★PS3ゲームレビュー★
スネークは本当に散るのか?
シリーズ堂々の完結編
「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」 |
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- ジャンル:タクティカル・エスピオナージ・アクション
- 開発元:コナミデジタルエンタテインメント
- 発売元:コナミデジタルエンタテインメント
- 価格:8,800円(通常版)、9,800円(スペシャルエディション)
- プラットフォーム:プレイステーション 3
- 発売日:発売中(6月12日)
- CEROレーティング:D (17歳以上対象)
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突如老化した本編の主人公スネークの謎も早い段階で明らかになる |
“スネーク、散る”という主人公の行く末を暗示するキャッチコピーで展開され、シリーズファンと世界中のアクションゲームファンの注目の中で発売されたのが「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS (MGS4)」だ。本作を18時間ほどでクリアしてみたが、「MGS4」では、「本編の謎、主人公がどうなったかは観客の皆さまのご想像にお任せします」的なモヤモヤした幕引きはしていない。スネークが散る、散らないを含め、実に堂々としたアンサーがゲームプレイと膨大な量のリアルタイムデモで明らかにされる。“続きが見たい!”と夢中になっているうちに、筆者も何度か「メシか? メタルか?」というCMのような状態になってしまった (まあ、デモはスタートボタンで一時停止できるが)。「MGS4」を遊ぶ時は、腰を据えてプレイとデモを鑑賞する時間をきっちり整えてから遊ぶことをお勧めする。
「MGS」シリーズは、伝説の傭兵「ソリッド・スネーク」を主人公にしたタクティカル・エスピオナージ・アクション。反戦・反核をテーマにしたメッセージ性の強いシナリオ、「隠れて進む」ことを追及した戦略性の高さ、ハイクオリティなデモの演出力を武器にゲームファンの支持を獲得している。日本の発表会では会場はおとなしいのだが、海外での発表会たるや嬌声とスタンディングオベーションが起こるほどのフィーバーに包まれている。誇張ではなく、世界が注目し、また世界中で売れているタイトルといえる。
シリーズ最終章とうたわれている「MGS4」だが、戦争ビジネスが日常化した近未来を舞台にしている。大手PMC (民間軍事請負企業) を裏で束ねる「リキッド・オセロット」は、かつて「ビッグボス」が唱えていた「理想郷 (アウターヘブン)」を実現させるために蜂起の計画を進める。スネークは国連から派遣された暗殺者として、リキッドを追う、というのが今回のストーリー。「MGS4」はシリーズ初のチャプター仕立てで、全5章+α。ゲームスタート時と各章の冒頭にはHDDへのデータインストール(数分かかる)が実行される。各章はタイトルコールと潜入作戦のブリーフィングデモを経てミッションが始まるという構成。ミッション中はどこでもセーブができるが、再開時はチェックポイントからとなる。
ゲームスタート時の難易度は「LIQUID EASY (極限の低難易度)」、「NAKED NORMAL」、「SOLID NORMAL (欧米版NORMAL設定)」、「BIG BOSS HARD」の4種類が選択可能で、本編を一度クリアすると最高難度「THE BOSSEXTREME」が出現する。難易度は体力・気力ゲージの回復力、配敵数の変化、敵の攻撃力、回復アイテムの数などが変化する。「NAKED NORMAL」では巡回兵が1人で強引に近寄ることもできたが、「SOLID NORMAL」では巡回兵が2マンセル体制に増えているため迅速な行動が必要になるといった場面もあった。敵の数の変動が難易度に及ぼす影響は大きいので、初心者は「LIQUID EASY」か「NAKED NORMAL」を選択したほうが無難だろう。
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スネークの相棒であるオタコンなどシリーズ作品に登場したキャラクタが登場 |
「MGS4」のプレーヤー人数は1人(同梱の『METAL GEAR ONLINE』は16人)。必要HDD容量は4,600MB以上で、セーブデータは100カ所作成することができる。ビジュアルの映像出力は1080pまで対応しているので、フルHD表示に対応したHDTV環境ならスネークの一世一代の活躍を高解像度で楽しむことができる。CEROレーティングはD(17歳以上対象)で、対象年齢を決定した根拠となる表現のコンテンツディスクリプターアイコンは「暴力」、「犯罪」がパッケージに表示されている。
