★Xbox 360ゲームレビュー★
止め時が見つからないほどハマる箱庭ゲーム
「あつまれ! ピニャータ」 |
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- ジャンル:シミュレーション
- 発売元:マイクロソフト株式会社
- 価格:6,090円
- プラットフォーム:Xbox 360
- 発売日:発売中(1月11日発売)
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■ そもそも“ピニャータ”とはなんぞや?
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極彩色の紙人形ピニャータ。見た目は奇抜だが動きはとてもカワイイ |
昨年末に北米で発表された、Xbox 360「あつまれ! ピニャータ(原題:Viva Pinata)」が、ついに日本でも発売された。知らない人向けに“ピニャータ”について簡単に解説させていただこう……といっても、実は筆者もゲーム本編を見るまでは「ピニャータ……はてさて?」といった具合だったのだが、インターネット検索や関連書籍をチェックしたところ、なにやらメキシコで伝統的に行なわれている、お祭りなどの行事には欠かせない子供たちの遊びなのだという。
新聞紙などで作った紙人形を原色盛りだくさんの色紙で派手に飾り付け、なかにお菓子や玩具などを詰めてロープで吊るしておき、それを子供たちが目隠しをしたまま棒で叩いて壊す。あとは、出てきたお菓子や玩具をわけあう。年齢に応じたルールや決まりなどもあるようだが、日本の風俗に例えるならおおむね「スイカ割り」や「くす玉」のイメージに近い。
本作は、そんな極彩色の紙人形“ピニャータ”がたくさん登場する育成シミュレーションゲーム。色使いやデザインによるインパクトがあまりにも強烈なため「これ面白い……のか?」と腰が引けている人も少なからずいそうなため、まずはゲームの流れを序盤の展開に沿って説明していくとしよう。
【オープニングムービー】 |
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色彩感覚がラテン系の「マペットショー」といった雰囲気。CARTOONが好きな人なら躊躇なくプレイできるだろうが、そうでない人は凄まじい色使いに目眩を覚えるかもしれない。だが、この“入り口”で引き返すには本当にもったいない素晴らしい作品。箱庭ふうの育成SLGが好きな人にはマストとさえいえる |
■ 基本は“ガーデン(庭)”を自分好みに作り育てていく箱庭SLG
ゲームが始まると、幻想的な風景が映し出される導入部から一転、プレーヤーは“荒れ果てた土地”に案内される。待っていた娘「リーフォス」によれば、荒れた土地を何とかしてくれる人を探していたという。ここからプレーヤーは、手渡された「シャベル」で荒れた土地をたがやしていくことになる。
たがやしかたは、メニュー画面でシャベルを持ち、たがやしたい場所にカーソルを合わせてAボタンを押すだけ。押し続けてカーソルを動かしながら連続で耕したり、長押ししてタメを作ることも可能。壊れたナベ、岩、フライパンなどの邪魔なオブジェクトは連続で叩いて壊す。このとき、なかから「チョココイン」と呼ばれるアイテムが出現するが、これは後々の庭造りに欠かせない“資金源”になるので忘れずにとっておくこと。
操作方法などで不明な点があるときは、リーフォスから手渡された冊子「ジャーナル」をチェックすればいい。ジャーナルは、操作方法やストーリー解説のほか、プレイ中に起こった出来事などが記録されていく冊子。いわゆる“オンラインヘルプ”の役割をかねた冊子で、これを見ればマニュアルに目を通さずとも大抵のことがわかるようになっている。
こうして庭をたがやしていると、やがてピニャータの「ワールム」が出現する。ピニャータにはそれぞれ出現するための条件があり、これを満たすことで新種のピニャータが増えていく。ただし出現させただけではガーデンに定着してくれず、住人になってもらうには「なかよしの条件」を満たす必要がある。これらの条件は、ジャーナルを参照したりピニャータにカーソルをあわせてYボタンで表示される百科事典ですぐに調べられる。
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まずはシャベル1本で荒れ果てた土地を手直し。ささくれだった地面をたがやし、邪魔な岩や散乱する粗大ゴミを破砕して少しずつ環境を整備。わからないことはジャーナルを参照すれば万事解決 |
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たがやしていると、最初のピニャータ「ワールム」が出現。ただし、ガーデンの住人になってもらうためには、もうひと手間が必要だ |
■ アクションが新たなアクションにつながっていく“刺激の連鎖”
