|
「新生。ROHAN」と名付けられたこのアップデートでは、多数のクエストが追加される他、バランスが再調整され、レベルアップしやすくなる。また様々な新アイテムが追加され、PKシステムも見直される。また、GMイベントを積極的に行ない、より親しみやすいゲームを目指していく。フリーテストの後の課金システムは現在の所未定で、アイテム課金の可能性も考慮されている。フリーテストの具体的な日程や、今後の課金方式などは後日改めて発表される予定だ。
■ “日本独自展開”を掲げ、ゲーム性を追加し、親しみやすい方向性を強く打ち出す新生「ROHAN」
「新生。ROHAN」では、「親切」、「軽さ」、「面白さ」、「華麗に」の4つのキーワードでアップデートを行なっていく。“親切”と“面白さ”はゲーム全体のレベルアップ条件の緩和と、ゲーム性の向上を指す。具体的には、武器に「ランク制限」を設け、ギルド内の上の地位でなくては装備ができなかった制限を取り外し、強い武器をより使いやすくする。レベル30までのクエストを見直し、クエスト内容を充実させると共に、報酬を強化する。 また、50レベル以上の必要経験値を減少させ、より高みに目指すプレーヤーへも考慮する。また、ポップアップヘルプ機能や、GMによる初心者講習会を積極的に行なうことでより間口が広いゲームを目指していく。クエストのメッセージもより自然なものに変更され、テキストも見やすいように表示が工夫される。 PKシステムにも見直しが計られる。PK専門の職業とも言える「ダン」は、モンスター扱いになり無差別PKが行なえる「暗殺モード」をレベル30まで使用不可にし、デスペナルティなどもよりきつくした。日本のユーザーがPKを好まない傾向にあるため、PKをしようとするユーザーはより厳しいプレイを強いられるバランスとなったという。 “軽さ”は、3Dグラフィックスの最適化を行ない、動作環境がより低いユーザーでも遊べるようにした。推奨環境が「Pentium 4 2.4GHz以上」、最低動作環境が「Pentium 4 1.8GHz」だったものが、推奨「Pentium 4 2.0GHz以上」、最低「Pentium 4 1.4GHz」になった。グラフィックスのクオリティは維持したまま、ノートパソコンでもプレイできるようになった。4GB必要だったクライアント容量も、1GB分減少した。 “華麗に”は、ローディング画面やキャラクタ選択画面の一新の他、多数の日本オリジナルアイテムが追加される。着物や鼻眼鏡などユニークなアイテムの他、チョンマゲや日本髪のような頭装備、また、イベントの時に登場するおでんの屋台や、プレーヤー達が集まってゆっくりとおしゃべりが楽しめる「温泉」といった場所が追加される。追加アイテムの中には、水着やバスローブもあり、温泉での装備として使えそうだ。 この他上級プレーヤー向けの「エンシェント装備」や新しい騎乗生物、あるマップで必要となるガスマスクなども追加される。この他、ペットとして連れ歩く事ができる小さなメイド姿のキャラクタや、特定のイベントで登場する巫女姿のNPCが紹介された。 「ROHAN」運営企画チームの細井貴之氏はゲーム運営の今後の展望について発表を行なった。前述の初心者講習会に加え、GMとパーティーを組んだり、PvPを行なうイベント、座談会、さらにはGMを悪役として討伐するイベントなど、プレーヤーと積極的にふれ合うイベントを増やしていくという。また、コスチュームデザインやユーザーの企画したイベントにGMが手伝う、といった事も行ない、親しみやすい運営を目指していく。 このプランを実現させるため、YNK JapanではGMの人数を大幅に増加させている。GMとのPvPは1対多で戦うことでイベントを盛り上げ、パーティープレイはパーティーの集合と、実際のダンジョンにいくまでのおしゃべり。イベントそのものはPvPで1回5分、ダンジョンは20分程度を考えており、イベントが終わり次第サーバーを移動したり他のプレーヤーを募っていくという。 発表会には「ROHAN」開発を担当するYNKコリア企画室室長ナ・ソンヨン氏と、グラフィック室室長チェ・ジュン氏も同席していた。ソンヨン氏は「最初、韓国で成功した『ROHAN』をそのまま日本に持ってきたのだが、日本のユーザーの人気を得ることはできなかった。今回のアップデートは日本のユーザーのことを考えて行なった。自分なりに理解してアプローチを行なった。ぜひフリーテストに参加して欲しい」と語った。二人には発表会の後、さらに詳しく話を聞くことができた。別項で紹介したい。 今回のアップデートは「日本独自」という事を強くアピールしており、今後日本は韓国や台湾と別の方向性を進んでいく可能性もあり得る、とのことだが、ゲーム性の向上やユニークなアイテムの追加などは実装されれば台湾や韓国のユーザーが同じ実装を望むのは必然であり、実際には「先行実装」という意味合いが強そうだ。
