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【大神】
価格:7,140円
発表会には、開発元のクローバースタジオ株式会社の代表取締役社長で、「大神」のプロデューサーを務める稲葉敦志氏と、ディレクターの神谷英樹氏が登場。開発初期から完成に至るまでの経緯を語った。開発時は、ふたりが激しく意見をやり取りすることも多かったようで、それらを思い出しながらのトークもヒートアップ。当初予定していた時間の3倍も喋ってしまうほどで、とにかく開発は難航続きだったようだ。 まず、本作で最も目を引く「墨絵」の表現だが、始めは大自然を表現するというテーマのもと、写実的な表現で作られていた。ゲームとしての開発に行き詰まりを感じる中で、デザイナーが遊び心から墨絵風のアマテラス(主人公)を作成。それを見た神谷氏が「これをゲーム全体に広げたら面白いのではないか」と思ったのが始まりだったという。
ビジュアルはこれで固まったが、それで開発は進んだかという問いには、「絵だけは」と口を揃えて答えた稲葉氏と神谷氏。2004年5月に初めて公開された墨絵風のムービーは多くの人に衝撃を与えたと思うが、神谷氏曰く「でっち上げ」のムービーで、文字などは後で編集して入れたものだったという。実際のところ、ゲームとしてはまるでできていなかったのだそうだ。
「筆しらべ」によってゲームの方向も固まり、2005年のE3には試遊できるものも作られた。しかしここでも、難易度についても「もっと簡単に」という稲葉氏に対し、「こういった遊びも提供したい」と譲らない神谷氏が激突。ここでは結果的には稲葉氏が折れる形になったが、E3での評判は上々で、海外メディアからは様々な賞が贈られた。納得がいかない様子だった稲葉氏も、「これは自信になった」とここは素直に喜んでいた。 ところが、続く2005年の東京ゲームショウでは、ゲームが難しくて先に進めないという人が続出。これを見た神谷氏は、「想定外のところではまっている人を実際に見て、初めて『これはまずい』と思った」という。 その後も難易度調整はマスターアップぎりぎりまで難航したようだが、結果としては、「本筋は普通に遊んでいてクリアできる程度だけれど、ちょっと脇に逸れると難しい」という形でバランスが取られた。「シナリオは素晴らしいからゲームは簡単に」という稲葉氏と、「もっと色々な遊び方を」という神谷氏の意見をうまく集約させた形にまとまったようだ。 続けてゲームの外での話題として、パッケージの桜の絵にも触れた。これは木村圭吾氏の「野生の胎動」という作品で、稲葉氏が偶然立ち寄った美術館で見たものだという。この絵と、発売時期を当初「桜のころ」と発表したことが稲葉氏の中で結びつき、どうしてもこの絵を使いたいと思ったのだという。木村氏の快諾を得て、願いが実現した稲葉氏は、「これを使わせてもらえたおかげで、『大神』に新しい筋ができました」と満足げに語っていた。 平原綾香さんとの楽曲タイアップで誕生したテーマ曲「Reset」については、平原さんに先に「大神」をプレイしてもらってから、作詞・作曲をお願いしたものだそうで、ゲームを強くイメージした楽曲に仕上がっていた。平原さん自身も「大神」の面白さにとりつかれたひとりで、発表会で流されたビデオメッセージの収録の日も「大神」を夢中でプレイし、遅刻してしまったのだそうだ。 平原さんはビデオメッセージの中で、「『Reset』では、日本人が本来持っている美しい姿など、日本のものをイメージしながら、ゲームにまつわる言葉をひとつ入れてあります。『大神』は、日本の凄く綺麗なところが描写されていて、癒されるゲームだなと思いました。きっと女性も楽しめると思います」と、「Reset」と「大神」への思いを語った。
トークの最後に稲葉氏は、「『大神』は本当に、絶対の自信を持っている作品です。ぜひ多くの方に遊んでいただきたいと思います」と挨拶。神谷氏は、「今まで作ってきた作品の中でも、『大神』には特別な思い入れがあります。これがクローバースタジオの総力だと胸を張って言える作品です」と自信のほどを語った。
「GOD HAND」のテーマは、稲葉氏曰く、「暴力と、暴力と、暴力と、笑い」だそうだ。「『大神』とあまりに趣きが違うので、ここで出すのはどうかと思いましたが……『大神』のようなゲームが、クローバースタジオのカラーというわけではありません。面白そうなものを出すスタジオとして頑張っていきます」と意気込みを語った。
□カプコンのホームページ (2006年4月14日) [Reported by 石田賀津男]
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