならないが、1本先取なので練習にはやや不向きだと感じた。やはり練習したい場合はビギナーモードを選択するのがいいだろう。
本作は基板同士がLANでネットワーク接続されており、同一店舗内であれば対面の筐体でなくともマッチングされ、対人戦が行なわれる。従って誰かがシングルモードをプレイしているからと言って、対人戦の邪魔になると言うこともない。遠慮しないで好きなモードを選択しよう。
ここまで本作の特徴について、一通り紹介を行なってきたが、いかがだっただろうか。
本文中では軽くしか触れていないが、本作の大きな特徴として、LANを使ったネットワークでのマッチングシステムがある。これは、各基板が独立して動作しており、同一店舗内に乱入可能な相手がいた場合は、筐体の位置に関係なくそのプレーヤーとマッチングされ、対戦ができるというもの。
マッチングされるのが同一店舗内のみであることは少々残念だが、それだけでも実際のプレイ風景は大きく変わるのではないだろうか。特定の相手とのみ対戦したい場合などには困るのかも知れないが、筆者は後ろで見ているよりはプレイしていたいと思うタイプなので、待ち時間が短くなるこのシステムはありがたい。
実際にこのシステムがプレーヤー達に受け入れられていくのかどうかなども、興味深いところだ。
ゲームシステム面では、前作に比べ、今作は大きく「ストII」シリーズに歩み寄った部分が目立つ。これはやはり、「ストIII」シリーズではシステムの変化が大きすぎ、ついていけなくなったユーザーを再度呼び戻す、と言う意図が強く働いてのことであろう。
筆者も「ストII」から格闘ゲームにのめりこんでいった、いわゆる「ストII」世代であるため、今作のターゲットとなるユーザーの1人であると思う。だからと言って、そんなに簡単には乗せられてたまるか!と言う反発心のようなものも持っており、いざプレイするまでは疑心暗鬼であった。
しかし、そんな小さな反発心も、たった1度のプレイで吹き飛んだ。そこには、ガイルがいた。ナッシュではなく、まぎれもないガイルだ。強力なサマーソルトキックを持ち、弱ソニックを撃ちながら、ニーバズーカ(or+弱K)でちょこちょこと接近する。そんなガイルが本当に戻ってきた。もうそれだけで、筆者がこのゲームをやらない理由がどこにもないのである。
ガイルがいて、ザンギエフがいて、ダルシムもいる。しかも彼らの技は、ほとんど衰えていない。そんな新作格闘ゲームがプレイできる日が来るとは、夢にも思っていなかった。
しかし、今それが、目の前にある。これはもう、プレイするしかないだろう。
筆者と同じ気持ちを持っていたひとりでも多くのプレーヤーに、ぜひともこのゲームをプレイし、同じ感動を味わってもらいたい。そしてその際には、本稿が少しでもお役に立てれば、幸いである。
今回はシステム解説編として、新システムの解説を行なってきたが、次回はより実戦向きの内容を取り扱って行きたいと考えている。近日公開予定なので、それまでもう少々お待ちいただきたい。
□カプコンのホームページ http://www.capcom.co.jp/ □「STREET FIGHTER IV (ストリートファイターIV)」のページ http://www.capcom.co.jp/sf4/ □関連情報 【6月3日】カプコン、AC「ストリートファイターIV」 自称全米No.1の格闘家「ルーファス」参戦決定ほか http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080603/sfiv.htm 【4月9日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」 ロケテストを大阪で再び実施。「エル・フォルテ」参戦 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080409/sf4.htm 【3月17日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」 C・ヴァイパーの必殺技を公開。新キャラ「エル・フォルテ」参戦 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080317/sf4.htm 【2月15日】「AOU2008 アミューズメント・エキスポ」カプコンブースレポート 「ストIV」は長蛇の列! 格闘ゲームを中心にビデオゲームが大盛況 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080215/cap.htm 【2月15日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」 新キャラ「アベル」など7人のキャラクタを公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080215/sf4.htm 【2月12日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」 新システム「セービングアタック」などを公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080212/sf4.htm 【1月24日】カプコン、「AOU2008 アミューズメント・エキスポ」 「ストリートファイターIV」など6タイトルを出展 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080124/aouc.htm 【1月15日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」 キャラクタイラストやスクリーンショットなどを公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080115/sfiv.htm 【1月11日】カプコン、AC「STREET FIGHTER IV」正式に開発を表明 新キャラクタのイラストなどを同社サイトで公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080111/sf4.htm 【2007年10月18日】米CAPCOM、「STREET FIGHTER IV」 水彩画のようなド迫力映像が展開するトレーラーを公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071018/sf4.htm
(2008年8月11日)
[Reported by 米澤大祐]