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★オンラインゲームファーストインプレッション★

紙でできたキャラクタで戦う
スポーティなカジュアルFPS

「ペーパーマン」

  • ジャンル:オンラインFPS
  • 開発元:Cykan Games
  • 発売元:サイカンゲームズ
  • 利用料金:無料(アイテム課金制)
  • 対応OS:Windows XP
  • サービス開始日:未定(クローズドβテスト中)



 サイカンゲームスは、オンラインFPS「ペーパーマン」のクローズドβテストを1月31日より実施している。「ペーパーマン」は、その名の通り、紙でできたキャラクタが戦うというオンラインFPSだ。基本システムはオーソドックスなFPSのスタイルを踏襲しており、これに紙製のキャラクタならではのアクションを多数取り入れることで独自の機軸を打ち出している。

 今回実施されたクローズドβテストは、「個人デスマッチ」、「チームデスマッチ」、「チームスチール」、「爆破ミッション」など各種ルールが実装され、アバターの服飾、武器・装備など、ゲームの持つ雰囲気を一通り体験できる状態で提供されている。クローズドβテストとはなっているが、現在公式サイト上で会員登録すればすぐにプレイすることができる。

 今回、このβテストに参加する機会を得たので、極めて個性的な作風とプレイ内容をもつ本作の特徴をご紹介したい。


■ かわいらしいキャラクタとクイックな操作性。「ペーパー」ならではのアクションが織り成す独特のハーモニー

「ペーパーマン」のキャラクタはペラペラの紙。この特性を利用した「紙技」を駆使するプレイが楽しいFPSだ
「エアーボム」で空中を舞う敵にコンボ攻撃をお見舞い。攻撃のタイミングを掴むことが大事なゲームだ
 本作最大の特徴は、なんといっても「紙」でできたキャラクタによるアクションだ。基本システムは対戦型FPSということで、操作性や武器の系統はしっかりとスポーツ系FPSのそれを踏襲しているが、そこにキャラクタが紙でできているという設定を最大限生かしたゲーム性をブレンドして、独特のプレイ感をもたらしている。

 まず、キャラクタが薄いのである。正面から見れば普通にかわいらしい絵柄に見えるキャラクタたちを側面から見てみると、ペラッペラの模造紙1枚で作られたような造型なのだ。当然、厚みはゼロで、撃ち合いの最中に「横を向いて敵弾回避」なる動作が基本テクだ。

 紙ならではの特性はそれだけではない。「ファイアボム」なる特殊なグレネードを投げつければ、紙であるゆえに良く燃え、大ダメージとなる。「エアーボム」を投げつければ、吹き飛ばされて空中をヒラヒラと舞う。そこに銃弾を叩き込んで倒してしまえば「エアーコンボ」達成が戦績に記録される。

 また、キャラクタには、弾丸が命中しても単に弾が貫通して穴が開くだけという無痛点のようなポイントが存在する。それと同時に頭部を狙い打つ「ヘッドショット」、心臓のあたりを打ち抜く「ハートブレーク」といった弱点も設定されている。さらに、発動条件は定かではないが「クリティカルショット」なる一撃ダウンが起こることもあって、同作の銃撃戦は通常のFPSとはやや勝手が異なる。

プレイの流れ。初めてログインしたら、まずアバターを選ぶ。次に、ショップでコスチュームや基本装備を整えよう。あとはロビーでゲームセッションを選び参加するだけ。シンプルに作られている

敵を沢山倒したら「攻撃強化」、「投擲武器補充」のパワーアップがドロップ。これを拾えばより有利に戦うことができる
倒されたキャラクタ達。ぽっかり穴が開き、ただの紙になってしまった
 そのゲーム性に輪をかけて異彩を放つのが、ゲーム中に獲得できる各種のパワーアップだ。本作ではキャラクタが倒れた際、その場にアイテムを残すことがある。それは「攻撃強化」、「命中強化」、「迅速移動」といった効果をもち、それを拾ったキャラクタを強化してくれるというものだ。この種のアイテムはいくつでも拾うことができ、「攻撃強化」した状態で「命中強化」し、さらに「無敵」を拾って暴れまわる、なんてことも可能だ。

 このシステムのおかげで、本作では「より巧く立ち回って長生きしたプレーヤー」が非常に有利になるが、敵を沢山倒したプレーヤーが倒されると強力なパワーアップアイテムを落とすので、この立場がすぐ逆転してしまうこともあるのだ。激戦区には大量のパワーアップが残されていることもあるので、復活後すぐにそういった場所を探してアイテムを回収、その勢いを使って有利に戦うというのもメリハリがあって面白い。

