写真で見る、外部出力対応、メインメモリ倍増の「PSP-2000」
9月20日 発売
価格:19,800円
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PSP-2000「ピアノ・ブラック」 |
9月20日に発売される新型プレイステーション・ポータブル(PSP)「PSP-2000」。設計変更や部材の違いなどにより、薄型化(-4.4mm)、軽量化(-91g)しつつ、メインメモリを32MBから64MBに倍増しながら、従来のPSP「PSP-1000」と同様の動作時間と互換性を保っている。CPUの動作クロックは変わらず333MHz。さらに、専用ケーブル(別売)による外部出力に対応し、ワンセグチューナー(別売)にも対応した。発売日以降、PSPはこのPSP-2000に置き換わる形になり、PSP-1000は在庫限りとなる。
製品仕様と同様のPSP-2000に触れる機会をいただけたので、写真をメインにPSP-2000の実機を紹介しよう。
■ 薄型化、軽量化しながらも剛性感は確保した本体
PSP-2000は、表面積は従来機と変わらないが、4.4mmの薄型化は主に背面パーツ(シルバーのパーツ以降)を重点的に薄型化することで実現している。背面は左右の盛り上がりがほぼフラットな形になり、また背面パーツが梨地だったものが表面パーツ同様の塗装が施されるようになっている点が異なる。
薄型化に貢献していると思われるのは、ラッチレスとなったUMDドライブと、これまた表面積は変わらないが、薄くなったバッテリー。UMDドライブは従来機ではOPENボタンがあった位置付近に、指を引っ掛けて開けるくぼみが付けられている。開けてみると、最初に少し力を入れればスムーズに開閉できる。UMDを挿入する際にあったガイドパーツがなくなった分、開閉時に「ガシャッ」といった金属音が消えているのが印象的だ。
ディスクのセットは、UMDをそこに置くようにしてフタを閉めれば、本体側の2つのガイドピンに合わせてUMDがロックされ、フタも小さな爪で軽くロックされる形式になっている。フタには軽めのテンションがかかっており、全開/全閉時が安定するようになっているので、簡単にUMDが飛び出すようなことはなかろう。バッテリーのフタも、ロックの位置がPSP背面から横へと移動。ボタンが小さくなったので最初は戸惑うかもしれないが、これも初代よりは開けやすくなった。
ほかにも変更点は多数ある。まず、スピーカー位置が正面左右の操作ボタン下から上へと移動。開口部は従来の4つから2つになったが、ゲームプレイ時にスピーカー穴が手でふさがれないようになったおかげで、音がはっきりと聞こえるようになった。スピーカーを含めた音声出力能力自体に変更はないとのことだが、はっきりと違いを感じ取れる部分だ。
表面から見てみると、表面カバーパーツにも違いが見受けられる。液晶画面から左右に向かって角度が付けられていたが、その部分の傾斜が緩やかに変更されている。これは薄型化による容積の確保のためだろう。
また、IrDA(赤外線)ポートが省略され、その位置に無線LANスイッチが移動。メモリースティックスロットは左下部から左上部へと移動、フタも小型化し、背面ではなくサイド中央のシルバーのパーツを開ける形になっている。メモリースティックスロット開口部は狭まっているが、アクセスに支障は感じなかった。
ほかにも、5Vの電源コネクタの下にあった充電用の金属端子が省略されたが、代わりにUSB端子経由での充電に新たに対応した(本体メニューのUSBモードで充電することが可能)。イヤフォンジャックの横にあったリモコン用端子は「ビデオアウト端子」となり、従来機と異なるため、PSP-1000用のリモコンは使えない。この「ビデオアウト端子」には、別売のAVケーブル、「D端子ケーブル」、「コンポーネントAVケーブル」(以上2,800円)、「S VIDEO ケーブル」、「AVケーブル」(以上2,200円)を接続することによる外部映像出力が可能だ。
いろいろいじってみた限り、従来機とはっきり違うなと感じられたのは、まずは軽さだろう。91gという数値を確認しなおしたほど、「軽くなった」と思える。さらに、本体の剛性感が上がっていることも感じ取れる。従来機も発売当時はそれなりにしっかりした作りになっていると思ったが、本体をひねってみるとUMDドライブを中心に「たわむ」感じがあった。それがPSP-2000には感じられない。また、ボタン周りも、先ほど指摘した表面パーツの変更などによる影響か、特にアナログパッド周りのタッチが変わり、より操作しやすくなった。ボタン類のタッチもしっかりしていると感じられる。
液晶部分は480×272ドットと解像度は変更なし。残像感も従来機とあまり変わらないように感じられた。液晶上にあるUSB端子と、その左右にあるビス穴の位置関係に変更はなく、「ちょっとショット」、「USBカメラ(PSP-300)」、「GPSレシーバー(PSP-290)」などのUSB接続の拡張機器はひととおり使用可能。
