★PCゲームレビュー★
自軍への貢献度を競う「セブンサイン」システム
セブンサイン以後の世界の様子を徹底レポート
「リネージュII」 |
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- ジャンル:MMORPG
- 発売元:エヌ・シー・ジャパン
- 価格:月額利用料金:3,000円
- 対応OS:Windows 2000/XP
- 発売日:正式サービス中
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正式サービスより丸1年が経過したエヌ・シー・ジャパンのMMORPG「リネージュ II」。5月18日に大規模アップデート「クロニクル3」が実施され、高レベルキャラクタを対象にした攻城戦だけではなく、より低レベルのキャラクタも激しい戦いを体験できる「セブンサイン」の他、さまざまな新要素が追加された。
今回のレビューではこのセブンサインを中心に、筆者自身が目にしたユーザー達の反応をお伝えしたい。
■ より大人数のプレーヤーが戦いに参加できる新しい抗争システム「セブンサイン」
セブンサインは、ギルド間の抗争や攻城戦といった従来の大規模PvPとは一味違う競争システムである。プレーヤーは「黎明の君主たち」と「黄昏の革命軍」という2つの勢力に分かれてポイントを競う。対象となるのは1次転職を完了した全プレーヤーで、主に高レベルのキャラクタのみが対象になっていた攻城戦とはけたが違う同作最大規模のゲーム内イベントだ。
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セブンサイン導入と共に登場した黄昏の司祭。彼女に話しかけることで、黄昏の革命軍に所属できる |
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こちらは黎明の君主たちへ入隊するための司祭。、城を所有している血盟員とその同盟員が所属する |
対象となるプレーヤーは、どちらの軍に所属するかは任意で選択できる。ただし、2次転職をしているキャラクターの中で、城を所有している血盟員(ギルド)とその同盟員は例外で、この条件に該当するキャラクタは「黎明の君主たち(以下、黎明)」固定となる。
セブンサインでは、プレーヤー達が直接戦うのではなく、どれだけ自軍に貢献できるかというポイントで競われる。プレーヤーは「封印石」というアイテムを集め、自軍の司祭に捧げることでポイントを稼ぐことができる。封印石はアップデートで追加された「カタコム」と「ネクロポリス」という2つの名前が付けられた合計14のダンジョンで戦い、モンスターを倒すことで入手できる。ダンジョンはレベル20~30の比較的低レベルのキャラクタでも挑戦できるものから、70以上の高レベルキャラクタを対象にした厳しいものまでレベル分けされており、世界各地に点在している。
さらに、封印石をアイテムとして消費することで「闇の祭典」という時間制限付きのゲームに参加できるようになる。ここでは18分間という制限時間でひとつの部屋に次々と現れるモンスターを倒していき、モンスターからドロップされる“生け贄の血”というアイテムをどれだけ収集できるかを競う。闇の祭壇はレベル32未満クラス、43未満クラス、など5つのクラスに分かれていて、クラス別のレコードを更新できれば自軍に大きなポイントを入れることができるのである。
この2つのゲームルールによって得られるポイントを競うセブンサインだが、普通に考えれば城を持っているプレーヤー達が所属する黎明軍の方が、黄昏軍に比べ人数が少なく不利である。しかし、結束力とキャラクタの能力を考えに入れれば、黎明側はこの不利を覆す可能性は充分あると言えるだろう。また、2次転職をしたキャラクタは参加料さえ払えば対象の血盟に入っていなくても黎明に所属することも可能なので、プレーヤーの熱意を計算に入れて黎明側に入るという戦略もとれる。
セブンサインとは、「7つの封印」を表す。プレーヤーたちはポイントを封印に「投票」することで、これらの封印の効果が発動し、勝利者には恩恵を与え、敗者側にはペナルティーを課すのである。現在ポイントを捧げることができる封印は7つのうち「貪欲」、「啓示」、「戦乱」3つがあり、この封印に捧げた総合ポイントで勝敗が決する。セブンサインは競争期間1週間、恩恵が得られるのが1週間という2週間で1サイクルになる。
