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価格:2,625円(税込)
インベーダー以来ゲームファンを続けるおっさんゲーマーが多いGAME Watch編集部ゆえ、「SEGA AGES」新作がリリースされるたびに「(インタビュー)どうする?」などという話になるのだが、あまり頻発してもいやらしいし、それなりに知名度を持つタイトルの復刻版なら「うちらがその都度でしゃばらなくても」と考えて自重していた部分がある。 そういった意味で、今回の「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.30 ギャラクシーフォースII スペシャル エクステンデッド エディション」は、初手からぶっちゃけてしまうと「これ大丈夫なのかなぁ。はたして今時の人たちにアピールするだろうか?」と一抹の不安を禁じえない部分があった。というのも、当時のアーケードシーンに身を投じていた古参ゲーマーならご存知だろうが、本作はセガがリリースした大型筐体のなかでも(R-360ほどではないが)特殊な部類に入るからだ。 グイグイと前後左右にバンクしながら360度回転し続ける大型筐体。プレイ中の筐体に第三者が触れるのは危険につき、安全確保のため筐体の周囲から少し離れたところにロープを張らなければならない。筐体サイズ以上に設置面積を確保する必要があったため必然的に導入店舗が限られ、その結果「大都市圏でもどこにあるか探さないとプレイできない」といった作品だった。 筆者は運良く(?)学校帰りに立ち寄るアミューズメント施設に本機が導入されていたため「うわ、なんじゃコレ!」といった感じで、触れる機会に恵まれていた。いわゆる50円ゲーセンだったため、プレイ料金も当初から安めに設定されており、カジュアルに遊べたのもプラス要因のひとつ。特殊な大型筐体ゆえ故障していることもあって頻繁には遊べなかったが、それでも「あれは結構貴重な体験だったのかなぁ」などと、懐かしく思い返すことがある。 当時さほど人目に触れたタイトルではないし、さらに“スペシャル エクステンデッド エディション”すなわちメインタイトルのネオクラシック版、オリジナルのアーケード版、メガドライブ版、マスターシステム版のマルチ構成ながら“ギャラクシーフォースII”でくくるならワンタイトルとみなされかねない危うさ。オムニバス的に複数タイトルが並んでいるわけではなくバラエティ感が希薄。当時の出回り数から、決してメジャーとはいえないネームバリュー。マニアなら絶対に知っておくべき“マイナーメジャー”ではあるが、予備知識ゼロの新規ユーザーに対してそれをアピールしても仕方がない。
ゲームとしての内容はもちろん、ゲーム文化を後世に残す、語り継ぐといった意味でも、本作の存在意義は計り知れないほど大きい。だが、しかし! 悲しいかな、そこはゲームゆえ「興味を引いて遊んでいただいてナンボ」である。うだうだと小理屈をこねて大上段から偉そうに「これは凄いんだ!」などといっても詮無きこと。よって、ここは三度プロデューサーの奥成洋輔氏にご登場いただき、通常とは異なる記事展開でユーザーの皆様にアピールしてみたい。新規ユーザーはもちろん、当時遊んでいた人にも新たな発見がある本作。記事に目を通していただき、「ギャラクシーフォースII」という唯一無二の個性を放った作品への興味を強めていただければ幸いだ。
■ 16:9対応で“さらなる魅力”が引き出された「ネオクラシック」モード
奥成 発表したのは2年前の夏でしたね。大変長らくお待たせいたしました。開発を始めたのも、本当に2年前なんですよ。当初は「スペースハリアーII」と一緒に出そうと。セガになってからの第1弾として出す予定でスケジュールを組んでいたんですが、着手してみたところ……前のインタビューでもお話したと思うんですが……68000CPU×3のエミュレーションをPS2でやるのは、なかなか大変だというところで。昔、セガサターンで「るつぼ」(RUTUBO GAMES)がやっていたようなコンバート的な移植をするか、完全なエミュレーションを行なうかといった検討で「時間をかけてエミュレーションができるんだったら、とりあえず後回しにしよう」となった。 そして他のタイトルを作っていったんですが、その間も「ギャラクシーフォースII」の開発はコツコツと続けていて、だんだん「CPU3枚のエミュレーションができるようになりました」と言っているうち“「SEGA AGES」に求められるレベル”がどんどん上がってしまって。