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★PCゲームレビュー★

古き良き2Dアクションゲームの“匂い”を持つシリーズ最新作
「イース-フェルガナの誓い-」

  • ジャンル:アクションRPG 発売元:日本ファルコム
  • 価格:オープンプライス(ファルコム通販価格8,988円)
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:6月30日



 日本ファルコムが発売する「イース」シリーズ最新作「イース-フェルガナの誓い-」は、横スクロールのアクションRPGとして発売された「イースIII ワンダラーズフロム イース(以下、III)」をベースにした作品である。

 本作の基本的なゲームのシステムは、「イースVI ナピシュテムの匣(以下、VI)」を進化させたフル3Dグラフィックスを採用しながら、随所に濃厚にIIIの“匂い”を盛り込んでおり、シリーズを通してプレイしている人はニヤリとさせられるだろう。もちろん、本作の楽しさはファンにだけ伝わるという狭いものではない。アクション要素を強化しながらも、間口の広さは保っているという「イース」ならではのバランスを感じさせる万人にお勧めできる作品である。


■ ドギの故郷フェルガナを襲う災厄

 物語はアドルとドギが、ドギの生まれ故郷のフェルガナ地方を訪れるところからはじまる。ドギは旅先でフェルガナが原因不明の異常気象で凶作が続いているという悪い噂を聞き、アドルを連れて8年ぶりの帰郷の決心をしたのである。

オープニングのアニメーション。アドルとドギがフェルガナ地方に訪れることになったきっかけと共に、これからのストーリーを予想させるイメージが流れる
 フェルガナ地方のドギの生まれ育った街、レドモンドに近い港に到着した2人。懐かしそうに周りを見回すドギを傍らで見守るアドル。しかし突然の女性の悲鳴がその和やかな雰囲気をかき消す。声の方に走るアドル。彼の前にはオオカミのような魔物に取り囲まれる少女の姿があった。

 優れた剣の腕前であっと言う間に魔物を倒すアドル。後ろからはドギが走ってくる。彼もまた魔物に襲われていたのだ。「どうなってるんだ、フェルガナには魔物なんていなかったはずだぞ?」不審がるドギに、助けられた少女が声をかける。「まさか……ドギ?」少女は彼の幼なじみ、エレナだったのだ。かつてのやせっぽちのお転婆娘の美しい成長に、ドギは驚く。

 レドモンドの街にエレナと共に入るアドルとドギ。街の住人と懐かしい再会に喜ぶドギ、しかし街の住人達の顔はどこか暗い。最近、魔物が周囲を徘徊しているうえ、この地方を治める領主・マクガイア伯とも街はうまくいっていないという。また、エレナの兄、チェスターは半年前に突然街から出ていき一度も連絡をよこさず、エレナは不安な毎日をすごしているというのだ。

 ドギはこの地方の異常事態を調査するために、師匠のところに行くという。次の日、街に血相をかえて住人が駆け込んでくる。採石場に魔物が出現し、町長が坑道の奧で身動きとれなくなってしまったというのだ。ドギは朝早くに街を出ている。アドルは剣を持ち、採石場に急ぐ。

 町長は坑道の奧にある遺跡の前にいた。町長の頼みで遺跡の中に入ったアドルは巨大な魔物と対面する。なんとか魔物を倒し、町長のところに戻ったアドルの前に金髪の青年が現れる。驚く町長、青年はエレナの兄チェスターであった。彼は今は街の人々を苦しめるマクガイア伯に仕える騎士となっているという。エレナと共に町長を助ける優しい兄だったチェスターは、今は冷たい雰囲気を持つ男になってしまっていた。彼に何があったのだろうか?

 この事件をきっかけに、さまざまな異変が起こりはじめる。アドルとドギは調査を開始する。その先々に現れるチェスター。やがてアドルは、フェルガナ地方の大きな秘密へ迫っていく……。

 アクション性、かわいい女の子、世界の秘密、装備品のシステム、コンセプトのはっきりしたモンスターとダンジョン、待ち受ける巨大ボス……などなど、インターフェースの上では大きく進化しながらも、シリーズを通じて変わらない部分を確かに感じさせてくれる。筆者は以前「VI」のレビューで、「シリーズを通じた感触をきちんと踏襲していることに感心させられた」、と書いたのだが、今作にもその精神は貫かれているのを感じた。それでいながら、今作では特に「アクション性」へのこだわりが見てとれる。

 アクション性が強められているからといって、難しすぎるというわけではない、初心者用のイージーモードも搭載され、アクションが少し苦手なユーザーにも配慮をしている。ファンにはもちろん、「イース」初心者にもオススメしたい。本作をきっかけに、シリーズをプレイし、アドルの他の冒険も体験してみるのも楽しいだろう。

エレナ。両親がいないという不幸な境遇ながらも、明るさと優しさを失わない少女。半年前にいなくなった兄チェスターを心配している エレナの兄チェスター。かつてはエレナと共に町長の家に住み、町長を助け街の住人からも慕われていた。今は領主の騎士となり、町長にも冷たい言葉を投げかける。彼の真意は? シスター・ネル。街の礼拝堂に勤め、年若い神父を補佐している。魔物が出現するなど、立て続けに起こる異変に心を痛めている


