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China Digital Entertainment Expo現地レポート

日本メーカーブースレポート
様々なスタンスと手法で中国ユーザーに日本のゲームをアピールする
KONAMI、Square Enix、盛宣鳴数字科技ブース

7月28日~30日開催(現地時間)

会場:Shanhai New International Expo Center

 中国のゲーム市場は、特に海外のゲームメーカーにおいて、法律や検閲といった様々な制約がある。現在、日本のゲームメーカーはさまざまな戦略で、中国市場での地位を確立すべく挑戦を行なっている。その方法論は様々で、非常に興味深い。

 「China Digital Entertainment Expo(ChinaJoy)」では、日本のメーカーの中国でのアピールの一端に触れることができた。今回出展を行なった、KONAMI、Square Enix、そしてコーエーのタイトルを中国で展開する盛宣鳴数字科技のブースレポートをお伝えしたい。


■ KONAMIはアーケード、コンシューマタイトルを多数“参考出展”

シンプルな構成ながら、多数の試遊台と豊富なラインナップでユーザーの注目を集めていたKONAMIブース
 KONAMIは他のメーカーに比べ、装飾の少ないシンプルな構成ながら、「GuitarFreaksV2」、「DrumManiaV2」、「THRILLDRIVE3」など、多数のアーケードゲームタイトル。さらに「ウィニングイレブン9」、「ポップンミュージック12」、「グラディウス」といったコンソールゲームタイトル、そしてモバイルゲームを多数出展し、非常に多くのユーザーを集めていた。

 特に「ウィニングイレブン9」は人気を集めており、8台ある試遊台はいつもプレイ待ちのユーザーとギャラリーでにぎわっていた。「ウィニングイレブン9」はイベントスペースで大画面での対戦プレイが可能で、スタッフがその模様を実況してくれる。このコーナーは一組のプレイが終わると次の希望者が競って手を上げていた。

 どのタイトルも人気で多くのユーザーを集めていたKONAMIだが、実は現在、モバイルゲーム以外の、コンソールゲーム、アーケードゲームを展開していない。今回出展されたタイトルはモバイルをのぞき、全て「参考出展」タイトルなのだ。

 中国でのKONAMIは'96年にアーケードゲームを展開するメーカーとして設立された。しかし、アーケードゲームに関しては「44号文書」と呼ばれる法律により、2000年に展開を休止、その後はコンソールゲームをリリースする。最近では、メッセージや音声も中国語に翻訳した「ウイニングイレブン8」(パブリッシングはSCE Asia)は大好評を博した。しかし現在は、コンソールゲームも規制による影響で展開を行なっていない。

 こういった状況でもあえてKONAMIがChinaJoyに出展をしたのは、「コナミ」としての、コンテンツの魅力を中国ユーザーにアピールしたいという意志があったのだろう。規制緩和の希望を持ち、アーケードゲームのタイトルも多数出展し、「現在のコナミのコンテンツ」をアピールしている。

 日本の「コナミ」としてのイメージを強調したKONAMIの出展は、独自のネットワークゲームを多数パブリッシングし、オンラインゲームメーカーとしてアピールするSEGA Networksとはまったく違うベクトルを感じさせるものだ。

 来場者達は、出展されたタイトルの多くが英語版、日本語版であるにもかかわらず、実に楽しそうにプレイしていた。面白いゲームを望むユーザーの希望がどのような形で叶えられていくかは、注目していきたいところだ。

「WARTRAN TROOPERS」、「Lethal Enforcers3」、「GuitarFreaksV2」など英語版のアーケードゲームを多数出展
コンソールゲームは、「グラディウス」、「NEO CONTRA」、「Dance Dance Revolution STRIKE」など、最新タイトルというよりも、「コナミブランド」をアピールするラインナップだった
ステージではスタッフの実況付きで「ウイニングイレブン9」を楽しめた 「ウイニングイレブン9」の試遊台は特に注目度が高かった 現在中国でKONAMIが展開しているのはモバイルゲームのみだ


■ 展開中の「クロスゲート」と、2本の最新作を映像出展したSquare Enix

会場の壁際で細長い形のブースを展開していたSquare Enix
 累計会員数2,000万人、最大同時接続者数10万人を中国で獲得している「クロスゲート」を展開するSquare Enix。ChinaJoyでは、会場の壁際に細長いブースを構え、小さなイベントフロアと試遊台を設置するという、いささか地味な出展を行なっていた。