封印はプレーヤー間で捧げたポイントでどちらかに支配されることになる。しかし、一定のポイントを超えなければ、封印は効果を発しない。貪欲の封印を支配することができれば、勝利者側はネクロポリスダンジョンを独占できる。この際、ネクロポリスダンジョンの内の最難関ダンジョン「使徒のネクロポリス」の奧にスピリット ゲートキーパーが登場し、プレーヤー達はボスモンスター「リリス」か「アナキム」に挑戦できる。この2体のモンスターは両軍を象徴する存在で、黄昏側ならばアナキムが、黎明側ならばリリスが立ちはだかる。
アナキムもリリスも強力な側近に守られており、倒すには複数のパーティーが参加する“レイド”で挑む必要がある。もし倒すことができれば、現在最強の装備であるAグレードの武器にさらに効果を付与できるソウルストーンが入手できる。また、ネクロポリス内にマモンの商人が出現する。この商人は一般商店では販売されていない武器や防具を強化するスクロールの他、Aグレードの武器を作るのに必要な材料などを購入できる。
啓示の封印ではカタコムのダンジョンを独占できるようになる。カタコム内部に「マモンの鍛冶屋」というNPCが出現し、Aグレードの武器を鍛えてくれるほか、CおよびDグレードの武器を上位のものに交換してくれる。他にも、各街の司祭にお金を払えばさまざまな狩り場にテレポートさせてくれるようになる。
啓示の封印は勝利者に恩恵を与えるだけではなく、敗者にデメリットを与えてくる。「滅亡を叫ぶ者」というNPCが強制的に敗北側に能力値が減少する魔法をかけてくるのである。勝利者側には「啓示を言い伝える者」というNPCが力をUPしてくれる魔法をかけてくれる。
戦乱の封印は攻城戦に深く影響を与える封印だ。黎明がこれを入手した場合は城を守護するNPCが強化され城自体の防御能力も上がり、黄昏側が勝てば城の力は大きく弱まる。セブンサインと攻城戦のスケジュールは連動しており、攻城戦は必ずこの封印の影響が出るようになる。城を維持するために、あるいは奪うためにも戦乱の封印は重要な意味を持つのである。
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追加されたダンジョンは、「カタコム」か「ネクロポリス」という名前が付けられている。これは「凶星のカタコム」 |
最も強力なモンスターが現れる「使徒のネクロポリス」レベル70以上のキャラクタが対象となる |
「魔導のカタコム」新しいスキルを取得するのに必要なアイテムが出現するため、混雑した場所だ |
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限定されたフィールドで、次々と現れる敵を倒す闇の祭典。非常に熱い戦いが楽しめる |
ダンジョン手敵を倒すことで封印石を入手。これを司祭に捧げることで自軍に貢献できる |
■ 現状ではまだまだ発展途上のセブンサインシステム
筆者は、黄昏側のソーサラーとしてこのセブンサインに参加した。
開始当初、参加者は皆気合いを入れてダンジョン攻略に乗り出した。どこのダンジョンにもまんべんなく人がいたのだが、特に混んでいたのは「魔導のカタコム」というダンジョンだった。このダンジョンは60~70レベルが対象となる場所だが、新しいスキルを取得するのに必要なアイテムが入手できるために、非常に競争率が高かった。
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勝敗が決すると、空に変化が現れる。黄昏軍が勝った場合、赤い月が空に昇る |
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負けた軍に所属していたプレーヤーにデメリットのある魔法を強制的にかける「滅亡を叫ぶ者」 |
筆者は14のダンジョンで、1番対象レベルの高い「使徒のネクロポリス」を集中的に攻略した。このダンジョンは封印石のドロップがかなり多めで、1時間ほどの冒険でもかなりの数を入手できた。ちょっと残念に感じたのは、14のダンジョンすべてがモンスターの強さこそ違うものの、構造がほとんど同じという点である。まさに封印石を集め、経験値稼ぎをするためだけの狩り場という感じで、観光目的で他のダンジョンを巡ってみようという気持ちはあまりわかなかった。
