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★PS3ゲームレビュー★

スパイダー・ウェブでビルの谷間を飛び回れ!
「スパイダーマン3」

  • ジャンル:アクション
  • 発売元:アクティビジョン株式会社
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:PS3
  • 発売日:発売中(10月17日)
  • CEROレーティング:B (12歳以上対象)



 10月17日、同名の劇場版Blue-rayディスク、DVDと同時発売されたプレイステーション 3用アクションゲーム「スパイダーマン3」。劇場版のストーリーをベースに、ゲームオリジナル要素を多数追加。すでに映画を見た人も、そうでない人も楽しめる作品となっている。まずは、冒頭のチュートリアルパートからゲームの基本操作などを順次ご紹介していこう。


■ スパイダーマンのトリッキーなアクションを簡単操作で再現

 本作の主人公「スパイダーマン」は、アメリカン・コミックでおなじみのマーベルが生み出した人気ヒーローシリーズ。平凡な学生だった男の子「ピーター・パーカー」が、特殊なクモにかまれたことで超人的な能力を獲得。10トンの物体を持ち上げる筋力、常人の40倍を超える敏捷性、さらには手首から射出されるスパイダー・ウェブでビルの谷間を自由に飛び回る。

 劇中のスパイダーマンは、こうした身体能力を存分に発揮することで目にもとまらぬ激しいアクションを展開するが、ゲーム中のプレーヤーも同様にスパイダーマンを操ることができる。ただし、格闘アクションなどにありがちな複雑なコマンド入力などは一切必要ない。よほどアクションゲームが苦手な人をのぞけば、誰でもすぐにスパイダーマンを思い通りに動かせるようになる。

 基本操作は、左スティックがスパイダーマンの移動、右スティックが視点変更、□ボタンが弱攻撃、△ボタンが強攻撃、×ボタンがジャンプ、○ボタンがウェブ攻撃または壁面にくっつく、R1ボタンが□、△、○、×ボタンと同時押しでスペシャルアタック、R2ボタンがウェブスイング(スパイダーウェブを使って街を移動)、L1ボタンが“スパイダーリフレックス”、L2ボタンがダッシュ(加速)、R3ボタンが“スパイダーセンス”にそれぞれ対応。一見すると使用ボタンが多く面倒にも思えるが、それぞれ必要とされる“シチュエーション”が限定されているため、実際のプレイにおいて混乱することはない。

 基本操作のうち、ゲーム全編を通してもっとも多用されるのがL1の“スパイダーリフレックス”。海外のアクションゲームでおなじみの“周囲の動きがスローモーションになる”というもので、ボタンを押し続けるごとに画面左上にある青いゲージ「リフレックスメーター」が少しずつ減っていく。スパイダーリフレックス発動中であれば、敵の攻撃はすべて自動回避。回避直後に□ボタンを入力すれば、そのままカウンター攻撃につなげられる。

 孤立無援で戦うことが多いスパイダーマンだけに、大勢の敵に囲まれるといった状況は日常茶飯事。ザコも数が増えるとあなどれないし、ボス戦に至っては「スパイダーリフレックスの使用が前提」とされているものさえ珍しくない。ゲージはすぐに回復するので、惜しまず積極的に使っていただきたい。

【スパイダーリフレックス】
L1を押し続けている間は無敵。リフレックスメーターがなくなると使えないが、すぐに回復するので積極的に活用していくべし
スパイダーリフレックスで敵の攻撃を回避している最中に□ボタンを押すとカウンター攻撃が発動。そのままコンボで大ダメージが狙える


 R3ボタンの“スパイダーセンス”は、研ぎ澄まされた超感覚で危険を察知する能力。目標となる物や敵が見当たらないとき、R3ボタンを押して周囲を見渡せば、目標物であれば黄色、敵であれば赤で対象が表示される。ひらたくいえばヒントのようなものだが、ミッションによってはスパイダーセンスの使用が前提となっているものもあり、役立つ場面は多々ある。

【スパイダーセンス】
隠された爆弾、敵の痕跡を見つけて追いかけるなど、色々な場面で使われる。ちなみにR3ボタンを押しっぱなしにする必要はなく、一定時間が過ぎると自動的に元に戻る


 こうした通常アクション以外にも、本作には“シネマ・シーン”と呼ばれる独自のアクション・パートがある。これは劇中の特殊なシチュエーションを再現するときなどに登場し、プレーヤーは画面に表示される指示に従いコマンドを入力。成功すると、華麗なアクションとともに危機を乗り越えてくれる。

