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★モバイルゲームレビュー★

元ホストの熱血男は名探偵になれるか?
チュンソフトが贈る完全新作アドベンチャー

「探偵パンチ!!」

  • ジャンル:探偵ドラマアドベンチャー
  • 開発元:チュンソフト
  • 配信元:ドワンゴ
  • 利用料金:月額315円+各話100ポイント(毎月300ポイント付与)
  • プラットフォーム:iモード
  • 対応機種:FOMA 901i/703iシリーズ以上
  • 配信日:配信中(3月27日)



 ファミコン黎明期から「推理モノ」や「探偵モノ」に目がなく、「ポートピア連続殺人事件」や「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」などの名作から“迷”作まで、数々の謎解き系アドベンチャーにチャレンジし続けること十余年。“名探偵である”と言ってもさしつかえないくらい、数多の難事件を解決してきた。

 そして今回「街~運命の交差点~」や「かまいたちの夜」シリーズをこよなく愛するわたしの心を鷲掴みにしたのが、同じチュンソフトが贈る「探偵パンチ!!」。シナリオ別の配信となっており、現時点では第1話のみ公開中。今後、続編の配信が予定されている。



■ 受けた依頼はハッピーエンド。人を“幸せ”にする熱血探偵

主人公の加茂冬馬と、所長のハルカ。山本ヤマト氏がキャラクタデザインを務めている
 とある街の小さなビル。最上階(ペントハウス)には、看板のない小さな探偵事務所があった。所長は経歴不明の謎の美女「ハルカ」。所属する探偵は、先日までホストとして活躍していた「加茂冬馬(かもとうま)」ただひとり。意気込みとイキオイだけは超一流だが、探偵としては完全に素人の冬馬が、体当たりで事件に挑む。少々どころか、夏に遊ぶのがはばかられるほど暑苦しい、熱血探偵アドベンチャー。

 何事にもポジティブで、人に優しく、悪は許さない正義の男・加茂冬馬。自信家で“ハルカは自分に惚れている”と思い込んでいる困った面もあり、ハルカにはいつもパンチを食らって頬を腫らしてはいるが、悪を憎み依頼者を救おうとする心は人一倍。「悪いヤツは許さない!」とばかりに街中を駆け回り、暴走しつつも困難にも打ち勝って難事件を解決する。「どんな事件もすべてハッピーエンドにする」が、熱血探偵の使命なのだ。

 キャラクタデザインは、ライトノベルの挿絵やイラストで人気を博す山本ヤマト氏が手がける。ファンタジー系イラストが得意な山本氏だけに、現代日本を舞台にしながらも、どこか非現実なキャラクタが完成。心が折れるとしおれる“アホ毛”や、カッコイイのかどうか判断に苦しむ真っ赤なシャツなど、二枚目と三枚目がほどよくミックスされた「正義の味方」な探偵が生まれた。

【スクリーンショット】
雇い主のハルカと素人探偵・冬馬の力関係は歴然。美しくも厳しいハルカに冬馬は惚れているらしい



■ 思い込みの激しい元ホスト探偵が、女性の笑顔を守ってくれる

元ホスト探偵は女性にもやさしい。ホスト時代の客が捜査に協力してくれることも
 ハルカにスカウトされて、ホストから急に探偵へと転身した冬馬。探偵に関してはまったくの素人なのに、なぜか自信満々に「俺に任せろ」、「推理力ですべて解決する」と豪語する。ハルカから「3日以内に事件を解決しないとクビ」と言い渡されても、「1日で十分」と安受けあいしてしまう。捜査するにしても、ノウハウを持たない冬馬は体当たりするしかない。何もわからないだけに、イキオイで突っ走って話を聞き回り、証言や証拠品を手に入れてしまう様には、彼の熱血らしさがよく表われている。

 残念ながら、その自信はなかなか事件解決には結びつかない。事件の裏側をアレコレ考えることもなく「ヤツが犯人だ!」と早合点してしまい、自信たっぷりにハルカに報告。しかし、冷静沈着で頭脳明晰なハルカに「それはちがう」と言い放たれても、すぐにまた街へと飛び出す。決して諦めないところが、冬馬の一番の美点なのかもしれない。

