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★オンラインゲームレビュー★

未踏の大地を探索する興奮がわき上がる
全く新しい楽しさをもたらす大規模アップデート

「マビノギ」チャプター2



 2005年4月26日の正式サービスから1周年を迎えた「マビノギ」は他の韓国産MMORPGとは一線を画す、強いオリジナリティーを感じさせるファンタジーMMORPGである。冒険者達の「生活」に焦点を当て、プレーヤーは料理や、鍛冶、裁縫といった生産活動、さらに楽譜を入力して作曲や演奏なども楽しむことができ、ゲームの世界で現実とは違うもうひとつの生活を満喫することができる。

 この「マビノギ」が4月27日より「チャプター2」に移行した。チャプター1では“光と闇の戦い”をテーマにしたストーリー性が前面に押し出されていたが、チャプター2では“探検と発見”がテーマとなる。プレーヤー達は広大な面積を持つ新大陸「イリア」へ旅立っていく。そこでは今までの「マビノギ」とはまったく異なる体験が待っているのだ。


■ 新大陸イリアを舞台に、まったく新しい冒険が始まる

 イリアはプレーヤーと同じ「マビノギ」の世界“エリン”の人々が発見した新たなる大地である。エリンの民は、最初に降り立った地にベースキャンプを建造し、開拓活動を開始した。冒険者達はここを出発点にして、未知なる新大陸へと乗り出していくことになる。

新大陸まで舟で旅立つ。同行者が少なかったのが少し寂しかったが、船が海を進む雰囲気や、空の色などが美しく、新大陸への期待をかき立ててくれる
マップの右側が新大陸のラノ地域である。今までの舞台であったウルラ大陸とほぼ同じ大きさを持つ
 新大陸には、今までの冒険の地ウルラ大陸のケアン港から出発する船で向かうことになる。船は今までの「マビノギ」にはなかった要素である。港にいるNPCからチケットを買い、船に乗り込み、波を蹴立てながらの航海は、ぐっと気分を盛り上げてくれる。

 少し残念だったのは、船に乗らなくてもメニュー画面から直接新大陸に旅立つことが可能なことである。韓国では船に乗るための行列がものすごく長くなってしまったための反省だと思われるが、だったら船を大きくするなり、一度当たりのキャパシティを増やすべきで、船に乗らなくて良いというのは見当違いの改悪だろう。せめて最初の1回は船に乗ることを義務づけて欲しかったところだ。

 船での移動は、小さめの船が、風で帆をふくらませ、海面を切るかのように波を蹴立てて進む様子は風情があって楽しい。「マビノギ」はこういった“情緒”を大切にしている作品であり、イリアへの航海も短いながらそのスタッフのこだわりが見て取れる。直接飛んできてしまったユーザーも是非、一度は乗ってみることをおすすめしたい。

 プレーヤーがイリア大陸に最初につくとチュートリアルが始まる。ここで新しい冒険の基礎を学ぶことができる。イリア大陸には様々な謎が隠されており、プレーヤー達は魔法で隠されたオブジェクトを探知する“Lロッド”を手に、広大な大陸を突き進んでいくことになる。チュートリアルではLロッドの使い方、遺跡の発見の練習、さらに発見した遺跡をスケッチする方法などを学ぶことができる。NPCから出題された課題をクリアすれば、いよいよイリア大陸へと出発するのだ。

 現在はイリア大陸の内、「ラノ地域」だけが実装されているが、ここだけでも今までの世界と匹敵するだけの大きさがある。最終的にはイリア大陸はウルラ大陸の5倍もの広さを持つ場所になるという。

 イリア大陸では、“発見”が非常に楽しい。Lロッドを手に隠された財宝を探し、大地に描かれた巨大な地上絵に驚き、様々な場所に生息している動物の分布を調べていく。大陸での知識を深めていくのはとてもワクワクする経験だ。発見して得た知識は、後のクエストを進めるのに役に立つ。白地図に自分が得た情報を書き込んでいく、自分なりの地図を作成していくのがチャプター2の醍醐味である。プリントアウトした地図を手に、様々な情報を書き込んでいくと、冒険に一層のめり込めるだろう。

 ちなみにイリア大陸は高レベルユーザーに限定された場所ではない。初心者でもスタート地点であるティルコネイル村で本作の基礎を学べば、充分新大陸に挑戦できるだろう。イリア大陸はベテランユーザーにとっても未知の地域である。是非初心者のユーザーも彼らの輪に入り、新発見の驚きを共有して欲しい。