【シネマ・シーン】
爆弾にくくりつけられた罪も無い一般市民。表情の怖さ(?)に思わずひるんでコマンド入力に失敗すると、直後に大爆発が……
今度はコマンド入力に成功。紙一重の差で一般市民を抱き抱え窓から脱出するスパイダーマン



■ ビルの谷間を飛び回りミッションクリアに奔走

 チュートリアルが終わると、早速ファーストミッション開始。本作はミッションクリア型で、箱庭風に作られたニューヨーク全体をスパイダー・ウェブで“飛び回り”ながら、さまざまな悪と対峙していくことになる。

 目標地点に移動するときは、実際にスパイダーマンを操作して現地まで行くことになる。やりかたは、ビルなどの高い建物がある場所でR2ボタンを押してスパイダーウェブを射出。あとは左スティックで身体をスイングさせ、R2ボタンでテンポよく押し直していくだけ。急ぎのときは振り子で反動をつけるようなタイミングでL2ボタンを押せばグンと加速してくれる。

 スパイダー・ウェブでビルの谷間を飛び回る爽快感は、スパイダーマンシリーズのファンであるほど「気持ちいい!」とうならされるはず。人によっては「えー、目的地をセットしたら自動的にミッションが始まるんじゃないの? それって面倒くさくない?」と思われるかもしれないが、移動自体それほど時間を要するものではないし、なにより「雰囲気」が損なわれないのがいい。

 これは筆者だけかもしれないが、ミッションをプレイしているときよりも、その合間にスパイダー・ウェブでビルの谷間を飛び回っている瞬間のほうが、ある意味“らしい”と感じてしまう。ゲームを進めていくと条件解除でウェブスイングのスピードが上がっていくため、爽快感も右肩上がり。箱庭風のマップと相まって、このあたりは実にいい感じだ。

【ビルの谷間を飛び回る爽快感】
スパイダーマンらしさが満喫できる移動シーン。ただ移動するだけならR2ボタンで事足りる簡単さがいい。ゲームを進めていくとボタンの組み合わせでアクロバティックなアクションも可能になる


 目的地まで移動するためのチュートリアルが終わったら、以後の行動はプレーヤーの自由。セレクトボタンを押して表示される「マップ画面」を見て、やりたい「ミッション」や「チャレンジ」を選べば、通常画面の右下に目的地までの“マーカー”が表示されるため、あとはそこまで移動すればいい。

 マップに表示されているミッションは、どれを選んでもいい。各ミッションは失敗してもやり直しがきくため「あっ、これはまだ自分には難しいかな?」と感じたら、他のミッションやチャレンジに移行しても構わない。こうやってひとつずつミッションをクリアすることで、全体のストーリーが進展していく。

 ニューヨークの街中を移動していると、通常のミッションやチャレンジのほかに「クライムファイティング」と呼ばれる“事件”に遭遇することがある。画面右下のコンパスアイコンに表示された黄色いマーカーに向かって移動すると、その先でギャング団が暴れていたり、クルマが暴走していたりと、さまざまな事件がスパイダーマンを待ち構えている。事件解決後は体力回復アイテムが出現するため、損耗も気にしなくていい。

 「クライムファイティング」を無視しても特にペナルティはないが、劇中のピーターは、それをしたがために最愛の伯父「ベン・パーカー」を亡くしている。コミックや映画の世界観を踏まえてプレイする人は「おおいなる力には、おおいなる責任がともなう」を旨に、可能な限り対応してみせるのもまた一興ではないだろうか。

【リザード1:巨大トカゲ出没】
ワンマン社長のJJに「多数の目撃例が出ている人型トカゲの写真を撮ってこい!」と命令されるピーター。「なんだかなぁ」といった風体で仕方なしに街を探索するも、その存在はどうやら真実らしい。なにやら街のギャング団も関与しているようだが……?

