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★オンラインゲーム βテスト インプレッション★
「ときめきメモリアル」と言えば、伝説の木 (“2”では鐘、“3”では坂) が存在する学園で繰り広げられる恋愛シミュレーションシリーズとして、シリーズのファンはもちろんゲームファンならばその名を知らぬ人がいないと言っても過言ではないほどお馴染みのタイトルだ。当初は男性のプレーヤーが女性のキャラクタと恋愛を楽しむというコンセプトだったシリーズだが、「ときめきメモリアルGirl's Side」というこれまでのコンセプトとは逆になる女性プレーヤー向けのタイトルもリリースされた。 そのシリーズ履歴を経て登場した最新作が、オンライン化により何千、何万というプレーヤーが男女を問わず、学園生活を楽しむというコンセプトの「ときめきメモリアルONLINE」である。タイトル発表当初は「あの恋愛シミュレーションがMMOタイプのオンラインゲームになるの?」と、誰もが驚いたことだろう。かくいう筆者もその一人。 オンラインゲーム化というあまりに予想外で斬新な進化は、どんな楽しさを与えてくれるのか? 想像してみてもなかなか難しいところ。そこで、このインプレッションでは10月5日まで実施されたクローズドβテスト「β1」をプレイして見えてきた「ときめきメモリアルONLINEの姿」を皆様にお伝えしていこう。「ときめきメモリアルONLINEってどんなゲームになってるの?」という疑問が少しでも解消されれば幸いだ。ちなみに本作は現在、11月中に実施されるという「β2」の参加テスターを公式サイトにて募集している。本誌でも特別枠として1,000名分のテスター枠を頂いているので興味のあるかたは是非そちらもご覧頂きたい。
■ 自分だけのキャラクタを作成して「登校」! 「恋愛候補生」の案内から始まる学園生活 「つながる友情、つなげる愛情、ひろがる学園生活 (スクールライフ)」がコンセプトの本作では、プレーヤーはみな生徒として学園生活を満喫する。学園内にはNPCとして先生やクラブのキャプテンである生徒、さらに「恋愛候補生」と呼ばれる特別な生徒も存在するようだ。今回プレイしたβ1では「かがやき高校」という学校が舞台となっていたが、この高校は、他のMMOタイトルで言うところのサーバーやワールドを指すようで、今後行なわれるβ2や正式サービスでは、かがやき高校以外の高校も用意されると思われる。 さて、まずは自分の分身となるキャラクタの作成模様を見ていこう。キャラクタ作成ではもちろん性別を男女どちらでも選択できる。容姿の設定は細かな設定が可能で、顔の項目を見るだけでも輪郭、肌の色、メガネやホクロなどのアクセサリーを選択可能となっている。目に関しても大きな目から切れ長な目、たれ目などから選択できるうえ、さらに眼の色までも設定できる。他にも眉、口、前髪と後髪を選択できる髪型などなど設定項目は豊富だが、中でも印象的だったのは制服のパターンの豊富さ。制服にはスタンダードなブレザータイプのものから色違いのものもあるし、さらに凝ったデザインの物も用意されていた。NPCとして登場する生徒を見る限り、学校内の制服は校則で決められたものがあるように思えるのだが、プレーヤーはその限りではないということだろう。
彼女の案内で2人で職員室へ行き教頭先生と会話。そのまま校内の案内も彼女にしてもらうこととなる。この部分はゲーム本編のチュートリアル的なものになっており、本作のメインの遊び方となる「授業」、「クラブ活動」といったものの紹介に加え、NPCキャラクタ、もしくは他のプレーヤーとアドベンチャー形式で役柄を演じる「ドラマイベント」の紹介がされる。そして最後に恋愛候補生「天宮 小百合」からは「あなたは何にがんばるの?」と質問される。ここでの返答の選択肢は「勉強」、「友達作り」、「クラブ活動」の3つ。β1では恋愛候補生に関する部分をあまり深く体験できなかったため、この辺りは憶測になるが、このような恋愛候補生からの質問やイベント時の反応によって好感度が変化するのだろう。これは従来の「ときメモシリーズ」に近いもののようだ。
