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今回は「アルタナの神兵」より登場した新ジョブ「踊り子」と「学者」をテーマにしていこう。水晶大戦という戦争時代のなか、「踊り子」は荒んだ心を癒し共に戦うヒロインとして、「学者」は各国の軍師、軍学者として活躍したジョブだ。 新ジョブは、踊り子なら「TPをアビリティに使う」、学者なら「魔法とアビリティを組み合わせる」といったように、既存のジョブになかった新機軸のコンセプトを持っているのがポイントだ。「踊り子」は、TPを消費する“踊り”のアビリティを駆使して戦う。そして「学者」は魔法をアビリティと組み合わせてより効果的に使えるようにするというジョブになっている。
今回は両方のジョブ取得クエストから紹介していき、筆者がレベル25までプレイした模様をもとに、それぞれの感触と魅力をお伝えしていこう。メインジョブとして感じられたものだけでなく、サポートジョブの選択肢としても、「踊り子」は前衛ジョブに、「学者」は後衛ジョブに優秀という特徴を感じ取れた。そうした面をまとめていこう。
団長であり舞踏家のライラ・ブリリオートに踊り子になりたいことを伝えると、彼女はある難題を冒険者に与えてくる。どこの誰とも知らぬものは入団させないという、厳しい方針のようだ。 ちなみに公式サイトの戦場の女神「踊り子」という読み物では、踊り子というジョブの成り立ちとともに、「クリークタンツ正統継承者であったアニカ・ブリリオート」という記述がある。ライラは舞踏の流派「クリークタンツ」の正統継承者であり、そして、「アニカは素質を認めぬ者には決して教えなかったと云う」ともある。ライラはこの厳しい伝統をしっかりと引き継いでいるのだろう。
ライラから出された課題を乗り越えるには、ミスラの舞踏団員レアの協力がかかせない。レアの協力を得るためのちょっとユニークな挑戦を乗り越えたさらにその先には、クエスト名の「プレリュード(前奏曲)」が意味する物語が待っている。そしてそれは、1人の踊り子の前奏曲であり、冒険者の踊り子としての前奏曲となっていく。
まず、装備面からみると、最も得意とする武器は短剣で、そこからスキル的には劣るが片手剣と格闘武器も扱える。舞踏という体を使うジョブだけに、格闘武器を扱えるのは大きなメリット。攻撃間隔が短くTPを貯めやすい短剣、一撃のダメージが短剣より大きい格闘武器という印象で、格闘武器はサポートジョブをモンクにしてマーシャルアーツのジョブ特性をつけられれば攻撃間隔も補える。 レベル20までは格闘武器のほうが与えるダメージが大きいぶん活躍しやすいだろうか。与えるダメージ面は他のジョブ以上に重要で、なにより0ダメージではTPが貯まらない。だが、レベル20を越えてくるとダメージはどちらでもより通るようになるし、サポートジョブを忍者にして短剣を二刀流にするという選択肢も増える。高回転にTPを貯めダメージを蓄積でき、かつ、レベル24からは空蝉の術を使えるようになり防御面も優れる。
防具面をみると、重装備の鎧は装備できないものの軽量な鎧なら装備できる。装備品の傾向としては忍者やシーフに近い。防御力はそこそこ回避スキルも高めなので、一時的にモンスターの攻撃を引き受けるぐらいは問題なくできる。前述のようにサポートジョブが忍者なら空蝉の術があるので、そうした面でもやはり相性がいい。
パーティを組むようになってからもドレインサンバの恩恵は大きい。ドレインデイズは敵モンスターの状態に付加されるので、踊り子以外のパーティメンバーも攻撃するとHPを吸収できる。ただし、1回の攻撃で付与されるドレインデイズ自体の効果時間は10秒ないほどと短いので、常に攻撃参加してドレインデイズ状態を維持するのが不可欠だ。 次の転機はレベル15で覚える「ケアルワルツ」。ここから踊り子の立ち回りはさらに一変する。これは簡単に言うとTP消費で使うケアルIIだ。TP消費は20、リキャストも5秒と短い。パーティメンバーのHPを70ほど単体回復できる踊りで、この頃から前衛ジョブでありながら非常に優秀な回復役というスタンスになっていく。踊り子自身のTPのとらえ方は、魔道士でいうMPの位置づけにぐっと近づく。 攻撃するたびに貯まり、最大で300貯められるTPでケアルII相当の回復ができるというのは、とても新鮮な感覚。攻撃参加するのは当然として、それでどんどんとTPが貯まり、そのぶん回復ができる。TPが枯渇するというシチュエーションにもあまり陥らず、積極的に使っていける。踊り子が2人いればこの時期の6人パーティの回復役が充分つとまるほどだ。 ただその反面、ウェポンスキルを撃つとどんなに貯めていたTPも0になってしまうので、それはこころもとない。撃つのにためらいがでるようになる。他ジョブだと多くの場合TPは貯まればすぐに使うものであって、貯めておくという概念がなかった。この悩みは新しい感覚だ。
