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会場:国立新美術館
入場料:無料
文化庁は「メディア芸術祭」を平成9年に設置以来、毎年表彰してきた。賞が開設された当時は「なにもなかった」状態だったが、今年の「メディア芸術祭」では世界各国から1,808作品の応募があるといった権威ある賞へと成長した。日本の得意とするコミックやアニメーション、ゲームを初めとしたインタラクティブアートなど、日本からの文化的な情報発信力の強化といった点でも、今後も注目される賞といえるだろう。 今回の企画展「日本の表現力展」では、「メディア芸術祭」が創設されてからの10年間だけではなく、それ以前の日本古来の文化的な表現する力にスポットを当て、'50年代から2006年まで年代ごとに主要作品を展示。そこにはテレビコマーシャルからアニメーション、映画などの映像作品を始め、漫画作品、ゲームなどのインタラクティブなエンターテイメント作品をカバー。また、アーカイブギャラリー、歴代受賞作品などの展示も行なわれる。このほかに「未来への可能性」とし、CGの映像に合わせてディスプレイが立体化する作品や、座ると色が変わったり光る未来型家具など新しい形の作品も出展されている。 ゲーム関係で言えば、ビデオゲームの礎を築いたタイトーの「スペースインベーダー」のアップライト筐体を始め、任天堂からは「ゲーム&ウオッチ」、「ファミリーコンピュータ」、「ゲームボーイ」、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」、「プレイステーション 2」などが展示されている。 家庭用ゲーム機では一部プレイ可能なタイトルも展示。ファミリーコンピュータ用ソフトとして「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」などが展示され、プレイ可能。たとえば「ドラゴンクエスト」では話をするためには「話す」のコマンドを選択し、その後「東、西、南、北」を選択しなければならない。いまのゲームに慣れ親しんだ若いプレーヤーの目には新鮮に映るかもしれない。そういった意味でも楽しめる展示会だ。 ただ、展示内容に物足りなさもある。時代ごとに区切られ、その中はアニメもゲームもTVCMもエンターテイメント作品として雑多に展示されているため、10年ごとの時代的な区切りと繋がりはわかるのだが、その中がカオス状態であるためそれを不満に感じる人もいるだろう。ただ、この件については展示スペースが限られているという問題に起因している。選出側も記者会見で展示作品の選出には断腸の思いで選んだことを明らかにしており、仕方ない部分もあるだろう。さらにゲーム作品の権利関係など難しい問題もあって、こういった展示会がこれからも開催されていくことで越えていくハードルと言うことだろう。
ちなみにゲームとは直接関係はないが、インタラクティブアートが集められた「未来への可能性」というコーナーには面白い作品が集まっている。ここに展示されている作品の持つアイディアに驚き、作品と人間との繋がりをインタラクティブの重要性と共に体感していただきたい。 □文化庁のホームページ http://www.bunka.go.jp/ □CG-ARTS協会のホームページ http://www.cgarts.or.jp/ □文化庁メディア芸術祭のホームページ "http://plaza.bunka.go.jp/ □「日本の表現力展」のページ http://plaza.bunka.go.jp/ex/ □国立新美術館のページ http://www.nact.jp/ □関連情報 【2006年10月20日】文化庁メディア芸術祭10周年企画展「日本の表現力」開催 日本のメディア芸術の現在・過去・未来を紹介 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061020/media.htm (2007年1月22日) [Reported by 船津稔]
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