★PS3 / Xbox 360ゲームレビュー★
新しい主人公によるもうひとつの“ベガス”
特殊部隊シムの最新作が完全ローカライズで登場
「Tom Clancy's Rainbow Six Vegas 2 (レインボーシックス ベガス2)」
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- ジャンル:アクションシューティング
- 開発元:Ubisoft Montreal
- 発売元:ユービーアイソフト
- 対応プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
- 価格:7,329円
- レーティング:CERO:D(17歳以上を推奨)
- 発売日:4月24日(Xbox 360版)、5月29日発売予定 (PS3版)
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「レインボーシックス べガス2」は、2006年末に発売され、世界中で大ヒットを飛ばした「レインボーシックス べガス」の続編にあたる。小説家トム・クランシー氏の名前を冠した本シリーズは、特殊部隊を扱ったゲームの先駆けとして、高い知名度と支持をうけており、本作は前作のシステムを踏襲しつつ演出面などを強化したシリーズ最新作だ。
前作「ベガス」でシリーズとして大きな進化・発展を遂げた「レインボーシックス」だが、今作は前作の直接の続編として、ラスベガスで発生したテロリストによる事件を異なるチームから見た、外伝的なストーリー構成となっている。ミリタリーゲームファンにとどまらず、多くのゲームファンが注目している本作を早速ご紹介していきたい。なお、現時点ではプレイステーション 3版の発売前のため、評価はXbox 360版を使って行なっている。
■ Xbox 360とPS3の立ち上げ期を代表するゲームの続編が登場
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基本的なシステムは前作を踏襲 |
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ドア越しの緊迫感が再び楽しめる! |
「レインボーシックス」はもともと「レッド・オクトーバーを追え」などで著名な小説家、トム・クランシー氏が1996年に執筆した作品が原作で、1998年8月に初代タイトルがWindows用に発売されて以降、特殊部隊物を扱ったシューティングゲームの定番フランチャイズとして、欧米のゲームファンには高い評価を得ており、国内でもコアゲームファンには定番ミリタリーゲームタイトルとして認知されている。
今回ご紹介する「レインボーシックス ベガス2(以下べガス2)」は、前作「レインボーシックス ベガス」で展開された、特殊精鋭部隊レインボーのローガン・ケラー率いるチームが活躍したラスベガスのテロ事件を、別のチーム視点から見たストーリー構成になっており、続編というよりは、前作のストーリーを補完する外伝的なイメージの強い作品だ。
「レインボーシックス ベガス」はシリーズ中でもPS3やXbox 360など、いわゆる次世代機にフォーカスを当て、演出面とゲーム性をカジュアル化を目指し抜本的なシステム見直しが行なわれたタイトルで、この改善が当たって欧米各ゲームメディアから様々なアワードが贈られ、2006年の第4四半期だけで170万本のセールスを叩き出している。当時Xbox 360やPS3が発売されて間もなかったことを考慮に入れると、これは現在よりも価値のある数字と言っても差し支えないだろう。
本作「ベガス2」はもともとXbox Live用のダウンロードコンテンツ用のアドオンタイトルとして名前が挙がったタイトルだが、開発側の意向で色々な機能を加味していくうちにアドオンのレベルを超えてしまい、単体タイトルとして改めて発表になったという経緯がある。そこでユーザー的な視点として気になるのは、このゲームが果たしてアドオンレベルのものなのか、それとも全くの新作として通用するレベルなのかという点だろう。
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今回もカジノでの戦いは用意されている |