 というわけで一見すると「イロモノ」に分類されそうな印象もある本作だが、FPSとしての基本となる操作は実にオーソドックスだ。キーボードによる平行移動、しゃがみ、ジャンプ、マウスによる照準、射撃、数字キーでの武器切り替えなど、系統としては「Counter-Strike」の直系と言う感じで、全く奇をてらっていない。そこは敢えてオーソドックスにしている感もあり、そのおかげで、他のFPSで鍛えたプレーヤースキルは、ほぼそのまま通用するし、やり込む価値もある。

 本作の操作感覚を強いて分類してみるならば、現時点でのオンラインFPSの2大巨頭「Special Force」、「Sudden Attack」との比較においては後者に近い。キャラクタの移動は、トップスピードこそ控えめであるものの、慣性が少なく、非常にクイックに動作してくれる。マウス操作への反応性も素直で、プレイ感覚は上々。スポーツ系FPSとしての基本はしっかりと作りこまれている印象だ。

 ちなみに、現在実装されているゲームルールは5種類。全員が敵同士となってスコアを競う「個人サバイバル」、2チームに分かれて戦う「チームサバイバル」、相手チームの全滅が勝利条件となる「チームデスマッチ」、CTFタイプのゲームである「チームスチール」、そしてオーソドックスな「爆破ミッション」だ。このうち、「チームデスマッチ」のみがラウンド中の復活無し、というルールになっている。

 各ゲームセッションの最大参加人数は16名。共通のロビーでゲームセッションを立ち上げるか、既存のセッションに参加する形式を取っている。ロビーを見る限り、現在の一番人気は「チームサバイバル」だ。スポーティなゲーム性を持つ本作だけに、シンプルなルールが好まれるということだろう。

 確かに、昨年よりにわかに活気付いてきたオンラインFPSの中にあって、「ペーパーマン」は、現在コンシューマゲーム市場で主流となっているリアル系FPSの対極に位置する作品に見える。ちょっぴりサイケデリックなアニメ調のかわいらしいキャラクタ、軽快なノリ、といった個性的な部分はありつつも、実際にプレイしてみると、スポーツ系FPSの王道を行く感触なのである。これは他のFPSも含めて熱心にFPSをプレイしている人々にとって、本作のプレイを試す好材料になるだろう。

現在実装されているゲームルールは5種類。その中で一番人気は「チームサバイバル」だ。復活ありで撃破スコアを競うという単純なルールは、スポーツ系のゲーム性を持つ本作に良く合っている。ラウンド終了後にはショット分析や獲得ポイントが表示され、励みになる

本作オリジナルの「チームスチール」ルールは、CTFに似たシステムだ。敵陣の魔法の「かめ」から液体を奪い、自陣の「かめ」に注ぐ。液体の総量が一定で、奪われたら奪い返すというシーソーのような争いになるところが面白い


■ 現時点ではゲーム内ポイントで購入できるアイテムのみ実装

ショップでは追加のアバターも購入できる。現在のところ全てのアイテムがゲーム内ポイントで購入できるが、有料アイテムがどのような形になるかは不明
トップ、ボトム、靴、アクセサリの各パーツを組み合わせて、キャラクタを好みの外観にしていこう
アイテムや武器類は、キャラクタ管理画面で1~4のスロットに割り当て。ゲーム内で「武器交換キー」を押すことで設定した武器を選択できる
「ファイアボム」を当てて燃やし、銃でトドメ。キャラクタは「紙」なので痛ましさがなく、万人にお勧めできてしまうのがいいところだ
 基本プレイ料金が無料のオンラインFPSでは、有料アイテムの内容が気になるところだ。本作では、現時点では「有料アイテム」に分類されそうな便利系のアイテムは実装されておらず、アバター系のアイテムばかりだ。それらはゲームロビーの「アイテムショップ」から、プレイ内容に応じて稼げるゲーム内ポイント「PG」を対価として入手できるようになっている。

 アイテムの系統は、現在のところ武器、アバター、アバターの服飾の3種だ。アバターは全5種類が用意されており、プレイ開始時に無料で選ぶ1種類を除いては、ゲーム内ポイントで追加購入する形をとる。アバターによるキャラクタの性能差などは存在しないので、素直に気に入った外観のものを利用すればよい。また、一度購入したアバターは永久に利用できる。

 服飾は、髪型、トップ、ボトム、靴、アクセサリの各部位に分かれている。こちらもキャラクタ性能には全く影響しないので、純粋に好みで選択。これら服飾パーツは武器とおなじくレンタル制となっており、相場としてはパーツごとに1日で100~300PG、7日で500~2,000PGといった按配だ。半日もゲームをプレイすれば、1週間分の服飾は賄えるかな、といった感じである。