筆者が踊り子のレベル上げをしていたこの頃は、新ジョブ人気が真っ盛りというところで、踊り子、学者の冒険者がたくさんパーティ参加希望をだしていた。そこで実践してきたのが踊り子と学者だけ、というパーティだ。サポートジョブを戦士にして挑発でモンスターをひきつけ、ケアルワルツで自己回復、他の踊り子からも回復をもらいつつ盾役をこなしていった。攻撃を受けつつ自己回復するという、ナイトのような立ち回りかただ。
ステップで得た「フィニシングムーブ」は、フラリッシュを放つと消費する。そして、レベル20で覚える「A.フラリッシュ」の効果はずばり「挑発」だ。モンスターのターゲットを自分に引き寄せる効果があり、フィニシングムーブを1~2ポイント消費する。敵対心の上昇度合いは少し揺らぎがあるように感じたときもあるのだが、基本的には挑発に近い。つまり大雑把に書いてしまうと、踊り子は第2の挑発的アビリティを持つジョブなのだ。 レベル20を越えると前述のようにサポートジョブに忍者を選択していきたくなるのだが、モンスターの攻撃を一時的に引き受けるための役割をするのは「A.フラリッシュ」のおかげでやりやすい。ケアルワルツの回復による敵対心獲得もでき、ナイト的な自己回復もできる。レベル20という段階でありながら非常に完成度の高い立ち回りができるジョブだ。 さらにレベル25になると、スニークとインビジの効果を自分に与えるジグモードの「スペクトラルジグ」、ドレインサンバのMP版という「アスピルサンバ」、そしてケアルワルツのパーティメンバー範囲回復版「ディバインワルツ」を一気に習得する。 こうした恩恵は、踊り子をサポートジョブにした場合でも受けられるのが大きなポイント。サンバやワルツの回復、ステップの弱体、ジグの移動補助、そしてフラリッシュによる挑発と同等性能のアビリティなど、いずれも魅力的だ。忍者、ナイト、シーフといった片手武器を得意とするジョブに特に合いそうに思う。サポートジョブの選択に自由が少なかったジョブに広がりがでたと思える。
プレイした総括としては、踊り子はとても面白いジョブだ。優秀なアビリティを5レベル区切りで習得していくので、レベルを上げていくモチベーションが高いままに、リズムよくプレイできた。パーティ内のポジションとしてはアタッカーという位置づけではあるが、回復役でもあるというのがオンリーワンになっている。プレイしていて不足を感じないばかりか、TPを使ってアビリティを次々に発動する感覚が楽しい優れたジョブと思えた。
その話のなか、グリモアという言葉が出たところでアーリーンは手をかざして空中に1冊の書を出現させた。パラパラと音をたててめくられる書物。魔法とはまた違うまるで手品のような仕組みだ。ただ、グリモアは貴重な書である条件があるという。それはあるものを12枚持ってくるというものだ。そのアイテムは、クロウラーの巣[S]であるクエストの報酬として得られるほか、合成でも作成可能で競売所でもやりとりされている。好きな手段で入手しよう。 アイテムを無事調達できれば、いよいよ自分のグリモアを手に入れる。そのためには、「帯魔放出」という、魔力を注いでグリモアをアストラル化する「署名」の儀式が必要だという。この儀式については、アーリーンがとてもわかりやすく説明してくれるのでほとんどの人はそれだけで何をするべきか理解できるだろう。
このクエストはアイテムを調達する以外に難しいところもなく、非常に簡単なものだ。注目すべきポイントは、クエスト中で聞ける「君自身が戦いの中で研鑽してはじめて血となり肉となる学問です」という言葉だろうか。この言葉が「学者」というジョブをプレイして感じた印象と一致していくのに、あまり時間はかからなかった。