いかに敵に気づかれず戦うかが本作の醍醐味 |
■ 協力プレイをはじめ、旬の機能を多数実装
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キャラクタメイキング機能が追加されている |
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協力プレイは世界中のプレーヤーとマッチング可能 |
前作「レインボーシックス べガス」は、「Unreal Engine 3.0」を採用し、大幅な表現力のアップを図ることに成功したが、本作「べガス2」も同じ環境を引き継いでおり、基本的なゲームデザインと操作方法も変わらない。前作の主なゲーム内容については、昨年掲載したレビュー記事を参照していただきたい。
プレーヤーはレインボーの隊員「ビショップ」となり、ラスベガスの事件からさかのぼること5年間前、フランス・ピレネー山中にある観測所で発生した人質救出作戦に参加する所からゲームが始まる。プレーヤーキャラクタとなる「ビショップ」にはこれといった設定が用意されていないため、性別や顔など、いくつか用意されているデータを組み合わせるだけの簡単なものではあるが、ゲーム開始前にキャラクタメイキング機能を新たに盛り込んでいる。別売の「Xbox Live ビジョン」があれば、自分の顔を取り込むことができる点がユニークだ。
前述の通り、ゲームシステムは基本的に前作と変わらない。主人公を入れた3名1チームで作戦に望む。2名はAIで、随時プレーヤーが戦闘規則(積極的に戦うか否か)、移動指示、攻撃対象といった指示を出していくことになる。
自キャラクタの操作と、AIへの指示を同時並行して行なうために、コントローラ全てのボタンを駆使することになるため、初めてプレイする人は若干戸惑うかもしれない。チュートリアルをONにすれば操作に関する説明がゲーム中に表示されるため、これを参考にしながら、最初のステージに挑めば、本編に突入する前には一通りの操作をマスターできるだろう。また今作よりノーマルより難易度が低く抑えられたイージーが追加されている。前作を難しいと感じたプレーヤーには嬉しいポイントだ。
「べガス2」の新しい特徴として、協力プレイがサポートされている。オフラインもしくはXbox Liveを使用すれば他のプレーヤーと一緒にミッションを進めることが可能で、ゲームの形式としてはホスト側がチームを率い、参加側のプレーヤーは単独行動、つまりAIに指示を出す必要はない。
参加しているプレーヤーのどちらかが倒れると10秒後にその場から復活することができるが、運悪く両者が共倒れになるとゲームオーバーとなり、直前のチェックポイントからの再スタートとなる。どちらか片方が倒れた際は、復活するまでの間、自分の生存を第一に考えるように戦う方がスマートだ。
オンラインによる対戦マッチも前作に引き続き実装されており、新たに「チームリーダー」というゲームルールが加わった。ルールは5種類用意され、与えられた目標をクリアする「攻撃&防御」、マップ中にある3つの施設を30秒制圧し続けると勝利になる「完全制圧」、対戦の定番とも言える「デスマッチ」と「チームデスマッチ」の4つは、前作と同じゲームルールだ。
新しく実装された「チームリーダー」は、各チームのプレーヤーが1名づつリーダー役になり、自チームのリーダーを敵対チームに倒されないように守りつつ、撤収ポイントを目指すという内容で、チームリーダーが倒されると、自陣にいる他のプレーヤーが倒されても復活できなくなるため、戦力が一気にガタ落ちになる。緊迫感とチームワークによる共闘感の両方が楽しめる。
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他のプレーヤーを示すアイコンは頭の上に付く |
対戦マッチもユーザー数は多く、相手には困らない |
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装備品のカスタマイズ具合が見比べられるのも対戦の醍醐味 |
チームリーダーはあまり無茶な動きをしないほうが得策 |
■ CQBを追求した独特のゲームデザインが今回も光る!