カラーは「ピアノ・ブラック」、「セラミック・ホワイト」、「アイス・シルバー」の基本3色と、「Blume series」の「ローズ・ピンク」、「ラベンダー・パープル」、「フェリシア・ブルー」の中では、「ピアノ・ブラック」、「セラミック・ホワイト」以外はメタリック塗装が施されているようだ。広報写真で見るよりも渋く落ち着いたカラーラインナップだ。従来機にあったブルー系のビビットなカラーや、赤、黄、緑といった色味の本体の登場も期待したいところだ。
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PSP-2000(左)とPSP-1000(右)。思ったより薄い |
背面も塗装されて表面と同じ質感になった |
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ボタン周りの傾斜が多少ゆるくなったように見える。左下のヘッドフォン端子の横にビデオアウト端子がある(音声はヘッドフォン端子、映像はビデオアウト端子より外部出力) |
OPENボタンがなくなり、ワイアレススイッチが上に移動。USB周りは充電できるようになったこと以外は変更なし |
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UMDドライブは手で開ける方式に変更。UMDのガイドパーツがなくなった |
メモリースティック デュオスロットが上へ移動。カバーパーツも新規に |
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バッテリーの形は同一だが、薄くなった。従来よりも低容量だが、省電力化により動作時間は変わらないという |
■ 待望の外部映像出力。ゲームはインターレース非対応
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別売のD端子ケーブル。日本ではこれが一番メジャーな外部出力ケーブルになるかと思われる |
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外部出力切り替えはディスプレイボタンを長押しすることで簡単にできる |
PSP-2000を実際に起動してみたが、起動時間は15秒程度で従来機と変わらずだった。資料によれば、最大稼動時間などは従来と変わらないというふれこみだが、UMDのアクセス量など、ゲームタイトルによっては変化が起こる可能性があるとしている。
さて、PSP-2000最大の魅力の1つは外部映像出力に対応したこと。外部出力するには、前述の映像外部出力ケーブルを「ビデオアウト端子」に接続し、XMBから選択するか、ディスプレイボタンを長押しすることで可能(音声のミュートと同方式)だ。出力を外部に切り替えると、PSP本体からは映像も音声も出力されなくなる完全切り替え方式となっている。出力はインタレースかプログレッシブを選択できる(XMBの『設定』のなかに項目が存在)。
注意点としては、インターレースはNTSC方式しか対応していないので、ヨーロッパで主流のPAL出力には対応していないこと。そしてもう1つは、ゲームの映像出力はプログレッシブ方式にしか対応していないことが挙げられる。メモリースティックに保存したビデオファイル、そしてUMDビデオ、メインとなるXMB画面などはすべてインターレース出力に対応している。つまり、ゲーム映像を別売の「S VIDEOケーブル」および「AVケーブル」では出力できず、「D端子ケーブル」、「コンポーネントケーブル」で対応AV機器を接続することになる。
ゲームの出力解像度は液晶画面と同様の480×272ドットで、UMDビデオなどは最大720×480ドットまでをサポート。PSPでのWebブラウザ表示や、リモートプレイ表示などは612×408ドット(テレビ安全領域に対応)で出力されている。外部出力すると、ゲームの場合は上下左右が黒枠に囲まれる形になる(TVによってはフル画面にできると思われる)。このときはまさにPSPはコントローラ的使用感となるのが新鮮だ。ぜひ従来機でも実現してほしいところだが、音声出力周りの仕様が異なるなどの理由でサポートされない模様だ。
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XMBからも画面出力切り替えは可能。ここでインターレースとプログレッシブの設定も行なう |
UMDビデオは720×480ドットで収録されており、フル解像度で初めて映像を見ることができるようになる |
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画面出力で「インターレース」を選択している場合、ゲームを外部出力しようとするとこのように警告が出、出力できない |
