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会場:センチュリーハイアット東京
ファンタジーRPGの原点である「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の最新コアルール3.5版をベースに、ゲームマスターの語りによって展開される骨太のクエストを軸としたゲームデザイン。真の意味で、テーブルトークRPGの持ち味をオンラインゲームとして消化させたMMORPGとなっている。今年期待の大作オンラインゲームのひとつだ。 今回は、「DDO」の国内パブリッシャーとなるさくらインターネットの代表取締役社長兼CEOの笹田亮氏に、国内展開の抱負と、IDC自らが運営、そしてパブリッシングすることのメリットについて話を伺った。
■ さくらインターネットがオンラインゲーム業界に参入する意義
笹田氏: ありがとうございます。そうですね。1つはやはり、データセンターというインフラを持つ会社が、ゲームをパブリッシングしたらどうなるか、と言うことをお伝えしたかった。そうすることで、日本のゲーム市場ってもっと大きくなるんじゃないかなと。 他のゲーム会社さんの話を聞いてみると、ユーザーからの不満って比較的インフラとか、データセンター周りの回線だとか、24時間体制でないとか、サーバーがダウンした時、復旧どうするの、といった不満が多くを占めている。こういった中でデータセンターと協業していけば、日本のゲーム会社はもっと良いオンラインゲームを出せるのではないか、というメッセージを込めて、今日はカンファレンスを開かせていただきました。 編: 笹田社長は、新たなビジネスモデルとして「レベニューシェアモデル」を今後広げていこうじゃないか、という提案をなさっていましたが、これはさくらインターネットさんが広げていくのか、すべてのパブリッシャーに広げていきたいのか、どちらなのでしょうか。 笹田氏: 基本的には、日本のゲーム開発会社は非常に高い技術を持っていて、良いゲームを作っている。世界的にもそう評価されています。しかし、オンラインゲームになった瞬間、ちょっと弱い。 それは、普通のデータセンターでは提案しづらい考え方であるとも思うんです。回線とインフラを持っていても、サーバーの運用技術はまた別ですから。両方持っている当社だからこそ、色々なゲーム会社にレベニューシェアモデルを提案できるのではないかと。 発表会でもお話した通り、年間運営費だけで8億かけて、別途開発費を捻出して、利益を出すのは、ビジネスモデルとして非常に敷居が高い。最低でも10万くらいは取らないとね、という話になってしまう。こういう中で当社のような会社が一歩踏み出すことが大事ではないかと。 この「DDO」はプロトタイプとして、当社としても初めてのゲームモデルとして、ゲーム会社に提案していきます。いままで「回線原価がなあ、運用原価がなあ」といった形で、オンラインゲームの開発を思いとどまっていた企業や、もっと良いクオリティのゲームを作っているのに、インフラのコストが出ないよ、という会社に対して、うちはインフラを提供します。しかも原価が売り上げを超えることはありませんよ。ということでもっと自由に、もっと面白いゲームを日本の市場に広められると考えています。 編: 仮にそのモデルが他社にも広がるとすると、さくらインターネットのアドバンテージはどのあたりになるのでしょう? 笹田氏: 自社でもゲームを提供しながら、ゲームの運営や保守という実績を持ち、レベニューシェアというビジネスモデルを提案できる。世界的に見れば、中国などは国内で立ち上がっているサーバーの3~4割がゲームサーバーになっています。国内市場で、「ゲームのデータセンターといえばさくらインターネットだよ」という立場になれればいいな、と思っています。 編: 現在さくらさんでのゲームサーバーの割合はゼロに近いですね。今後、何%くらいまで引き上げるつもりですか? 笹田氏: そうですね、うちでも割合は1%ほどです。10%くらいまでには。それだけのニーズはあると思います。 編: そうなると現在保有している6,000台のうちの10%で600台ですか。 笹田氏: 当社自身が預かっているサーバーも含めると、数万台になりますので、数千台単位のゲームサーバーを立ち上げたいですね。少なくとも10や20のゲームはお預かりしていきたい。逆にデータセンターとしての立場で、そこまでの提案ができる会社は、うちしかないと自負しています。 編: そこで肝となるのが「Sossaman」と名付けられたサーバーだと思いますが、発表会では3,000人規模のクローズドβテストではサーバーの性能が良すぎて負荷テストにならない。もう一回やらないと、ということを冗談半分に仰っていましたが、ちょっと現行のゲームサーバーとしては、性能的にオーバーキルなのかなと。そうなると結局コスト高になってしまうのではないかと思ったのですが? 笹田氏: データセンターにおいて、ゲームサーバーの初期コスト、たとえば1台30万のサーバーを組むのか、35万のサーバーを組むのか、実はそのくらいの差なのです。では何が違うのかというと、1ラックあたりの使用率です。データセンターで1ラックを借りると、当社でも大体20万くらい、今回の主力では23万円というのが定価になっています。 そこにサーバーを設置すると言うことになるのですが、今の「G4デュアル」や「G4クアッド」などの現行のCPUコアを使ったものを使用しますと、1ラック当たり3~5台しか設置できません。さらに非常に電気を食う。「Sossaman」ですと、1ラック当たり20台とか設置できますから、月20万かけて20台でしたら、1サーバーあたり1万円しか運営コストがかからないですよね。 これを5台でしかできなかったら1サーバーあたり4万円かかることになります。これはそのままユーザーやメーカーの負担になっていきます。そういう意味でハイクオリティで低電力なサーバーを用意することで、全体の運用コストを下げることができます。 現在お話をもらっているゲーム会社さんのところで試算をすると、大体サーバーの運用費を半分から1/3にすることができます。50ラックとか借りているお客さんの場合は、年間で数千万円のコストを削減することができます。そういった意味で、ゲーム会社さんにはこういった仕組みも含めて提案していくのが、私たちの役割なのかなと。
■ なぜ「DDO」という欧米産MMORPGを選んだか?
