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Gravity Festival 2007現地レポート

韓国Gravity、「Gravity Festival 2007」をロッテワールドにて開催
日本は初戦敗退。「W Baseball」など新作カジュアルゲームを多数出展

7月21~22日開催

会場:ロッテワールド



 韓国Gravityは、ソウル特別市松坡区のロッテワールドにて、Gravity主催のプライベートショウ「Gravity Festival 2007」を開催した。初日の21日は、開会式の後、Ragnarok World Championship(RWC)の決勝トーナメントが開催され、ベスト4が決定。賑やかなステージイベントや各新作タイトルのブース出展が行なわれたほか、プレスルームでは、韓国や海外メディアに向けた新作発表会が行なわれた。それらの詳しい内容については追ってお伝えすることにして、本稿では取り急ぎ「Gravity Festival」初日の模様をお伝えしていきたい。


■ RWCを復活し、さらに充実度を増したプライベートショウ「Gravity Festival 2007」

会場となったロッテワールド。メインエントランスは地下にあり、巨大なショッピングモールの中に遊園地があるというイメージだ
1階から撮影したところ。眼下に広がるメイン会場は地下3階。1階には、遊園地らしいアトラクションが所狭しと並んでいる
 Gravity Festivalは、柳日栄CEOの体制下でイメージ一新を図るべく、2006年よりスタートしたGravity単体のプライベートショウ。金正律会長時代にも「Ragnarok Festival」という形で実施していたが、扱うタイトルを「ラグナロクオンライン」以外にも広げ、Gravityが持つすべてのタイトルが出展対象となっている。基本的な性格は、入場無料のユーザーイベントではあるが、韓国のみならず、ワールドワイドを意識したイベントであるところを大きな特色としており、Gravityがビジネスを展開している世界17カ国を対象に、パートナー企業やメディアを集め、ビジネスミーティングやプレスカンファレンスを同時開催している。

 今年は会場をCOEXからロッテワールドに移し、さらに規模を拡大しての開催となった。昨年は、「ラグナロクオンライン」ユーザーを11カ国から22名招待し、ユーザーがテープカットを行なうというGravityらしい催しを行なったが、今年は、「Ragnarok World Championship」を3年ぶりに復活。日本を含む、11カ国から代表選手を集め、Gravity Festivalのメインイベントとして位置づけた。

 会場となったロッテワールドは、よく知られているように韓国を代表するアミューズメントスポットであり、ランドマークであるロッテワールドアドベンチャーを中心に、その周りを取り囲むようにホテルやデパート、DUTY FREEショップ、シネマコンプレックス、ショッピングモールなどが建ち並び、統一の取れた街を形成している。

 「Gravity Festival」は、広大なロッテワールドの1階と地下3階の一部を用い、ロッテワールド内の特別催事のような形で開催された。1階はロッテワールド内にあり、地下3階はフードコート中央のスケートリンクを使用。階が離れているが、スケートリンク部分は吹き抜けとなっており、1階から、地下3階の隅々までを見渡すことができる。また、1階と地下3階で、それぞれほぼ同一の出展内容を揃え、ロッテワールドの来場者も、Ragnarok Festivalの来場者も同一の出展が見られるように工夫を凝らしていた。

【開会式】
オープニングセレモニー。RWCの出場選手の紹介やコンパニオンの紹介、韓国芸能人による応援ビデオレターなどが紹介された。柳日栄CEOの挨拶はなかったのが残念だ 右の写真は、日本代表ギルド「punch」

【パートナー企業の視察】
最前列には、日本のガンホーのほか、17カ国のパートナー企業のトップがずらりと並ぶ。開会式終了後は、Gravityの柳CEOを先頭に出展模様をひととおり視察して、ビジネスミーティングへ。右の写真は、行列に参加していたガンホーの森下社長

【ブラスバンド】
遊園地をより一層賑わせるためにブラスバンドの演奏や、マイクパフォーマンスを実施。純粋にロッテワールドに遊びに来た人にも楽しめるように工夫されていた