 さらにギルドに入るなど、濃密な仲間の繋がりを持つことができればチャプター2をより一層楽しめるだろう。未知の大陸で他のプレーヤーと様々な発見をし、得た情報を交換することで冒険の面白さは何倍にもなる。イリア大陸は今までの「マビノギ」とは別のベクトルの楽しさをもたらしている。是非「新発見」の楽しさを体験して欲しい。

大陸にたどり着くと始まるチュートリアル。新大陸の冒険の基礎を学べる 冒険者の出発点となるベースキャンプ。武器やポーション、銀行など最小限の機能を備えている 「マビノギ」は敵の攻撃を受けて隙を作る“ディフェンス”など独特の戦闘の駆け引きがある。初心者はまずは戦闘の基礎から学んでおいた方がいいだろう
今回のアップデートに合わせてインターフェイスの改善も行なわれた。マップをクリックするとその場所に移動できるようになった ゲーム内ですぐに課金アイテムを購入できるようになったのも、追加された機能の1つだ 新しいペットユニコーン。2人乗りも可能な騎乗動物だ。筆者は先輩プレーヤーに頼んでちょっとまたがらせてもらった


■ 様々なものを探知するLロッドや、スケッチなど冒険を楽しくさせる新システム

 “探検と発見”をテーマにしたチャプター2を象徴するアイテムがLロッドである。これは水脈や宝の位置を探知するという「ダウジング」という現実にある神秘的な探査技術をモデルにしたもので、キャラクタにLロッドを装備させイリア大陸を歩くで様々なものを発見することができる。

光と音で隠されたものを知らせるLロッド。水脈調査などをする神秘的な探査方「ダウジング」をモデルにしたシステムだ。冒険にランダムなイベントをもたらしてくれる
ダンジョンの入り口には発見者の名前が記される。一週間で場所を変えるため、コアプレーヤー達はここに名前を記すために、毎週激しい競争が繰り広げられそうだ
 何か隠されたものの近くを通りかかると、Lロッドは光を放ち、音を発する。その方向を向いている時は音の回数が多くなる。距離によって音が2回から、3回、そして4回と回数を増していく。4回音が鳴る場所は目標のすぐ近くである。そこでXキーを押すと隠されたものが姿を現す。

 隠されたものは宝箱であったり、未知の文明が建造した遺跡の一部だったりする。現在のところイリア大陸にはエリンの人々以外の“人類”は発見できていないが、遺跡の存在はかつてこの地に高度な文明を築いたであろう種族の存在を指し示している。イリア大陸への興味がぐっと高まるオブジェクトである。

 発見できる遺跡の中には地下がダンジョンとなっている「遺跡の入口」も存在している。この遺跡の入口は発見することで発見者の名前がそこに記される。この遺跡の入口は1週間ごとに場所を変える。そのたびに発見者も変わっていくのでコアプレーヤーの目標となるだろう。ダンジョンは床が透明になっており、体がつぼの形をした「ポットスパイダー」や、動く石像のようなモンスターが待ちかまえていて、神秘的な雰囲気がある。敵の数も多く、ソロでの攻略が難しくなっている。仲間を募って挑戦したいところだ。

 このチャプター2からはキャラクタは新しく「探検レベル」というステータスを持つようになった。この探検レベルはLロッドで隠されたものを発見したり、クエストをクリアすることで上昇する。レベルが上がることでより高度な探検クエストを受けることが可能になり、通常のレベルアップと同じように「AP(アビリティポイント)」やステータスボーナスを入手できる。

 「マビノギ」はレベル制とスキル制の両方の特性を持つMMORPGで、APを消費することでよりスキルを成長させることができる。中級者ユーザーにとってもAPは不足しがちである。初期は探検レベルも上がりやすい。今まで以上にキャラクタを成長させやすくなったのである。

 探検クエストはイリア大陸で得た知識を試される新しいクエストシステムだ。このクエストはベースキャンプの掲示板から入手することができる。クエストは「蛇の地上絵の近くの石像を調べる」といったような形で提示される。目標の動物をどこで見たのか、どんなオブジェクトがあったのか、他のプレーヤーが発見したことがあるか……イリア大陸での知識が深ければ、それだけ探検クエストのクリアは楽になる。

 クエストにはLロッドによって特定の場所にあるオブジェクトを探し出すものから、指定された動物を倒すクエスト、さらに動物を“スケッチ”するものもある。このスケッチも今回導入された新しいシステムだ。画用紙を使用することでプレーヤーは様々なオブジェクトや動物を描き写せるようになった。スケッチすることで探検経験値も獲得することができる。