一方、闇の祭典では非常に熱い戦いが楽しめた。筆者が挑戦したのは最難関である「無制限クラス」。物理耐性や魔法耐性を備え、強力な魔法攻撃や弓攻撃をするモンスターがものすごい勢いで襲いかかってくる。いつも冒険をしている仲間達と息のあった連携をとって戦わないと最高記録を更新するどころか、18分という制限時間いっぱいまで生き残ることすらままならない。筆者はパーティー上限である9人でこのダンジョンに挑んだのだが、1度目は連携が乱れて全滅し、初挑戦は惨敗に終わった。2度目はプレーヤー間で話し合い、きちんと作戦を立てて戦闘に臨んだことで制限時間内を生き残ることができた。
この闇の祭典の面白いところは、「観客席」が設置されているところである。闇の祭典に挑むプレーヤーの活躍を外部からクリスタルを使って眺めることができるのだ。筆者達が闇の祭典に挑む際も、他のプレーヤー達の動きは非常に参考になった。強いパーティーが優れた連携で戦っている姿は見ているだけでも楽しく、週末には多くのプレーヤーが観客席につめかけていた。最高得点を記録するようなパーティーの戦いは得に見応えたっぷりだった。
ただ、ちょっとこの観客システムには難点があり、観客席と戦う会場のサーバーが同じなため、観客が多いと競技そのものににラグが発生してしまうのだ。観客が多いと本来の戦いが難しくなるようでは本末転倒である。早急に改善してもらいたいところだ。
このように筆者達は封印石を捧げ、闇の祭典に参加して黄昏側のポイントを貯めていった。終盤、黄昏側は封印石の献上では黎明側に勝っていたのだが、闇の祭典で大きくスコアをあけられていた。しかし、最終日締め切り直前に黄昏側が熱心に闇の祭典に参加し記録を更新、勝利を得たのである。
この結果、セブンサインの実際の勝敗条件が明らかになった。封印石の奉納よりも、闇の祭典のポイントの方がはるかに勝敗におけるウェイトが大きく、しかも最終的に最高成績を記録したパーティーが利益を総取りできるため、最終日だけ闇の祭典に挑めば勝敗が決まるということがプレーヤー達にわかってしまったのだ。筆者自身もこのシンプルすぎる勝利条件にちょっとがっかりしてしまった。
また、封印ごとのポイントの献上だが、これは日本のプレーヤーの価値観がはっきり出ることになった。アイテムや装備入手に関わる啓示と貪欲にはポイントは集中したのだが、戦乱の封印にはほとんどのプレーヤーが関心を示さなかったのだ。結局戦乱の封印は発動せず、攻城戦にはまったく影響が出なかった。
得られる恩恵にも少し疑問を持った。まず売買を行なうNPCの存在だが、「リネージュ II」ではプレーヤーは1サーバーに7人キャラクタを作ることができる。キャラクタをそれぞれ黎明と黄昏に所属させてしまえば、普通に特典アイテムを購入できてしまうのである。そうでなくとも高レベルプレーヤーは親しい友人を何人も持っているため、反対勢力の友人に頼んでアイテムを買ってきてもらうという方法もできる。せめて勢力所属をアカウントごとに管理できれば、競争はより激しく、真剣になるのではないだろうか。
プレーヤーの能力を強制的に上下する魔法をかけてくるNPCの存在だが、これも謎である。はっきり言うとデメリットの方が大きすぎるのだ。魔法の効果時間は20分、「リネージュ II」でのパーティーでの狩りは1時間以上が基本なので、能力を上げてもらってもその力で狩りをずっと続けられるわけでもなく、体感した効果もあまり高いものではなかった。反面、能力値を下げられてしまうとログインしてから20分、まともに狩りができなくなってしまった。正直、デメリット部分ばかりが気になってしまうシステムだった。
それからセブンサインで実装されたボスモンスターへの挑戦だが、現状では一部のプレーヤーによってボスが出る場所が占有されてしまっている。熱心なプレーヤー達がボスを倒してから再出現までの時間を計算し、他のプレーヤーが挑戦できないような状況になってしまっているのである。筆者も残念ながらボスモンスターの姿を見ることはできなかった。
セブンサインが開始されてから1カ月以上経過した現在、アイテム収集には熱心だが、それ以外の要素には積極的に参加するプレーヤーが少ないというのが現状である。参加するプレーヤーも最終日近くに闇の祭典をプレイしてポイントの総取りを狙うといった感じで、運営側が企画したであろう、「みんなが参加できる戦い」という“熱さ”は実現できていないと感じている。
特に闇の祭典に筆者は大きな不満がある。それは、「アイテムがすべて持ち込みOK」という点だ。レベルを上限まで上げ、膨大な資金を持っているプレーヤーならば、一般プレーヤーがとても手が出せないような増強アイテムや回復アイテムをふんだんに使うことで、簡単にハイスコアが叩き出せてしまうのだ。