笹田氏: 3つあります。日本の市場では韓国のゲームが市場を賑わせています。もちろん私たちも韓国のゲームを否定しているわけではなく、お話もいただいていますし、中には素晴らしいゲームもあります。ただ、1つの市場しかないような、切り口が比較的近い形。たとえば欧米で売れているような、切り口が色々あるゲームはやはり欧米でしか作られていません。たとえば僕がどれだけ肉が好きでも、朝から晩までステーキだと飽きるじゃないですか。色々なゲームの切り口というのはやはり必要なのではないかなと思います。 日本の市場において欧米のゲームが売れない理由は何なのか。私もかれこれ8~9年、欧米のオンラインゲームをやっていく中で、理由はだいたいわかっているんですよ。日本語版になるのが遅すぎる。サポートが北米の場合は、日本のゴールデンタイムにサーバーダウンがある。こういったことがあると、モチベーションを持ってプレイを続けるのがやりにくい。 更に英語版のままゲームをプレイしてしまう人が多い。たとえば韓国のゲームはハングルのまま遊ぶ人は非常に少ない。欧米産のゲームの場合日本では「Diablo」が発売された頃から、英語版のゲームをホームページなどインターネットで情報を集めて、オンラインゲームを遊ぶという習慣がついてしまった。「Diablo」や「Ever Quest」といった大作ゲームがなかなか日本語化されなくて、でもやりたいというユーザーがコミュニティーを作って、ファンサイトができて、英語版のまま遊んでしまっていたわけです。 欧米のゲームは世界では一番遊ばれているゲームなのですから、ここを払拭することで、日本人にももっと遊んでもらえるんじゃないかなと。僕自身も遊びたいと思いまして、3月からスタートしたこのゲームを、非常に早いタイミングで提供することができました。 もう1つはゲーム自体に対して、Turbineさんと話をさせていただいた際に、北米でも苦労されたようで、オンラインゲームにおけるデータセンターの必要性をとても理解してくれて、ゲーム会社からもデータセンターが必要なんだと言っていただけたこと。 もう1点は、このゲーム自体がクエストを中心に進んでいきます。通常ですと英語版のゲームでも、キャンプ場所に行って敵を倒していくと、レベルが上がっていきます。次の場所、次の場所といった形で作業に近い形でレベルアップができるのですが、このゲームの場合はクエストをクリアしなくてはならないので、日本語化をするメリットが非常に高い。 そして「DDO」はアクション性が高く、ボイスチャットを併用していくゲームです。プレーヤーは耳で情報を得ることになります。テキストチャットで外人と遊ぶ場合には何とかなるプレーヤーも多いですが、ヒアリングとスピーキングという時点でとたんに敷居が高くなります。しかもゲームをプレイしていて興奮をしている英語をヒアリングするのは難しい。こういった点でも日本語化するメリットがとても高い。さまざまな角度から、「DDO」を選ばせていただいたのです。 編: 私から見て、「DDO」を選んだ一番の動機は、笹田さん自身が熱心に欧米のオンラインゲームをプレイなさっていたからではないかと思いました。過去にはどういったゲームをプレイなさっていましたか。 笹田氏: そうですね。最初は「Diablo」からスタートして、社内でも流行りました。そして「Ever Quest」、「DARK AGE OF CAMELOT」、「PlanetSide」、「EVE Online」、そのほか色々ですね。英語版のゲームを遊び慣れているというところはあります。 編: ただ、「Ever Quest」、「Ever QuestII」、「DARK AGE OF CAMELOT」、そして「Star Wars Galaxies」など、日本で展開した欧米産MMORPGはことごとく苦戦していて、中には撤退してしまったタイトルもあります。こういった状況でも、まだやはり成算があると? 笹田氏: はい、充分にあると考えています。今出されたタイトルの多くは、日本語化が基本的に遅かったことが失敗した要因だったと思います。「DARK AGE OF CAMELOT」に関してはサーバーは北米ですからね。ネットワーク的な問題がクリアできなかったというのもあるでしょう。 日本のゲームプレーヤーにとっては、やはり日々のストレスをどれだけ少なく遊べるか、というのがあって。早く日本語化されて、かつストレスなく遊べるという環境が提供できればもっとプレイ人口は増えるはずなんです。「もっと早く日本語化されれば、日本語版を待つのに……」というユーザーも多いと思います。 