 特に筆者が感心させられたのは「動くキノコの調査」というクエストだ。メモには、「8本の足を持つ動く褐色のキノコがいたという、これを調査してもらいたい」とある。一種の謎かけとなっており、キノコのモンスターというのは実はイリア大陸には存在しないのだ。

 真のターゲットはプレーヤーを見ると攻撃してくる、スケッチは敵の探知範囲ぎりぎりで行なわなくてはならない。あやふやな情報を元に正解を推理しなければクリアできず、野生動物のカメラマンになったかのような緊張感も体験できる。これこそが冒険の醍醐味だと嬉しくなってしまった。

 探検クエストでは知識が試され、Lロッドでの探索は偶然の発見が楽しめる。探検クエスト中にLロッドが反応し、宝箱を守るモンスターを出現させてしまい思わぬ苦戦を強いられたりと、アクシデントもまた面白い。イリア大陸での冒険はうまくランダム要素を取り入れていると感じた。

Lロッドが4つ音を出す場所を探しだし、そこでXキーを押すと隠れていたものが明らかになる 大陸には様々な遺跡が存在する。遺跡の周りには隠されたオブジェクトも多いようだ 時には宝箱と共にそれを守る番人が出現してしまうことも。番人は非常に強く、ソロでは太刀打ちできない
ベースキャンプにある掲示板から探検クエストを受ける。レベルが上昇するごとに困難だが報酬も大きいクエストが増えていく 遺跡をスケッチする。モンスターなどをスケッチする場合は、攻撃されないように距離を測る必要がある 全体的に野生動物は強い。攻撃的な動物が近くにいる時は注意が必要だ
半透明の床を持つ独特なダンジョン。場所としては2つだが、入るときに使うアイテムによって様々な種類のダンジョンが出現する。動く石像のようなモンスターや、半透明になって攻撃を受けつけなくなるなど奇妙で強力な敵が多く、最後にはボスモンスターが待ち受けている。攻略にはパーティーメンバーの協力が必要不可欠だろう


■ 謎に満ちたラノ地域、この地の秘密が解き明かされるのはこれから

 今回実装されたラノ地域は、イリア大陸全体の約1/5ほどに過ぎないが、それでも充分広い。ラノ地域は大きく「メイズ平原」、「ムユ砂漠」、「カルー森」の3つにわかれている。メイズ平原はベースキャンプを出てから広がる広大な平原地帯で、生息する動物の性格も比較的おとなしい。

大きく3つに分けられるラノ地域。レアモンスターや位置を変える遺跡など、まだ隠された謎は多い
野生のダチョウの背に乗る。ダチョウと野生馬は決められた場所を巡回している。把握し活用すればペットの使用時間を節約できる
 ムユ砂漠は太陽が昇ると共に砂がまぶしく輝くという、過酷さを感じさせるグラフィックス表現が見事な場所だ。砂漠の中央には誰が作ったかわからない日時計がある。カルー森は昼なお暗い巨木が生い茂る森である。この森では大木が何本も折れているのが発見できる。その切り口は何か巨大な力で無理矢理引き倒されたかのような無惨なものになっていて、自然に倒れたとは考えにくい。何か秘密を感じさせるところである。

 従来の「マビノギ」のフィールドは各街、各地域ごとに細かく分かれていたが、イリア大陸はすべての広大な地域がシームレスで繋がっており、視界は非常に広い。移動は徒歩よりも、馬やユニコーンなどの騎乗動物に乗っての移動がメインとなるだろう。

 「マビノギ」では馬などのペットは「有料アイテム」となっている。ちょっと気になった部分としては、馬などは1日に召還できる時間が90分ほどに設定されていることだ。イリア大陸を1日中探索しようというコアユーザーにこの制限時間は短く、今回のために複数の馬を購入したユーザーもいた。ゲームシステムがユーザーに出費を強いているとも言える部分があるのは確かだ。イリア大陸では馬はほとんど必要不可欠な存在であり、従来とは価値も変わった。イリア大陸実装に合わせて制限時間を延長するサービスが欲しいところだ。

 とはいえ、イリア大陸には移動を短縮させるギミックも取り入れられている。大陸の7つの地点にはマナトンネルと呼ばれる太陽が昇っている間だけ作動するワープゲートがある。また、メイズ平原とムユ砂漠には野生馬とダチョウがいて、移動を助けてくれる。

 この野生馬とダチョウの存在は筆者のお気に入りのシステムである。彼らは決まったルートを巡回していて、一定の距離を走ると数秒間休む。休む場所は決まっていて、ここでプレーヤーは彼らにまたがるのである。もし乗り遅れてしまってもそこで待っていれば次の野生馬かダチョウが来てくれる。さながら「バス停」のようである。野生の騎乗動物はルートの指定はできない、どこに運ばれるか、初めて乗る時にはわからない。ちょっとドキドキする瞬間である。

