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「レイド」とは複数のグループを組み合わせた団体のことを指し、6人で1グループのものを最大で4グループ、合計24人までを構成することができる。今回ご紹介するのはその「レイド」を組んでいる状態でチャレンジすることが推奨されている「レイドインスタンス」だ。前半のEVIL側での模様は通常の「レイドインスタンス」での戦闘を、後半はGOOD側での模様で、クエストとしてレイドインスタンスに行くという内容の「ギルドレイドクエスト」を請け負ったうえでのチャレンジとなっている。
レイドインスタンスには大体の場合において、複数のエピックモンスターがプレーヤーを待ち構えており、最終的なボスモンスターを倒すまでにも幾度も戦闘を乗り越える必要がある。今回戦った敵の中にはレベル35エピック×4という、かなり歯ごたえのある敵を確認することができた。ちなみにエピック×4というのは適正レベルのプレーヤが4グループ、つまりレイドでも最大の24人で挑むことが推奨されているというものだ。 まずはメンバーを編成する。このときのチャレンジはギルドのメンバーだけでは足りなかったため、我々と同様にコルドロン・ホローを攻略したいと考えていたユーザーを交え、さらにお手伝い頂けるというユーザーにも参加してもらった。その結果、メンバーは総勢21人。編成を行ないながら、敵の撃破カウントやアイテムドロップを得るために、対象となる敵よりも高レベルな人にはレベルを調節するメンターをしてもらった。対象となる敵から6レベル差までが有効となるため、確実な勝利を得るために多少を余裕を持たせた調整を行なった。 お次はメインタンク(以下、MT)、メインアシスト(以下、MA)を決定していく。私も実際にグループでのプレイの際にメインタンクを勤めることも多々あるのだが、複数の敵のヘイトを稼ぎ敵のターゲットのすべてを集中させるというのはかなり骨が折れる。ヘイトを高めるためのアーツや呪文、特にグループ単位のヘイトを上昇させるものはリキャストが長く、結果、攻撃対象を次々に変えてヘイトを高めていくという行為が必要になる。その時に他のメンバーがMTをアシストしていた場合、攻撃が敵に集中せず殲滅速度が落ちてしまう。そこで必要になるのがMAの存在だ。攻撃を行なうアタッカーやキャスターはMAをアシストしてグループ全体の火力を集中させるというわけだ。ちなみに、MT・MA・アシストに関しては本連載の第4回で解説しているので、そちらも参照頂きたい。 準備が整ったところでいよいよ中に入る。ちなみにここまでは簡単に書いているものの準備だけでもかなりの時間がかかっている。このレイドインスタンスの構造は、中央に広場があり、広場から少し離れた周囲には建物がある。その建物近くにはエピックモンスターを中心に複数のモンスターがグループを組んでおり、これらを個別に撃破していくと最後にエピックボスモンスターが出現するのである。 万が一MTが倒れたときのため、MTに準じてヘイトを稼いでおくサブタンクをさらに決定し、戦闘開始! 初撃から大きなダメージをもらうMT、すかさずヒーラーがヒールを集中させる。ヒーラーにはヒールの順序などを含めた俗に言う「ヒールワーク」を打ち合わせてもらう。 MTはエピックモンスターを含めたモンスターのグループに次々とアーツでヘイトを高める。その様子を伺いつつ、敵のターゲットが固定されてきたあたりでアタッカー・キャスターが強力な攻撃を浴びせていく。この状態に持っていければあとは「ヘイトのバランス」を維持し続けることが最重要だ。途中、敵の攻撃がMT以外に及ぶ時が1度だけあったものの、大事に至ることもなく、1グループ目を撃破できた。
回復後、続いて2グループ目との戦闘を開始する。実を言うと、レイドインスタンスは、この日、2度目のチャレンジで、1度目は失敗してしまったのだ。1度目の失敗を踏まえ、メンバーの補強を行ない、役割分担などの準備を再度見直しての再チャレンジである。このため1度目よりもヘイトバランスがうまく保たれているというところもある。順調に進んでいるのは戦力の補強によるところもあるものの、メンバー全体の動きがレイド規模の戦闘に対して洗練されてきているところも大きいだろう。やはりどんなこともまず慣れることが重要なのだ。 というわけで2グループ目に至っては大きな「ヘイトの跳ね」もなく危なげなく撃破。戦闘中はかなり忙しく、特にMTやMAはタイピングをする余裕もないほどの目まぐるしさである。範囲攻撃をもらわないよう離れた位置で呪文を駆使しているキャスターやヒーラーも同様だろう。そんな中でも瞬間的な無言の意思の疎通が必要になる場面というのもあるのだが、戦闘回数を重ねていくとこれが自然にできるようになっていったりするのが楽しいところ。複数のプレーヤー達と力を合わせて同じ目標に向かっていくオンラインRPGならではの楽しさ。一種スポーツ的とも感じられる。