「『ギャラクシーフォースII』が移植できて良かったね」というところまでいったときには、既に「これを単体で売って大丈夫なんだろうか?」と(一同笑) 去年リリースした「テトリスコレクション」は、(開発会社の)M2さんにお願いした開発タイトルで初めて“リメイク”作を収録した。その次の「モンスターワールド コンプリートコレクション」のコンセプトは「入れられるだけ入れよう」ということで、バージョン違いを含めて16本のゲームを入れた。しかし、「ギャラクシーフォースII」は16本入ってるわけでもなく……。完全移植は「スペースハリアーII ~スペースハリアー コンプリートコレクション~」発売当時なら、それだけで良いと思っていた。でも「モンスターワールド コンプリートコレクション」を買ってくれたお客さんに「『ギャラクシーフォースII』しか入ってないの?」っていわれちゃうのは、なんとなく寂しいね、というところがあって。 じゃぁ、何をしたら「ギャラクシーフォースII」が魅力的に、お客さんが納得してくれるものになるか、結構前から考えていたんですね。遊びに関係ないゲームを入れてパックにするという手もあるけど、それは「SEGA AGES」のコンセプトとして、ちょっとちがうかなと。できるだけ「背表紙」にゲームのタイトルが入る……お客さんが「ギャラクシーフォースII」を買うために、それを手にとってもらいたいという想いがあった。 ―― それが「ネオクラシック」につながると 奥成 「ネオクラシック」のアイデアひとつひとつは開発元のM2さんから出たもので、今回のリメイクはほとんどM2さんのお手柄ですね。私は出てきた追加要素を見て「それではこう組み合わせて1本のリメイク版としてまとめましょう」とまとめたくらいです。それが「ネオクラシック」です。 ―― リメイクにも色々な手法がありますが、今回のスタイルを採用した理由は? 奥成 まず、見た目は同じだけどまったく違うゲームとか、見た目からしてまったく違うゲームというものを作る予定は、最初から無かった。「SEGA AGES」は、元ゲームの面白さはそのまま遺したい。元からある部分はすべて内包したうえでやりたいというところがあって。「ダイナマイト刑事」のリメイク……あれは内田ディレクター(元セガ第1AM研究開発部。『ゴールデンアックス』、『エイリアンストーム』など数多のアーケード作品を手がける。現在は中国にて上海スタジオを設立。最新作はアーケードの『ダイナマイト刑事EX ~アジアンダイナマイト~』)のところでやったものなんですけど。見た目は進化させながら本質はいじらないという、あの手法が非常に上手くいったので、それと同じ方向性を「ギャラクシーフォースII」でも行なうことにしました。 最初に手をつけたのは「16:9(画面比率)」への対応ですね。「ギャラクシーフォースII」は、元々“画面を回転させて表現する”ところがある。そこから、モニターに表示する部分以上を描画していることがわかった。「これ、ひょっとして、16:9でできるかも?」というのをプログラマが見つけまして。実際にやってみたところ、思った以上に「ギャラクシーフォースII」のゲーム性に合っていた。結構、画面を左右に揺らして動かすゲームなんで、全然違和感がないというか「元から16:9だったんじゃないか?」というくらいゲームにあっていた。特にカーブを曲がるところがプレイしやすいし、遠くから飛んでくる敵を発見しやすいのでロックオンもやりやすい。 あと、実は裏技を使うとこの作業前の痕跡がわかるんですが。 ―― アーケード版が16:9の画面でプレイできるんですか! 奥成 これでご覧いただくとわかるんですが、発進シーンの左右(本来、アーケード版では表示されない領域)が見えちゃうんですよ(笑)。アーケード版を単純に16:9にしただけでは、左右に色々なものが表示されていないことがあるんですね。これじゃちょっとマズイんで「ここは改めて描かなきゃいけないね」となりまして。
奥成 あとは、まぁ……今改めてみると、ドットが荒い(笑)。アーケード版の忠実移植なんで、これはこれで「こういうものだから仕方ないよね」っていうところだったんですけど。そこで、M2さんから「画面のグラフィックを高解像度化したい」という話が出まして。 ―― ……スケジュール的に厳しそうですが。 奥成 計算したら「間に合わない」って(一同笑)。予算も限られているし、スプライトの数を計算すると、相当な数を描き直さなきゃダメなんじゃないか。それはちょっと厳しいんじゃないか? という話をしていたんですが……気が付いたらできていた(笑)。この辺は、本当に彼らの努力の賜物という感じですね。 それから個人的にもっとも気に入っているのが半透明処理ですね。