「MGS4」は振動機能対応で、振動機能搭載のDUALSHOCK 3なら、銃を発射したときやダメージを受けたときにタイミング良く振動が入り臨場感が高まる。振動機能は一部のデモシーンでも効果的に使われているため、DUALSHOCK 3でゲームに臨むのがベストといえる。
■ ゲームの小目的は「隠れながら目的地へ到達すること」
今作はMAPに◎で示された目標地点へ到達することを繰り返してゲームを進めていく。目標地点へ行くことが目的であり、その間の遊び方は自由。物陰に身を隠しながら敵に発見されないように進むこともできるし、難易度は上昇するが銃で敵を排除して全滅させていってもよい。プレーヤーが自由に作戦を練って決行できる楽しさが「MGS4」の魅力といえるだろう。
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画面情報はスッキリしている。アイテム入手時の文字の小ささが気になった |
画面情報は、プレイ画面の四隅に体力ゲージや装備アイコンが配置されている。右上の大きな矢印が「風向き」を示していることが最初わからず、「矢印の方向へ行けばいいのか?」と混乱することはあったが、総じてすっきりとしていて遊びやすいと思う。プレイ画面の文字表示に関しては、設定で大きさを変更できる。字幕や通信時の文字は読みやすいが、プレイ画面中のストレス値や拾ったアイテムの情報などはコンパクトになっているため、少々読みづらい。文字情報を読まなくても何とかなるのだが、できるだけ大きい画面で遊ぶことをお勧めしたい。
スネークのコンディションはLIFEゲージと気力ゲージ、ストレス値で表示される。LIFEゲージは、攻撃などでダメージを受けると減少。回復アイテムを使うほか、ホフク状態やしゃがみ状態でじっとしていると時間で自動回復する。LIFEゲージがゼロになると、オタコンがスネークの名前を叫びまくるゲームオーバー画面となる。
今作では、スネークが急速に老化した肉体を気力でカバーしている節がある。「気力ゲージ」と「ストレス値」は、“気”の概念をゲームに落とし込んだシステム。体力ゲージの下の「気力ゲージ」が満タンに近いほどLIFEゲージの回復速度が早くなり、気力が無い状態だとLIFEゲージはほとんど回復しなくなる。また、銃の命中率や身体能力にも影響を及ぼし、気力ゲージが低い状態で高所から飛び降りるとギックリ腰のようなモーションをスネークが取ってしまうこともある(ほかにも、しゃがみ状態を続けていると腰を叩くことも)。気力ゲージはデモにも事あるごとに登場。この演出が実に面白い。例えば、とある登場人物がスネークに「ここは禁煙」と言ったときに、スネークの気力ゲージがシュンと1ブロック減ったりする。たったそれだけの事なのに、「え、スネークさん今ヘコんでたんスか?」と、既存のシリーズ以上にスネークが人間くさく見えてくるのが不思議だ。
ストレス値は、気力の減少に影響。暑い場所、寒い場所、敵に見つかっている状況で上昇する。ストレスが上昇したときは、物陰に隠れていれば急減少する。気力ゲージ、ストレス値に注視し、原因となる要素を取り除いていくことが重要な攻略方法となる。
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オクトカムを使用し、戦場の死体にまぎれるスネークの図。意外にバレない |
今回も大事なのは潜入任務。スネークが敵に発見されると敵の頭上に「!」マークがついて敵の警戒状態が「危険フェイズ」に移行し、増援兵士を呼ばれて難易度が急上昇してしまう。シリーズおなじみの“物陰に隠れ、敵に見つからずに進む”という基本要素は「MGS4」でも変更は無い。×ボタンの長押しで「ホフク」移動し、音を立てずに進んでいくのが基本中の基本。「MGS4」では、このホフク移動に「オクトカム」という新兵器が加わった。△ボタンや×ボタンで壁や地面に張り付いた状態でじっとしていると自動的に周辺の環境に擬態して、カムフラージュ率を高めることで敵に発見されにくくなる。前作「MGS3」でもカムフラージュ率は採用されていたが、いちいちメニューを開いて服を変えるのが少々面倒ではあった。だが、今回ではボタンを押してから1秒程でオクトカムを発動できるので、カムフラージュの利便性が高くなったといえるだろう。
今作での新要素を続いて紹介するが、スネークがしゃがんだ時やホフクをした時、スネークの周囲に浮かび上がる「スレットリング」も重要な要素。この波を打つリングは、スネークの周辺の気配を視覚化したもの。敵兵が近いなどの大きな脅威ではリングの波が高くなり大きく揺らぐ。壁の向こうにいる敵の気配なども表現されるので、レーダーが表示されない今作では有効な機能……だが、次に解説する「ソリッド・アイ」の便利さに慣れると、ちょっとわかりにくいかもしれない。