乱れ飛ぶキャスターの魔法、降り注ぐヒール、ヒット率の高くなる敵の背後から攻撃やアーツを浴びせるアタッカー。ど派手な戦闘と強大な敵からくる圧倒的な緊張感はまさしくレイドの醍醐味だ。長時間に及ぶ戦闘のため、次第にパワーの底が見えてくると焦りも出てくる。ここまできて全滅してしまっては苦労が無駄になってしまうという思いはレイドメンバーみなが一緒。ちなみに1度目のチャレンジでもこのボスエピックに敗れているため、その思いはひとしおなのである。 そして攻防の末、ついにエピックボスモンスターを撃破! モンスターの撃破を告げるメッセージがログに表示され、喜ぶレイドメンバー。私もぴょんぴょんと飛び跳ねて喜びをアピールした。ちなみに私は意志の疎通に頻繁にスペースキーによるジャンプを使用する。決して面倒くさがりというわけではないのだが、これはこれで様々な場面で返事や反応のジェスチャーとして通用するし、なにより楽しげなところが気に入っている。
無事コルドロン・ホローの攻略を終了、互いのメンバーの労をねぎらい、最後にお手伝い頂いたメンバーにお礼を伝えて解散となった。この日は22時よりチャレンジを開始したものの、終了したのは1時近くと約3時間ほど悪戦苦闘したことになる。大規模なだけにおいそれと気軽にできるものでもないレイドだが、苦労が大きいぶん勝利の喜びも大きいのが何よりだ。
こちらGOOD編では、同じレイドでもレベル5以上のギルドが受けることができる「ギルドレイドクエスト」の模様をお伝えしたい。ギルドレイドクエストと聞けば未体験の方でも「ギルドメンバーでレイドインスタンスにいる敵を倒すことで完了するんだろうな」と考えるだろう。私もそう考えていた1人だ。だが実際には、ギルドメンバーと共に指示されているインスタンスに入った時点でギルドレイドクエストは完了となるのである。クエストを完了させるという意味合いだけで考えれば、そのまま引き返してしまってもよいのだ。そして、これまた意外なことにギルドレイドクエストを達成することで得られる報酬(お金やアイテム、ステータスポイントなど)は特にない。この報酬の有り無しに関しては情報が錯綜していたため、私のほうで情報を調べたうえで、最終的にゲーム内でGMへサポートチケットを送り、その返事から得た内容を結論としている。
さて今回挑んだのはレベル32のギルドレイドクエスト「正義の絆」と、同じくレベル22の「ルーカンの娘たち」だ。どちらの対象エリアもコモンランドから入ることができることもあり、同じ日に2つのクエストに挑んでみたというわけだ。 まずは「正義の絆」の模様。向かう場所はコモンランドの隠れ谷駅の程近くにある「ブラッドスカルの谷」だ。中にはハイエナの群れやサイの群れ、さらに多数のオークがエピックモンスターを中心に待ち構えている。ここで登場するエピックモンスターはレベル32前後のエピック×2からエピック×3のものが大半となる。今回は参加メンバー全体のレベルが高めだったため、余裕のあるメンター調整で挑んだのだが、正直に言うと歯ごたえを感じられない結果になってしまったのが残念だ。とは言え、やはりエピックボスモンスターの「Commander Gorzok(エピック×3)」はさすがに別格で、範囲攻撃がボスの近くで戦闘しているメンバーに降り注ぎ、あわや被害者が出そうな瞬間もあった。
敵の対象レベルはおよそ22の×2。ヒーラーの専門職がいないということも考慮して1グループ目のレベルを25、2グループ目を多少強めに28とした。設定中に2グループ目のレベルを22にしてみようかという提案もあったものの、さすがにそれは厳しそうだということでこのようにした。後から考えれば、22にしてもよかったかなとも思う。 再編成とレベルの調整を終えたところでいざ戦闘を開始。この「エターナル・ゴージ」は先ほどの「ブラッドスカルの谷」と比べると小規模なインスタンスで、スケルトンタイプのモンスターや人型の敵が待ち受けている。最初の1グループ目と戦闘開始するや予感は的中した。専門のヒーラーがいないこともなんのそのという具合でかなりスピーディーに戦闘が終わってしまったのだ。ここでレベルをさらに落とすか話し合うも、レイド規模の戦闘が初体験というメンバーも何人かいたこともあって、今回はレイドの練習と役割の理解に務めることとし、そのまま続行することにした。