■ オンラインならではの楽しさが織り込まれた「授業」、「クラブ活動」、「ドラマイベント」とは? ●授業 校内を歩いていると時折授業開始5分前の合図であるチャイムが鳴り響く。全ての生徒には、それぞれクラスが現実の学校同様に割り振られており、授業開始前に教室にいることで自動的に授業に参加することができる。ちなみに授業参加のON/OFFはオプションで切り替えることができるため、教室内でチャットなど他の事をしたい時には忘れずにOFFにしておくのがよいだろう。 授業は教科によって異なる先生から出題されるクイズ形式になっている。1回の授業では、4択問題や○×形式のクイズが全10問出題され、授業の参加によってキャラクタ能力が上がり、その成績によってアイテムを入手できたりする。この授業には、他の生徒も同時に参加可能で、同じタイミングで授業に参加する生徒は自動的にひとつのクイズに参加することになる。自分以外の生徒が正解したのか間違えたのかも見えるので、思いがけず必死に回答すること請け合いの仕様である。また、授業に参加している生徒全体の正解率によって先生のリアクションが異なり、正解率が低いと散々なリアクションを取られることもあるのだ。 ちなみに授業で出題されるクイズはなかなか本格的なものになっており、国語なら文学や文法に関する問題が、理科ならば科学やテクノロジーに関する問題が出題されるといった具合だ。実際に筆者も何度か授業に参加してみたところ、自信のあった問題を間違えてしまったりすることもあれば、正解を見てタメになったりするものもあった。ある意味「教育」的な側面を持っているわけで、これがなかなか面白い。一方的に知識を出されるものではなく、クイズ形式のゲームになっているため取っ付きもよく非常に楽しめた。本作をプレイして最も驚かされた要素だ。
●クラブ活動 勉強の次はクラブ活動だ。クラブ活動には「バレー部」、「陸上部」といったスポーツ系もあれば、「文芸部」や「演劇部」といった文化系のものもあるのだが、これは単純に好みのクラブに入部すればいいようだ。実際のクラブ活動の練習では、NPCである先輩や顧問の先生と対戦して技を磨きあうことになる。対戦はターン制の戦闘画面ライクなもので、ターンごとに事前に仕込んでおいた「部活デッキ」の「技」を使用して戦うというものになっている。技にはそれぞれ固有の攻撃力と防御力が設定されており、この技を攻撃に使うのか防御に使うのかを選ぶ。自分の出した技と相手の繰り出す技がぶつかって体力を削りあうというものだ。勘のいい方はここまでの説明でご理解頂けるかもしれないが、カードゲームの戦闘システムにかなり近いものだ。 この部活デッキは3種類を事前に用意しておくことが可能、組み込む技はクラブ活動やドラマイベントで入手できるキーワードとアイテムを合成して作り出すことができる、「部活奥義」である。また、クラブ活動の行なわれている場所以外でも、プレーヤー同士で2人から最大20人が参加して行なう「自主トレーニング」によってもレベルアップが可能になっている。自主トレーニングでは対戦する相手が全員プレーヤーが操作する生徒であり、対戦中のチャットによるコミュニケーションも相まって、クラブ活動とはまた異なる楽しさがある。
●ドラマイベント 最も従来の「ときめきメモリアル」的な楽しみ方ができるのが「ドラマイベント」だろう。ドラマイベントとは、ドラマのように展開されるショートストーリーを登場人物として体験するというもの。シチュエーションに合わせてプレーヤーは選択肢を選び、その選択によってストーリーの流れが変化する。 今回体験したものは「二人のクリスマス」というドラマ。登場人物は女性キャラクタが1人、男性キャラクタが1人という演目だ。交際を始めたばかりの2人が迎える初めてのクリスマスで、待ち合わせの場所に行く前にプレゼントを用意しようとする男性キャラクタだが……という内容のものだ。ドラマイベントはNPCキャラクタに申し込むことで作成可能なルーム制になっており、まずプレイするドラマイベントを選択、演じる役柄を選び開始する。自分でドラマイベントのルームを作成することもできるし、もちろん他のプレーヤーが作成したルームに参加することも可能だ。さらに役柄をNPCに演じてもらうこともできるので、自分以外の参加者がいない場合は1人で楽しむこともできる。 選択次第で変化するストーリーは、バッドエンドを迎えてしまうことも多々あるようで、最後にはプレイ内容の評価も表示される。無事に評価の高いエンドにたどり着ければキーワードを入手することもあるようだ。シチュエーションドラマをオンライン上で演じるという楽しさは、これまでにない感触で斬新。他の生徒と仲良くなるきっかけにも最適だろう。
