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ゲームオン、「ミラクルサマナーキュイ」の記者発表会を開催
低年齢層や女性層を強く意識したカジュアルオンラインFPS

12月12日開催

会場:セルリアンタワー東急ホテル



 株式会社ゲームオンは、12月12日、都内ホテル会議室にて、「シルクロードオンライン」に続く6タイトル目の新作オンラインゲーム「ミラクルサマナー キュイ ~黄昏のルビーと秘密の約束~」(以下、「ミラクルサマナーキュイ」)の記者発表会を開催した。「ミラクルサマナーキュイ」は、基本プレイ無料のアイテム課金制を想定し、サービススケジュールは12月22日よりクローズドβテスト、1月にオープンβテスト、正式サービスは来春を予定している。


■ ゲームオン6本目のオンラインゲームは、同社初のカジュアルゲーム

上場後初の発表会ということもあって会場には200人以上の関係者が詰めかけた
挨拶を行なうゲームオン代表取締役社長大野俊朗氏。職歴は四国銀行でのスクウェア担当を皮切りに、スクウェア、デジキューブ、チュンソフト、'03年よりゲームオンというキャリアを持つ
祝辞を述べるWindy Soft CEOの李・ハンチャン氏。ゲームオンを日本最大のオンラインゲームパブリッシャーと持ち上げた
 ゲームオンは、今年7月に発生した顧客情報流出を受けて東証マザーズへの上場を延期し、先週12月8日に上場を果たしたばかり。上場に合わせて初公開された第3四半期の財務・業績の概況によれば、売上高は42億8,400万円と、オンラインゲームパブリッシャーとしてはガンホーオンラインエンターテイメントの50億5637万円に次ぐ規模の大型パブリッシャーの上場となった。ゲームポットが12億6,000万円、サイバーステップの9億600万円(平成18年5月期通期の業績)に比べると規模の大きさがわかる。

 上場後、そして代表取締役社長として初の発表会での登壇となった大野俊朗氏は、「『ミラクルサマナーキュイ』は、ゲームオン初のカジュアルゲームであり、新しいオンラインカジュアルゲームの形になることを期待している」と挨拶。ゲームオンは、もともと韓国サムスングループとソフトバンクの合弁会社として誕生したオンラインゲームパブリッシャーだが、日本人社長は大野氏が初めて。創業から見てきた人間としては非常にフレッシュな印象を受けた。

 大野氏によれば、MMORPG一辺倒でビジネスが成立する時代はもう終わったと認識しているという。今後は現状の豊富なユーザー資産を活かしてカジュアルゲームにも進出していく方針で、来年にはより多くのカジュアルゲームをリリースしていくつもりだという。同社は、ジーパラドットコムというゲームメディアを保有しているが、これとは別にゲームポータル事業にも興味を示しており、カジュアルゲームとセットでゲームポータルの分野に大きく踏み込んでくる可能性もある。ともあれ、来年の展開が非常に楽しみなメーカーだ。

 さて、今回発表された「ミラクルサマナーキュイ」は、今年10月5日にWindy Softからライセンスを獲得した「Monster Summon Battle CUI」の日本タイトル。今回は、この日本タイトルのお披露目と、サービスインまでの大まかなサービススケジュールとビジネスモデルが発表された。なお、クローズドβテストの募集は本日18時よりスタートしている。これについては弊誌でも別記事で募集を行なっているので、興味を覚えた方は応募してみてほしい。

 「ミラクルサマナーキュイ」は、簡単な操作、柔らかいタッチのグラフィックス、親しみやすい世界観、基本プレイ無料、1ゲーム3分程度というコンパクトな対戦バトルといった具合に、低年齢層や女性層を強く意識したカジュアルオンラインゲームだが、肝心のゲームデザインが非常にわかりにくい。発表会でも、なぜか対戦バトルの実演はほとんど行なわなかったため、参加した関係者がどれほどゲームを理解できたのか、不安が残る内容だった。

【イメージイラスト】
イメージイラストは、セガの「ぷよぷよフィーバー」のキャラクタデザイン等で知られる竹浪秀行氏が担当。作品のイメージに即した適材だ

【スクリーンショット】
左上から順に、召喚シーンからはじまるゲームの基本的な流れを追っていったスクリーンショット。手前にいるのがマイキャラ。中央にある丸がターゲットカーソル。見てのとおり非常に地味で、静止画面からゲームの魅力は伝えにくい


■ 世界で一番カジュアルなオンラインFPS「ミラクルサマナーキュイ」

ゲームの説明を行なった「ミラクルサマナーキュイ」プロデューサーの加藤有紀子氏。全体的にもう少しゲームの具体的な説明がほしかったところ
加藤氏が示したスライドによればターゲットは15歳から25歳。ゲームオンでは同作で新しい層の開拓に挑むことになる
アイテムショップ「キュイ商店」。ずらりと召喚獣が並んでいる。現在表示されているのが「パピー」クラスで、キャラクタレベルを上げていくことで、上位のワイルド、ビースト、マスター、ロードクラスの召喚獣にアクセス可能になる
 「ミラクルサマナーキュイ」の基本的なゲームデザインは、3人称視点のアクションシューティングゲームだ。初回ログイン時に作成したキャラクタが戦うのではなく、正確には自分のキャラクタが呼び出した召喚獣に乗り、召喚獣の能力やスキルを駆使してシューティングバトルに挑んでいく。インターフェイスは、キーボードで移動、マウスで照準を行なうFPS準拠のプレイスタイルで、広義でのオンラインFPSと呼べるカジュアルゲームだ。