本作の遊びやすさにつながっている最重要アイテムが、1章で入手できる「ソリッド・アイ」。ソリッド・アイ装着中は、スネークの位置を中心にしたレーダーの「ベースラインマップ」が画面右上に表示される。敵との位置関係、目的地が一目で判別できる優れものだ。また、望遠 (主観視点) モードや赤外線暗視モードも搭載。特に赤外線暗視モードは、通路の向こうの敵も感知する。バッテリー残量も長く、使用しないときは自動的にバッテリーも充電されるので、危険を感じたらすぐに「ソリッド・アイ」を装着したい。「ソリッド・アイ」は敵兵の体内のナノマシン情報を読み取り、民兵は「Militia」のように所属組織が表示されるのだが、その文字情報はサイズが小さくて読みにくかったというのが正直なところ。
また、ソリッド・アイ装着時は兵士の感情を喜(黄)、怒(赤)、哀(青)、怖(緑) のアイコンで確認することができる。この感情度を利用して、戦場でPMC兵と戦う民兵やゲリラ兵を味方につける状況を作り出すことが可能。PMC兵を倒す、民兵に回復アイテムを渡すなどの行為でスネークの英雄度がアップ。民兵から攻撃されず、「なんだアンタか」とフレンドリーな空気の中を堂々と進んでいけるのはちょっと微笑ましい。
正直な話、Act.1の早い段階で敵の位置がとてもよくわかるレーダー表示や赤外線暗視などの便利機能を備えた「ソリッド・アイ」が入手できてしまうので、新要素としての「スレットリンク」は、「ソリッド・アイ」の陰に隠れがちなのがもったいないと感じた。敵に「ソリッド・アイ」の駆動音を察知される場合もあるのだが、視覚的なわかりやすさは「スレットリング」より「ソリッド・アイ」が数段上。バッテリー切れ以外で「ソリッド・アイ」使用不可ゾーンを作るなど、もうすこし「スレットリング」をフィーチャーするイベントがあってもよかったと思う。
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負傷した民兵にレーションを渡すことで、スネークの英雄度がアップする。民兵のアジトも戦うことなく抜けることができた |
■ 近代兵器からグラビア本まで武器は原則現地調達、撃ちまくりプレイにも対応
スニーキングが基本とはいえ、ボス戦闘シーンなどはさすがに攻撃しなければいけない。銃器による攻撃はポーズメニューの「Weapons」で武器を装備する。このとき、グラフィックスが赤く表示されている武器は「殺傷用」、青く表示されている武器は「非殺傷用」を意味している。武器は原則として敵が装備しているのを奪う、もしくはMAPに落ちているものを拾って使うという現地調達。だが、今作では武器にIDロックが掛けられて使用不可能な物も多い。そんな時は武器洗浄屋のドレビンに武器のIDロックを解除してもらう。武器の洗浄、弾薬補給、武器の購入はポーズメニューのドレビンショップで可能。ドレビンショップでの使用通貨ドレビンポイントは、同じ武器を2挺以上手に入れたときに自動的に加算される。
射撃のデフォルトの操作系統はL1ボタンで「武器構え」、R1ボタンで「攻撃」を行なう。既存シリーズの「Lで構えて○で射撃」とは異なる射撃方法なので最初は戸惑ったが、戦闘関連のボタンがRおよびLボタンの位置的に近い4ボタンにまとまったので、とても遊びやすくなったと思う。「AUTO AIM」機能は近くの敵を自動的にロックオンしてくれるので、射撃への慣れの一助となる。もちろん、ヘッドショットを狙いたい人は、AUTO AIMをオフにしてしまえばよい。模擬戦闘の「VIRTUAL RANGE」で武器の取り回しは訓練できるし、コントローラのボタンコンフィグも可能なので前作に近いボタン配置に戻すことも可能なので、どうしても前作の動作と同じでないと嫌だという人も安心だろう。
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射撃時の視点は、スネークを後方にカメラを据えた3人称視点の「通常」、スネークの上半身が入り込む「肩越し」、FPSでおなじみの1人称視点「主観」の3種類 |
銃器はポーズメニューからあらかじめ装備しておく必要があり、武器ウィンドウには5種類の武器を登録しておくことができる。TPOに合わせてR2を押しながら武器ウィンドウを切り替えて装備を変更する。ちなみにR2ボタンを押している間はゲームが停止しているので、初心者でも冷静に武器を切り替えられるはずだ。銃撃時のアクションも多彩で、ホフク状態から天を仰いだ状態の「仰向け撃ち」や物陰から上半身を乗り出して射撃する「飛び出し撃ち」なども可能。敵に発見されている「危険フェイズ」中に銃弾を撃ち続けると、スネークが咆哮した状態の「コンバットハイ」になる。敵から受けるダメージも減少するので、最前線に飛び込んでも無敵な気になる。弾丸が尽きたとしてもポーズメニューのドレビンショップでいつでも弾丸を補給可能。撃ちまくりのプレースタイルにも対応しているのが今作の特徴だ。
実在する銃器をゲームに落とし込んでいるのが「MGS4」の大きな魅力。ハンドガン、サブマシンガン、ライフル、ショットガンやランチャー等の重火器、グレネード系、そしてスタンナイフやPLAYBOY (通称エロ本) などの近接系など系統が事細かに分けられて再現されている。モデリングや発射音、マズルフラッシュなども武装ごとに異なり、兵器マニアも唸らせるデキといえるだろう。また、近未来らしくSFチックな素敵兵器も用意されているのが「メタルギア」らしい。
