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★PS3ゲームレビュー★

時代劇でも「龍が如く」の世界観は変わらない
「龍が如く 見参!」

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 発売元:株式会社セガ
  • 価格:7,980円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3
  • 発売日:発売中(3月6日)
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)



 ゲームの続編物は本当に難しい作品といえる。シリーズファンの期待に応えながらも、新要素をバランスよく導入して目新しさを出していかなければならないからだ。だが、今回紹介する後方視点の3Dアクションゲーム「龍が如く 見参!」は、シリーズ3作目にして「現代劇を時代劇にスライドする」という強力なダイナマイトを投下し、続編物特有の閉塞感をあっさり打ち破った。

 かといって、シリーズのイメージは少しも崩壊していない。新主人公「桐生一馬之介」は前作までの主人公・桐生一馬と同じ魅力を持ち、ベースとなる町「祇園」の人々の何気ない一言やよろけ具合といった画面の微細なニュアンスまで「ここは龍が如くの世界」であることを主張していて嬉しい。

 筆者が「龍が如く 見参!」に触れたファーストインプレッションを簡潔に列挙すると……

・一歩「祇園」の町に入っただけで「龍が如く」の根っこのテイストが伝わる懐かしさ。
・HDDに対応。町で頻繁に入っていたローディングがなくなった。
・拝金主義の世界に生きる侍たちの悲哀が微細に描かれた魅力的なストーリー。
・攻撃スタイルが剣戟主体となり、更にハイスピードになったバトル。

 ……といったところだろうか。今回の記事では、ゲームを構成するメイン要素の「アドベンチャーパート」、「アクションバトルパート」を中心にファーストインプレッションをお届けしようと思う。

主人公は桐生一馬之介(名前変更不可)で、その正体は剣士宮本武蔵。純粋に剣を極めんとした結果、「祗園」という遊廓の「掛廻(祗園の 何でも屋)に落ち着く。行く手に立ちはだかる敵を倒していくことで、桐生はレベルアップしていく


「最初から始める」前に「インストール」を行なうと、ゲームデータをPS3のHDDにインストールして読み込み時間を短縮することができる。ただし、4,950MBの空き容量が必要
 ゲームはいくつもの章で構成されている。各章は「イベントパート(ムービーによる物語の進行等)」、「アドベンチャーパート(情報収集、お使いなどのミッションをこなす)」、「バトルアクションパート(戦闘)」のパートで成り立ち、各パートを繰り返しながらゲームを進めていく。章にもよって異なるが、各パートの割合はアドベンチャーパートが6割、バトルが2割、イベントが2割という感じ。最もプレーヤーが長く付き合うアドベンチャーパートは、ガイドが詳しくテンポ良くサクサク進むのが良い。

 バトルアクションパートで敵の攻撃により桐生一馬之介の体力がなくなるとゲームオーバー。敗北したバトルから再挑戦することもできるし、前作同様に2回ゲームオーバーになると難易度を下げることもできる。どうしても勝てない戦闘は救済措置を受け入れよう。

オープニングムービーにはZEEBRAの楽曲「Bushido」が採用されている。時代劇調のムービーにHIP・HOPが不思議にマッチしている
スタート直後に挿入される大合戦「関ヶ原の合戦」のイベントムービー。甲冑に身を包んだ何百何千という兵が殺し合う様は仔細に描写されて圧倒され、ゲームに引き込まれる



■ 呑む、打つ、遊ぶと三拍子揃ったアドベンチャーパート

 アドベンチャーパートは物語を進めるためのミッションの他に、「賭場」や「揚場」などミニゲームが用意されている。賭博で延々と金を増やす(or減らす)も、遊女たちと戯れるもプレーヤーの自由で、ミニゲームをクリアしなくてもゲームの進行には関係ない。だが、ミニゲームを遊ぶ余裕が、今作のアドベンチャーパートのクッションとなっている。アドベンチャーパートは「お使いミッション」が多く、地図で指定された方向へ行くことを繰り返すだけの単純作業は息が詰まりやすい。そんな時、「ゲームの中でまで働きたくねー! どれ花札でも……。」と逃げ道に逸れることができる。これがどれだけ癒されることか。ストイックな探索に飽きたプレーヤーは、ぜひ「龍が如く 見参!」のアドベンチャーパートを体験して欲しい。