これは記録に挑戦しようとするプレーヤー達の心を非常に萎えさせる。闇の祭典そのものも最高得点を目指すだけのものになっていて、イベント的な遊び方以外で何のメリットもなく再挑戦しようという気があまりおきない。たとえば記録を更新できなくても制限時間内に生き残れば経験値ボーナスなどの何らかの特典があるとか、アイテム制限をしてプレーヤースキルを披露する場所にできれば、プレーヤー達の意気込みははずいぶん違ってくるのではないかと思う。
現在のところほとんど機能していない戦乱の封印は、今後は注目していこう、という声が各サーバーでも持ち上がっている。もう少し時が経てば、この戦乱の封印の効力を利用し城をとろうという勢力も出てくるかもしれない。しかし、とにかくアイテムを求めるプレーヤーが多くて、賛同があまり得られていないのが現状だ。攻城戦は今のところ、一部のプレーヤーの関心事でしかないのかな、と言うことを改めて感じさせられた。筆者自身は現在城を持つ勢力に所属している。戦いを勝ち抜くためには、そろそろ戦乱の封印への関心を仲間達に広めていきたいと思っている。
現状のセブンサインは、筆者は多くのところで「練り込み不足」を感じている。しかし、強調しておきたいのは、筆者自身は攻城戦やPvPとは違った要素でプレーヤー達が競える、このセブンサインのコンセプトを高く評価しているというところである。しかし現状では一部の熱心なプレーヤーの思惑で結果が動いてしまう部分があり、残念である。もっともっと一般的なプレーヤーが競えるようなアイデアをプレーヤー間で話し合っていければと思う。セブンサインは、まだ4つの封印を残している。この4つがどんな競争要素になるか、筆者は新しい封印の内容が明らかにされるであろう、「クロニクル4」に期待をしている。
筆者自身はFPS好きということもあって、「プレーヤースキル」に大きな興味がある。膨大な資金力に結果が左右されない中級レベルのキャラクタ限定の攻城戦の実装など面白いのではないだろうか。また、「ラグナロクオンライン」の世界大会で行なわれたように、レベルや資金といった条件を同じにした特別ルールの対戦大会も面白いのではないだろうか。他のゲームでは実装されている要素かもしれないが、あくまで「リネージュII」のキャラクタとルールで仲間達の連携といったプレーヤースキルを比べ合ってみたいのだ。アイデアのひとつとして提案したい。
セブンサインの本質は多くのプレーヤーが、多彩な要素で2つの勢力にわかれて争うことのできるシステムであると思っている。現状はそれを実現しているシステムであるとは言えないが、このアイデアが提示されたことは評価したい。プレーヤー間で話し合い、スマートなシステムを考案し、運営側に提案することができれば、このセブンサインはもっと面白くなるのではないだろうか。
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司祭に話しかければ、自軍のポイントを確認することができる |
闇の祭典に挑戦。うまくいったときの達成感はかなりのものがあるが、メリットは達成感のみのために、あまり再挑戦しようと言う気持ちにならなかった |
祭典に挑戦するパーティーを観戦する人々。特に週末は多くの観客が集まった |
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ボスが現れるという「使徒のネクロポリス」残念ながら筆者は邂逅することができなかった |
こちらはフィールドにいるボスモンスター、アナキムもリリスも他のボスと同じで、3~4パーティーのレイドで挑戦できる強さだという |
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戦乱の封印は発動しなかったが、期間中に行なわれた攻城戦は非常に激しいものになった。筆者が所属する血盟も城の所有者になれた
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■「リネージュ II」の本質を強調した他のアップデート、今後の“スピード”にも期待