■ 「恋愛」の再現から「学校」の再現へ。オンラインの魅力を生かしてスケールアップした斬新なタイトル
その予想外の光景に驚いていると、教室に入ってきた私に気付くやクラスメートが次々と「こんばんわー」と挨拶を投げてくれた。私も「こんばんわー」と挨拶を返す。途中からきた私はしばらくの間、この状況が飲み込めなかったのだが、どうやらこの日はU組の生徒で集まって校内のいろんな場所で記念撮影をするということなのだ。
まずは校内にある「ときめきメモリアル」の象徴とも言うべき大樹の前で並んでの記念撮影をするということで全員で移動。樹の前に着いてからは、統率を取っていた生徒さんが指示を出すのだが、人数が多いためなかなかうまく揃わない。エモートを出したり、わいわいと皆がチャットで話しながらも、少しずつ列が作られていった。「/sit」のコマンドでキャラクタを座らせ、カウントを取って撮影。アフロ姿の生徒のかたがカウント終了間際に後ろを向いてみたりと、「あぁ、実際の学校でもこういう友達いたなぁ」と感じられて楽しい思い出だった。その後、屋上でU組のUの字をキャラクタで描いてみたり、教室でNPCの先生を囲んで楽しんでみたり。最後は、雑談タイムに移行していって、この日の出来事は終わっていった。
この日の出来事が一番象徴的なのだが、「ときめきメモリアルONLINE」はシステム方面からのアプローチもさることながら、プレーヤーの雰囲気がなによりも「学校」そのものなのだ。「おはよう!」と見知らぬ生徒に気軽に挨拶し「おはよー!」と返される。(オンラインゲームなので夜のプレイ時はさすがに「こんばんわ」になるのだが。)こう書くと当たり前のようなやり取りなのだが、他のオンラインゲームではあまり見られなくなった光景でもある。教室へ行ってみるとクラスメートが、授業の合間にチャットで今見てるテレビの話題なんかを笑いながら話している。その光景を見て、当初どんな風に楽しめばいいのか悩んでいた私も「あぁ、学校で楽しかった思い出をそのままにすればいいのかー」と気付くことができた。 私は当初「ときめきメモリアル」のオンライン版である、という認識が頭に強くあったのだが、プレイした後の今ではそれが大きく異なっている。本作は「学校」という空間が持つ「授業」、「部活」、「スポーツ」、「恋愛」といったエッセンスをゲームとして楽しめる形にしたものだ。そこに「ときめきメモリアル」というモチーフが融合しているタイトルであると認識するようになったのだ。ジャンルの表記が「MMOタイプ学園コミュニティゲーム」とされているのが何よりもそれを物語っている気がする。 かといって、本来の「ときめきメモリアル」シリーズにあった概念が薄いというわけでもなさそうだ。β1の内容ではあまり見ることができなかっただけで、恋愛候補生と呼ばれるNPCとの恋愛イベントはもちろん、NPC、またはプレーヤーとも楽しむことができるシステムのドラマイベントも、本来の恋愛要素を楽しむという魅力を上手く生かしたものになっていきそうだ。この辺りの要素は今後行なわれるβ2テストや製品版でより多く見えてくるのだろうと想像できる。
同じ学校の生徒、同じクラスのクラスメートというだけで連帯感が生まれる学校という場所は本当に不思議。学校という誰しもが経験のある原風景の持つ魅力。それはオンライン化による多くのプレーヤーが同じ空間を共有するというメリットで再現され、「ときめきメモリアル」という世界を大きく進化させている。さすがにモニターの中にある世界を現実の学校そのままと言う気はないものの、大切な根幹にあるものはしっかりと表現されていると感じ取れたのである。オンラインゲームの基本であり最大の魅力である「コミュニケーション」を学校という舞台で全面に生かしている「ときめきメモリアルONLINE」。興味の沸いた方は、今後続くβ2テストや製品版でぜひ「登校」してみてはいかがだろうか?
□コナミのホームページ (2005年10月17日) [Reported by 山村智美]
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