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会場:ロッテワールド
■ RWCを復活し、さらに充実度を増したプライベートショウ「Gravity Festival 2007」
今年は会場をCOEXからロッテワールドに移し、さらに規模を拡大しての開催となった。昨年は、「ラグナロクオンライン」ユーザーを11カ国から22名招待し、ユーザーがテープカットを行なうというGravityらしい催しを行なったが、今年は、「Ragnarok World Championship」を3年ぶりに復活。日本を含む、11カ国から代表選手を集め、Gravity Festivalのメインイベントとして位置づけた。 会場となったロッテワールドは、よく知られているように韓国を代表するアミューズメントスポットであり、ランドマークであるロッテワールドアドベンチャーを中心に、その周りを取り囲むようにホテルやデパート、DUTY FREEショップ、シネマコンプレックス、ショッピングモールなどが建ち並び、統一の取れた街を形成している。
「Gravity Festival」は、広大なロッテワールドの1階と地下3階の一部を用い、ロッテワールド内の特別催事のような形で開催された。1階はロッテワールド内にあり、地下3階はフードコート中央のスケートリンクを使用。階が離れているが、スケートリンク部分は吹き抜けとなっており、1階から、地下3階の隅々までを見渡すことができる。また、1階と地下3階で、それぞれほぼ同一の出展内容を揃え、ロッテワールドの来場者も、Ragnarok Festivalの来場者も同一の出展が見られるように工夫を凝らしていた。
■ 3本の新作カジュアルゲームを出展。カジュアルゲーム戦略を大幅転換か
Gravityのカジュアルゲームといえば、2005年に発表して東京ゲームショウにも出展されたカジュアルゲームポータル「STYLIA」のイメージが強いが、今回「STYLIA」は未出展で、その代わりに、韓国産アニメーション「Pucca」を題材にしたカジュアルレースゲーム「Pucca Racing」、可愛いキャラたちが魔球やパワーヒッティングを行なうカジュアル野球ゲーム「W Baseball」、柳CEOが発足させた自社開発チームZ Studiosが手がけたオンラインアイスホッケーゲーム「Body Check Online」の3本のカジュアルゲームを出展していた。 韓国のゲームショウ「G★」では毎年多数のカジュアルゲームが発表されるため、Gravityが3タイトルのカジュアルゲームを出展することは一見なんでもないことのように見えるが、この発表にはGravityのカジュアルゲーム戦略の大きな方向転換を示している。 Gravityと韓国NHNは6月に業務提携を発表し、GravityのオンラインゲームをNHNのゲームポータルサイト「Hangame」で展開することを明らかにした。その提携内容は実に思い切ったもので、「STYLIA」を除く、Gravityが保有するMMORPGとカジュアルゲームの全タイトルとなっている。7月12日より「Hangame」に、「Gravity Zone」が設けられ、Gravityタイトルのサービスが開始され始めている。
現在、「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンライン II」、「エミル・クロニクル・オンライン」の3タイトルが展開され、今後「Requiem Online」や「Time N Tales」といったMMORPGや、今回初出展されたカジュアルゲームタイトルが提供される予定となっている。数年前までは、韓国大手はすべて自社タイトルを自社のポータルで展開しようとしていたのに比べると、隔絶の感がある。韓国大手同士の強力なタッグがどのような結果をもたらすのか楽しみだ。
■ RWCは上位4カ国が出揃う。日本はラグに悩まされ初戦敗退
日本から参戦した、女性のギルドマスターPinkyさん率いる「punch」は、1回戦の韓国との試合で0-2で破れ、1回戦敗退という残念な結果となった。敗因は、戦術ミスや実力差以前の問題として、大会当日に突如遭遇した“ラグ”だった。 客席から観戦している限りでは、いわゆる“ラグラグ”で試合にならないというほどではないように見えたが、ランドプロテクターの張り替えや、前後への移動時など、結構クリティカルなタイミングで大きめのラグが起こっていた。選手側では、定期的なラグに、ランドプロテクターを張って身を守ることすら覚束なかったようで、ランドプロテクターをはみ出してしまった選手がストームガストで凍らされ、阿修羅覇凰拳で各個撃破されるという非常にわかりやすい負け方をしていた。 日本代表選手の皆さんに敗戦の感想を聞いてみたところ、「ラグで身動きが取れず、作戦どころではなかった」、「応援してくれた日本のみんなに申し訳ない」、「雑魚でサーセンでした(笑)」、「(ラグのない)日本のサービスは素晴らしいということを韓国に来て初めて知りました」、「来年あればまた頑張りたい」と、あまりにあっけない幕切れにサバサバした感じでコメントしてくれた。 また、RWCの日本予選から、日本代表チームを支えてきた「ラグナロクオンライン」制作担当の野呂彰氏にも話を聞いてみた。野呂氏は、「日本の試合環境と、韓国の環境が違いすぎたのが敗因です」と簡潔に述べてくれた。「日本での練習ではラグをまったく想定していなかったので、単純に運で勝敗が決まってしまった。ラグで身動きが取れないので、あまり細かく作戦を決めずに、パラディンのプレッシャーや、アサシンクロスのソウルブレーカーを連打していたチームの方が強いという結果になってしまった」と、むしろ選手より野呂氏のほうが悔しそうだった。 同席したマーケティング担当の飯野氏は、「原因を解明してもらった上で、ウチのルートでしかるべき抗議をしていくことになると思います」と、“ラグ”の常時発生という大会運営の不手際を抗議する考えを明らかにしてくれた。野呂氏も「事前に試す機会があれば、ラグを前提に作戦を組み立てられたかも知れないので、それができなかったのは残念ですね。ストレスのたまる試合をさせてしまってすいません」と申し訳なさそうにしていたのが印象的だった。
韓国はよく知られているようにプロゲーマーが多数存在する“ゲーム大会大国”である。このため、大会運営そのものが杜撰だったとは考えにくく、単純に会場が先に決まり、ネットワーク環境を後回しにされたゆえに発生したトラブルだと考えられる。そういう意味では責任は、ゲーム大会開催に向けてインフラのチェックを怠ったGravity上層部にあるといえそうで、また次回RWCが開催されるとすれば、RJCの連続開催で「RO」の大会運営に関しては世界随一の実績を持つ日本での開催をぜひとも期待したいところだ。
□Gravityのホームページ (2007年7月21日) [Reported by 中村聖司]
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