 マナトンネルは一度訪れることで昼の間はいつでも使用可能になる。すべてのマナトンネルを訪れ、野生馬のルートを把握しておけばだいぶ移動の助けになる。ペットでの移動時間を短くできるシステムとして活用したいところだ。

 フィールドには地上絵や、石像などかつてこの世界に住んでいたであろう先住民族の痕跡が点在しており、ロマンをかき立てる。フィールドの隅々まで移動し、秘密を解き明かしてみたいという欲求に駆られる。イリア大陸はレベルを上げるためにモンスターを探すだけの移動とは一線を画す、冒険の原点とも言うべき未知への挑戦心をかき立てる場所である。

広大なメイズ平原。熊やイノシシなど多数の野生動物が生息する 実際に訪れたらあっと言う間に干からびてしまいそうなムユ砂漠。トカゲやジャッカルなど、生物は意外に多い 鬱蒼と木が生い茂るカルー森。他の地域に比べても強力な動物がいて、徒歩での移動は危険がつきまとう
ブラックキウィを発見。どこにどんな動物がいるか、大陸に関する知識が深まっていくのは楽しい 太陽が昇っている間機能するマナトンネル。大陸各所に一瞬で移動できる 上から見るとはっきりわかる地上絵。どんな者達がこれを描いたのだろうか
砂漠の真ん中にある日時計。どんな意味を持つのか、謎が深まる もう1つの遺跡の入り口。1週間後には場所が変わってしまう ダチョウや野生馬は列をなしてルートを巡回している。他のプレーヤーと思わぬ同行してしまうことも

 イリア大陸は今後も様々な要素が追加されることがアナウンスされている。その中でも核となるのが「マビノギ」初の人類以外の種族「エルフ」と「ジャイアント」であろう。イリア大陸の遺跡は彼らが作ったものだろうか。どんな姿をし、どんな文明を持っているのか楽しみである。

 この他にも、海で釣りができるようになる「漁船」や、多くのプレーヤーの協力無しには倒せない巨大なフィールドボス、新たな生産要素など興味を惹かれる要素が実装予定となっている。今回実装された部分でも解き明かしていない謎は数多いが、これからの要素も早く体験したくなってしまう。

 今回、本作を取材するにあたり筆者は幸運にもギルドの一員に加えてもらうことができた。今回の取材では、ベテランプレーヤーの方々に色々手助けしていただいた。彼らと冒険を共にすることで、「マビノギ」をより一層深く楽しめたのは間違いない。紙面を借りて感謝したい。

 筆者自身は「マビノギ」をプレイすることで改めて今回追加されたイリア大陸だけでなく、従来のウルラ大陸での冒険にも大きな興味を持った。ウルラ大陸では、エリンの世界の神話、過去の話、そしてパラディンやダークナイトにまつわるエピソードを体験できる。

 「マビノギ」を初めてプレイする人は、筆者と同じように牧歌的な雰囲気を持つ「マビノギ」の冒険者の生活そのものにも新鮮な驚きと強い魅力を感じるだろう。正式サービスから1年を経過した本作は、内容の充実した、完成度の高いMMORPGとなっている。この機会に、エリンの世界を訪れてみてはいかがだろうか。

先輩プレーヤーの馬に乗せてもらう。未知の場所を案内してもらうのは楽しい 「マビノギ」では様々な装備が存在するが、どれも非常に高い。凝った格好をしているのは上級プレーヤーの証だ ウルラ大陸では「マビノギ」の世界の秘密に迫るストーリーを体験できる

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【マビノギ】
  • CPU:Pentium III 800MHz以上(Pentium 4 2GHz以上推奨)
  • HDD:1GB以上(1.5GB以上推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
  • ビデオカード:GeForce 2MX以上(GeForce4 以上/Radeon9000 以上推奨)


□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「マビノギ」のページ
http://www.mabinogi.jp/
□関連情報
【4月18日】ネクソンジャパン、「マビノギ」チャプター2発表会を開催
“探検と発見”をテーマにした広大な「新大陸イリア」を実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060418/mabinogi.htm
【2005年7月1日】devcat開発室長キム・ドンゴン氏インタビュー
「マビノギ」次期アップデート“G2”の魅力と、今後の展開について
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050701/mabinogi.htm
【2005年3月30日】PCゲームファーストインプレッション「マビノギ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050330/mab.htm

(2006年5月1日)

[Reported by 勝田哲也]



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