本作一番のポイントは、ピニャータを出現させるための諸条件が巧妙にリンクしていくことだ。序盤のワールムを例にとれば、荒地をたがやしてワールムが増えていけば、それを目当てに鳥のピニャータ「スパローミント」が出現する。序盤は特にそうだが、なにかアクションを起こすと、すぐに反応があらわれる。これが実に刺激的なのだ。
登場人物についても、最初に出会った「リーフォス」以降、ピニャータたちの家を作ってくれる「ウィリー」、話し掛けると植物のタネをくれる「シードス」、色々なアイテムを売ってくれる雑貨屋の「ロティー」など、さまざまな人々が顔をのぞかせるようになる。彼らは単なるストーリー上の人物ではなく、ゲーム中におけるきちんとした役割がある。ピニャータに負けず劣らず奇抜な人たちばかりだが、彼らとの関わり合いは、ゲームを進めていくごとにさらに深く、楽しくなっていく。
ガーデンの環境を整え、ピニャータを呼び寄せて増やし、周囲の人々たちの力を借りてさらに発展させていく。すべてがリンクしているため、何かをやっていると「次の新しい何か」が次々と訪れる。通常、箱庭タイプのSLGはマッタリと時間が流れていくものだが、プレイスタイルによっては、新たな出来事が立て続けに発生して目が回るような忙しさになることもしばしば。このあたりは自分のさじ加減でいかようにもなるため、マッタリ遊びたい人も安心していただきたい。
目的を持ってアクションを起こすのが一番効率がいいが、そこまで周到にやらずとも実にいいテンポでゲームが展開していく。おかげで「ゲームの止め時」みたいなものがほとんどなく、気が付けば電源投入から数時間が経過していることも珍しくない。こうなると、最初は「ぶっちゃけ、ゼリービーンズみたいなドギツイ色だなぁ」と引き気味だったピニャータたちのカラーリングも「こうじゃないと“らしく”ないよねぇ」などと思えてくるから不思議だ。
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ワールムが新たなピニャータを呼び、そこに新たなキャラクタが登場して……ひとつのアクションがさまざまな方向に発展していく |
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登場キャラクタは外見、言動ともに個性のカタマリ。ここに掲載したのは一部。先々登場する人もふくめ、すべてがガーデンの発展に欠かせない大切な面々だ |
■ ピニャータたちの豊かな表現力 ~全部で60種類以上が登場~
ガーデンの住人になると一転様変わりする体色もさることながら、ピニャータたちは動きや鳴き声でもプレーヤーを楽しませてくれる。お気に入りのピニャータにはオリジナルの名前をつけたり、自分でデザインしたタグをつけたり、ショップで購入したアクセサリーを装着させることも可能。
全部で60種類以上が登場するピニャータだが、現実の野生よろしく、環境や相性により“食物連鎖”、“ケンカ”、“ケガ”など、さまざまなイベントによりガーデン内の生態系が変化する。食物連鎖で食べられたときはもちろん、ケンカや病気で弱ったピニャータは、放置しておくと“壊れて”お菓子に変わりガーデンから消えてしまう。偶発的な出来事ばかりではなく、ときには“悪いピニャータ”がガーデンの外から忍び寄ってきて害を成すこともあるし、病気のピニャータを狙って絶命させる悪霊のようなキャラまで存在する。
管理が雑だったり放置しているとピニャータは減ってしまいがちなので、環境を整えて呼び寄せるだけでなく、特定条件を満たして「繁殖」させるのもプレーヤーの大切な役目だ。なにかを食べさせたり、家を作るなどで条件を満たしたピニャータには、頭上に「ハートマーク」がつく。ハートマークがついた同じ種類のピニャータをカーソルで指定して引き合わせれば、「タマゴ」が生まれる「ミニゲーム」に発展し、成功すれば二匹で「なかよしダンス」を踊りだす。ミニゲームは、爆弾にあたらないよう迷路状のルートを通りピニャータ同士を引き合わせるというもの。シンプルな内容につきゲームになれているプレーヤーには歯ごたえが足りないといった声が出るかもしれないが、老若男女誰でも遊べるゲームという意味ではちょうどいいだろう。ただ、後半になると難易度の高いミニゲームも登場する。難易度の高いミニゲームをクリアすると、なかなか出現しないピニャータが登場する確率が高いようだ。
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ピニャータは全部で60種類以上が登場。なかなかお目にかかれないレアなピニャータもいるので、いろいろと探索するといいだろう |
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ガーデンの住人になったピニャータは体色が変化。ガーデンの全体の表情がより豊かなものに変化していく |
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ピニャータ同士のケンカ。相性のほか、食物連鎖の関係にあるピニャータも少なくない |