 気になる武器だが、メイン・サブの武器類は実在の銃をモデルにしたものばかり。それぞれに攻撃力、連射速度、集弾性、弾数などの特性が実銃の特徴に応じて設定されている。例えば「AK-47」はダメージが高いが連射時に着弾が落ち着かず、「M4A1」ならば若干ダメージは落ちるが命中率が高い、などである。このほか現在実装されている武器としては、スナイパーライフル「L96A1」、ショットガン「M3 SUPER90」、サブマシンガン「MP5SD6」など、一通りの武器特性がカバーされている。

 リアル系を踏襲するメインウェポンの対極に位置するのが投擲武器、いわゆるグレネードだ。冒頭でも少し紹介したが、本作のグレネードは、キャラクタが「紙」であることに依拠した独特のデザインである。「ファイアグレネード」は敵を燃やす。「エアーボム」は敵を空中にヒラヒラと舞わせ、コンボ攻撃のチャンスを作る。この他、味方の体力を少し回復させる「マッシュルームボム」、単純に大ダメージを与えることに特化した「デモリッション」など。価格は1日あたり300PGから500PGのレンタル制で、全てそろえるよりは自分の作戦に応じた組み合わせを用意しておく感じになるだろう。

 こういったアイテム関連のシステムは、現時点では「サドンアタック」に近く、お金をかけずとも平等に楽しめる状態となっている。これが正式サービスに向けてどう転ぶかは予測できないものの、FPSは各プレーヤーのスキルに依拠する部分が大きいジャンルであり、課金アイテムによって格差をつけるビジネスがあまり好まれないことは確かだ。サイカン・ゲームスが、この問題にどう取り組むかが見ものである。


■ 現時点ではマップ、アイテムなどバリエーション不足。正式サービスに向けてはコンテンツの拡充が課題

マップはゲームセッションのマスターが選択する。現時点のマップは全5種類で、大幅な拡充が望まれるところだ
 今回プレイしていて最も気になったのは、マップの少なさだ。実装されている5つのゲームルールごとにプレイするマップは異なるが、「チームスチール」、「爆破ミッション」といった戦略性の高いルールのマップは各1種類のみ。現在のところ最も人気のあるチームデスマッチ系のルールでは、3種類が利用できるが、長時間プレイしているとさすがにもっと変化が欲しくなってくる。逆に「Sudden Attack」の「倉庫」マップのような、シンプルなものがあってもいいだろう。

 また武器類に関しては、イロモノ系も含めた個性的な銃器類があればもっと楽しめるかもしれないと感じた。特徴あるゲーム性の作品であるだけに、それを生かしたい。大量に弾丸をバラ撒くミニガン系の武器があっても面白いかもしれないし、チーム戦用途にロケットランチャーなどもいいかもしれない。このあたりは課金アイテムも含めた展開に繋がってくると思われるが、独特のゲームコンセプトを生かした展開を期待したいところだ。

 コンテンツ量以外の部分では、本作は現時点でも非常によくできたゲームだ。FPSとしての基本となるアクションは軽快で気持ちよくプレイできるし、キャラクタが紙であることによる特徴も、プレイに楽しいメリハリを持たせることに成功している。クローズドβテストはまもなく終わってしまうので、次の機会、より充実した正式サービスとしてプレイできる日を楽しみに待ちたい。


(C) Cykan Games Co.,Ltd. All rights reserved.
(C) Cykan Games Korea Co.,Ltd. All rights reserved.

□サイカンゲームズのホームページ
http://www.cykan-games.com/
□「ペーパーマン」のページ
http://www.paperman.jp/
□関連情報
【12月21日】サイカンゲームズ、WIN「ペーパーマン」
クローズドβテスター募集開始。弊誌枠でも500名を募集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071221/paper.htm
【12月14日】サイカン、「ペーパーマン」プレスカンファレンスを開催
韓国未発表の新要素を続々発表、CBTは1月25日よりスタート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071214/paperman.htm
【12月6日】サイカンゲームズ、「ペーパーマンまつり!」
スケジュールやゲストなどイベントの詳細情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071206/pm.htm
【11月29日】サイカンゲームズ、WIN「PaperMan」
「ペーパーマンまつり!」をADスクエアで開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071129/pm.htm
【10月9日】セカンドファクトリー、「ADスクエア」の内覧会を開催
イベントフロア、カフェ、PCルームなどをゲームコミュニティに提供
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071009/adsquare.htm
【9月21日】サイカンゲームズブースレポート
「PaperMan」、「R-MAN」をプレイアブル出展、ほしのあきさんも参戦
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070921/cykan.htm
【7月9日】Cykan、「ペーパーマン」オープンβテストレポート
コミカルな紙型キャラクタを侮るなかれ、07年期待の本格派オンラインFPS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070411/paperman.htm

(2008年2月8日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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