以前「ゲーマガ」さんに開発中の画面を初めて掲載した頃なんですが……そのときのバージョンが、まだスプライト画面が“半透明の板”でしか表示されていないものだったんです。CPU3つをエミュレーションしきった時は、まだ速度が出なくて、そこまでしかできていなかったんです。ただ、その画面には結構な立体感があったんですね。「なんでこんなに立体感が出たんだろう?」と考えたら“半透明のアルファチャンネルの板が多層に重なっている表現が奥行きを出していた”のだと。「その効果を画面に取り入れたらどうなるだろう?」というのが「ネオクラシック」奥行き部分の表現につながっているんです。 ―― アーケード版よりも立体感において勝る? 奥成 立体感という部分では(アーケード版のほうが)弱い。こうして16:9の画面比率変更、半透明による立体感の増加、最後に解像度を直すというところまでやった。これなら、もう1本のゲームといってもいいかな、と。あとは「SEGA AGESはオプションが複雑でわかりにくい」ところがあるので“遊び方の推奨”的なところで、あえて「ネオクラシック」という名前をつけさせていただきました。 ただ、ここで言いたいのは「ネオクラシック」になったからといって、元のゲーム性が変わったかというと、実は変わっていない。やり比べていただければわかると思うんですけど、誤解を恐れずに言えば元からあったゲームを“今の技術で見栄えを良くしただけ”なんです。そこで改めて「ギャラクシーフォースII」を再評価してもらえるといいなと。 オリジナルを遊んでくださっていた方は「実はレースゲームである」というゲーム性を理解していただけていたと思うんですけど。アーケードをちょっと遊んだだけの方だと、レバーとスティックの操作系に慣れないまま(終わっていたかもしれない)。あとは1ゲームの値段の高さみたいなところもあって。それほどやりこめない人も多かったんじゃないかと思います。 ―― それは、我々も気になっていたところです。今までリリースされた「SEGA AGES」タイトルのなかで、現時点ではもっとも「原体験」を持つユーザーが少ないタイトルなのではないかと。なにせ筐体サイズが相当な代物でしたから、当時は導入店舗が限られていた。 奥成 今回、そういった筐体部分も「アーカイブ」として「ビデオ(筐体が動いているビデオ映像)」に収めましたね。 ―― この映像は、どういった経緯で残っていたものなんですか? 奥成 マニュアルにも書いてあるんですけど「ファンタジーゾーン」を作った、デザインの近藤(現・セガ第1AM研究開発部)が当時録画したビデオを大事に保管していたんです。手持ちのビデオで素人が撮ってるから画面がグラグラしてるんですけど(笑)、そこから使えそうなところをチョイスしました。 ―― ライティングとか、微妙にアングラっぽい映像ですよね(笑) 奥成 確かに(笑)。人が乗って動いている筐体を見ていただくと、改めて「あぁ、自分の記憶どおりデカかったんだなぁ」と。写真では伝わらない、当時のヤケクソさ(一同笑)。「スペースハリアー」、「アウトラン」、「アフターバーナー」など、でかい筐体を出して支持されていたんで、いい意味でどんどん悪ノリが過ぎていったという1つの結果なんじゃないかな、と(笑)。動いているのを見ると、今やっても面白そうだなってところはありますね。日本で今、これが遊べるかどうか定かではないんですが。噂では大分に1台あるとかないとか。 ―― 筐体といえば、オリジナルはレバーとスティックで操作しましたが、そのあたりの違いは? 奥成 フライトスティックにも対応させましたが、PS2のコントローラーでも、ゲームそのものの面白さが素直に伝わってくるので「思っていたより面白いじゃん!」と言ってもらえるといいなぁと。“思い出買い”で手にした人が何度かやって操作に慣れると、結構理解してもらえるんじゃないかと思います。あと、当時まったく受けなかった(一同笑)メガドライブ版も、「ネオクラシック」や「アーケード」のあとで遊んでいただくと、これが意外とちゃんと移植されていることに気が付く。 ―― メガドライブ版って、凄く“生真面目”に移植されている作品ですよね。精一杯感があるというか。 奥成 “心の目”でエフェクトを重ねていただくと(笑)。アーケードの移植を頑張ってやっているというところが結構伝わってきます。正直、メガドライブから入った人には「なんだろう、コレは」っていうゲームになっているんですけど。そこが面白いんじゃないでしょうか。昔あったファミコン版「アフターバーナー」が実は良くできているとか。