編: 我々「D&D」世代のプレーヤーにとっては、D&Dを知っていますから、ゲームデザインが複雑であり奥深いほど喜びになります。しかし、「D&D」を知らないユーザーさんが、サクッとプレイできるゲームかというと、正直難しいのではないかと思いました。チュートリアルというか、うまくプレイできるようになる導入部分を、どのような形に軟着陸させるか、という要素が非常に重要だと思いました。何かアイデアはあるのでしょうか? 笹田氏: そうですね。プレーヤー同士のコミュニティー、というのが非常に重要になって来ると思います。そういう意味ではフォーラムなんかもお客様に提供させていただいて、ユーザー同士のコミュニティーに、当社のゲームマスター(GM)やダンジョンマスターが入ってサポートもしていく。というようなことも考えています。 他にも発表会で話した「DDO Blog」で、ユーザーがこのことで困った、こんなキャラメイキングが楽しいよ、といったことを、どんどん発表してもらえればと思います。後は、当社自身もユーザー向けコミュニティーをどんどん応援して、こういった情報をどんどん表に出していく必要があるでしょう。 ゲームはデモプレイで説明した通り、キャラクタをカスタマイズしなければすぐに遊ぶことが可能です。そこで不満を持ったらカスタマイズしていく。好きな人はマルチクラスも考えたカスタマイズをしたり、かなり選択肢があります。簡単にゲームを始めて、アクション性を持ったゲームの楽しさをまず経験してもらって、その後カスタマイズなど深いところを楽しむ。 「DDO」は何段階か遊び方の段階があるゲームです。1キャラクタ作ってレベルカンストしておしまい、というゲームではありません。自分にあったキャラクタ、自分にあった遊び方を試行錯誤しながらキャラクタメイクを含めてゲーム自体を遊んでもらう作品なのかなとは思っています。 編: GMのサポートとおっしゃいましたが、それはGMが真の意味でのゲームマスター的なサービスを行なうこともあるのでしょうか? 笹田氏: 現時点ではGMが独自のクエストを追加したりと言うことはありませんが、将来的な流れとしては、プレーヤー自身がクエストを追加したりする、ということはゲームシステムとしてあります。こういう流れになっていくのかな、とは思っています。 編: たとえば、インスタンスの中で、GMが先導してプレーヤーを誘導していくみたいな、テーブルトーク的な遊びがあるといいなと思ったのですが。 笹田氏: そういうことも可能です。「DDO」の基礎となっている「D&D 3.5」というルールの中には「イモータル(神)モード」というのがありまして、一定以上のレベルに到達したプレーヤーは自分自身でダンジョンを作ることができます。こういったルールが今後追加されていけばなと私自身思っています。
■ オープンβテスト、正式サービスに向けての取り組み
笹田氏: 現在の日本語版の問題としては、「男女の言葉の使い方の違い」、「フォントサイズの問題」というのが挙がっています。男女の言葉使いに関しては、今回翻訳された、日本語、中国語、ドイツ語の中で日本語だけが男女や状態で一人称が違うのです。「おれ、ぼく、わたし、あたし」などですね。「ジェンダー問題」と私たちは呼んでいます。 全部ニュートラルな言葉にするという選択肢もありましたが、Turbineと調整をしまして、次のオープンβテスト用のクライアントからは、男女それぞれ別の言葉をしゃべる仕組みにしました。自身のキャラクタが男か女かによって、クエストでの選択の言葉が変わります。もちろんフォントに関しましても、オープンβのクライアントでは、サイズ調整を行ない、それがクリアされた時点でオープンβテストに踏み切ろうと思っています。 編: 現在公開されているクライアントの完成度はどのくらいなのでしょうか。 笹田氏: 大体60~70%ですね。オープンβテスト時にはほぼ100%にしたいと思っています。実は今日から、当社のプロデューサーや翻訳担当者が最終のバグフィックスのために北米に出張に行って、すべて終わらせて帰ってくる予定になっています。 ユーザーインターフェイスや男女の言葉の違いなども並行して直していきます。まあ、100%完璧にできるかというと、ボリュームがものすごいですからわかりませんが、現在明らかになっている問題に関してはすべて直していきます。 編: 現在クローズドβテストを実施中ですが、負荷がかからなすぎた、ということはおっしやっていましたが、その他にどのような感想をお持ちになりましたか? 