 アドベンチャーパートでの操作は、左スティックで移動し、○ボタンで人との会話や対象物の調査を行なうオーソドックスなタイプ。ゲームスタート直後の序章では、アドベンチャーパート中に、桐生の本来の仕事である「掛廻(ツケの回収など何でも屋)」を依頼される。今作の探索の難易度は画面左上の「小地図」のおかげで低い部類に入るといえるだろう。小地図で赤く記された部分への行き方は矢印で示されるので、地図さえ読めれば誰でもクリア可能なレベルで敷居は低いといえる。

 アドベンチャーパートの中には、祗園の町の要所スポットをを学べる「地図指南」や「戦闘指南」といったチュートリアルが散りばめられていた。「戦闘指南」だけでも、素手、一刀、二刀、と複数の要素が用意されているが、一章に1指南という感じで、一気に詰め込むことなく、段階的にゲーム内の要素を学習させてくれる。

アドベンチャーパート中の会話には「字引き(用語の説明)」を搭載。△ボタンを押すことで、「揚屋」や「掛廻」などの専門用語の意味を教えてくれるので、時代劇を知らないユーザーも安心だ
【揚屋】【賭場】
遊女との会話を楽しむ施設。新密度が上がるとお座敷遊びができる。前作のキャバクラ経営のように揚屋運営もできるのだろうか? チンチロリンやこいこい、丁半博打を行える施設。各ゲームはCPUの難易度を選ぶことができる



■ 状況によって攻撃形態を使い分けるバトルアクションパート

 前作までは素手攻撃がメインだったバトルアクションパートは、主人公が宮本武蔵(=桐生一馬之介)となり「一刀」、「二刀」という攻撃形態が追加された。刀は前作のように耐久力のあるアイテムではなく、使用制限のない装備アイテム。方向キーの右を押すことで「一刀」、方向キー左で「二刀」、方向キー下で「素手」に切り替わる。この切り替え速度が迅速で、「今ここでこの形態にしたい!」というプレーヤーの欲求にきちんと反応してくれるのがありがたい。素手しかなかった前作とは異なり、今作では敵の数や位置関係、敵の使用武器まで計算に入れて攻撃形態を使い分けるといったテクニックが要求される。戦闘は更に緊張感が増したといえるだろう。

【素手】
前作までの攻撃スタイルに一番近い形態。祗園内での基本戦闘スタイルでパンチから張り手のようなモーションに変更されている。敵を掴む、武器になるアイテムを拾う、などは素手でしかできない。デメリットは刀での攻撃を防御できないこと
【一刀】
威力の高い攻撃で大ダメージを与える「一刀」。攻撃を繰り出すスピードは普通で、敵の攻撃の大半をガードすることができる。デメリットは斬りかかる敵の方向をきちんと向く必要があることと、背後からの攻撃を防御できないこと。ボス戦向き
【二刀】
一刀と脇差の二本の刀を抜き、素早い連続攻撃を行なえる。攻撃範囲は広く、全方向からの防御が可能。「二刀」で○ボタンを振りまわしているだけでも強く、敵に囲まれることの多い雑魚戦向け。デメリットは銃や剣圧の高い攻撃をガードできないこと


 バトルアクションパートの移動はアドベンチャーパートと同じく左スティック。L1ボタンの押しっぱなしで「ガード」。R1ボタン押しっぱなしでキャラクタの向きを固定する「構える」。×ボタンを押すことで回避動作の「避ける」、×ボタンの連続押しで無敵時間のある「回転」が可能。□ボタンで攻撃、△ボタンで威力の高い攻撃を放つことができる。「一刀」と「二刀」限定だが、□□△のように連続入力することで、敵に向かってダッシュして切り抜ける連続攻撃が可能となる。

素手状態で敵に近づき○ボタンを押すことで、敵を掴むことができる。掴み状態から□や△ボタンを押せば掴み攻撃、もう一度○ボタンを押せば投げつけることができる。掴み状態は無敵ではないので、敵が多い場面では巻き込むように投げ捨ててしまいたい