【同人コーナー】
同人コーナーも開放されていたが、その数はわずかだった。来場者には「RO2」風のポリンバックがもれなくプレゼントされていた


■ 3本の新作カジュアルゲームを出展。カジュアルゲーム戦略を大幅転換か

スポーツと格闘のエッセンスを組み合わせたオンラインアイスホッケー「Body Check」。写真は取材に協力していただいたGravityの開発チームZ Studioの代表を務める李映帥氏
「ラグナロクオンライン II」は、韓国ではHangameでサービスが行なわれる。これはそれを記念して配布された壁紙だ
 さて、今年の出展タイトルは、「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンライン II」を筆頭に、ハードコアMMORPG「Requiem Online」、日本からのパブリッシングタイトル「エミル・クロニクル・オンライン」、時空を行き来する2DベースのSFMMORPG「Time N Tales」という5タイトルのMMORPGに加え、3本の新作カジュアルゲームを出展していたのが印象的だった。

 Gravityのカジュアルゲームといえば、2005年に発表して東京ゲームショウにも出展されたカジュアルゲームポータル「STYLIA」のイメージが強いが、今回「STYLIA」は未出展で、その代わりに、韓国産アニメーション「Pucca」を題材にしたカジュアルレースゲーム「Pucca Racing」、可愛いキャラたちが魔球やパワーヒッティングを行なうカジュアル野球ゲーム「W Baseball」、柳CEOが発足させた自社開発チームZ Studiosが手がけたオンラインアイスホッケーゲーム「Body Check Online」の3本のカジュアルゲームを出展していた。

 韓国のゲームショウ「G★」では毎年多数のカジュアルゲームが発表されるため、Gravityが3タイトルのカジュアルゲームを出展することは一見なんでもないことのように見えるが、この発表にはGravityのカジュアルゲーム戦略の大きな方向転換を示している。

 Gravityと韓国NHNは6月に業務提携を発表し、GravityのオンラインゲームをNHNのゲームポータルサイト「Hangame」で展開することを明らかにした。その提携内容は実に思い切ったもので、「STYLIA」を除く、Gravityが保有するMMORPGとカジュアルゲームの全タイトルとなっている。7月12日より「Hangame」に、「Gravity Zone」が設けられ、Gravityタイトルのサービスが開始され始めている。

 現在、「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンライン II」、「エミル・クロニクル・オンライン」の3タイトルが展開され、今後「Requiem Online」や「Time N Tales」といったMMORPGや、今回初出展されたカジュアルゲームタイトルが提供される予定となっている。数年前までは、韓国大手はすべて自社タイトルを自社のポータルで展開しようとしていたのに比べると、隔絶の感がある。韓国大手同士の強力なタッグがどのような結果をもたらすのか楽しみだ。

【ブース出展】
Gravityのタイトルブースは、1階と地下3階に分けて出展されていた。人の数は、イベント開催中か否かだったりするので人気のバロメーターにはならない。それぞれ必ず試遊台を用意していたのが好印象だ


■ RWCは上位4カ国が出揃う。日本はラグに悩まされ初戦敗退

日本代表ギルド「punch」の皆さん。これにめげず、ぜひ次回の国内外の大会でがんばってほしい
開始数十秒で追い詰められる日本代表。最激戦区を勝ち抜いたチームとは思えない光景だ
取材に応じていただいた「ラグナロクオンライン」制作担当の野呂彰氏(左)とマーケティング担当の飯野平氏
 「Gravity Festival」初日、RWCはロッテワールドアドベンチャーのガーデンステージを会場に、ベスト16とベスト8の戦いが行なわれ、ベスト4が出揃った。ベスト4に進出したのは、タイ、フィリピン、韓国、ドイツの4カ国で、優勝候補筆頭の日本や、ダークホースのブラジル、前大会優勝国の台湾は姿を消した。