 「クロスゲート」は、日本では月額課金制で運営されているが、中国では8月1日よりアイテム課金に移行する。支払いは独自のポイントカードを購入して行なう。ゲーム画面から、ショップボタンを押すことでアイテムを購入できる。台湾では「クロスゲート」はすでにアイテム課金を行なっている。

 試遊台では、サービス開始に先がけてアイテム購入を体験できた。課金アイテムは高性能の回復薬や、ステータスアップ効果のあるアイテム、カレーライスやフカヒレスープなどゲームに登場する料理などもあった。

 今回、試遊台は「クロスゲート」のみで、この他最新タイトルとして「ファンタジーアース」、「至尊天下」の2本の映像出展を行なっていた。「ファンタジーアース」は日本で現在サービスされているRvRをテーマにしたアクションMMORPGだ。ゲームの特徴を紹介するムービーには中国語の字幕が入っていた。中国でのサービス時期は未定だ。

 「至尊天下」は中国でのSquare Enixオリジナルタイトル。動力時空という中国の会社が開発を行なっている。武侠世界をテーマに、中国ユーザーにアピールする要素を詰め込んで制作しているという。ムービーでは、キャラクタが大きくジャンプをし、武侠映画の主人公そのままに空を滑空していく姿が印象的だった。

 フィールドは細かく描きこまれ、戦闘では派手なスキルが発動する。乗り物は麒麟のような神話的な動物や、パンダまで登場する。ムービーではキャラクタがジャンプを繰り返して高いところに登ったり、城壁を超えるシーンも。攻城戦などで活用する技能なのだろうか。今回のムービーはあくまで“イメージ”という印象を受けた。年末にテストを行なう予定で現在開発が進められているという。

「クロスゲート」はかわいらしいキャラクタが中国のユーザーに評価が高いという。コミュニティーも暖かく、PvP中心のMMORPGとは違った雰囲気があるとのこと ゲーム画面から直接呼び出すことができるアイテムモール。回復薬の他、強化アイテム、料理(スキルポイントが回復する効果がある)などが確認できた 映像出展を行なった「ファンタジーアース」。ムービーには中国語の字幕が入っていた
武侠をテーマにしたMMORPG「至尊天下」。中国のSquare Enixオリジナルタイトルである


■ 巨大な帆船型ブースで「大航海時代 Online」を出展した盛宣鳴数字科技

帆船型ブース、水夫姿のコンパニオンなどタイトルのイメージをブース全体で表現していた盛宣鳴数字科技ブース
 「信長の野望Online」、「大航海時代 Online」を中国で展開する盛宣鳴数字科技は大きな白い帆船型のブースで会場の注目を集めていた。「大航海時代 Online」のロゴが描かれた帆を張り、救命用具をくくりつけ、コンパニオンは水夫の服をアレンジした衣装をまとっているという凝りようだ。

 盛宣鳴数字科技のブースでは、2月から正式サービスをしている「信長の野望Online」はタイトルが描かれた看板のみの出展で、30台近くの試遊台はすべて「大航海時代 Online」のものだった。ブースではゲームの音楽を楽しむことができるコーナーも用意されていた。BGMを聞かせる部屋は外の音が入りにくい構造になっていて、来場者はゲームに登場する様々な街のBGMを楽しむことができた。

 「大航海時代 Online」は8月からクローズドβテストを予定している。各試遊台にはゲームの操作方法が説明されたカードが用意されていて、すぐに航海に出発することができた。ユーザーの注目も高く、プレーヤーの肩越しに画面をのぞき込む人も多かった。

 中国でのコーエーのタイトルの展開は、韓国や台湾など他のアジア地域と比べて、遅い印象がある。認可などの点で、スケジュールが決まりにくいという面もあるようだ。今回のブースでは、盛宣鳴数字科技のタイトルへの理解の深さ、期待の大きさが感じられたように思う。今後の展開が楽しみである。

30台近くの試遊台と、BGMを視聴できるコーナーを設けて「大航海時代 Online」を大々的にアピール

□China Digital Entertainment Expoのホームページ
http://www.chinajoy.net/
□関連情報
【7月29日】第4回China Digital Entertainment Expoが上海にて開幕
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060729/china_01.htm

(2006年7月30日)

[Reported by 勝田哲也]



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