ゲームを画面出力したところ。解像度の関係から画面いっぱいに出力しない |
■ 別売り機器も追加/改良され魅力アップ
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小型化されただけでなく、パーツ分割方式が変わり誤操作が減った新型リモコン |
従来からあったリモコン付きヘッドホンも、PSP-2000対応の新型「PSP-S140」は、小型化されただけでなく、再生/ポーズボタンと早送り/巻き戻しボタンが別パーツになったおかげで、誤動作が減っているのが非常にうれしい。
そしてPSP-2000のもう1つのウリである「ワンセグ」対応。別売のロッドアンテナ方式のワンセグチューナー「PSP-S310」(6,980円)をセットすることで、日本でのワンセグ放送を視聴できる。ワンセグを見るためには、別途メモリースティック デュオが必要となる。これは、チャンネルデータを保存するためだ。今回ファームウェア「3.60」のPSP-2000では、XMB上に「ワンセグ」メニューが登場している。ワンセグ機能の詳細に関しては僚誌AV Watchの記事に詳しいが、基本的に視聴(番組表/字幕表示はサポート)のみ対応。データ放送や録画には非対応となっている。
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注目要素の1つ、ワンセグチューナーはUSB接続される。ネジ1つでPSPに固定する。ワンセグチューナーもPSP-2000専用で、PSP-1000には対応できないという |
ワンセグも外部出力可能 |
リモートプレイやPS3を経由したPSタイトルのダウンロードプレイなど、独自の進化を遂げてきたPSP。PSP-2000ではさらに外部出力、そしてワンセグ放送への対応も果たし、単なるゲーム機の枠を超えた携帯AV機としての発展性が感じられる。
さらに、ゲーム機としては、待望のメインメモリ倍増というトピックがある。ディスクキャッシュとしての活用はもちろん、通信モジュールなど常駐プログラムを置いておきやすくなどの予測が成り立つため、PSP-2000ではロード頻度が下がったり(バッテリーの持ちにも影響があるかもしれない)、PSP-2000に対応したソフト作りができれば、高レスポンスや機能の向上などがあるかもしれない。従来機との互換性を保ちつつPSP-2000に対応したソフト作りは大変かもしれないが、これでより楽しいタイトルが出現してくれることを祈るのみだ。
なお、本体の同梱物はACアダプターとバッテリーパック(1200mAh)のみ。ストラップやケースなどは付属しない。また、従来のバッテリーチャージャー(PSP-190)、バッテリーパック(PSP-110)、大容量バッテリー(PSP-280)、リモコン付きヘッドホン(PSP-140)は互換性は現状ない。ポーチ&ハンドストラップ(PSP-170)は、ストラップは問題ないが、ポーチはユルユルになってしまう。新しい対応アクセサリの登場にも期待したい。
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□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□製品情報
http://www.jp.playstation.com/psp/
□関連情報
【7月17日】SCEJ、「PLAYSTATION PREMIERE 2007」開催。
平井氏、新型PSPをポケットから取り出しアピール。各メーカーの新作PS3ソフトがズラリ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070717/pp1.htm
【7月17日】SCEJ、「PLAYSTATION PREMIERE 2007」開催 新型PSPはカラバリ6色で9月20日発売新型専用ワンセグチューナーなど発表【速報版】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070717/scej1.htm
【7月12日】SCEA E3プレスカンファレンスレポート 薄型PSPを初披露。PS3「GT5 Prologue」など新作も発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3sce.htm
【7月12日】SCEA、スリムで軽い新型PSP「PSP-2000」を発表。9月に日本、米国、欧州で発売へ
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(2007年8月9日)
[Reported by 佐伯憲司]
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