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「東京ゲームショウ2006」SCEJブースレポート その2
「GT HD(仮称)」~PS3の力を借り、12月、新世代「GT」の幕が開く~

9月22日~24日 開催予定(22日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:当日1,200円、前売1,000円
    小学生以下無料


 東京ゲームショウ2006のSCEJブースに出展されていたタイトルの中で、ひときわ来場者の注目を集めていたのが「グランツーリスモ HD(仮称)」(以下GT HD)コーナー。E3 2006の段階では「テクニカルデモ」として出展されていた「GT HD」だが、このTGS 2006において、ついに製品として12月予定で発売されることが決定。

 バケットシートに座ってステアリングコントローラでプレイできる台と、立った状態でアナログコントローラで操作する台が、合計で10台ほど設置されていた。開場後、30分ほどが経過した時点ですでに長蛇の列。日本人だけでなく、外国の人の姿もかなり見受けられ、次世代のGTに対する期待の高さが伺えた。


■ オンライン対応となり、また1つ大きな階段を登る「GT」シリーズ

 '97年に初代「GT」が登場して以来、常にユーザーの期待を超えるクオリティで進化、成長を続けてきた「GT」シリーズ。特に、PSからPS2へハードが進化した際の大きな節目ともいえる作品では、本シリーズの主役であるクルマやコースに関するすべての要素(挙動やモデリングなど)が劇的な成長を遂げている。それは、PS3での初「GT」となる本作品「GT HD」でも変わらない。

 ハードの進化によって、これまでに蓄えてきた素材(クルマやコース等)のフルHD化やオンラインへの対応など、実現可能なことが大幅に増加。一見しただけでも、シリーズ最新作としてさらなる高みへ到達していることがわかる。

 今回判明した要素の中でも特筆すべきは、「GT HD」には「プレミアム」と「クラシック」という2つの顔がある点。両者の違いを簡潔に説明すると、前者はスタンドアローンベースでPS3の凄さを気軽に体験できるモード、後者はネットワーク上に展開される「GT」ワールドでレースなどを楽しむオンライン専用のモードとなっている。これだけでも、今までのシリーズとは毛色の異なる作品であることがわかる「GT HD」。その魅力を、筆者の試遊レポートと山内氏のインタビューも交えてお伝えしていく。

・「GT HD プレミアム」

 PS3の性能を最大限に引き出すことによって、今まで以上に美麗、かつリアルに表現されるレースを手軽に楽しむことができる。これまでのシリーズで例えると、アーケードモードのような位置づけとなるモード。デフォルトで収録されているのは、クルマが約30台と新規コースが2つ。

 このほかに、クルマが1台50~100円、コースが200~500円程度の価格でネットワーク上からダウンロード購入することが可能。最大で、30車種と2つのコースをソフトの発売と同時に新たに追加できる。

・「GT HD クラシック」

 「GT3」と「GT4」に登場したものの中から、750種以上のクルマと50以上のコースをPS3の性能に合わせてフルHD化。これらのデータは、すべてオンライン上に用意されており、自由にダウンロード購入(価格はプレミアムと同じ)できるようになっている。

 さらには、アップデートによってプレイモードが増えるたり、全国に広がるユーザーたちとレースやロビーチャットなどのコミュニケーションを楽しめるなど、オンラインならではの仕掛けが盛りだくさん。レースに関しては、参加するだけでなく“レギュレーションを設定してレースイベントを開催する”ことも可能となっている。

■ PS3の力を初体験。描画能力の向上により走りやすさが大幅に向上

 試遊台では、“THE EIGER NORDWAND”と呼ばれる新山岳コースを、以前の作品に登場した10種のクルマから1台選択して走行することができた。選んだクルマは、Lancer Evolution IX GSR '05。挙動に関しては、「GT4」ですでに完成されつつあっただけに、ペーパードライバーである筆者が感じられるほどの大きな差はなかったように思える。

 いっぽう、コースの方は「GT HD」で初収録となるもの。大幅な減速が必要となるヘアピンと、150km/h前後のスピードで通過可能なコーナーがバランスよく配置されており、道幅こそ若干狭いものの、コアなファンからの人気を集めそうな印象を受けた。また、遠くの景色が鮮明に描写されているため、次のコーナーへの進入タイミングを計りやすく、初めてプレイしたコースにも関わらず大幅なミスをすることなく走行できたことも好印象。

■ オンラインの持つ無限の可能性が予測不可能な面白さを生む

 メインステージで行なわれた株式株式会社ポリフォニー・デジタルプレジデントの山内一典氏のプレゼンテーションでも、メディア向けに用意されたインタビューの発言の中でも、最も印象に残ったのは「オンライン」という言葉だった。

 「GT4」ではネットワーク接続による対戦が実現し、「GT HD」ではオンラインに対応することによって、あらかじめゲーム中に用意されているレギュレーションで行なうレースなど、従来通りのプレイスタイル以外の部分で遊びの幅が無限に広がる可能性を秘めていることを強調していた。

 将来的には、全国大会や世界大会などの大規模なレースイベントを含め、「GT HD」の面白さをユーザーたちと一緒に作り上げていくことも考えているようだ。また、クルマやコースをダウンロード購入しなければならないことを考慮し、ソフト自体は「ディスク+取扱説明書」代程度の安価で提供する予定があることもこのインタビューで明らかにしていた。ダウンロードによって、そしてユーザーによって、「GT HD」の世界はどんどん広がっていく。この可能性こそが「GT HD」の新たな魅力としてどう受け入れられるのか、これから非常に楽しみになってきた。現状開発度は70%という本作だが、完成を楽しみに待ちたい。

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□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「グランツーリスモ」シリーズのページ
http://www.gran-turismo.com/
□関連情報
【8月25日】SCEJ、「GT4」ベースのPS3テクニカルデモ
「グランツーリスモ HD」スクリーンショットを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060825/gthd.htm
【6月8日】SCEJ、「GTHD」の全容を詳細に解説
「GT」オフィシャルサイト「グランツーリスモ・ドットコム」をリニューアル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060608/gt.htm
【5月9日】Electronic Entertainment Expo 2006現地レポート
Sony Computer Entertainment America E3 Press Conference 開催
PS3の本体価格、コントローラーが正式発表される
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060509/scea.htm

(2006年9月22日)

[Reported by 中野信二]



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