|
Taipei Game Show 2005現地レポート
Taipei Game Show 2005が台湾にて開催 |
会場:台北世界貿易中心
Taipei Computer Associationが主催する台湾最大規模のゲームイベント「Taipei Game Show(台北国際電玩展)」が、2月24日より、台北世界貿易中心において開催した。会期は本日2月24日より28日までの都合5日間で、初日の今日は、台湾政府の首相や後援組織である経済部の高官によるブース視察やメーカートップを集めた交流会が行なわれた。本稿では取り急ぎ、初日の模様をお伝えしていく。
■ SCEHが初出展 大々的にPSPローンチイベントを開催
自信満々にPSPを紹介したSCEH董事長の安田哲彦氏 |
謝長廷首相を迎えるため整列させられたPSPコンパニオン。彼女たちの腰のホルダーに収納されているのがPSPだ |
安田氏の挨拶終了後は、台湾で活躍している日本人アイドルの小林麻美さんと明日香さんをゲストに迎えて体験会も行なわれた |
中華圏を含む東南アジア地域を統括するSCEHは8年前に設立され、日本とほとんど変わらないタイミング、ラインナップで主要ハードやソフトの販売を行なってきているが、Taipei Game Showへに関しては、「まだコンソールゲーム市場が存在しない」という理由から、毎年出展を見送ってきた。
今年は、まったく新しい系統のゲーム機であるPSPを発売するというタイミングの良さも手伝ってか、ついに初出展を果たした。ブース構成は、東京ゲームショウやE3に倣ってデザイン性と機能性を両立させたスタイリッシュなデザインで、中央にステージ、向かって左にPSP試遊エリア、右がプレイステーション 2の新作タイトルの試遊コーナーといった構成。
詳しくは後述するが、今年はGamaniaグループがすべて出展を見送っており、その抜けた大きな穴を埋める形でSCEHが大々的に出展しているため、イベントを後援する台湾政府も飛び切りの歓待ぶりだった。まず、午前中には、台湾政府の謝長廷首相が視察に訪れ、ステージ場でPSPを体験。午後のPSPローンチイベントにも、経済部工業局の陳昭義局長が来賓として訪れるなど、PSPのプロモーションに一役買っていた。
ローンチイベントの内容そのものは、PSPの機能紹介のレベルに留まり、肝心の価格や発売日については3月中旬に改めて発表とした。このローンチイベントで、E3におけるSCEIの久多良木CEOの役を担ったのは、SCEH董事長の安田哲彦氏。「お待たせしました」と満面の笑顔でPSPの実機を高々と掲げた。
ローンチイベント後に開放されたPSP試遊コーナーは、2カ所に出入り口を付けた円形のエリアになっていて、中にはPSPを延長コードで腰に装着した10数名のコンパニオンと、8台の固定試遊台の約20台を用意。初日は、初公開ということもあって終始大混雑だったが、ゲームファンはいずれも興味津々の様子で、PSPの感触を楽しんでいた。
プレイステーション 2の試遊コーナーは、ナムコの「TEKKEN 5」(3月3日発売予定)、「TAIKO DRUM MASTER(太鼓の達人)」(3月17日)など、英語版のタイトルに人気が集まっていた。SCEHブースの詳しい内容については、また別途お伝えするつもりだ。
■ 台湾最大手のGamaniaが未出展、Taipei Game Showが抱える課題とは!?
