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会場:セルリアンタワー東急ホテル
■ ゲームオン6本目のオンラインゲームは、同社初のカジュアルゲーム
上場後、そして代表取締役社長として初の発表会での登壇となった大野俊朗氏は、「『ミラクルサマナーキュイ』は、ゲームオン初のカジュアルゲームであり、新しいオンラインカジュアルゲームの形になることを期待している」と挨拶。ゲームオンは、もともと韓国サムスングループとソフトバンクの合弁会社として誕生したオンラインゲームパブリッシャーだが、日本人社長は大野氏が初めて。創業から見てきた人間としては非常にフレッシュな印象を受けた。 大野氏によれば、MMORPG一辺倒でビジネスが成立する時代はもう終わったと認識しているという。今後は現状の豊富なユーザー資産を活かしてカジュアルゲームにも進出していく方針で、来年にはより多くのカジュアルゲームをリリースしていくつもりだという。同社は、ジーパラドットコムというゲームメディアを保有しているが、これとは別にゲームポータル事業にも興味を示しており、カジュアルゲームとセットでゲームポータルの分野に大きく踏み込んでくる可能性もある。ともあれ、来年の展開が非常に楽しみなメーカーだ。 さて、今回発表された「ミラクルサマナーキュイ」は、今年10月5日にWindy Softからライセンスを獲得した「Monster Summon Battle CUI」の日本タイトル。今回は、この日本タイトルのお披露目と、サービスインまでの大まかなサービススケジュールとビジネスモデルが発表された。なお、クローズドβテストの募集は本日18時よりスタートしている。これについては弊誌でも別記事で募集を行なっているので、興味を覚えた方は応募してみてほしい。
「ミラクルサマナーキュイ」は、簡単な操作、柔らかいタッチのグラフィックス、親しみやすい世界観、基本プレイ無料、1ゲーム3分程度というコンパクトな対戦バトルといった具合に、低年齢層や女性層を強く意識したカジュアルオンラインゲームだが、肝心のゲームデザインが非常にわかりにくい。発表会でも、なぜか対戦バトルの実演はほとんど行なわなかったため、参加した関係者がどれほどゲームを理解できたのか、不安が残る内容だった。
■ 世界で一番カジュアルなオンラインFPS「ミラクルサマナーキュイ」
特徴的なのは、バトル中に1人称に切り替えることはできず、常に3人称視点を採用しているところ。このため、対戦中は自分のキャラクタが常に手前に表示され、射撃の邪魔になると感じられることすらある。しかし、召喚獣に乗ったキャラクタのアクションには独特の愛嬌があり、これはこれでゲームのひとつの魅力になっている。 ゲーム性を追求するなら1人称視点を排除する理由はないのだが、そこをあえて3人称視点にこだわり、アバターアイテムやお気に入りの召喚獣によってデコレートされたマイキャラを愛でながら、一種ファンシーなFPSバトルに興じる。「ミラクルサマナーキュイ」とは、そういった絶妙な立ち位置のオンラインFPSといえそうだ。 カジュアルな施策はまだまだある。コンピュータを相手に対戦して経験値やルビーを獲得することも可能だったり、対戦中に中座できるようにAIが代わりに操作してくれる自動操縦モードも搭載している。射撃の当たり判定もかなりアバウトで、通常攻撃は1発ごとにMPを消費するものの、このMPは自動回復する。FPSをまったくプレイした経験のない初心者でも安心して遊べる敷居の低さが魅力といえる。 上記の対戦バトルは、「闘技場」にて行なわれる。ゲームモードは、個人戦とチーム戦の2つが用意され、それぞれ勝敗によって経験値やルビー(ゲーム内通貨)、召喚スクロール、その他アイテムなどが獲得できる。基本的には闘技場での対戦プレイを繰り返すのが、「ミラクルサマナーキュイ」の基本サイクルとなる。 闘技場以外の機能については、ショップ、マイルーム、時計塔(オプション設定)など、カジュアルオンラインゲームに準拠した仕様が盛り込まれている。ショップでは、召喚獣の召喚に必要な召喚スクロールや、バトル性能を底上げする魔法装備、キャラクタ、ルーム飾りなどを購入できる。 現状ではゲーム内通貨ルビーのみで取引されているが、来春の正式サービス以降は、現金で購入するポイント「ジェム」用の有料アイテムを追加していく。有料アイテムの具体的な品揃えや価格設定についてはまだ公表できる段階ではないとしている。発表会では、低年齢層や女性層をターゲットにすることを明らかにしたが、大野氏によれば「(平均客単価の)4,000円程度は狙っていきたい」と、あくまで平均客単価は維持する方針を明らかにしている。 ちなみにショップでもっとも頻繁に利用するアイテムになりそうなのが召喚獣を召喚するために必要な「召喚スクロール」だ。召喚獣は、現在40種類あり、それぞれ3段階のグレードにわかれているため、総計120種類のバリエーションがあることになる。「召喚スクロール」は、対戦後の報酬としても手に入れることが可能だが、これだけ種類があると欲しいものを手に入れるのは難しい。
結果として欲しい召喚獣はショップで購入することになるが、「召喚スクロール」は消費アイテムになっており、10、20、30といった具合にまとまった単位で購入する必要がある。この「召喚スクロール」の販売方法がルビー中心になるのか、現金販売も取り入れられるかによって事実上の客単価と、実質的なターゲット層が決まってくる。同社は、アイテム課金ビジネスで大きく成長したメーカーだけに、カジュアルゲームの課金部分をどのように設定するのか、ゲーム共々注目していきたいところだ。
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□ゲームオンのホームページ (2006年12月12日) [Reported by 中村聖司]
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