学者が習得できる魔法は、黒、白魔法から精霊魔法、暗黒魔法、強化魔法、回復魔法の4系統。黒魔法の習得レベルは黒魔道士より遅く、赤魔道士よりは少し早い。例を挙げるとファイアは黒魔道士がレベル13、学者が16、赤魔道士は19での習得となる。白魔法になるとこの関係は逆転して、習得するレベルは赤魔道士よりも遅くなる。例えばケアルIIの習得はレベル17で、ナイトと同じタイミングだ。スキル自体は白魔法と黒魔法に関わる6種類すべてを持っている。 スキルはあるものの標準の状態ではどの魔法スキルも低い。ここに深く関わるのが、「白のグリモア」と「黒のグリモア」という魔法の得意な状態を切り替えるアビリティだ。「白のグリモア」状態にすると、神聖、回復、強化魔法のスキルが上昇し、他の魔道士と引けを取らなくなる。さらに白魔法の詠唱時間と消費MP量が10%減少させるボーナスもある。 そのかわり、黒魔法は苦手になってしまい、スキル詠唱時間と消費MP量が20%増加する。また「黒のグリモア」状態ではその逆に、弱体魔法、精霊魔法、暗黒魔法スキルが上昇。詠唱時間と消費MP量の減少と増加の関係も逆になる。 このグリモアの切り替えは、うまくできればメリットだが、そうでないときにはデメリットになるという判断の難しいものだった。適したグリモアでのボーナスはもちろん嬉しいが、グリモア切り替えの再使用時間は1分と縛りがある。白、黒の魔法を交互に使っていきたい状況があったとすると、どちらかをあきらめる、もしくはデメリットを承知で詠唱するときも出てくる。適したグリモアに切り替えないと、スキルなどあらゆる面で性能は低くなってしまう。一長一短の印象だ。 学者自身では習得できない魔法はサポートジョブの選択で補うことになる。スキル自体はグリモアを切り替えることで全て実戦レベルに引き上げられるので、苦手とするものはなくなる。だがひとつ注意点があって、弱体魔法スキルが上がるのは「黒のグリモア」だが、パライズやスロウのように白魔法にも多く存在する。
このように例外的に魔法とグリモアの組み合わせが逆になるものもあるので、神聖魔法以外のモンスターにかける魔法のスキルは、「黒のグリモア」がスキルボーナス的には有効と覚えるといいだろう。ただ、前述のように詠唱時間と消費MP量のペナルティはついてまわるので、ここはどちらを重視するか悩みどころだった。
レベル10で白魔法向けに「簡素清貧の章」、黒魔法向けに「勤倹小心の章」を覚えた。このアビリティは次に使用する魔法の消費MPが半減する。低レベルで使う魔法は消費MPがそれほど大きくはないので恩恵が少なく感じるが、高レベルになればなるほど効果の大きいアビリティになる。例えばサンダーIIIだと128ものMPを消費するが、「勤倹小心の章」を組み合わせれば64とファイアIIより低いぐらいに抑えられるなる。 次に覚えた「戦術魔道書」のアビリティは、少し遠くてレベル25で覚えた。白魔法向けの「電光石火の章」、黒魔法向けで「疾風迅雷の章」だ。名前から効果がつかめるが、次に唱える魔法の詠唱時間と最詠唱時間が半減する。適したグリモア時でだいたい詠唱バーの80%ほどで詠唱が完了するところが、さらに半分になって40%ほどになる。この詠唱速度の速さは最初に体感すると誰しも驚くと思う。 実際のプレイでは、まず各種アビリティの特性を理解するのに時間がかかったところがあった。ここまでにまとめているように、基本的なところを抑えるだけでも覚えておくべきことは多い。学者というジョブは、冒険者自身(ここではプレーヤーを指す)も、実戦を通して学ばなければならないということだろう。 時期的なものがあるが、筆者がプレイしていたときは踊り子の冒険者とパーティを組むことがとても多く、メインの回復を踊り子のケアルワルツに任せるシーンも多くあった。それに応じて学者は各種弱体や精霊魔法を重視しつつ回復補助にまわることが増えた。学者のサポートジョブに白、赤、黒の魔道士のどれを選ぶかで、パーティー内での位置づけを変えられるところは他のジョブにはない魅力だ。だが、前述のようにグリモア切り替えありきなので、制限や手間はある。 今のグリモアがどちらか、その切り替えはすぐにできるか、そのときに使うべき魔法はなにか、など、パーティープレイで効果的に動こうとすると意識することは多い。ここに「戦術魔道書」のアビリティをどのタイミングで使うべきかが加わってくると、いよいよ学者のプレイというのは考えることが多い。 なにかパーティが窮地に陥ったときなどに、グリモアの切り替え、アビリティの使用、そして魔法の使用と、するべき操作が重なってきたときは、それぞれ個別に使っていては手が忙しいぐらいだ。せっかくの詠唱時間半減のアビリティもそうして使っていると結局のところ時間がかかったりしてしまう。頻繁に使う魔法とグリモア切り替え、アビリティと魔法の組み合わせなどを、ひとつのマクロに組み込んでしまうのもいいかもしれないと感じた。
