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★PS2ゲームレビュー★

世にも珍しい対戦シューティングの登場!
「ティンクルスタースプライツ ~La Petite Princesse~」

  • ジャンル:超絶送り合い対戦ゲーム
  • 発売元:株式会社SNKプレイモア
  • 価格:6,090円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(7月28日)



 本作は、'96年に稼動開始したネオジオ(MVS)アーケードゲーム、「ティンクルスタースプライツ」の続編にあたる作品。「超絶送り合い対戦ゲーム」と銘打った、対戦形式でのシューティングという一風変わったゲームシステムが特徴だ。

 筆者は今から9年前に開催されたアミューズメントマシンショーに初めて出展されたときから注目していた作品で、発売直後から友人たちを誘っては何度となく対戦プレイを楽しんだことを今でもよく覚えている。当時の思い出に浸りつつ、興味深くプレイさせていただいた。


■ 「超絶送り合い対戦ゲーム」って、いったいどんな内容なの?

 まず、「ティンクルスタースプライツ」を知らない人のために、まずは本作品のゲームシステムから説明しよう。

 基本は画面上に出現する敵をショットで倒していくシューティング形式のゲームだが、対戦相手と1対1で勝敗を競うシステムになっている。敵のエキストラアタックや弾に触れるとダメージを受け、先にライフがゼロになった方が負けとなるルール。攻撃の際は直接相手に向かってショットを撃つのではなく、一定数以上のザコ敵を連続して倒すと出現する弾(本作品では『攻撃ザコ』と呼ぶ)を送り込んでダメージを与えるというユニークなシステムが特徴だ。

 また、敵を倒していくと徐々にゲージがたまり、一定の量に達すると「溜め撃ちショット」を発射することができる。このショットは単に威力の高い弾が出るだけではなく、特殊攻撃の「エキストラアタック」や強力な攻撃力を誇る「ボスキャラ」を相手に送り込む「ボスアタック」も備わっている。さらに、敵を倒したときに発生する爆風に他の敵や弾を巻き込むと連鎖(これを「連爆」と呼ぶ)が起こり、一度に大量のキャラクタをまとめて倒すことができる。この「連爆」を利用するとより多くの「攻撃ザコ」を相手に送ることができるので、いかに効率よく敵を倒せるかもプレーヤーの腕の見せどころとなる。

 本作品はただ漠然と目の前の敵を倒すだけのシューティングではなく、状況に応じてどのタイミングで「溜め撃ちショット」を撃つのか、あるいはザコ敵を「連爆」させて攻撃を仕掛けるのかを考えながらプレイすることで、対戦相手とのさまざまな駆け引きを楽しむことができるのだ。これこそが「ティンクルスタースプライツ」最大の醍醐味である。

敵を倒しながら、相手に「攻撃ザコ」を送り込むのが基本の攻撃方法。「溜め撃ちショット」や「連爆」でヒット数を稼ぐと、各キャラクタ固有の特殊攻撃やボスキャラを出現させることもできる



■ サービスおよび演出面もさらに充実、単なる移植作品にあらず!

 ゲームモードは、ヒロインのタイムが世界の平和を取り戻す物語を描いた「ストーリーモード」と、その他のキャラクタでCPUキャラと戦う「キャラクタモード」、および2人対戦を楽しむ「VSモード」の3種類がある。「ストーリーモード」はタイム以外のキャラクタでプレイすることはできないが、「キャラクタモード」および「VSモード」ではデフォルト状態で全15種類のキャラクタを使用することができる。アーケード版から引き続き登場しているキャラクタも一部存在するが、以前とは異なる性能およびストーリーが設定されているので、単なる“使い回し”状態にはなっていないところに筆者はまず好感が持てた。

 さらにある条件をクリアすると、セガサターン版の「ティンクルスタースプライツ」で使用されたオープニングムービーが見られるようになり、おまけにネオジオ版もプレイ可能になるというのだから凄い。ネットワークにも対応しているので、全国各地のプレーヤーたちといつでも対戦できるのもこれまた嬉しいサービスだ。単なる移植あるいは焼き直しにとどまらない、さまざまな機能・付加価値を盛り込んだことを筆者は高く評価したい。

 演出面を見てみると、各キャラクタともアーケード版では存在しなかった声優陣によるセリフが多数収録されている。とりわけ「ストーリーモード」においては、短いシーンの中にこれでもか、とばかりにもの凄い量のセリフを作り込んでいるのが特徴的。グラフィックにおいては各種キャラクタおよび背景が3D化され、一段と綺麗さが増したという印象だ。画面内に多くの攻撃ザコが出現するといわゆる"処理落ち"が発生することもあるが、キャラクタがチラついたり消えたりすることは特にないので安心してプレイできる。

 また、「ギャラリー」モードを選択すると各キャラクタのイラストを見たり、全ステージのBGMを自由に聴けるようになっている。これはあくまで筆者の推測であるが、本モードで見られるイラストはすべて開発資料(原画)をそのままキャプチャーしたもののようだ。前述のネオジオ版がプレイできるオマケ機能とともに、数々の貴重な資料を惜しげもなく公開したところにも開発者の並々ならぬサービス精神が伺えて非常に興味深い。

 ただ残念だったのは、イラストに添えてあるコメントが読めない箇所が一部存在したこと。せっかくズーム機能が付いているにもかかわらず、字が読めない所が散見されたのはあまりにももったいないように思えた。これだけの大盤振る舞いをしたのだから、絵だけでなくすべての文字も読めるよう徹底的に配慮をしてほしかったところだ。

キャラクタ同士がさまざまな舌戦を展開する。「ストーリー」モードのヒロイン、タイムの凄まじい喋りっぷりには驚かされる
BGMは前作のアレンジ版も含めなかなかの聴き応え。イラストの一部にズーム機能を使ってもコメントを読めない箇所があったのはなんとも惜しまれる……



■ ゲームバランスについても特に問題なし。ハンディ機能で実力差のある相手とでも楽しめる!