武器のカスタムパーツの追加は各武器によって異なり、カスタマイズすることによって射撃が大きく有利になる。例えば、短銃のオペレーターならマズルとボトムマウント。ライフルのMK.17なら、トップ、ボトム、レフト、ライトマウントの4カ所のカスタマイズが可能といった具合だ。またグレネードやスタンナイフなどカスタマイズ不能な武器も存在する。
本作の戦闘は銃がメインではあるが、近接格闘術の「CQC (CLOSE QUARTERS COMBAT)」も非常に重要なテクニックだ。CQCは敵を気絶させることができるので隠密行動が基本の今作と相性が良い。また、敵から数ドット離れていても吸い込めるので、無理やり突っ込む→CQCでブン投げて殺さずに進むという強硬作戦も有効だ。敵の近くでR1ボタンを押すだけで発動する。敵を直投げ (気絶)、または拘束できる。拘束したのちは、首絞め、投げ倒す、ナイフでとどめを刺す、盾にして武器を構える、引きずり、といったさまざまなアクションを展開することができる。ただし、拘束からの多彩な派生は素手状態、スタンナイフ、短銃などの片手用武器の装備中に限定される。狙撃銃などの両手用武器はCQCが発動不能なものがあり (装備による殴りになる)、CQC発動可能な両手用武器も拘束からの派生は「突き飛ばす」に限定される。武器をカスタマイズした際に両手用武器に変化してしまいCQCが発動不能になるものもあるので注意したい。
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殺害以外の攻撃方法「CQC」が選択肢としてあるのは素晴しい。逆にPMC兵にCQCをくらうことも…… |
「メタルギアMk.2」は偵察、アイテム回収、電撃攻撃をこなす小型メカ。一部のデモ画面ではMk.2を操作することも可能 |
■ アドバタイズデモは怒濤のクオリティとボリューム
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「MGS1」と「MGS2」をコミック調に映像化したDVD「メタルギア ソリッド 2 バンドデシネ」を購入するという選択肢もある |
話題作である「MGS4」はシリーズのファン以外のゲームファンも期待を寄せる作品。それだけに、「4」から初めて内容が理解できるのかという不安はあると思う。その点に関しては、「細部まで知るのは無理にしても、本編のメインストーリーは十分楽しめる」と評価できる。つまり、メインストーリーは「世界を破滅から救うためにスネークが活躍する」というスパイアクションの王道なので、登場人物の背景が理解できなくてもスネークの冒険を追っていくだけでワクワクできる。
逆に過去シリーズの情報に関しては、本編中に見られるのはデモ中にシリーズのワンシーンが表示される「フラッシュバック」機能のみで、用語説明的な物は無い。「時代背景や設定、パロディが全部わからないと嫌だ!」という人には辛いかもしれない。最低限、「MGS1」は遊んでいたほうが登場人物の今昔が理解可能で、ニヤリとできるポイントが満載。「MGS1」はPSアーカイブでダウンロードできるので、流れとしては「MGS1」→「MGS4」という方がベターだろう。
この点に関しては、先日からPLAYSTATION Networkで配信を開始した「METAL GEAR SOLID4 DATABASE」も、シリーズ未見のプレーヤーにありがたいデータベースだ。「MG SAGA(メタルギア サーガ)」7作品に登場した人物、収録兵器、設定などが収録されており、検索したりリンクを追うことで、この世界の基礎知識は吸収できるだろう。
「MGS4」を遊んでいて感じることは、数分から数十分の長編アドバタイズデモの多さであろう。眼球の光彩まで作りこまれたハイクオリティなモデリング、そして贅沢にも各キャラクタに用意されたモーションアクターの演技が素晴らしい。人間の動きのクセやキレは個人差があり、その点まで計算したかのような演技は登場人物を美しく生かしているといえる。ゲームの限界を感じさせない「MGS4」のデモシーンは、一度は見ておいてほしいと思う出来栄えだ。
「MGS4」はデモが多く、既存のほとんどのゲームのような「ゲームの合間にデモがある」というより、「デモの合間にゲームがある」というペースに感じられる。既存のゲームプレイ主体ではなく、このリアルタイムデモ映像を主体とした構成は、「MGS4」のテーマ・コンセプトを表現する手法として成立していると思う。そういう意味で「MGS4」は、作り手のメッセージがより多くのユーザーに伝播するゲームであり、小島プロダクションの引き出しの多さを感じることができるタイトルになっているといえる。筆者としてはデモの多くの場合に入るローディング画面がゲームのテンポを乱しているとは感じたが、それがストレスに繋がったわけではなかった。