【メリー・ジェーンを送れ! イージー編】
恋人のメリー・ジェーンを目的地まで連れていくミッション。背中で「凄い凄い!」などと嬌声を上げるMJに思わず「こちとら酔狂でスパイダーマンやってんじゃねぇゾ!!」と説教したくなるが、ここはグッとガマン。空中に浮いているハートを取るとポイントアップ。クリアごとに難易度が上昇していくため相当やりがいがある。3D酔いする筆者は完全クリアをあきらめました……

【アポカリプス1:吊るされた男】
ギャング団により小型クレーンで海に沈められようとしている男を発見。操作パネルの近くで□ボタンを押しクレーンを止めないと男の命が危ない。クレーンが止まったと見るや、ギャングたちが操作パネルに近づいて再びクレーンを下ろそうとするCPUの行動パターンが面白い。かろうじて救助すると、男は地下鉄の作業員で、何もしていないのに「アポカリプスのことを探ろうとしていたな?」などと疑いをかけられたという。はたしてその真相は!?


 各ミッションには、「リザード」、「アポカリプス」など、系統ごとに独立したストーリー展開が用意されている。いずれも最初のうちは比較的コンパクトな内容だが、クリアして段階を追うごとに複雑になっていく。難易度も急カーブで上昇していくため、アクションゲームに不慣れな人は、一系統を最後まで追うのではなく、全体を“広く浅く”クリアしていく方法をおすすめしたい。

 それは、ミッションクリアの特典に“新アビリティの追加”があるからだ。初期段階のミッションを数多くクリアすれば、スパイダーマンの能力を手軽に強化できる。最初のうちは基本的なコンボしか使えないものが、新アビリティの獲得により、強力かつ多彩なコンボやスーパー・アタックが使えるようになる。

 ただし、増えたバリエーションを無理に使いこなす必要はない。弱や強ボタンの連打系コンボは、複数のザコを相手にする際「ダメージを負いやすい」という欠点がある。ぶっちゃけてしまうと、×ボタンのジャンプをからめたコンボメインで戦わないと、細かい消耗の積み重ねでクリア前に力尽きてしまうことが多い。この「ジャンプ攻撃」と「スパイダーリフレックス」を細かく回復させながら戦う“テンポ”を身に付けてしまえば、ザコ相手に力尽きるといったことはなくなるはずだ。

広く浅くクリアしてスパイダーマンを少しずつ強化。アクションゲームが不慣れな人には、少しずつゲームに慣れていくという点でも強くおすすめしたい



■ 荒い作りが目立つものの、アクションゲームとしては十分及第点

 次世代機でリリースされる「スパイダーマン」シリーズ最新作ということで過剰な期待を抱いた部分はあるが、それを差し引いても、本作は十分「ファンの目にかなう」クオリティを擁している。フレームレートやカメラワークの処理などで一部不満は残るが、筆者のような極度の3D酔い体質の持ち主を除けば、そこまで気にするレベルではないだろう。

 そういった意味では、屋内を舞台にしたミッションについては、かなり辛い部分が目についた。狭い屋内を動き回る際、細かいオブジェクトにいちいちひっかかったり、細かいところが見づらかったりするのは、あまり気持ちがいいものではない。調整ではなく“作りの荒さ”に起因する難易度のバラつきは、単なるストレスに過ぎない。このあたりは(次回作があるなら)是非とも改善していただきたいポイントのひとつ。シネマ・シーンに関しては映画のシーンを再現するためにも必要だと思うが、乱発すると人によっては鼻についてしまうかもしれない。

 最後は苦言も書いたが、全体の雰囲気は本当にいいものがある。ネタバレになるので詳しくは触れないが、ブラック・スパイダーマンに変身できたり、ミッションクリアで敵キャラクタが使えるようになるフィーチャーもファンにとっては嬉しいの一言。完全ローカライズされた日本語音声も違和感はなく、その点では実に気分よくプレイできる。原作ファンはもちろん、映画を見て興味を抱いた人は、ぜひ一度プレイしていただきたい。


Spider-Man and all related characters:TM & (C)2007 Marvel Characters, Inc. Spider-Man 3, the Movie: (C)2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved. Game elements: (C)2007 Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark of Activision Publishing Inc. All other trademarks and trade names are the properties of the respective owners.

□アクティビジョンのホームページ
http://www.activision.co.jp/
□製品情報
http://www.activision.co.jp/sm3/index.html
□関連情報
【9月22日】「アクティビジョン カンファレンス 2007」開催
PS3「コール オブ デューティ4」など新作4タイトルを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070922/actv.htm
【8月10日】大ヒット劇場作品が早くもゲーム化!
アクティビジョン、 PS3、PS2「スパイダーマン3」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070810/sp3.htm

(2007年11月1日)

[Reported by 豊臣和孝]



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