初日のブースの模様。平日なのでこれでもかなり少ない方だが、通路という通路はすべてこの人口密度だと思って貰っていい |
ステージイベントの多彩さと配るアイテムの多さで、集客力では他の追随を許さないSoft-World。さしものSCEHもタジタジといった感じだった |
Wayiのステージイベントの模様。バニーガールが手に持っているパッケージソフトをぶん投げるから油断できない |
こうした祭り気分の中で開催されるのが「電脳多媒体展」と呼ばれる新製品展示即売会で、正確にはTaipei Game Showはその一部という位置づけになっている。電脳多媒体展はデジタル関連のデバイスやソフトウェアを対象にしたイベントだが、台湾にはすでにCOMPUTEXというPCに特化したイベントが存在するため、ゲーム以外の出展はあまり力が入れられず、両者は完全に主客転倒の関係にある。
そのTaipei Game Showはというと、台湾のゲームビジネスの市場規模は年々拡大しつつあるにもかかわらず、出展エリアの広さは毎年変わらないため、ゲームメーカー、ゲームファン双方にとって、ゲームショウとしての環境は年々悪化しつつある。
今年も例年と変わらず、たいていのメーカーは、ステージイベントを観賞する場所は通路しかなく、イベントが重なると隣同士でマイクのボリュームを上げ合い、客引きの一環として定期的にグッズやCD-ROMを来場者にバラまくため、付近にいると否応なくもみくちゃにされる。ゲームイベントというより、夏場の喧嘩祭りに近い。「これが台湾のゲームショウだ」と割り切れる我々海外参加組はまだしも、現地のゲームファンはまさに不幸だと思わざるを得ない。
今年はSCEHやMicrosoftなどワールドワイドで展開する海外のメーカーが、世界標準のスタイルでブース出展するなど、一部で変わりつつあるのは事実だが、全体としてはまだまだ「目立ったモノ勝ち」という考え方が大勢を占めている。
こうした状況に嫌気がさしたのかどうかは不明だが、今回は台湾最大手のGamaniaグループ(パートナーメーカーも含む)が揃って未出展となっている。具体的にはGamania Digital Entertainmentを筆頭に、GamaniaとNC Softの合弁会社であるNC Taiwan、GamaniaとSony Online Entertainmentとの合弁会社であるSOGA、Gamaniaが「希望 Online(Seal Online)」のパブリッシングを担当しているTwindexなど。
前年比だけで計算してもTaipei Game Show全体の1/4ほどの規模。市場シェアも台湾オンラインゲーム市場全体の6割を占めている。これらがごっそり抜けてしまったため、Taipei Game Show全体が昨年よりやや寂しくなったという印象は否定できない事実である。
いずれにしてもGamaniaを見ずして台湾ゲーム市場はわからないため、今回はGamania本社の取材を行なってきた。Albert Liu CEOとのインタビューや、「EQII 東方版」のファーストインプレッションなど、興味深い話題が盛りだくさんなのでぜひ楽しみにしていただきたい。
■ 台湾オンラインゲームのトレンドはテーブルゲーム
国産タイトルで比較的目立っていたのはサミーの「ストラガーデン」。「信長の野望 Online」は試遊台がなく、その評価はいまだ未知数だ |
「Tantra」や「A3」、「石器時代」といったMMORPGを展開するWayiがテーブルゲーム市場に本格参入したのが印象的である |
実際のスロットを回して当たると景品が貰えるキャンペーンなども行なわれていた。カジノブームの到来か |
その一方で、シェアを拡大しつつあるのがカジュアルオンラインゲーム。カジュアルオンラインゲームというと、ガンホーの「ゲットアンプド」やネクソンの「メイプルストーリー」などが有名だが、台湾のそれはテーブルゲームだ。テーブルゲームは昨年あたりから、TWPやIGSといった中堅メーカーが“メインコンテンツ”としてテーブルゲームをリリースし始めていたが、今年はさらにWayiやM-etalといったMMOパブリッシャーまでもが出展タイトルを全面的にテーブルゲームにシフトしてきている。それだけ需要があるからということなのだろうが、ちょっと他の地域では見られないユニークな現象である。
テーブルゲームは、ポーカー、大富豪、スロット、麻雀といったシンプルな内容のものばかりで、プレイするたびに料金がかかるものが主流になっている。アバター(自分のキャラクタ)の容姿にこだわりたければアイテム課金もしてくださいという、通常課金+アイテム課金のダブル課金方式だが、注目すべきは場代として消費した料金はオンライン上の相手に勝てば増えるところである。ここがミソだ。
Gamaniaを例に説明すると、まず現金でGamania専用通貨であるGashを購入、このGashを崩してカジュアルゲーム専用の仮想通貨に両替する。この仮想通貨を使ってプレイを行なうことになる。マッチングサーバーに接続し、対戦を行ない、勝てば仮想通貨が増え、負ければ減る。すべて無くなれば再びGashを崩して仮想通貨を手に入れる必要がある。
これは日本では風俗営業法に抵触する歴とした賭博行為になるため、日本では類似のケースは存在しない。台湾では、2次通貨を利用することでこの問題を切り抜けているようだが、ゲーム内アイテムは“ユーザーの資産”であり、リアルマネートレードも黙認状態の台湾で、このスタイルのオンラインゲームは、非常に危険な気がする。
この背景には、人口が集中する台北市の条例で、アミューズメントスポットが禁止されている、つまり、メダルゲームのような格好の代替コンテンツが存在しないため、オンラインゲーム市場で異常発達したのではないかという気がする。海賊版に悩まされるコンソール市場同様、オンラインゲーム市場もまだまだ一筋縄ではいかない印象である。
□Taipei Game Showのホームページ
http://tgs.tca.org.tw/
(2005年2月25日)
[Reported by 中村聖司]
GAME Watchホームページ |