闇にまぎれてコッソリやってくる悪質なピニャータもいる。シャベルで撃退してやれ! |
病気のピニャータを見つけてはお菓子に変えていく。さしずめ「ピニャータ界の死神」か |
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条件を満たした同種のピニャータを引き合わせると「なかよし状態」に
なり子孫が誕生。ミニゲームに成功しないとタマゴは生まれない。序盤はカンタンなので小さな子でも安心してプレイできる。もちろん後半はそれなりに難易度も上がってくる |
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つがいになったピニャータ同士の愛のダンス、通称「なかよしダンス」……というかまんま交尾シーンに見えなくもない。ここだけちょっぴり大人の雰囲気? |
■ 見た目の奇抜さとは裏腹に“丁寧に作りこまれた”良作
本レビューを執筆していて「つくづく惜しい」と思ったのは、スクリーンショットではピニャータたちの“動き”が伝わらないことだ。静止画で見ると良くも悪くも極彩色のピニャータたちだが、これに動きが加わると印象がまったく違ってくる。
人によっては「退屈なジャンル」と思われがちな箱庭タイプのゲームだが、本作については、それはまったく当てはまらない。所々「これ、どうやったら○×になるんだろう?」と悩む部分もあるかもしれないが、その試行錯誤から生じる変化にこそ「あつまれ! ピニャータ」のゲーム的な面白さ詰め込まれている。インタラクティヴな楽しさを凝縮したような作りには、開発元であるRareの底力を感じずにはいられない。
箱庭ふうのゲームが好きな人には迷わずオススメどころか、ぜひともプレイして欲しいハイクオリティな仕上がりだ。問題は、グラフィックスなどの見た目をどう判断するか。動きを見れば決して「キモカワ系」のキワモノではないことは明らかで、知的なインタラクティヴソフトとして幅広い層の方々にプレイしていただきたいのだが……。そういった意味では、先入観なしにスッと遊べるであろう小さなお子さんにこそ本作は一番向いているのかもしれない。
ちなみに、本作には2~4人まで同時に遊べるファミリーモードが用意されている。子供と一緒にプレイできるゲームを探していた人は、ぜひとも「あつまれ! ピニャータ」を手にとっていただきたい。もちろん、ひとりでじっくり遊びたい思考派の人にもオススメだ。
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Rareらしい丁寧な作りが光る逸品。奇抜な見た目にひるまず、なるべく多くの人に体験していただきたい。1月11日現在、Xbox Live マーケットプレースにおいてゲーム内容を紹介するデモ映像が配信されているので、Liveに接続しているユーザーは一度体験してみると良いだろう。さらにすでにプレイしている人にはピニャータを飾り付けることができる「アクセサリーパック」の販売が開始されているのでマーケットプレースもチェックしてみて欲しい |
(C)2007 Microsoft Corporation. All right reserved.
□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□「あつまれ! ピニャータ」のページ
http://www.xbox.com/ja-JP/games/v/vivapinata/special/
□関連情報
【2006年5月12日】Microsoftブースレポート Xbox 360特別編
~会期中に行なわれたデモプレイ、ミニインタビューを総まとめ Part.2~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060512/xbox2.htm
【2006年5月11日】【Electronic Entertainment Expo 2006 現地レポート】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060511/xbox.htm
【2006年5月10日】マイクロソフト、英レアが開発中のXbox 360用育成シミュレーション
「あつまれ! ピニャータ」日本での発売を決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060510/pinata.htm
【2006年3月16日】米Microsoft、Rareの新作「Viva Pinata」を発表。2006年末に全世界で発売予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060316/pinata.htm
(2007年1月12日)
[Reported by 豊臣和孝]
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