 ハルカとの約束の3日目。真相へたどり着き、ハルカの愛を手に入れることができるのだろうか。「女の子を泣かすヤツは許さない」とばかりに事件に立ち向かう姿に、思わず肩入れし、応援してしまう。締めるシーンではキザなセリフを恥ずかしげもなく口にする冬馬、さすがは元ホスト探偵。女性や弱いものを守り、悪を打ち砕く探偵の優しさが炸裂する。

【スクリーンショット】
根拠のない自信であふれている冬馬。事件解決の報酬が2,000円と驚くほどの薄給にもめげたりはしない



■ ヒトクセもフタクセもあるキャラが、ストーリーに彩りと新たな謎を加える

 主人公以外の登場キャラクタもクセモノが揃う。

 ギター片手に何でも歌で表現するミュージシャン「フォーク」。大抵は意味のない言葉を発しているが、ごくまれに意味のある一言もあるので軽視できない。フリージャーナリスト「速見真琴」はさすがの情報通。情報の交換条件次第では、事件解決に役立つ重要な情報をもたらしてくれる。近くの喫茶店の「ママ」は、多種多様な職業経験があるとのウワサを持つ不思議な女性。情報料は高いが、街の隅々にまで通じている力強い協力者だ。

 その他にも「チンピラ」、「バブル」など、ウラもオモテもややこしそうなキャラクタが続々登場。誰をとっても一筋縄でいかない彼らには、重要な過去や秘密のニオイがする。今後、キャラクタの謎の解明へ期待が高まる。第1話をクリアした段階では、各人が思わせぶりに振る舞うに留まる。公式サイトには存在するものの、登場していないキャラクタもおり、第2話の配信が待たれる。

【スクリーンショット】
移動画面で人を確認して会いに行く。喫茶店を選べば情報通の「ママ」に出会える
「速見真琴」や「ハルカ」には人物紹介シーンがある。きちんとキャラクタを把握しておきたい
「チンピラ」、「バブル」、「フォーク」の3人は、今後活躍の機会がありそう



■ キーワードシステムをぶつけ、推理を確信へと変えていく

 ゲームシステムには「キーワードシステム」が採用されている。街で人に話を聞く中で、事件解決に役立ちそうな言葉をキーワードとして取得、そのキーワードを街の人々にぶつけることで話を引き出し、新しいキーワードを獲得する。このキーワードの連鎖を使用することで捜査は進展し、事件の核心へと迫っていく。

 キーワードシステムは、一見「コマンド総当り」に思える。確かに、すべての登場人物にキーワードを使用すれば事件は解決するだろう。しかし、キーワードとキャラクタが多くなると、総当たりでは効率が悪すぎる。そこで、自分なりに推理を組み立て、犯人像や動機を考える必要が生まれる。街の人々との話やキーワードから導き出した、答えに従ってキーワードを使うのが事件解決への早道。推理力を試される瞬間だ。

 キーワードの中には、使いどころが明確な事件に直結したものもあれば、何に使えばいいのかさっぱりわからない言葉もある。「事件に関係あるのだろうか」と思いつつも保留し、シナリオを進めていくのだが、事件が解決へと近づいたとき、その用途不明のキーワードがピタリとハマることもある。「あのキーワードはココで使うのか」と気付いた時には、不思議な達成感を味わえる。

【スクリーンショット】
キーワードは人との会話の中で取得する。言葉だけでなく証拠品もキーワードになる
キーワードを選んで使用することで話が進む。犯人の告発もキーワードを選択して行なう



■ 携帯ゲームに不慣れな人も安心、親指一本で事件を解決

 ゲーム中に使う機能は「上下のカーソル移動」と「決定」の2種類だけ。携帯電話の種類にもよるが、親指1本動かすだけで、どんどん事件が解決へと近づく。直感的に操作がわかるインターフェイスは、はじめてモバイルゲームを遊ぶ人にも嬉しい。かく言うわたしも、今回がモバイルゲームデビューだったのだが、戸惑うことなく第1話終了まで遊べた。普段、あまり携帯電話の機能を使いこなしていない人にも安心してオススメできる。

