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DeNA、「モバゲータウン」でアイテム課金型モバイルゲームを開始
スクエニ、ハドソンなど6社が参画。コアゲーマーにも訴求

4月16日 開催

 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は4月16日、同社が運営している携帯サイト「モバゲータウン」に関する発表会を開催し、アイテム課金型のモバイルゲームを提供することを発表した。

 モバゲータウンは、キャリアの公式サイトではない、いわゆる「勝手サイト」として運営されている携帯サイト。シンプルなゲームと、アバター要素の強いSNSを核として展開しており、特に10代の若年層で高い人気を集めている。会員数は4月9日時点で1,000万人を突破し、1日のページビューは6億に達しているという。

 同社はこれまで、モバゲータウンにおいてユーザーがアバターを獲得する手段として、仮想通貨「モバゴールド」を提供してきた。モバゴールドは、サイト上の広告のリンクをたどった時の広告報酬や、提携サイトで買い物をした際のショッピングポイント、友達をモバゲータウンに招待した際の報酬といった形で提供されていたが、直接、現金でモバゴールドを購入する手段は用意されていない。

 これに対して今回発表されたのが、現金で直接購入できる「モバコイン」である。DeNAはこれを使って、PC向けオンラインゲームではメジャーなスタイルとなっている、アイテム課金型のサービスを提供する。さらにゲームの提供元として、スクウェア・エニックス、タイトー、ハドソン、ORSO、ワークジャム、ハムスターの6社が参画。コンシューマゲームなどで開発実績のある企業と手を組んで、モバゲータウンのゲームポータル化を進める。



■ モバゲータウンをコアゲーマーにも訴求する

DeNA代表取締役社長の南場智子氏
 発表会では最初に、DeNA代表取締役社長の南場智子氏が壇上にあがり、モバコインとモバゲータウンのゲームポータル化に関する概要を語った。まず狙いとしてあるのは、「もっと本格的なゲームを提供していくことで、コアなゲームユーザーにも『モバゲータウン』を楽しんでいただく」とし、これまでモバイルゲームに物足りなさを感じていたコアゲーマーに対しても訴求していきたいという考えを示した。

 ゲームポータル化については、既にモバゲータウンにゲームカテゴリが存在しているが、これも並存する形で運営される。新たにモバコインによるゲームを追加することで、モバゲータウンを明確にゲームポータルの形にしていく。

 モバコインを利用するゲームについては、アイテム課金型ということで、基本的には無料で提供され、ゲーム内アイテムなどを販売する形をとる。モバコインの販売はモバゲータウン上で行なわれるので、収益はいったんDeNAが全て持ち、ゲームを提供する各社に対して分配する(レベニューシェア)。

 アイテム課金型のビジネスモデルを導入することを決めた理由について南場氏は、「 『マスターオブファンタジア』(配信中のオンラインRPG)で既にモバゴールドによるアイテム課金モデルを作っている。ユーザーの課金割合は十数%と高く、これならば十分受け入れられるモデルになるだろうという感触を得たため、本格的な展開に踏み切った」と説明した。

 モバコインの決済には、各種電子マネーやクレジットカードが利用できる。若年層に対しては、月額5万円までの購入限度額を設ける予定としている。なお、モバゴールドとモバコインを相互に交換するような仕組みは考えておらず、それぞれ独立して提供する形をとるという。

会員数もついに1,000万人を突破。一時ほど騒がれなくなった印象もあるが、勢いはまったく衰えていないようだ モバコインの収益は、参画各社にレベニューシェアされる




■ 参画各社が提供予定タイトルを発表

スクウェア・エニックス/タイトー代表取締役社長の和田洋一氏
 続いては各社の代表者が登壇し、各社の取り組みと配信予定タイトルの紹介を行なった。トップバッターを務めたスクウェア・エニックスならびにタイトーの代表取締役社長を務める和田洋一氏は、「何か思いついた時には、いつも既にDeNAさんがやっている。毎回『ああやられた、持っていかれた』とほぞを噛んでいた。面倒なことを考えずに、勝ち馬に乗ろうというのが今回の判断。ネットという特殊で新しい環境では、いろいろな戦略があると思う。今回の戦略もその1つ」と、参画の狙いを説明した。

