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★PS2ゲームレビュー★

極道も初心者には優しい? 救済機能が充実した3Dアクション
「龍が如く2」

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 発売元:株式会社セガ
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(12月7日)



 極道が主人公という希少な設定の3Dアクションアドベンチャーゲーム「龍が如く」の最新作、「龍が如く2」がついに発売された。強面の3Dポリゴンヤクザが乱舞するテレビCMを見て、「この威圧的な雰囲気を放つゲームは何?」と思った人も多いのではないだろうか。

 「龍が如く2」は、プレーヤーが伝説の極道「桐生一馬」となり、生と死の狭間に揺れる極道世界を駆け抜けていくという作品。ゲームの基本的な流れは、リアルタイムムービーやNPCキャラとの会話で得た情報を元にマップを探索し、対抗勢力とのケンカバトルをこなしつつ、次のイベント発生地点に到達してストーリーを進めていく。“ケンカアクションに勝利して、話を進める”という単純明快なゲームルールを、極道の世界や繁華街の悲哀といったダークな部分で脚色した快作といえる。

 「前作をプレイしなくても話はわかる」と謳う続編作は多いが、「龍が如く2」も今作から始めるプレーヤーへのフォローは万全だ。ゲーム冒頭で主人公“桐生一馬”の回想が始まり、前作のラストまでをダイジェストにしたムービーが放映される。ダイジェストは分割され、途中で「もっと思い出しますか?」とウェイトがかかるため、完全なネタバレになる前に止めることができるという配慮が嬉しい。

「龍が如く」をプレイした筆者も、さすがに細部の記憶はぼやけていた。だが、「主人公に口語で説明される」という男前な前作ダイジェストムービーは、記憶の補完に大いに役立ってくれた


 ゲームの難易度はスタート時にEASYかNORMALを選択可能。EASYはNORMALと比較してバトルモードの難易度が緩和される。主人公の体力ゲージが増加、敵の体力ゲージが減少、敵のアルゴリズムの変化、などの救済措置が取られる。また、バトルで敗北し続けると「EASYにしますか?(戦闘後、NORMALに戻ります)」という救済機能が搭載されている。

 このゲームは街中の雑魚キャラ程度ならパンチ連打程度でも倒せるが、ボスは個別に攻略法を編み出す必要があるほどの強さを誇る。恥ずかしながら筆者も1戦だけこの救済機能にお世話になったところ、非道な強さを誇っていたボスが雑魚クラスに成り下がった。攻略要素を見つけるのがバトルの魅力の1つだが、ストーリーを楽しみたいプレーヤーのための「抜け道」が用意されているあたりは流石である。

 さて、そんな重厚でカルマの高いバトル、今作の目玉である実在するかのような関西の街といった「龍が如く2」の魅力をこれから紹介していきたい。


■ 雑魚キャラに同情、凄絶なピカレスクバトル

ゲーム冒頭のチュートリアルでは敵のヤクザは動かない。存分に練習可能だ
 思わず筆者も「桐生さん、そこまでやらんでも!」とツッコミを入れたくなるほど凄絶なトドメアクションが搭載されている「龍が如く2」のバトル。倒れている敵の顔面に拳をめり込ませる、電飾看板を頭上に振り下ろす、川へのダイブ(強制)などのマップまで活用するド派手なケンカを体験できるのが本作の特色だ。

 街を闊歩するヤクザかチンピラに「待てコラ!」とからまれて接触すると、ステージの広さが制限されたバトルステージに移動。エンカウントの頻度は高くはなく、からまれても走って振り切ることは可能だ。バトルは敵を全滅させれば終了となり、経験値、金、運が良ければアイテムが入手できる。

バトル前の雑魚の紹介が「~のチンピラ」とぞんざいで笑える。ブチのめしたチンピラは態度が下手になり、「これで勘弁してください!」と桐生一馬に慰謝料を払って去っていく


「ラッシュコンボ」は前方に攻撃判定が広く、複数の敵を巻き込める
 バトル中の主軸となる攻撃は、□ボタンで連続したパンチとキックを放つ「ラッシュコンボ」。「ラッシュコンボ」は1~4回まで連続し、最後に△ボタンを入力するとダウン効果のある決め技の「フィニッシュブロウ」を繰り出す。

 ○ボタンは「敵つかみ攻撃」で、つかんだ状態で□や△ボタンを入力すると敵を殴りつける。○ボタンをもう一度入力すると、敵を投げ飛ばすことが可能。

 マップに落ちている武器を使用する場合は、武器に近づいて○ボタンを押すとつかむ。□や△を入力するとその武器に応じた攻撃を繰り出し、○ボタンの入力で投げつけることができる。事前に店で購入した武器をバトルに持ち込むときは、ポーズメニューで装備する必要がある。L1ボタンを入力すると、前方からの攻撃をガードすることができる。武器攻撃を受けるとガードは弾かれ、刃物や銃での攻撃はガード不能。