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トレーラーは公式サイトでも公開されているが、ぜひ高解像度画面で確認していただきたい |
最後に、「MGS4」のテレビCMだけ見て、「シリアスで話が難しそう」と思ってしまう人はいないだろうか? 「MGS4」ははっきりいって良い意味で“バカ”だ。幽霊は出るわ、巨大メカは出るわ、カンフー映画ばりにあり得ない体術を駆使する輩は出るわ、海外のソープオペラっぽい展開はあるわと何でもアリ。セルフパロディ、ハードパロディも満載で、思わず「やり過ぎっすよ小島監督」と画面に何度もツッコんでしまった。世界注目作品や2008年の最高傑作などの文句が氾濫しアーティスティックな文化度の高いゲームと思い込んでしまいがちだが、本質はすごく“バカゲー”で、緊張感とユルさが同居する作品だと個人的に思う。世間の評価が高い作品なことは重々承知しているが、筆者個人は「MGS4」というゲームのスネークたちの活躍に没入しつつも、肩の力を抜きながら楽しめたのが何だか清々しかった。
(C)1987 2008 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.
□コナミデジタルエンタテインメントのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□「小島プロダクション」のページ
http://www.konami.jp/kojima_pro/
□「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」のページ
http://www.konami.jp/mgs4/
□関連情報
【6月10日】KONAMI、都内で開催予定の「MGS4」発売日記念イベントを諸般の事情で中止
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080610/mgs.htm
【6月6日】KONAMI、「MGS4」いよいよ来週発売!
最新トレーラーを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080606/mgs.htm
【5月13日】KONAMI、「メタルギア ソリッド4」完成披露記者発表会を開催 「『MGS4』は21年間の開発人生の集大成」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080513/mgs.htm
【5月2日】SCEJ、PS3用ソフト「MGS4」などを同梱したパッケージ
「PS3 MGS4 WELCOME BOX with DUALSHOCK 3」を発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080502/ps3.htm
【3月21日】KONAMI、PS3「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」
プレミアムパックに「『MGS4』オリジナルカラーモデル【鋼 -HAGANE-】」を同梱
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080321/mgs4.htm
【2月29日】KONAMI、6月12日に全世界同時発売
PS3「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080229/mgs4.htm
【2007年10月31日】KONAMI、「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」の発売日を
2008年度第1四半期へと変更
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071031/mgs4.htm
【2007年9月20日】「東京ゲームショウ2007」KONAMIブースレポート
~「MGS4」プレイアブルバージョンを世界初公開~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070920/kona.htm
【2007年9月19日】KONAMI、「KONAMI MEDIA CONFERENCE 2007」を開催
PS3「MGO」は「MGS4」に同梱
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070919/konac.htm
(2008年6月25日)
[Reported by 福田柵太郎]
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