タイトー ON! AIR事業本部 ニューポータル部 NP営業課課長の萩原聡氏
 タイトーは新作となるRPG「ロードクエスト」を発表。説明は、ON! AIR事業本部 ニューポータル部 NP営業課課長の萩原聡氏が行なった。「一般的なRPGとはちょっと違う、おバカ系RPGというコンセプト。ゆるいキャラクタと、思わず突っ込みを入れたくなるイベントを展開する。武器や防具も、一見しても強さがわからない脱力系のものを用意する」と説明。比較的カジュアルなユーザーに向けた作品となっている。

 武器や防具はモバコインで販売される。モバゲータウンとの連携も考えられており、入手したアイテムや倒したモンスターをアバターアイテムとして使用できるといった機能も用意される。プラットフォームにはFlashを採用しており、3キャリアに対応するコンテンツとなる。サービスは5月中旬から開始される予定で、モバコインを使う最初のタイトルとなる。



【ロードクエスト】
ゆるい脱力系RPGという、モバイルゲームならではの軽いノリのRPG。Flashを使うことで、プラットフォームに依存せず遊べるのも魅力
(C)TAITO CORP. 2008




スクウェア・エニックス モバイル事業部プロデューサーの加藤拓氏
 スクウェア・エニックスからは、モバイル事業部プロデューサーの加藤拓氏が登壇し、オリジナルのオンラインRPG「ELLARK(エルアーク)」を発表した。ジャンルを「メールプレイング」と呼んでおり、物語における行動を選択すると、その結果がメールで戻ってくるという形のゲームになる。加藤氏は、「ちょっとした空き時間に、本格的なRPGを遊んでいただきたい」とコンセプトを説明した。

 モバゲータウンとは、ミニメールやサークル機能で連携。アイテムのやり取りやパーティ編成などで、モバゲータウンのコミュニティを活用するという。サービスは6月中旬より開始される予定で、iモード、EZweb、Yahoo! ケータイに対応する。

【ELLARK】
行動を指示すると結果が返ってくるタイプのゲームシステムを採用。モバゲータウンのコミュニティ資源を有効に活用する方向で考えられているようだ
(C)2008 SQUARE ENIX CO.,LTD.All Rights Reserved.




ハドソン GE事業部事業推進グループマネージャーの杉山楠知氏
 次はハドソンから、GE事業部事業推進グループマネージャーの杉山楠知氏が登壇。「ユーザーのニーズがあるところに、必ず提供していくのがポイントだと考えている」と参画の理由を説明した。

 配信タイトルは、カードゲーム「エレメンタルモンスター モバゲーエディション」。「エレメンタルモンスター」は既にハドソンのサイトで配信中だが、オリジナルのストーリーを収録した別バージョンをモバゲータウンで配信する。シングルプレイのストーリーモードは無料で、オンライン対戦は1回10エレコインを消費する。

 エレコインは本作専用のゲーム内通貨で、ストーリーモードで入手した不要なカードを売却することで獲得できるほか、1円=1エレコインのレートで購入もできる。この決済の間にモバコインが入って仲介するような形になる。カードは当初は75種類収録し、その後毎月5種類のペースで追加配信、最終的に105種類になるという。配信は5月下旬の予定。

【エレメンタルモンスター モバゲーエディション】
自社で配信しているアプリをアレンジ。オリジナルストーリーを基本無料でプレイできるので、既存のユーザーも注目してほしい
(C)HUDSON SOFT




ORSO代表取締役社長の坂本義親氏
 ORSOからは、代表取締役社長の坂本義親氏が来場。ORSOは2005年に設立された若い会社で、ゲームに限らず、さまざまな携帯コンテンツやシステムを制作している。特に携帯電話向けFlashコンテンツについては、坂本氏は「Flash 20Kのころからやっていて、500本は提供した」という、その道のベテランである。

 提供するゲームは、釣りゲーム「釣りゲータウン」。「ライフスタイルに溶け込むことを狙うのがコンセプト」としており、場所やプレイ時間を問わず、生活の中に入る込むようなゲームを目指して制作されている。また「Flashの『キレイ・カンタン・スグデキル』の特徴のうち、『キレイ』に力を入れている」、「一瞬にして人に教えたくなる演出を入れる」とも語った。ゲームは基本無料で、強力な釣具などをモバコインで販売する。配信時期は6月上旬の予定。