バット、木刀、ビール瓶と極めて痛そうな武器がそろう。電飾看板で攻撃すると相手が感電して動けなくなるなど、マップに存在する武器で自給自足するのが面白い


 敵に攻撃を当てていくと、画面左上の体力ゲージ(黄色)の下にある「ヒートゲージ(青色)」がたまっていく。「ヒートゲージ」が一定量に達すると、桐生一馬は身体から青いオーラを放出する「ヒート状態」になる。「ヒート状態」で画面に「極」という文字が表示された時に△ボタンを入力すると、攻撃力の高い必殺技の「ヒートアクション」を繰り出す。

 「ヒートアクション」は相手との立ち位置や所有スキル、所有武器によって変化し、その数は96種類も用意されている。「ヒートアクション」が決まると敵をロックした状態になり、数秒間相手に攻撃を加える演出が入る。この演出が実に“痛み”を強調した力が入っている映像となっている。また、一定条件で「ヒートアクション」中に□ボタンなどで追撃することもできる。

【ヘッドクラッシュ・表】 【看板の極み】 【追討ちの極み・表】
墓場のマップなどで可能なヒートアクション。相手の顔面を縁石の角に叩きつけ、さらに後頭部を強打する 主に繁華街で使用可能。マップに落ちている看板をつかみ、相手の身体に看板をかぶせ、力任せに投げ飛ばす ストレートなエグさのヒートアクション。倒れている敵の顔面を拳で叩く、シーンがアップで映し出されるのが強烈
【ツインキック】 【ツッコミの極み】 【蒼天への舞】
バトルに参加中の味方キャラとヒートアクションを起こすこともできる。狭山と桐生一馬のダブルレッグラリアット チンピラにからまれていた呼び込みを助けた後に使用可能。○ボタン入力でハリセンをつかめば成功だ 厳橋から蒼天堀川に投げ落とす。浮遊感と水の冷たさを一気に叩き込むトリップな一撃


 意外というか、刃物や拳銃を所持している敵は少なく、肉弾戦がバトルの中心となってくる。血しぶきの演出やSEによる効果が大きいのだろうが、攻撃をヒットさせた時の手応えというか生々しさは格闘ゲームを越えたリアルなものがあると感じた。

 筆者が個人的に不満に思ったのは、桐生一馬の高すぎるポテンシャル。攻撃力と防御力が高い桐生はチンピラに負けることは難しく、通常のバトルに慣れてくるとタイミングを見ながらボタンを連打し、敵をボコるだけでなんとかなる。それは爽快感を得られるというポイントでもあるのだが、中盤から単調さを感じるようになってしまった。ボスバトルやヒートアクション探しなど楽しみを見出せる箇所は多いので、「無敵さ」はクリティカルな問題ではないのだが……。

バトルで得た経験値はスタートメニューの「能力強化」に使用する。レベルアップ可能な要素は心、技、体力の三種類。各種レベルを上げることで基礎能力が上がるほか、様々なアクションを習得する



■ ヘルプ機能が充実しているアドベンチャーパート

 「龍が如く2」のシナリオは分岐がなく、全16章で分割・構成されている。各章のミッションをクリアしていくことで話が進行し、ミッションをクリアするためには情報の収集や規定のバトルやミニゲームやサブストーリーをクリアする必要がある。アドベンチャーゲームにありがちな極端に難しい謎解きやパズルは皆無に等しいので安心してほしい。

 ミッションをこなす上で重要な機能が、メイン画面左下のミニマップのガイド。ミニマップでは、次のイベントが発生するポイントが矢印で指し示される。迷路のように入り組んだ繁華街のマップの探索は、このガイド機能なしでは成功しないほどありがたい機能だ。

セレクトボタンを押すと、ミッション達成に関するヒントが主人公の言葉で表示される イベントは字幕付き・フルボイスのリアルタイムムービー。その量と長さは膨大。設定でイベントスキップをONにすることもできる


 ストーリーは極道物らしく、巨大組織同士が激しくぶつかり合う。抗争の中で起こる数々の事件は複雑な様相を呈しながらもリンクし、やがて1つの真実へと繋がっていく。その過程で陰惨な事件が次々と起こり、物語全体にピリピリと緊張感が張り詰めているのが「龍が如く2」のストーリーの魅力。男たちの姿を見ているだけで引き込まれてしまうという、不思議な没入感の要因があるといえるだろう。

 中にはやや無茶な展開もあるのだが、「極道だからアリ……だろう」となぜか納得してしまうのが不思議だ。無茶が効くという点では、極道はファンタジー以上にゲーム向きの題材といっても過言ではないだろう。

【ストーリー】
 2005年、神室町で巻き起こった、東城会の跡目と100億円を巡る抗争から一年。“伝説の極道”桐生一馬は、少女・遥と共に、穏やかで幸せな日々を送っていた。だが、事件から1年後の12月15日、事件は再び動き始める。