 日本から参戦した、女性のギルドマスターPinkyさん率いる「punch」は、1回戦の韓国との試合で0-2で破れ、1回戦敗退という残念な結果となった。敗因は、戦術ミスや実力差以前の問題として、大会当日に突如遭遇した“ラグ”だった。

 客席から観戦している限りでは、いわゆる“ラグラグ”で試合にならないというほどではないように見えたが、ランドプロテクターの張り替えや、前後への移動時など、結構クリティカルなタイミングで大きめのラグが起こっていた。選手側では、定期的なラグに、ランドプロテクターを張って身を守ることすら覚束なかったようで、ランドプロテクターをはみ出してしまった選手がストームガストで凍らされ、阿修羅覇凰拳で各個撃破されるという非常にわかりやすい負け方をしていた。

 日本代表選手の皆さんに敗戦の感想を聞いてみたところ、「ラグで身動きが取れず、作戦どころではなかった」、「応援してくれた日本のみんなに申し訳ない」、「雑魚でサーセンでした(笑)」、「(ラグのない)日本のサービスは素晴らしいということを韓国に来て初めて知りました」、「来年あればまた頑張りたい」と、あまりにあっけない幕切れにサバサバした感じでコメントしてくれた。

 また、RWCの日本予選から、日本代表チームを支えてきた「ラグナロクオンライン」制作担当の野呂彰氏にも話を聞いてみた。野呂氏は、「日本の試合環境と、韓国の環境が違いすぎたのが敗因です」と簡潔に述べてくれた。「日本での練習ではラグをまったく想定していなかったので、単純に運で勝敗が決まってしまった。ラグで身動きが取れないので、あまり細かく作戦を決めずに、パラディンのプレッシャーや、アサシンクロスのソウルブレーカーを連打していたチームの方が強いという結果になってしまった」と、むしろ選手より野呂氏のほうが悔しそうだった。

 同席したマーケティング担当の飯野氏は、「原因を解明してもらった上で、ウチのルートでしかるべき抗議をしていくことになると思います」と、“ラグ”の常時発生という大会運営の不手際を抗議する考えを明らかにしてくれた。野呂氏も「事前に試す機会があれば、ラグを前提に作戦を組み立てられたかも知れないので、それができなかったのは残念ですね。ストレスのたまる試合をさせてしまってすいません」と申し訳なさそうにしていたのが印象的だった。

 韓国はよく知られているようにプロゲーマーが多数存在する“ゲーム大会大国”である。このため、大会運営そのものが杜撰だったとは考えにくく、単純に会場が先に決まり、ネットワーク環境を後回しにされたゆえに発生したトラブルだと考えられる。そういう意味では責任は、ゲーム大会開催に向けてインフラのチェックを怠ったGravity上層部にあるといえそうで、また次回RWCが開催されるとすれば、RJCの連続開催で「RO」の大会運営に関しては世界随一の実績を持つ日本での開催をぜひとも期待したいところだ。

【Ragnarok World Championship】
ベスト16とベスト8の会場となったガーデンステージ。あたかも屋外のような開放感のあるステージだ。写真はドイツ対台湾の一戦。優勝候補の台湾が敗れてしまった。優勝はどの国のギルドになるだろうか

【ワールドカーニバル】
いきなりすべての拡声器で音楽が鳴りだしたので何事かと思ったら、ロッテワールドの名イベント「ワールドカーニバル」だった。もちろん、試合は続行。条件は両チームとも同じとはいえ、選手達にとっては試練だっただろう

□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□「Gravity Festival 2007」のホームページ
http://www.gravityfestival.com/
□関連情報
【2006年8月12日】韓国Gravity、「Gravity Festival 2006」をソウルにて開催
「ラグナロクオンラインII」を本格始動、日本はガンホーが獲得
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060812/grav_01.htm

(2007年7月21日)

[Reported by 中村聖司]



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