笹田氏: まずローカライズの問題についてはやる前からわかっていました。ジェンダー問題を解決してからだと、とてもテスト開始が遅れてしまうことがあって、まずは遊んでもらおうと。まずとにかくゲームに触ってもらおうということでβテストを始めました。男女の言葉の違いなどは、ユーザーからもっと厳しい指摘があるかと思いましたが、思った以上にユーザーさんは暖かく、この「DDO」というゲームに対して非常に興味と期待を持って遊んでいただいているのかなと。 テスト開始前は、ユーザーさんからもっと文句を言われるのかなと思っていたのですが、「非常に面白い」と、「これはいい」というようなポジティブな意見を、たくさんいただいています。不具合などもきちんと直していくことを、サポートを通じて伝えています。他にも名詞の統一、全部カタカナにするかなども含めて、対訳表を用意しながらやらせていただいている状況です。ユーザーさんは、こういったところもこまめにバグレポートをしてくれるので、非常にありがたいです。 編: 日本にも一定の欧米ゲームファンがいますが、最近では「Ever Quest II」や「Star Wars Galaxies」といった大物ですら、国内メーカーが運営から撤退してしまうような寂しい状況が続いています。そんな中で「DDO」は一種“大事な一粒種”になっている感じでしょうか。 笹田氏: そうかもしれませんね。それにこのゲームのシステム自身も、今までのMMOをプレイしていた人にとっても、斬新に感じてくれたのではないかと思います。どの程度受け入れられてくれるかという心配もしたのですが、「このシステムは素晴らしい」といっていただけました。 英語版も7日間のフリークライアントが配布されていますが、「やっぱり英語だとこのゲームは楽しめない。日本語にしてくれてありがとう!」という意見もたくさんいただいて、私たちも自信を持ちました。 編: 想像以上の手応えを得た、という感じでしょうか。 笹田氏: そうですね。クローズドβテストでは3,000人の募集でしたが、ここに42,000人の応募がありました。私どももこれほどの応募は想定していませんでした。たくさんのユーザーに期待をいただいているのかな、と思いました。 編: 今回サービススケジュールが発表されましたが、オープンβテストの参加者の見込み数はどのくらいを想定しているのでしょうか? 笹田氏: 当初は私どもも少なめに多くても4~5万人かな、と見ていたのですが、βテストの好評ぶりを見ますと、もしかして10万くらいまでいってしまう可能性があるのかなと思って計画を練り直している段階です。いずれにしてもサーバーなども規模に見合うだけのものを用意させていただきます。後はユーザーさんの声を聞きながら、ということになると思います。 編: 今回のオープンβテストは、正式サービスまでの助走期間と言うくらいの期間しかありませんが。 笹田氏: そうですね。正式サービス後も2週間は無料期間ですし、まずはどんなものか遊んでいただきたい。オープンβ開始と同時にパッケージを発売しますが、正式サービス時も同じクライアントで遊んでいただけます。パッチだけで移行できます。パッケージを買った人もすぐにサーバーにつないでいただいてゲームを遊んでいただけます。オープンβテストで色々なキャラクタを遊んでもらって、イメージを固めてから正式サービスで遊んでもらいたいと思います。 編: 特に月額制のMMORPGですと、仮にオープンβテストで10万人のユーザーを集めても、正式サービスに移行するのは数万人まで一気に落ちるケースが多いですが、そうではなく可能ならそのまま全員に移行していただきたいと? 笹田氏: もちろんそうですね。基本的には2~3カ月のスパンで追加モジュールなどもやっていきます。日本では海外から1カ月遅れくらいでやりたいと考えていますので、どんどん追加していってユーザーを増やしていきたいと思います。何十万人集めて正式時に1/10くらいというビジネスモデルは、比較的カジュアルなコンテンツだと思うんですよ。 「DDO」のような重厚なタイトルの場合は、他のゲームの話を聞くと、多いところで7~8割のユーザーが残っていると言うことです。少なくとも3~4割のユーザーが残ってくれることを考えています。オープンβテストでまず触っていただいて、特典が付いているクライアントパッケージを買っていただくか、ダウンロードクライアントをそのまま使って正式版をプレイしていただく。2週間の無料期間で自分の目指すキャラクタ像を追求していただきたいです。 