クロニクル3ではセブンサイン以外にも多彩な要素が追加された。筆者を含めた高レベルプレーヤーに特にうれしいのが、クエストの追加である。前回の「クロニクル2」では中級キャラクタ向けのアップデートが主な内容で、高レベルの人達は置いてけぼりという印象も持ったのだが、今回の要素は高レベルプレーヤー達のプレイ意欲に火をつけるものが多かった。現在多くのプレーヤーが挑戦しているのが、最強の装備である「Aグレード」の装備の収集である。今回のアップデートではこのアイテムに関連するクエストが多数追加された。
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クロニクル3で追加されたワイバーン。城主のみが騎乗することができる |
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初心者がスタートする街に追加されたNPC。多くの援助アイテムをもらえる |
ユニークというか、本作らしいと感じさせられたのは、このアイテムを手に入れられる確率というのが非常に低いところだ。たとえば「奪われた誇り」というクエストでは、特定モンスターを倒し「インフェルニウム原石」を集めるのだが、この原石を100個集めると「ビンゴゲーム」を受ける事が可能になる。Aグレード武器の材料はこのビンゴゲームのみでしか入手方法が無いのである。アイテムを入手するためにはひたすら仮を行なった後、低い確率のギャンブルに結果が左右されてしまうのである。このクエストは実装直後はソロ向けクエストで、ヒーラーなどには不向きであったが、5月31日のアップデートでパーティー向けクエストへと修正された。
「傲慢の遺産」というクエストでは傲慢の塔で特定モンスターから塔の設計図1~13までの設計図を集めるというクエストで、この設計図はモンスターからドロップされる、“古代のパピルス”というアイテムを開封すると、低確率で出るようになっており、当然数字もランダム。知り合いと交換しても集める事ができるか、というほどに収集するのが難しいクエストで、個人商店でこの設計図は高値で取り引きされている。古代のパピルスからは“帝国の系譜”や“帝国の叙事詩”といったアイテムも出現し、これらも1~5章まであるという徹底ぶりだ。
こういった膨大な時間とアデナ(ゲーム内での通貨)を要求するクエストは、いかにも「リネージュII」らしい要素である。他のゲームのプレーヤーにはこの作業は大変に見えるかもしれないが、仲間と交渉をし、人脈を使ったり、仲間と協力しながらこの高いハードルを乗り越える楽しさこそ、「リネージュII」が持つ魅力なのである。日本のゲームにはない、ギャンブル性と、シンプルなゲーム性、これらのクエストはあらためてそれを実感させてくれる。この魅力こそが、韓国や台湾、東南アジア圏などの「熱い」ユーザー達を魅了しているのだなと感じさせられた。
もちろん、こういったハイエンドな方向性だけがアップデートの内容ではない。プレイをより快適にするポイントも多く盛り込まれている。今回特に感心させられたのが、「パーティー経験値の修正」というポイントだ。今まで「リネージュII」ではパーティーを組むと経験値の減少が激しく、まともに経験値を稼ぐためには補正がかかる大人数のパーティープレイを半ば強制されていたのだが、この減少率が上方に修正された。プレーヤーは少人数でのパーティーでもそこそこの経験値が得られるようになり、結果、長時間仲間を募らなくても冒険に出られるようになった。
アップデートで追加されたクエスト、ダンジョンがこのシステムをバックアップしており、以前は高レベルのプレーヤーは狩り場が集中し、非常に窮屈な思いもしたのだが、現在は少人数パーティーが世界中に散らばって狩りができる快適な状況になった。最も混んでいた「傲慢の塔」でも、以前はひとつのフロアに2~3のパーティーが獲物の奪いあいをしていたのだが、現在は塔全体でも数パーティー程度になっている。
筆者が驚かされた追加要素は、「初心者へのフォロー」である。クロニクル3からは、1~20レベルのクエストが見直され、彼らをフォローするためのアイテムが大量に供給されるようになった。筆者もレベル1のキャラクタを育ててこれを体験してみたのだが、筆者の時の1/3の時間と、はるかに楽なバランスでレベル上げが行なえた。最も、レベル20を超えると今までのゲームバランスに戻ってしまうので、ここで初心者が音を上げないかは心配なところではある。ここまではソロプレイで楽しめるため、パーティープレイにいかに慣れるかが課題となるだろう。