アップデートに合わせ、「フリーテスト期間」となり、現在のユーザーだけでなく、新規のユーザーが無料で「ROHAN」を楽しむことができるようになる。今後YNK Japanが本作をどのように運営していくかも気になる。アイテム課金制に移行するのか、それともハイブリット課金を行なうのか、今後改めて発表される。
■ 自分達の考える面白さをどうすれば受け入れられるか? 「ユーザーの好みに応えただけ」ではない、独自のアプローチ
「日本のユーザーの特徴は?」 という質問にソンヨン氏は様々なゲームを体験しているだけに、その細かい要求には正直驚かされたという。台湾や韓国はユーザー層が似ているだけに受けいられたが、日本に関してはユーザーの分析が足りなかった。日本のユーザーのゲームに関する考え方を自分の中で納得させるのに特に時間がかかった。 「ゲームをただ優しくすればユーザーに受け入れられるのかというのも、自分の中では疑問だった。『ROHAN』の韓国、台湾での成功は、その激しい戦いが楽しめるゲーム性にあると自分は考えている。この楽しさを日本のユーザーにも体験してもらうにはどうするかを考えて今回のアップデートを行なったつもりだ。 今回のアップデートで、日本のユーザーはよりレベルアップがしやすくなった。『ROHAN』の楽しさである勢力同士の戦いへのハードルは下がった。韓国や台湾では今後新種族や、ギルド戦の要素を追加していくが、これもより楽しみやすくなると思う。レベルが早く上がれば、コンテンツがより楽しめるようになる、というのがオンラインゲームの1つの傾向だ。よりコンテンツを楽しんで欲しい。 レベルが上がれば単純に日本のユーザーがゲームをより楽しんでくれると単純に思っているわけではない。今回のアップデートを足がかりに、より楽しんでもらうための要素をこれからも模索していきたい」。 PKシステムの仕様変更に関しては、日本のユーザーのキャラクタに関する思い入れの強さを考慮した結果だ、とソンヨン氏は語る。韓国や台湾のユーザーはキャラクタが殺されても日本のユーザーのように不快感を感じるユーザーは少ない。日本のユーザーは頭ではわかっている人でも、感情的な部分で反発が生まれてしまう。「いつ襲われるかわからない」という「ROHAN」の面白さのポイントは日本のユーザーの好みには合わないようだ。 ジュン氏はクライアントの必要スペックが下がったとは言っても、グラフィックの質は決して下がったわけではないことは強調したい、と語った。細心の注意を払って最適化を行なった。特にこのクライアントの改良は、韓国や台湾のクライアントにも反映されていく予定だという。また、オプションでより高画質なグラフィックスが楽しめるような要素も今後追加するかもしれない。 日本ならではのアイテムの追加は、世界観を壊しすぎないように考えて実装していった。衣装はジュン氏をはじめとしたグラフィックススタッフがこだわったお気に入りのもので、ユーザーに楽しんでもらいたい。ジュン氏は昨年の発表会の時に筆者が話を伺った時、「ぬいぐるみの様なかわいい要素が日本では受けるかもしれない」という話になったのを覚えていて、それをヒントとしてメイド型ペットなど、小さくてかわいいアイテムもラインナップに加えたとのこと。 ソンヨン氏は「温泉が欲しい」という要望に大きくとまどったという。韓国のユーザーはゲームが始まった瞬間狩り場に直行し、ひたすらレベルアップに励む。ユーザーが集まって楽しめる場所の提供は考えたこともなかったし、理解するのにもちょっと時間がかかったとのこと。 ユーザーへのメッセージとしてソンヨン氏は「日本の『ROHAN』は、韓国や台湾とタイトルは同じですが、全く別な存在に生まれ変わります。フリーテストに参加して、ぜひ楽しさを見つけてください。単純に日本のユーザーに受けいられるためだけに作ったわけではありません。私達の価値観と、日本のユーザーの好みの合致する所を意見をいただいて見つけていきたいと思います」。と語った。ジュン氏は「今回の新要素は作っていて自分も楽しかった。ユーザーの意見やアイデアもどんどん寄せて欲しい」と語った。
「自分達の信じている面白さを受け入れてもらうにはどの部分を変えていくか」というソンヨン氏が掲げたアップデートのテーマは新鮮に感じた。日韓ではユーザーの要望は変わっていくものであり、より多彩なゲーム性を取り入れ、進化していく作品にとって今後の方向性は様々なアプローチが考えられる。
今回お話を聞いてみて、韓国や台湾で成功しているコンテンツを作っている、という開発スタッフの自負心が今後、本作ならではの日本市場へのアプローチを生んでいく、と感じた。「日本のユーザーに気に入ってもらえる」という“受け身”の姿勢だけでなく、“攻め”の姿勢といえるかもしれない。今後に注目していきたい。
(C)2005-2007 YNKGAMES Co., Ltd. (C)2007 YNKJAPAN Inc.
□YNKジャパンのホームページ (2007年3月27日) [Reported by 勝田哲也]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|