そのほかでは、白と黒のグリモア中のステータスアイコンがどちらも外見が同じなのが気になった。混戦時などに今自分がどちらのグリモア中か混乱してしまうので、できれば外見で見分けのつく専用のステータスアイコンの導入に期待したいところだ。
プレイした範囲では、学者ならではという魅力を低レベル時に感じづらいところが、レベル上げのモチベーション面で少し厳しいだろうか。時期的に、踊り子の充実ぶりと比較してしまうところもあるが、レベル25まで学者独自のものがグリモア切り替えと消費MP半減アビリティのみというのはやはり寂しい。 高レベルになればなるほど学者ならではの立ち回りが増えていく大器晩成型のジョブなのだろうなと思えた。学者専用の大きな属性スリップダメージを与える計略魔法や、天候を変える魔法などはレベル40以降、60以降にあるようだ。「戦術魔道書」のリキャストを貯められる「チャージ」という特性も40以降のものとなる。また、「戦術魔道書」のアビリティの数々は、高レベルの魔法と組み合わせると効果がより強く実感できそうなのは想像がつく。 とはいえ、それまでの時期は、パーティの戦闘が落ち着いているときだと、おなじみの白魔法、黒魔法をグリモアの切り替え必須という条件つきで使っているという印象に落ち着いてしまいがちかもしれない。あまり召喚獣を出せない状況の召喚士に似た感触がある。積極的に使っていける何かがぜひ欲しいところだ。 アビリティと魔法を組み合わせるという特徴には、判断と操作をする冒険者によってパフォーマンスが変わってくるところを感じた。どのようにアビリティと魔法を組み合わせるか、どういうマクロを用意しておくか、それらを適切な判断で素早く使い分けられるか、などにかかってくる。ジョブが持つパフォーマンスを効率的に、そして最大限に素早く発揮しようと思うと、全ジョブ中でも相当上位に入るほどテクニカルなジョブかもしれない。
学者は白、黒、赤魔道士のサポートジョブの選択肢として有効だ。ここで紹介している白と黒のグリモアの切り替えによるスキルボーナスが得られるので、メインジョブではあまりスキルが高くなかったので実用できなかった魔法を使える。「戦術魔道書」の消費MP半減や詠唱、再詠唱時間の半減も使えるので、メインジョブの上位の魔法に組み合わせると高い効果を得られる。メインジョブの魅力が低~中レベルでは控えめなのは、そうしたサポートジョブに選ばれる側面が考慮されているところもありそうだ。
敵対心を瞬時に高める「挑発」的ポジションのアビリティ「A.フラリッシュ」の登場も大胆だ。これまでは敵対心を手軽に高める必要があるときのサポートジョブの選択肢は、サービス開始当初から戦士一択だった。これがついに変わり始めた。それ以外をみても前衛ジョブにとってサポートジョブ踊り子という選択は魅力的で、この変化がどれほどバトルのトレンドを動かしていくか楽しみだ。
かわって「学者」もアビリティと魔法を組み合わせるという、これまでも近いものがあるにはあったが、あまり凝られてこなかった方向性をメインに打ち出している。かけ算をして魔法の効果を高めるような「学者」というイメージもはまっている。だが、メインジョブとしての学者には大器晩成の魅力を感じるとともに、もう少し魅力を感じやすく、パフォーマンスを発揮しやすくしてほしいと思うところもあった。「踊り子」が前衛ジョブなら「学者」は魔法ジョブにといった作りで、サポートジョブの選択肢としてこちらも見逃せない。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年12月26日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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