 特徴的なのは、バトル中に1人称に切り替えることはできず、常に3人称視点を採用しているところ。このため、対戦中は自分のキャラクタが常に手前に表示され、射撃の邪魔になると感じられることすらある。しかし、召喚獣に乗ったキャラクタのアクションには独特の愛嬌があり、これはこれでゲームのひとつの魅力になっている。

 ゲーム性を追求するなら1人称視点を排除する理由はないのだが、そこをあえて3人称視点にこだわり、アバターアイテムやお気に入りの召喚獣によってデコレートされたマイキャラを愛でながら、一種ファンシーなFPSバトルに興じる。「ミラクルサマナーキュイ」とは、そういった絶妙な立ち位置のオンラインFPSといえそうだ。

 カジュアルな施策はまだまだある。コンピュータを相手に対戦して経験値やルビーを獲得することも可能だったり、対戦中に中座できるようにAIが代わりに操作してくれる自動操縦モードも搭載している。射撃の当たり判定もかなりアバウトで、通常攻撃は1発ごとにMPを消費するものの、このMPは自動回復する。FPSをまったくプレイした経験のない初心者でも安心して遊べる敷居の低さが魅力といえる。

 上記の対戦バトルは、「闘技場」にて行なわれる。ゲームモードは、個人戦とチーム戦の2つが用意され、それぞれ勝敗によって経験値やルビー(ゲーム内通貨)、召喚スクロール、その他アイテムなどが獲得できる。基本的には闘技場での対戦プレイを繰り返すのが、「ミラクルサマナーキュイ」の基本サイクルとなる。

 闘技場以外の機能については、ショップ、マイルーム、時計塔(オプション設定)など、カジュアルオンラインゲームに準拠した仕様が盛り込まれている。ショップでは、召喚獣の召喚に必要な召喚スクロールや、バトル性能を底上げする魔法装備、キャラクタ、ルーム飾りなどを購入できる。

 現状ではゲーム内通貨ルビーのみで取引されているが、来春の正式サービス以降は、現金で購入するポイント「ジェム」用の有料アイテムを追加していく。有料アイテムの具体的な品揃えや価格設定についてはまだ公表できる段階ではないとしている。発表会では、低年齢層や女性層をターゲットにすることを明らかにしたが、大野氏によれば「(平均客単価の)4,000円程度は狙っていきたい」と、あくまで平均客単価は維持する方針を明らかにしている。

 ちなみにショップでもっとも頻繁に利用するアイテムになりそうなのが召喚獣を召喚するために必要な「召喚スクロール」だ。召喚獣は、現在40種類あり、それぞれ3段階のグレードにわかれているため、総計120種類のバリエーションがあることになる。「召喚スクロール」は、対戦後の報酬としても手に入れることが可能だが、これだけ種類があると欲しいものを手に入れるのは難しい。

 結果として欲しい召喚獣はショップで購入することになるが、「召喚スクロール」は消費アイテムになっており、10、20、30といった具合にまとまった単位で購入する必要がある。この「召喚スクロール」の販売方法がルビー中心になるのか、現金販売も取り入れられるかによって事実上の客単価と、実質的なターゲット層が決まってくる。同社は、アイテム課金ビジネスで大きく成長したメーカーだけに、カジュアルゲームの課金部分をどのように設定するのか、ゲーム共々注目していきたいところだ。

【闘技場】
左の画面はトップメニュー画面。ここからすでに待合室の状況を確認することができる。待合室では、リーダーが設定した背景画の中で、参加者とチャットしながら人数が揃うのを待つことになる

【マイルーム】
これは自分のみ入れるマイルーム。壁紙のデコレーションや所持品の確認などが行なえる

【キュイ商店】
ユーザーが頻繁に利用することになるアイテムモール「キュイ商店」。先に紹介した召喚スクロール以外に、キャラクタ、魔法装備、ルーム飾りなどアバターアイテムが主な商材となっている

(C)2006 WindySoft & Yolim Communication Co.,Ltd. All Rights Reserved.
(C)2006 GameOn Co., Ltd. All Rights Reserved.

□ゲームオンのホームページ
http://www.gameon.co.jp/
□「ミラクルサマナー キュイ ~黄昏のルビーと秘密の約束~」の公式ページ
http://www.cuionline.jp
□関連情報
【12月12日】ゲームオン、「ミラクルサマナーキュイ」のCβテスターの募集を開始
召喚獣に乗って戦うオンラインアクションゲーム
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061129/latale.htm

(2006年12月12日)

[Reported by 中村聖司]



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