 本作品の敵キャラクタは必ず編隊を組んで出現する。編隊の出現パターンは双方のプレーヤーとも同じなので、不公平感はまったくない。また、「VSモード」においてはあらかじめハンディをつけてプレイすることができるので、プレーヤーの実力差がある場合でも楽しめるようにきちんと配慮されているのだ。ハンディをつけるとザコ敵とエキストラアタックの速度に差がつくので、見た目にも非常にわかりやすい。

実力に差がある人同士でも、ハンディをつければ問題なく対戦が楽しめるはず。お互いに力が拮抗する設定を探して遊ぼう!


 さらに面白いのは、同じ飛行パターンの編隊でも移動速度が異なる場合は「連爆」するポイントが変化することだ。同一のステージ内であっても、時間が経つと徐々に敵のスピードが増していくので、毎回同じパターンで対処できるとは必ずしも限らない。しかもアーケード版には存在しなかった編隊が新たに追加されているので、かつてゲームセンターでさんざん遊んだ人も再び攻略パターンを研究する楽しみが増えているのでこれまた嬉しい。

編隊の飛行パターンおよびスピードごとに異なる「連爆」ポイントを研究するのがとにかく楽しい。泡のついた敵は耐久力が高いので、あらかじめこれを破壊してから「連爆」を狙うなどの工夫も必要となる


 本作品は各キャラクタごとの性能差が非常に大きく、移動速度やショットパワー、および「エキストラアタック」、「ボスキャラ」の威力がそれぞれまったく異なる。移動が速くてショットが弱い者や、すべての能力が平均点のバランスを保つ者、さらにはほぼすべての性能に優れ、「これってズルくないか?」と一瞬思ってしまうような“猛者”までもがいたりする。

 今回筆者はデフォルトで選択可能なキャラクタをひと通り試してみたが、実戦において極端に優劣の差が発生したことは特になかった。スピードが速いキャラクタであれば相手の攻撃が避けやすくなるし、ショットが強ければ敵をどんどん倒して攻撃を送り込むなど、それぞれの特徴に合ったプレイスタイルを見出せればどんなキャラクタを使っても十分に勝負が成り立つ。それでも性能差に不満があるよという人は、前述のハンディ機能を使用すればまったく問題なく楽しめるはずだ。各キャラクタごとの特徴がバラバラでありながら、ゲームバランスを損ねることなく調整ができていることは高く評価したい。

各キャラごとに性能はみ~んなバラバラ! しかし、そんなことをまったく気にせず楽しめるのが本作品のイイトコロだ



■ 滅多にお目にかかれない貴重な作品。シューティングが苦手な人にもオススメ!

 アーケード版の発売から実に9年ものブランクが開いてしまったが、再び「ティンクルスタースプライツ」が世に登場したことは実に喜ばしい。厳密にはシリーズの続編となる作品であるが、アーケード版を知っている人であっても今となっては新作ソフトをプレーするのとほとんど変わらない、新鮮な気持ちでゲームが楽しめることだろう。

 シューティングゲームのシステムがベースとなっているが、無数の弾幕が画面を覆いつくしたり、絶望的なまでに強い敵が立ちはだかるようなことはないので、肩肘張らず気軽に楽しめるのも大きな魅力のひとつ。普段はシューティングを好まない人でも、これならストレスを感じることなくプレーできるはずだ。

 実を言うと、筆者は本作品のようにデフォルメされた女性のキャラクタが数多く出てくるゲームは本来まったく好みではない。にもかかわらずアーケード版の頃から気にすることなくプレーできたのは、それを打ち破るだけの面白さが本作品に備わっているという何よりの証拠であろう。

 「最近は新しいジャンルのゲームがなかなか出てこないなあ……」などと嘆いておられる方には、特におすすめしたい作品である。他ではちょっとどころか滅多に見られない、この超個性派ゲームをぜひ一度お試しあれ!

(C) SNK PLAYMORE

□SNKプレイモアのホームページ
http://www.snkplaymore.jp/
□「ティンクルスタースプライツ ~La Petite Princesse~」のページ
http://www.snkplaymore.jp/official/twinkle_star/
□関連情報
【6月9日】SNKプレイモア、かわいいキャラが目印「ティンクルスタースプライツ」
出演声優にミニミニインタビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050609/snk.htm
【7月21日】SNKプレイモア、PS2「ティンクルスタースプライツ」発売記念「声優トークショウ」を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050721/snk.htm

(2005年8月8日)

[Reported by 鴫原盛之]



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