2グループ目、3グループ目とエピックモンスターのグループを撃破し、残すはいよいよボスのグループのみ。ここでのボスは「Mother Znedari」という人型の敵でレベルは24のエピック×2だ。楽勝ムードが漂う中、MTが颯爽と斬りかかる。が、ここで驚くべきアクシデントが発生! 瞬時にMTのヒットポイントが無くなり倒れたのである。この瞬殺劇には当のMT本人も驚いたようで、一瞬事態が把握できなかった。初体験のレイドインスタンスではままある出来事だ。
最後の最後で死傷者が出てしまったものの、とりあえず2箇所のインスタンスを攻略できた。この日のギルドレイドは終了。次に挑むときには、もっとギリギリの調整を行なって熱い戦闘が展開されることを期待している私だが、なんとなく私以外のメンバーも同じことを考えているような予感がする。一緒にプレイする中で行なったコミュニケーションで、仲間の人となりが感じられたからこそ感じられるところだろう。
GOOD側でのギルドレイドにおいて紹介した「メンターによるハンデをあえて厳しくつけてギリギリの戦闘を楽しむ試み」というものはある意味、スポーツと似通った楽しさがあるように思える。現実に対戦相手がいるタイプのスポーツをする際にも対戦相手と実力差がありすぎると白熱したゲーム展開にはならずつまらない。将棋ではハンデとして片側の飛車と角を取られた状態で対局を開始する「飛車角落ち」なんていう実力差を縮める手法もある。これもまた「ゲームを白熱したものにするためのハンデ」である。 繰り返しになるが、ギルドレイドのクエストそのものはレイドインスタンス内の敵を撃破するのが目的ではなく、インスタンス内に入った時点で完了となる。その先の楽しみ方はプレーヤーにお任せということなのだろう。敵とのレベル差をメンター機能でギリギリに設定し、戦術をしっかりと立てて熱い戦闘を楽しむというのは、EQ2に用意されているコンテンツの楽しみかたとして非常に有用だと私は考えている。 ギリギリの戦闘には、厳しいバランスからくる緊張がある。その緊張があるからこそ勝利したときには大きな興奮とカタルシスを、そして勝利の喜びを得られるはずだ。その興奮を共に味わった仲間は「共通の記憶」を持った大切な仲間になっていくはずだ。とは言え、このような楽しみかたはあくまで一例。元からメンターをする必要もなく自然にギリギリの熱い戦闘になるのはもちろんベストだ。また、EVIL側のようにチャレンジする以上は絶対に負けたくないという、言わば本番とも言える時もある。そういう時は余裕を持ったレベル調整を行なって確実な勝利と報酬を得るのも当然だろう。 このあたりはEQ2が持つ「楽しみかたはプレーヤによって様々に変化させることができる」というスタンスが如実ににじみ出ている箇所だろう。EQ2は様々なスタイルを可能にする深いポテンシャルを持っている事を感じ取って頂ければ幸いだ。
今回ご紹介した「レイド」はひとつのコンテンツを紹介しているのにも関わらず、前半と後半のものでは大きく意味合いが異なっている。まず、EVIL側のレイドインスタンスチャレンジでは、協力してくれているギルド外のプレーヤーがいることも含めて絶対的な目的が「確実な勝利」であった。逆に、GOOD側でのギルドレイドクエストチャレンジは「ギリギリの戦闘を楽しむ」ということを主眼においていた。
どちらのプレイスタイルが良い悪いという話ではなく「レイドインスタンス」ひとつを見ても楽しみ方を工夫できるポテンシャルをEQ2が持っているということが今回お伝えしたかった最大のポイントである。このポイントはレイドに限らずEQ2全体からも感じられる部分。この連載をご覧頂いているEQ2プレーヤの皆様が、より楽しくEQ2のコンテンツと接することができるようになれば私も非常に嬉しい限りだ。それでは、また次回お会いしましょう。
□スクウェア・エニックスのホームページ (2005年9月28日)
[Reported by 山村智美/Pomm]
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