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CESA、修学旅行生を対象にしたゲーム業界講座を実施
カプコンとCESA事務局の二部構成という新たな試みも

4月16日 開催

会場:カプコン東京支店、CESA事務局

広報・IR室の池田祥子さん
 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、小学生から高校生までの学生・生徒を対象とした、ゲーム業界学習講座を、株式会社カプコン東京支店とCESA事務局にて実施した。

 本講座は、各学校で実施される「社会科見学」、「修学旅行時の自由学習時間」に際して、ゲーム業界について学びたい学生・生徒を対象に自主的な学習機会を設けるというもの。2005年4月の第1回目以来、春~初夏を中心に毎年大勢の学生や生徒が参加。本年は新しい試みとして、CESA事務局と会員企業のカプコンによる午前・午後の二部構成による体験学習が行なわれた。

 午前会場は、カプコン東京支社。参加者は、盛岡市立上田中学校と仙台市立広陵中学校の3年生、計12人。カプコンは従来より学生を対象に職業学習を目的とした会社訪問を受け入れており、広報・IR室の池田祥子さんが柔らかなトーンで生徒たちの緊張をほぐしつつ講座本編へと導いていく……のだが、ここで記者は「企業プロモーション(PR)映像」が使われたことに少々驚いてしまった。本講座は「カプコンという企業を生徒に理解してもらう」を前提としたものだが、通常こうした映像は就職セミナーや正式入社前の事前研修などで使われるもので「中学3年生とはいえ、序盤からコレは厳しいのでは?」と訝ったわけだ。

 だが、そこは平素より会社訪問をこなすカプコンだけに、クリティカルな専門用語には自然に注釈を加えるなど、さほどゲームに興味がない人にも“なんとなく雰囲気は伝わる”よう話を進めていく。自主学習の場とはいえ、グループで訪れる学生や生徒さんは、全員が揃ってゲーム好きというわけではない。特に今回は“コアゲーマー”といった人はそれほど多くないように見受けられたため、企業構成、部署ごとの事業内容、ゲームの制作工程などが、誰でもわかりやすいよう丁寧に解説されていった。

 東京支社に開発室がないため仕方ないのだが「開発機材など“生きた教材”を使ってくれれば……」など惜しまれる部分もあったが、制作サイドから直接話がきける機会など滅多になく、貴重な機会であることにかわりはない。最後に質疑応答が行なわれ、午前中の講座は終了した。

午前と午後の2部構成は新たな試み。今後は未定だが、検討を重ねてより良い方向に発展してくれればと思う
参加者全員に記念品が贈呈された。ちょっと得した気分? 次の講座まで時間に余裕があったため、試遊台でゲームに興じたりグッズを眺める生徒さんたち。いい思い出になりそう


CESA事務局の町谷太郎氏
 午後の会場は、CESA事務局。参加者、前述の2校に本日上京したばかりの喜多方市率会北中学校3年生4人を加えた計18名。講師はCESA事務局の町谷太郎氏が担当した。

 講座は、ゲーム業界に関する小テスト、協会の概要や活動、ゲーム開発や流通についての解説、東京ゲームショウ2007のVTR上映、質疑応答など例年同様のカリキュラムを実施。事前に小テストからスタートしていることもあり、午前のカプコン以上に“THE講座!”といった雰囲気。

 ちなみに小テストの内容は、2006年のハード・ソフト出荷総額と国内外の内訳、2006年末までに世界で一番売れた据え置きおよび携帯ハードと各台数、日本と世界で一番売れた各ソフトと本数、3歳から79歳までに占めるゲームプレイ人口、2006年の国内有料ネットワーク市場規模、コンテンツ産業が業態ごとに設立した自主規制団体の各名称など、かなり難易度が高い。

 プレス席にも小テストは配られており「これは大変だなぁ」などと人事のように眺めていたら、町谷氏に「ではせっかくですから、記者さんにも答えてもらいましょうか」と唐突に指名され、日本で一番売れたソフトを「たぶん……『ドラゴンクエストIII』?」と答えて間違える始末(正解はファミリーコンピュータで発売された『スーパーマリオブラザーズ』)。これで全員が間違えてたなら多少は救いもあるが、'93年生まれの生徒さんに正解者がいたため、'70年生まれの記者は涙目状態。「ゲームジジイとしてコレではイカン」と猛省することしきり。それはともかく、自分が生まれる前に世に出たゲームに造詣を持つ生徒さんがいたことは、業界の隅にヒッソリ身を置く存在として、実は大変心強かったりもする。

 質疑応答では「オンラインゲームが普及して、ゲームの世界で人と関わることが増えている。情報、モラルの問題、RMTのような現実社会との関わり合いについて気をつけることは?」、「PS3にはHDDが内蔵された。今後どう進化していくか」、「今後、注目のゲームは」、「仕事上、楽しかったことは」、「PS3、Xbox 360は今後値下げするか」など、町谷氏が思わずたじろくような質問が続出。

 「(ゲーム業界で働くために)必要な資格などはありますか」という質問に「特にございません。学校云々ではなく“どういうものを身につけてきたか”が重要。必ず問われるのは“コミュニケーション能力”」と答える町谷氏。以前から同様の質問が多数寄せられていたため、作曲家のすぎやまこういち氏に話をうかがったところ「何か一芸に秀でなさい。自分だけにしかできないことを見つけてください。そうすることによって自信がついてくる。自信がつけば、色々なことをやるときにも一生懸命がんばって仕事ができる。どんなことでもいいから、自分だけしかできないことを見つけてください」と回答されたという。

 本講座への参加申し込みは、CESAのホームページにて順次受付が行なわれている。希望する来室日の1カ月以上前、小・中・高等学校などに在学中の学生・生徒(小学生は先生など“引率者”が必要)、学校・担任の「校外学習許可」が必要、3名以上のグループ参加など、いくつかの条件が設定されているが、興味がある人は検討してみてはいかがだろうか。

こうして写真だけ見ると、そこいらにある塾や予備校の教室にしか見えないが、実はなかなか得られない貴重な学習機会なのだ
各校のリーダーには記念品としてCESAゲーム白書が贈呈された。よりゲーム業界のことを深く学んでいただけること必至


□社団法人コンピュータエンターテインメント協会のホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「学生・生徒向け体験学習講座」のページ
http://research.cesa.or.jp/taiken/
□関連情報
【2005年4月14日】CESA、修学旅行生を対象にした
ゲーム業界の体験学習講座を実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050414/cesa.htm

(2008年4月16日)

[Reported by 豊臣和孝]



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