 敵に攻撃を当てる、素手で「挑発」を行なう、刀での連続攻撃の後△ボタンを押し続ける「残心」を行なうなどで体力下の「ヒートゲージ」が上昇していく。一定量までゲージが上昇すると、ゲージに青い炎が灯る「ヒート状態」に変化。この状態で条件を満たすと、画面上に「極」と発動サインが現れるので、△ボタンを押せば大ダメージを与える攻撃「ヒートアクション」を繰り出すことができる。

 抜刀の「ヒートアクション」のカットイン演出はそれこそ時代劇番組の剣豪が繰り出すようなシャープな技。決めの美学が格段にレベルアップした「ヒートアクション」は、ついつい狙いたくなってしまう。また前作の看板や道頓堀ダイブに似た少しおバカなヒートアクションもきちんと残されているのでファンは安心して欲しい。

【ヒートアクション】



 シリーズ3作目ということであらゆるパートがブラッシュアップされた今作。強いて残念な点を挙げるとすれば、ゲームスタート時にオープンになっているゲームモードが本編1本のみということだろう。シリーズの伝統ではあるが、今作も対戦モードや協力モードなどもなく完全な1人用。将棋などは2人で対戦するモードがあってもよかったと思うのだが……隠しモードか次回作に期待したいところだ。

 シリーズ物はよく「前作を遊んでいなくても平気!」と売りにしているが、それでも前作を遊んでいないと厳しい場合が多い。だが、「龍が如く 見参!」はストーリーもバトルも、本当に前作の予備知識がなくても単品として遊べてしまう。これは当たり前のようで、実はすごい事ではないだろうか。もし本作で「龍が如く」ワールドを気に入った、という方は、リパッケージ版のプレイステーション 2用「龍が如く2 PlayStation 2 the Best」、「龍が如く PlayStation 2 the Best」で、この世界を安価で補完できるのでお勧めしておこう。

宮本武蔵のライバル・佐々木小次郎役の松田翔太を始めとした人気俳優陣が声優として演技をするイベントパートも必見。もちろん、最大の見せ場は桐生一馬之介の描写。桐生が苦しみ、嘆き、そして生きるために闘うという心情描写のムービーはシリーズ最大級
2~3章に登場する真嶋五六八も「~チャン」といつもの調子で頑張ってくれている。彼のシーンだけは主人公を喰っていると思うので、これもぜひ見ていただきたい


(C)SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「龍が如く 見参!」のページ
http://ryu-ga-gotoku.com/
□関連情報
【2月28日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」新情報公開
キャラクタを成長させる「修行」の概要ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080228/ryu.htm
【2月25日】東京・六本木「『龍が如く 見参!』茶屋」開店!
~ 名越稔洋氏ミニインタビュー ~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080225/ryu.htm
【2月21日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」のコンセプトバー&カフェを
東京・六本木に期間限定でオープン
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080221/ryu.htm
【2月5日】セガ、「龍が如く 見参!」と新色のPS3本体をセットにした
「PLAYSTATION 3 『龍が如く 見参!』パック」発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080205/ryu.htm
【2月1日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」
第1回店頭体験会を実施。総合監督の名越氏登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080201/ryu.htm
【1月21日】セガ、「見て読んでわかるPS3先取りキット」10万枚無料配布
「龍が如く 見参!」と「戦場のヴァルキュリア」の魅力をDVDなどで紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080121/sega.htm
【1月17日】エースコック、「龍が如く 見参!」のカップ焼うどん
「龍が如く 大盛り 極み焼うどん 見参!」2月11日発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080117/ryu.htm
【1月7日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」
2種の無料体験版を同時配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080107/ryu.htm
【2007年12月27日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」7分にもおよぶ最新トレーラー公開
「クロップドヘッズ」によるオリジナルTシャツを同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071227/gotoku.htm
【2007年12月4日】セガ、PS3「龍が如く 見参!」完成披露会を開催
発売日が2008年3月6日に決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071204/ryu.htm
【2007年9月19日】セガ、PS2「龍が如く2」廉価版発売決定
シリーズ最新作「龍が如く 見参!」の予告編DVDを同梱
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070919/ryu.htm
【2007年9月14日】セガ、「コンシューマ新作発表会 2007 AUTUMN」を開催
PS3「龍が如く 見参!」やWii「風来のシレン3」など新作を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070914/sega.htm

(2008年3月7日)

[Reported by 福田柵太郎]



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