リオナサーバーでも爆発的とまでは言わないが、初心者は増えている。日本の第一サーバーである「バーツ」ではプレーヤーの数がサーバーの許容量を超えるほどの大繁盛になり、キャラクタのサーバー移動も考えられているようだ。これからプレイをする人は、他のサーバーでキャラクタを作ることをオススメしたい。
クロニクル3以降、筆者は「リネージュII」プレーヤーとして大きく希望を膨らまされるポイントがある。先日、6月14日にアップデートが行なわれたが、筆者はこのスピードを評価したい。アップデート内容そのものはバランス調整が主なものだったが、ここで注目したいのは韓国とのタイムラグである。このアップデートが韓国で適用されたのは5月25日、韓国と2週間しか差がないのである。
「リネージュII」でのプレーヤーの大きな不満となっているのは、韓国とのタイムラグである。プレーヤー達は常に韓国の公式ページから情報を拾ってきては、それがいつ日本に実装されるかをじりじりと待っていたのだが、クロニクル3はおよそ2カ月半、今回のアップデートでは2週間というタイムラグで実装が行なわれた。スピードがどんどん早くなってきているのだ。プレーヤー間では「クロニクル4」は全世界が同じタイミングでアップデートされるのではないか? という噂も上がっている。今回のスピードは、その噂に真実味をもたらすものだ。
筆者はこの「リネージュII」を最も熱いPvPの楽しめるMMORPGとして、日夜楽しんでいる。ゲームバランスやシステムには日本人の価値観から言えば練り込みが必要な部分も強く感じるが、それ以上に3D空間での攻城戦、メンバーの確保や、他の血盟との間でかわされる“政治”、さらに事前の打ち合わせにより、状況に合わせて対応できる作戦などの部分で、他の作品では体験できない充実感を味わえるからである。
この充実感はひょっとしたら人を選ぶかもしれない。しかし、可能であるならば多くの人に参加して欲しいし、それだけの魅力のある作品であると思っている。筆者は今後もこの作品を見守り、仲間達と最上の戦略を練りつつ、変化する戦況に対応していきたいと思う。この熱い戦いに参加をしてみてはいかがだろうか?
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クエストに合わせて、さまざまなアイテムやNPCが追加された。ビンゴゲームでアイテムが入手できるなど、ギャンブル性が高いのは韓国産MMORPGによく見られる傾向だ
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少人数パーティーでも経験値稼ぎが楽になった。また、最新のアップデートでは、パーティーウインドーが追加され、募集を啓示できるようになった
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【リネージュII】
- CPU:Pentium4 2.4GHz以上
- メモリ:512MB以上
- HDD:5GB以上
- ビデオカード:NVIDIA GeForce 4Ti、GeForceFX以上の3Dグラフィックカード
ATI RADEON9600、X600以上の3Dグラフィックカード
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ
http://www.ncjapan.co.jp/
□「リネージュ II」のページ
http://www.lineage2.jp/
□「正式サービス1周年 感謝キャンペーン」のページ
http://www.lineage2.jp/event/_item1001_10239.aspx
□関連情報
【6月16日】NCジャパン、MSNメッセンジャーで使える
「リネージュ II」絵文字を無料公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050616/line2.htm
【6月3日】NCジャパン、WIN「リネージュ II」イベント目白押し!
「クロニクル3 スタートダッシュイベント」を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050603/line2.htm
(2004年6月29日)
[Reported by 横山譲 / 勝田哲也]
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