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ファストロープで目標まで一気に降下! |
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ヘリコプターからの降下も用意されている |
本シリーズは一貫してCQB(Close Quaters Battle = 近接戦闘とよく訳される)を題材にしている。英軍特殊部隊SAS発祥と言われるこの概念は、ゲーム中でも少人数による室内戦闘という形でうまく取り入れられており、数あるFPSゲームの中でも、CQBの導入こそが本シリーズが独特の地位を築いている重要な下地になっている。
登場する銃器はMP5など、世界中の特殊部隊御用達のサブマシンガンを筆頭に、現在イスラエル軍で配備が進められているタボール・アサルトライフルなど、シリーズ恒例となった現在実戦配備中~将来配備予定の兵器をズラリとそろえている。ステージ中弾薬の補充や武器の交換も可能で、敵が落とした武器を拾って使うことも可能だ。
ただ、銃撃戦は弾薬の残りを気にせず、バリバリと射撃を楽しみながらゲームを進めることができる。リアルさよりもカジュアルさを取ることで、ゲーム全体の敷居を下げ、「気軽に楽しめる特殊部隊ゲーム」として、とてもうまく作られている。
「べガス2」では、キャラクタが戦闘行為を通して得られる経験値による階級アップに加えて、新たに「A.C.E.S.(Advanced Combat Enhanced & Specialization)」と呼ばれる成長システムを取り入れている。特定の条件で敵を倒すと「マークスマン」、「CQB」、「アサルト」の計3種類からなるA.C.E.S.ポイントが加算され、一定のポイントに達するとレベルが上がり、装備できる銃やボーナス・特典入手ができる。
ゲーム中、デフォルトでアンロックされている銃器は限られているため、プレーヤーはA.C.E.Sシステムを通じて、強力な銃器をゲットすることは、より容易にミッションを進めていくための重要な要素だ。ただし、ゲーム中において肝心のA.C.E.S.ポイントの存在感がいまひとつ希薄で、ゲームをプレイしているだけでは、気付きにくい。銃器交換の際にロックされている銃を見て初めてこの要素に気付くプレーヤーも多いだろう。
A.C.E.S.の機能は、「Call of Duty 4」のような各種チャレンジを参考にしたのかもしれないが、新システムの存在そのものがいまひとつ不明瞭で、なおかつリワードもハッキリしない。プレーヤー側としては「やる気にさせる」要素に乏しいと感じた。もう少し演出を加えてでも、この新しい要素を前面に押し出した方が、ゲーム性が上がって、より楽しくプレイできたかもしれない。
前作でプレーヤーを盛り上がらせたラペリング(ロープを使った降下&突入)とファストロープ(上から一気にロープで地面まで降りる)は健在で、要所で使用することになる。特にラペリングに関してはゲーム中の大きな見せ場でもあるため、失敗のないようにカッコよく使ってスマートに決めたいところだ。
その他、CQBに使われるスタングレネードやスモークグレネード、近未来の特殊部隊という設定らしい、衛星から周囲の敵を策的するサーマルスキャン、刻一刻と展開が変わっていく緊迫感溢れるストーリーなど、「特殊部隊もの」、「トム・クランシーもの」には欠かせない要素は残らず網羅されており、ファンにとってはまさに鉄板の展開が味わえる。
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本シリーズの醍醐味、ラペリングは健在 |
経験値を積めば新しい装備がアンロックされていく
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銃火器の描写は今回も細部まで丁寧に行われている |
状況に応じて装備品の交換を忘れずに済ませておこう |
■ プレーヤーの戦略がミッション成功の可否を決める
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ドアを開けて突入する際は常に緊張感が走る |
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スネークカムで突入前の作戦立てを忘れずに |
戦闘の展開は、一部屋外の開けた場所での戦いも用意されているが、基本的に建物内の部屋を連続して突破していく室内戦闘がメインになっている。ドアごしに内部の状況を確認し、突入方法を考え、突入、いかに最短の時間でクリアし、最小の被害で最大の効果をあげるかが、プレーヤーに化せられた使命だ。
例えば突入するドアが2つある場合は、一方をAI、一方をプレーヤーが担当して同時に突入すれば、敵が反撃する間もなく掃討できるかもしれないし、部屋の中に人質がいる場合は、中の敵が人質を害する前に掃討するために敵を倒す順番を予めマーキングしておくなど、様々な状況がプレーヤーを待ち受けている。