【釣りゲータウン】
生活に溶け込むゲームを目指した釣りゲーム。特にビジュアル面で面白い仕掛けを用意しているようだ
(C)DeNA (C)ORSO




ワークジャム代表取締役社長の山口孝氏
 ワークジャムは、代表取締役社長の山口孝氏が登壇。同社は「探偵 神宮寺三郎」シリーズなどを、KONAMIが運営する「コナミネットDX」に間借りする形で配信を開始し、その後自社でドコモの公式サイト「遊び放題! アドベンチャー」を開設。しかし「コナミネットDX」ほどの集客ができず苦労していたという。

 配信タイトルは、アドベンチャーゲーム「theresia -テレジア-」。既に配信中のタイトルだが、この1話をモバゲータウンで無料配信する。山口氏は「無料といっても体験版ではなく完成版で、プレイには2~3時間かかる」と強調。実際に同社サイトでは315円で配信されている。対応機種は、iモード FOMA 900iシリーズ以降と、Yahoo! ケータイ 3G。

 2話以降については、同社のサイトで現状のまま配信し、モバゲータウンではサイトへの誘導のみ行なわれる。今回はモバコインを利用するサービスは発表されていないが、「今後はアドベンチャーゲームでアイテム課金を採用する方法を考え、新しい遊び方を提案し実現していきたい」と語った。

【スクリーンショット】
アプリ自体は既に配信中のものだが、通常315円のものがモバゲータウンでは1話が無料でプレイできる
(C)WorkJam




ハムスター代表取締役の濱田倫氏
 ハムスターからは、代表取締役の濱田倫氏が来場。今回の参画の意図として、「有料でモバイルゲームを提供するというのは市場的に厳しく、新しいビジネスモデルが必要だと思っていた」と説明した。

 同社の提供タイトルは、「ザ・コンビニ ネットバトル(仮)」。同社の看板タイトルである、コンビニ経営シミュレーション「ザ・コンビニ」をオンライン化したもので、16人のユーザーに1つの街の中にコンビニを出店し、その経営手腕を競う。人の多い街中であれば集客しやすいが、ライバルと隣同士になったりと競争も激しくなる。また隣が値下げしたときにどうするか、といった戦略が重要になるという。

 プレイ時間は1プレイ2週間で、実際にプレイしていないときでもサーバー側でゲームが進行する。ユーザーはその間に、リアルタイムに進んでいく経営の様子を時折覗いて、そのつど適切な対応をしていくことになる。プレイ内容から経営能力を算出し、全国ランキングも行ないたいとしている。

 またゲームのポイントとして、BtoBtoCのビジネスモデルを導入する。BtoBでは、ゲーム内の商品を広告として展開する。「例えばカルビーに広告を出してもらえれば、単なるポテトチップよりも人気があるカルビーのポテトチップスがゲームに登場し、これを売れば人気が出て売り上げも上がる。ユーザーにも喜ばれる広告になる」という。BtoCについては、店内の内装などをスキンとして、モバコインで販売する。サービスは2008年冬に開始予定。

【ザ・コンビニ ネットバトル(仮)】
16人対戦というオンラインならではの遊び方を提供する、新生「ザ・コンビニ」。サービスが2008年冬ともっとも先になっているためか、ゲーム画面が用意されていなかったのでスライドで紹介しておく
(C)2008 DeNA CO.,Ltd. (C)2008 HAMSTER Co. (C)2008 Masterpiece Co.,Ltd.


□ディー・エヌ・エーのホームページ
http://www.dena.jp/
□「モバゲータウン」のページ
http://www.mbga.jp/
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□タイトーのホームページ
http://www.taito.co.jp/
□ハドソンのホームページ
http://www.hudson.co.jp/
□ワークジャムのホームページ
http://www.workjam.co.jp/
□ハムスターのホームページ
http://www.hamster.co.jp/
□関連情報
【2007年9月29日】DeNA畑村氏、「モバゲータウン」のビジネスモデルを説明
ゲームは入り口と話題作り、根幹は新世代広告メディアにあり
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070929/mbga.htm

(2008年4月16日)

[Reported by 石田賀津男]



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