 東城会五代目会長、寺田行雄の死。東城会の未来を託した男を目の前で殺された桐生は、寺田の遺志を継ぐ決意を固めるが、それは敵対する関西の最大組織“近江連合”と抗争を避けるための“五分盃”を交わすというものだった。

 危険すぎる交渉、待ち受けているかもしれない罠。だが桐生は、東城会を救うため、関西へと向かう。


■ 登場人物、そして街の魅力

 今作の登場人物は主人公の桐生一馬を含め、トップクラスの超常者のオンパレード。一目で筋物と理解させる迫力あるグラフィックスもさることながら、権力への執着、組織への忠誠といった特定の感情が突出した人間ばかりを配置している点が大変面白い。現実の社会では異質と分類される人間たちで構成された異常な世界の中で、周りに流されず、筋を通そうとする桐生一馬の姿が一際輝いて映る。

揺るぐことのない桐生一馬の生き方。一馬のように生きてみたい、とある種の憧憬を求めてしまうのではないだろうか 府警組織犯罪対策部 組織犯罪対策第四課・主任の狭山薫。桐生の協力的な態度によって、共に事件を追うことに
前作にも登場した真島の兄貴。桐生の言葉を借りるようだが、“つかめない”怪人物だ 個人的に早く忘れたい権田原組。しかし、脳裏に強烈に焼き付いてしまった……


 登場人物だけではなく、作り込まれた繁華街の姿も、「龍が如く2」の世界観を支えているといえる。今作に登場する関西の「蒼天堀通り」は、活気に溢れる架空の大阪を見事に表現している。特に感心したのが、食事関係の店のデータ量。牛丼チェーン店「松屋」やふぐ料理専門店「づぼらや」など実在する店舗とタイアップし、そのメニューを購入できる。残念ながら料理の絵はないが、店の内装や価格設定、注文を受けにくる店員の姿まで細部までこだわって再現をしているのがわかる。

蒼天堀通りのお好み焼き屋「鶴橋風月」でいか玉を注文する桐生 クラブセガ蒼天堀店。ドライブゲームやビデオゲームはあるのに、「三国志大戦」のようなカードゲームがないのは何故……?
ドンキホーテでの店内の陳列方式も、実際の店に準拠しているのがわかる 街のキャバクラでキャバ嬢と親密になることもできる。ホステスの管理や店舗の運営をするというキャバクラの経営も可能になる


 1つの章自体は小一時間もあれば充分クリア可能な範囲。セーブ箇所(公衆電話など)も多いので、細かく刻んでゲームを進めることができる。時間に都合の付けやすいゲームといえるだろう。

 本編が終了しても、やり込み要素はたんまり残っている。ミニゲーム(バッティングセンター、ゴルフ、ボウリング、将棋、パチスロ、麻雀、UFOキャッチャー、YF6、カジノ、賭場)の攻略はその最たるもので、特に麻雀はフリー麻雀の気怠い雰囲気が体感できて楽しい。

桐生一馬のドスの効いた声で「ピンフ」などと役名を読み上げてもらえるだけで最高だ 「YF6」は主観視点のサイバー格闘ゲーム。昔、似たようなゲームを見たような……?


 ライター家業も厳密には堅気とはいえないが、堅気の立場からは決して見えることのないピカレスクの魅力が「龍が如く2」には凝縮されている。アイテム画面やマップの読み込み時間が気になるというのも些細な問題に思えるほど、男気のない草食動物の筆者は桐生たち肉食動物が生きる逞しい世界に完全に魅せられてしまったようだ。

(C) SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「龍が如く2」のページ
http://ryu-ga-gotoku.com/
□関連情報
【12月7日】セガ、PS2「龍が如く2」渋谷で発売イベントを実施
「次を作るなら次世代機」と名越プロデューサーが明言
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061207/ryu.htm
【11月28日】セガ、「龍が如く2」12月7日発売。
オリジナルスカジャンなどが当たる発売記念抽選会を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061128/ryu2.htm
【11月16日】セガ、PS2「龍が如く2」
キャラクタやストーリーを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061116/ryu.htm
【11月3日】セガ、「龍が如く 2」体験会を実施中
秋葉原には総合プロデューサー、名越稔洋氏が来店
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061103/ryu.htm
【10月19日】セガ、PS2「龍が如く2」
全国各地で先行体験会を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061019/ryu.htm
【10月17日】セガ、PS2「龍が如く2」予約キャンペーンを実施
映像DVD付き“神室町”情報誌をプレゼント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061017/ryu.htm
【10月13日】セガ、PS2「龍が如く2」大阪で体験会を開催
名越稔洋氏と夏目ナナさんのトークショーも実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061013/ryu.htm
【9月23日】「東京ゲームショウ2006」セガブースレポート
~ラインナップの豊富さは全ブース屈指~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060923/sega.htm
【8月31日】セガ、「龍が如く」発表会を開催
PS2「龍が如く2」と映画化を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060831/ryu.htm

(2006年12月8日)

[Reported by 福田柵太郎]



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