 ドラマか映画を見ているような感覚で楽しめるのも魅力のひとつ。事件の導入、オープニング、そして次回予告にはムービーが採用されている。スタイリッシュな動画を見ているうちに、「事件を解決するぞ!」という気持ちが高まってくる。事件の見せ場にはイラストが多用されるなど、臨場感が高まる工夫もされている。ムービーやイラストがゲーム全体に軽快なテンポを生み、いつの間にかゲームに没頭してしまう。また、章ごとにあらすじの説明があるので、移動時間などに小刻みにプレイする人も安心してプレイできる。

【スクリーンショット】
第1話導入のムービー。自殺したらしき女性の心の叫びが胸に刺さる
オープニングムービーではキャラクタの紹介も。スキップもできるが、見ておくと捜査に役立つかも
ここ一番の見せ場は、一枚絵の特殊カットや小物アップ図で見せてくれる。どんなシーンで登場するかは自らの目で確かめて欲しい



■ 魅力的なキャラクタの活躍は? 遅れている第2話の配信に期待

加茂冬馬のステキきわまりない表情。こんなホストもありかも
 少年マンガの主人公のような、もしくは戦隊ヒーローのレッドのような主人公・加茂冬馬。最初は「面倒くさいヤツだ」と思い、「ホストとしても売れてないに違いない」などと、失礼な感想を抱いていた。

 が、シナリオの進展と共に思い入れが増し、ここ一番の表情には素直に「カッコイイ!」との感情が。今ならホスト冬馬を指名して、シャンパンタワーをお願いしてもいいかもしれないとさえ思ってしまう。そんな冬馬に想われるハルカを、割と本気で羨ましい自分がいることも認めてしまおう。ほかの(主に男性)キャラクタにも、気になる人が多く、彼らの過去やヒミツに迫るシナリオなら、ぜひ遊んでみたい。

 現在のところ配信されているのは第1話のみ。今のところ、せっかくのキャラクタやシステムの魅力は十分に発揮されず、事件解決も難しくはない。あちこちに散りばめられた意味ありげなネタ振りも解決してはいない。第1話を遊ぶ限りにおいては「よくある謎解きゲーム」だと思う人も多いかもしれない。

 しかし、ミステリー系アドベンチャーゲームの第1話は「顔見世興行」の色合いが強いもの。キャラクタを説明し、システムにも慣れるためのチュートリアルに過ぎないこともある。序盤だけで全体を判断するのは難しいのが現状。第2話、第3話と遊び進めるうちに、伏線が生かされた骨太のミステリーに出会えるような気がする。

 キーワードシステムの本領発揮も今後の課題。よくある「話す」、「調べる」、「見せる」のようなコマンドシステムとはひと味ちがう新システムを使えば、今までにない本格的な推理も可能。大胆で難しい謎への挑戦も準備されていると考えるのは、期待過多だろうか。ともかく、続話の登場を期待したい。

【スクリーンショット】
期待を盛り上げてくれる次回予告。早く第2話を遊びたいものだ



【アクセス方法】
メニュー/検索 → ゲーム → アドベンチャー/ノベル → チュン@かまいたちの夜

(C)2008 Chunsoft

□ドワンゴのホームページ
http://info.dwango.co.jp/
□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.co.jp/
□「探偵パンチ!!」のページ
http://contents.dwango.jp/chunsoft/detail/punch/index.html
□関連情報
【2007年10月19日】チュンソフト、iモード用新作アドベンチャー「探偵★パンチ!!」
イベントシーンや新キャラクタを紹介。無料体験版も配信中
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071019/tantei.htm
【2007年9月23日】「TGS2007」携帯アプリレポート その1
恋愛あり、謎解きありのアドベンチャーゲーム
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070923/mob1.htm
【2007年8月31日】チュンソフト、完全新作の探偵アドベンチャーが携帯に登場
iモード「探偵★パンチ!!」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070831/tantei.htm

(2008年8月4日)

[Reported by 南奈実]



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