編: 正式サービス移行は、追加モジュールの拡充がありますが、このビジネスモデルはどのようなものを考えているのでしょうか? 笹田氏: Turbineとも同意しているのですが、次は俗にダークエルフと言われる「ドロー」という種族が追加される予定です。今後は職業としてモンクが追加されたりするのですが、こういった要素の追加に関しては基本的に無料でやっていことうと。 世界自体を大きくするような、本体のボリュームが倍になるようなパッケージに関してのみ、ユーザーさんに購入していただきたいと思っています。今回、クライアントに関しては実質1,500円で販売しています。北米では6,000~7,000円で販売していることを考えれば、非常にコストを抑えていますが、拡張パッケージに関しても1,500円以上の価格設定にする予定はありません。 日本で欧米のゲームが流行りにくい一因は、クライアントが高すぎるというのもあると思います。7,000~8,000円のクライアントを購入してかつ1,500円の利用料ですよ。これは敷居が高い。クライアントを1,500円にして、月額固定だったら比較的お手軽間もあるのかなと。実際これだけ本格的なゲームで、これだけコストを下げて、提供したモデルというのはほとんどないと思います。 そういう意味ではTurbineも私たちの意見をよく聞いてくれたなと思いますね。Turbineともレベニューシェアモデルですから、クライアント料金が下がると向こうの取り分も減るわけですが、理解してもらいました。 編: 仮に第1弾の拡張パックが1,000円で発売されるとして、北米と日本でのサービスでは現在半年近くのタイムラグがあるわけですが、拡張パック販売のタイムラグはどのくらいになりますか。 笹田氏: 1カ月、どんなに遅れても2カ月です。1カ月前後で出していきたいと考えています。今回のクライアントのローカライズも実質2カ月くらいでやっていますし、本体より多いデータを持つ拡張パッケージというのは今のところ予定されていないので。北米で拡張パックが発売されてからテキストが来るのではなく、事前に送られてきますので、1~2カ月遅れでパッケージは販売できるかなと。すぐ横で英語版の拡張パックで遊んでいる人がいるのに、半年も遅れてしまうと待ってられない部分もあると思います。 編: 有料化の時点で5~10万人のユーザーを、ということですが、そうなるとコアユーザーだけでは少し数が足りない、やっぱりマスを狙わなくてはいけないのではないかなと思うのですが。 笹田氏: そうですね、そういう意味ではコミュニティをいかに形成していくかということが一番重要なのかなと思っています。 編: 私たちだと「ビホルダー」が出てきた時点で、「わーい」というところがあるわけですが、一般のゲーマーにそういう人はやっぱり少ない。そういった層にどのようにアピールしていくのか、そのあたりのプランがあれば、教えていただきたいです。 笹田氏: 基本的には「日本向けのアピールの仕方」というのもあると思っているんです。今日お見せした、かっこよくて渋い北米ならではのCGムービー以外にも、色々な見せ方があると思うんです。たとえばBlogのテンプレートや、色々なコミュニティーサイトへの素材にしても、日本的なものを提供していきながら……。現時点ではあまり詳しくは言えないんですが(笑)。いろいろやっていければなと。 編: たとえば、それは東京ゲームショウに出展するとか、独自でプライベートイベントを開催するとかでしょうか。 笹田氏: 東京ゲームショウには出展します。実際に色々な人にゲームを触っていただいて、ゲームパッドでの操作できて、遊べるというのを確認していただく機会にしたいと。「DDO」は、コーエーさんの「真・三國無双」といったアクションゲームの操作感とも比較的似ていますから、ゲームパッドで遊んでいただくと、このゲームの面白さをより味わっていただけるのかなと。 編: では、最後にゲームを期待しているユーザーへのメッセージをお願いします。 笹田氏: 「D&D」という世界で一番広く遊ばれているRPGをベースとした、世界で初めてのオンラインゲームですので、是非、一度、まずは2週間無料ですので、オープンβテストを含めて、遊んでいただいて感想を寄せていただければと思います。
□さくらインターネットのホームページ (2006年7月5日) [Reported by 中村聖司 Photo by 勝田哲也]]
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