そういったところで、実はメガドライブ版「ギャラクシーフォースII」も、アーケード版と比較プレイすれば、良くできていると思っていただけるんじゃないかな、と。 ―― マスターシステム版についてはいかがでしょう? 奥成 マスターシステムに関しては、作られていたけれど、当時の日本で売られていない。当時マニアの間では有名だったんですけど。海外の本体では鳴らないFM音源サウンドが、なかなかいい音を出していて。セガダイレクト専売で「サウンドトラックCD」を作ったんですが、少しだけ収録時間に余裕があったんで、マスターシステム版のサウンドを全部入れようって。なぜかそれも全曲入ってる(笑)。 ―― パッケージを見て「え、マスターシステム版なんてあったの!?」なんて人も多そうです。 奥成 マスターシステムは、欧州方面を中心に意外と長く出ていて……タイトル画面の年号を見ていると、サターン時代、メガドライブ後期くらいまでは出てる。このゲームも、'89年かな? 結構メガドラ発売に近い頃の年号がついてますね。
■ 20年ぶりの“懐かしい!?”新エンディング曲
―― ただ編集されていただけ? 奥成 たぶんビデオを作った人も「音がないのはマズイよな」って入れた曲だったんでしょう。移植してみて、さぁどうしよう。うちも同じように3面のイントロ使おうか? みたいな話をしていたところ、セガを辞められていた並木晃一さん(アーケード版のBGM作曲家)と運良くコンタクトがとれまして。最初「サントラにアレンジ曲を入れてください」という話から始まったんですが、それを快諾していただけたところでドサクサにまぎれて「ゲームのエンディング曲が、実はないんですけど……どうでしょう?」という話をしたら、そちらも快諾していただけまして(一同笑)。約20年ぶりにエンディングに曲がつくことになりました。 エンディング部分をビデオに撮って渡して「ここに曲をつけてください」という形にしたので、ある意味「音楽が映像にシンクロしている」実に後付けらしいエンディング曲がつけられたかなと。最初は「生音で」という話もあったんですけど、やっぱりゲーム内でいきなり生音がかかるのも違和感があるのでゲームと違和感がないように、ここは是非「基板風の音を」と指定させていただいて、最後にOPM(YM-2151。YAMAHAのFM音源チップで、本作にも採用されていた)で鳴っているようなエミュレーションを行なったうえで載せてます。 それから、過去の「SEGA AGES」シリーズで毎回「音がちょっと違う」という指摘がありまして。これはFM音源という音の特性上、難しいところではあるんですけど。今回は1本だけということもあったので、基板の音声を全部収録して、それと選択できるようにしました。他社さんの移植ゲームとか、わりとストリームで鳴らすのが一般的なんですが。今回「やるからには!」ということで音質にはこだわりました。サントラにしか入っていなかったイントロ付きバージョンも選べるようになっています。 音に関しては、サントラを作るときに、ゲームに収録することを前提で早めに作業を進めていました。基板の音質には「アウトラン20thアニバーサリーボックス」などを担当したスタッフが、こだわりをもって作ってくれています。あとは、オマケでFM-TOWNS版「ギャラクシーフォースII」の曲も選べます。当時FM-TOWNS版を買った人に「なんじゃこりゃぁ!」と話題になってしまったアレンジ曲(笑)。それも、今聴いてみるとまた味があっていいな、と。 ―― 音に関しては“全部入り”という感じですね。そういえばFM-TOWNS版は収録されてませんが? 奥成 さすがにFM-TOWNSのエミュレーターを作る余裕はなかったので……入っておりません。ぜひマーティとかで遊んでいただいて(笑)。あと、余談になりますが、ストリーム曲を実装してからしばらく経ってから「(オリジナルと)違いがある」ということがわかりまして。何かと思ったら、「ギャラクシーフォースII」の基板はLR出力が逆になっていた。PCMは正しいんだけど、FM音源だけチャンネルが逆になっていたんですよ。 ―― でも、それは「間違っているのが、正しい」わけですよね? 奥成 そうです。だから、わざわざ間違っているもので録り直した。その辺りもストリームを入れて聴き比べてわかったところなので、サントラだけだったら、たぶん気が付かなかったと思います。これで録り直した後聴いてみたら「ちょっとリズムが弱い。これは違う」とかわがまま言って、都合3回くらいやり直して。それでまたマスターアップが1週間延びたり(一同笑)。 ―― 「SEGA AGES」に関わる人は、色々な分野の“エキスパート”になっていきますね(笑) 奥成 「テトリス」くらいから、だんだん“やること”が本格的に増えてきて、そのぶんは素直に時間を取ろうということにしました。今までは、2カ月に1度くらいのペースでリリースしていこうと思っていたんですが、発売日がどんどん延びていくので、ユーザーの方は不安になるし「本当に出るのか?」という文句の声も当然あると思うんですが。「SEGA AGES」に関しては、すいませんそこは大目に見ていただいて、そのぶん出したものに関しては、何かしら大きなポイントがあるものにしたいなと。1個ずつ大切に作っておりますので……。 「モンスターワールド コンプリートコレクション」は“数の限界に挑戦”がひとつのコンセプトで、「ギャラクシーフォースII」については“ネオクラシック”というリメイクがポイント。そういったポイントは、今後のタイトルに関しても徐々に明らかになっていくと思います。 ―― 当時現役だったプレーヤーのリアルタイムの声などは、開発にフィードバックされていますか? 奥成 スーパープレイを収録したタイトルは、アーケード版をかなりやりこんでいるプレーヤーに実際に遊んでいただく関係上、その前後で最終調整を行ないます。ただし今回のような特殊筐体の移植の場合は、特殊コントローラをそのまま使えるわけではないので、アーケード版の腕を100%反映できないところが悩ましいところですね。 ―― スタッフの方は、リアルタイムで体験した世代なんですか? 奥成 基本的にはそうです。そういう意味もこめて“好きな人が作っているソフトでありたい”というところは常に持ってますから。さすがに「SEGA AGES」でリリースした全タイトルを「極めた人たちだけ」で作っているとは言いませんが。ただ、作るからには「好きなタイトルを移植したい」という気概はあります。そういう意味では「ギャラクシーフォースII」は、かなり愛情を込めて作りました。遊んでいただければわかると思います。ぜひ再評価していただきたい。実は面白いゲームなんです(一同笑)! このゲームの生い立ちを簡単にお話すると、オリジナルタイトルの企画は、「SDI」や「カルテット」を作った、今は他の会社で執行役員と超人気開発チームのリーダーをなされている人なんです。やっぱり、そういう方の作られた作品だから、一本筋が何か通っている。当時は見た目から「アフターバーナー」のイメージが強くて、同じ感覚で遊ぶと、スピードはスローにして撃墜率を増やす遊び方をやってしまいがちで、それがネックになっちゃったのかなと。「ギャラクシーフォースII」は、スロットルは常にHiにして、コーナーをいかに減速させずインを突いていくかという。ある意味「ナイツ」に近いというか。 ―― 当時なんとなくプレイしているとスロットルの重要性に気づかなくて、あっさりタイムがなくなって終わるから、魅力に気づきにくい。そういう部分も「ネオクラシック」も含めて、再認識させられた、という印象があります。 奥成 画面が左右に振れるぶん、エネミーセットが左右に用意されているんですよね。16:9にするとアーケード版でありがちだった、画面を左右に振った瞬間、敵が直前に来ていて、上手く撃墜できないというのは解消されてますね。「『ギャラクシーフォースII』に、ここまでこだわらなくてもいいだろう」そんなふうに言われるところまでは作れたんじゃないかなぁ、という感じですね。 ―― あとは、若い世代……新規のお客さんにどれだけアピールするか、ですね。 奥成 新規層……難しいかもしれませんが。かといって、ポリゴンの「ギャラクシーフォースII」とか、想像つかないですし。そのままのゲーム性が出せたとして、それが面白いかどうかっていうのは……初めのコンセプトから変わってきてしまうので。 ―― あるいはフライト風になってしまったかもしれません。 奥成 2Dと3Dの真ん中くらいの立体感。ぼくのなかでは、コレ(ギャラクシーフォースII)は立体なんですが、今の人がコレをどういう目で見てくれるのかわかりません。楽しんでくれるといいなぁ……。あとは、こういったストイックなゲーム性を支持してくれるかどうかですね。幸い、Wii「バーチャルコンソール」などでオールドゲームに対する抵抗感は減っていると思いますから。遊んでいただければ、満足していただけるものに仕上げたつもりです。
―― おっ、それマトメにいただき! ありがとうございました(一同笑)
(C)SEGA
□セガのホームページ (2007年8月1日) [Reported by 佐伯憲司/石井ぜんじ/豊臣和孝]
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