部屋に突入する際も、単にドアを開けて突入するのか、手榴弾や閃光弾(スタングレネード)などを投げ込んでから突入するなど、いくつかのバリエーションが用意されており、突入前と突入してからの緊迫感は「べガス」シリーズならではの特徴だ。
海外のFPSやアクションゲームは音声ローカライズは雰囲気を壊すから不要、と考える硬派なゲームファンも多いとは思うが、「べガス2」ではストーリーが基本的に各隊員のゴーグルを通して入ってくる視覚・音声情報を通して展開されるため、これが英語のままだったりすると、ストーリー進行をリアルタイムで追うのに苦労し、状況の変化に対応できなかったりするのだが、本作では音声もフルローカライズされており、プレーヤーが得られる情報は基本的に全て日本語化されている。
その他、前作から導入された、建物の壁などに背をつけて身を隠したままで様子を伺ったり、射撃が行なえる「テイクカバー」は「べガス2」でもそのまま受け継がれている。指揮官として敵の対応を探ったり、チームを背後から支援したりする際には欠かせない要素で、チームを遮蔽物に移動させて敵からの攻撃に対応させつつ、プレーヤー自らはテイクカバーで後ろから支えるのが、開かれた空間での基本的な戦闘スタイルになる。
本作よりダッシュも新たに取り入れられている。長い距離を移動する際は、ダッシュをすれば時間の短縮を図ることが可能だ。ただ、自分が身に着けているアーマーなどが重装備タイプのものになると、重量による制限でダッシュ可能時間が変わってくる。武器交換時に身動きの軽い装備を選ぶか、重装備にするかはプレーヤーの好みと状況次第で最適な選択をすると良いだろう。
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遮蔽物に隠れての射撃にもバリエーションが増えた |
状況に応じて最適な作戦を考案したい
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スタングレネードを食らうと一瞬動きを封じられる |
仲間の安全も常に頭に入れておくことが重要だ |
■ 安心できるプレイ感覚だが、ワンポイントリリーフ的な存在か。完全新作の登場に期待
本作「レインボーシックス ベガス2」は、前作のクォリティはそのままに、改良を加えたゲームシステムと新しいストーリーを載せることで、シリーズを毎回プレイしているファンが安心してプレイできるゲームに仕上がっている反面、前作のスケールを超える内容には至っていないと感じた。
ゲームの根っこ部分にあたるデザイン的な思想は変わらないため、「うまくいくまで何度もやりなおす」という本シリーズの特徴とも言えるプレイスタイルは、好き嫌いが分かれるところだろう。特にチェックポイントの間隔が長いステージでの連続的なやりなおしは、プレーヤー側に余計なストレスを与えてしまう。今回はイージーモードが追加され、多少は改善されたが、競合タイトルに比べると依然として難易度の高いゲームなのは変わらない。
前作発売時にプレーヤーの度肝を抜いた、抜群のデザインセンスは2年を経過した今でも健在で全く色あせていない。新規というよりはリファインという言い方が相応しい内容ではあるが、ミリタリーゲーム好きとしては十二分に満足できる内容に仕上がっている。遮蔽物から銃だけ出して撃つ演出や、協力プレイ、キャラクタカスタマイズなど「旬」な機能をきちんとおさえて進化をしている点も好感が持てる。
ゲーム内容は丁寧につくられており、ミリタリーゲームファンのみならず、全てのアクション・シューティングゲームファンにおすすめできるが、2008年度の「レインボーシックス」最新作として見ると、いささか物足りないのも事実。本作も既に欧米では200万本程度の売上を出しているようだが、これはあくまでも前作の威光があればこそ。本作のファンからみれば前作の開発環境を流用してお茶を濁されたという印象も受けるだろう。
次回作の投入時期は未定だが、確実に「べガス」シリーズを超える内容でないと、本作のファンは納得しないだろう。「べガス」で得たユーザーからのフィードバックと、Ubiの開発資金を基に、究極の特殊部隊ものゲームとしての追求をゆるめず、今後も世界中のゲーマーを驚かせるような新作を作り続けて欲しい。
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前作譲りの面白さは健在、ただし、ゲーム全体としてみるとビッグフランチャイズの最新作としてはいささか物足りない感は否めない。よりパワーアップした「レインボーシックス」の登場は、まだ先かもしれないが、特殊部隊ゲームの最高峰として、同作の展開には引き続き注目していきたい |
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□ユービーアイソフトのホームページ
http://www.ubisoft.co.jp/
□「レインボーシックス ベガス2」の製品情報
http://www.ubisoft.co.jp/r6v2/
(2008年5月7日)
[Reported by GameDude]
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