■ アドルのポテンシャルを100%活かし、難関を突破していく爽快感

 今作では、基本部分でシリーズをしっかりと踏襲していながら、「アクション性」にこだわっている。地形やトラップはもちろん、モンスターとの駆け引きにもアクションゲームの“ウデ”が必要となるのだ。もちろん、硬派すぎるものではない、しかし、「VI」では少なかったジャンプして小さな足場を超えていくなど、シビアなキャラクタ操作が必要となる場面が多く登場し、「歯ごたえ」を感じさせる。

ジャンプで裂け目を飛び越える。本作ではジャンプ操作が重要になっている。
アドルの操作はいつでも確認可能。この他にも、2段ジャンプや魔法の腕輪を使うリングアーツなど、多彩なアクションが可能だ
 アクション性の重視は、ベースである「III」の基本コンセプトだった。「I」と「II」は2D見下ろし型の画面を採用した作品であったが、「III」は横スクロール画面となり、ジャンプが導入され、剣はボタンで振るようになり、さらに“下突き”などができるようになった。ジャンプによって地形を飛び越えたり、空中の敵を下から突いて攻撃したりと、アクションゲームの手法を取り入れた作品だったのである。

 今作には、この「III」のコンセプトも取りいれられている。アドルは通常のジャンプだけではなく、ゲームが進むと2段ジャンプやダッシュまで使いこなす。ジャンプ中に攻撃ボタンを押すことで繰り出せる下突きではモンスターを気絶させることができる。地形に関しても、ジャンプとキャラクタ操作がシビアになり、ゲームを進めるためには少しアクションゲームのウデを鍛えなくてはならないだろう。

 ジャンプを繰り返し地形を渡っていったり、空中の敵を飛び上がってしとめたりというゲームの展開は、昔のアクションゲームが持っていたどこかレトロな感触を思い起こさせる。それでいながら本作はたとえジャンプをミスしても致命的な結果にならず、何度でも再挑戦できたり、判定にもきちんとバランスが調整されている。こういった細かい配慮が、本作が現代のゲームであることを実感させてくれる。

 今作のアドルはジャンプと攻撃の他、リングによる魔法の能力を持つ。リングには炎と風、地の3つの属性があり、攻撃以外にも特殊能力を持つ。ゲームが進みリングに宝石を装着できるようになると“タメ撃ち”が可能になり、ボス戦などに特に効果を発揮してくれる。火や地の腕輪は隠された通路を見つける力を持ち、風はジャンプ力を増す力を持っている。とくに風の腕輪は使わなくては突破できない場所が多くなっていくので、練習をして早めにタイミングを体得しておきたいところだ。

 アクション性が強化されているだけに、プレイにはゲームパッドの使用をオススメしたい。本作はキーボードや、マウスでもプレイできるが、ジャンプ中に移動ボタンを押して操作する場合もあるので、どの場合でも指先の修練が必要となる。人によってはパッドだと力が入って違う方向を押してしまうのでキーボードがいい、という人もいるかもしれない。魔法ボタンを押しっぱなしで、2段ジャンプをして、その瞬間に魔法ボタンを離してさらに飛び上がる、といった細かいテクニックも必要となるので、ボタン配置にも工夫したいところだ。

攻撃ボタンを押すことで最大6連撃が可能。サクサクと爽快な戦いが楽しめる ゲームを進めることでアドルは2段ジャンプができるようになる。トラップを飛び越えたり、高いところから敵を攻撃することも可能だ 炎の魔法。腕輪に宝石をつけることでより強力な火球を打ち出すことができるようになる
降下中に攻撃ボタンを押すことで下突きを行なう。当たった敵は気絶し、一定時間動きを止めることができる 左下のゲージが溜まると発動できるようになるブーストモード。10回の連続攻撃が可能になり、防御力も跳ね上がる 武器や鎧は「ラバール鉱」というアイテムを消費することで強化することができる
魔法の腕輪は火、風、地の3種類がある。この腕輪に宝石をはめ込むことで魔法はさらに強力になる 風の腕輪を使うことで滑空することが可能に。フィールドを走破していくのに必須となる魔法だ 地の腕輪はひびの入った壁を壊し、隠された道を発見できる。火の腕輪はダンジョンの仕掛けを動かすことができる


■ シリーズの感触を受け継ぎ、さらに進化した姿を提示した作品

 本作ではさまざまなステージが待ち受けている。ティグレー採石場の足場の構成など、随所に横スクロールの「III」の画面を思わせる場面もあって、シリーズのファンはニヤリとさせられる。「III」をプレイしたことのある人ならば、どのようなアレンジがされているかを楽しめるだろう。

 モンスターは遠距離攻撃をしてきたり、前面が無敵になっていたり、空を飛び巧妙に距離を保ってヒットアンドアウェイで攻撃してきたりと、倒すのにちょっとしたテクニックが必要になる。難易度を上げるとさらに歯ごたえのある戦いが楽しめそうだ。フィールドはグラフィックが凝っていて、探索心を刺激されるのだが、中盤からマップが広すぎるかなという印象を持った。ザコキャラクタとの戦いもアクション性が必要なだけに、フィールドが広いと少し疲れてしまう。もっともその分、敵と長い時間戦うことで、ステージを攻略している間にキャラクタが適性レベルまで上がってくれて、経験値稼ぎをしなくてすんだ。

 ボスキャラクタとの攻防は、さらに攻略意欲を強く刺激させられるバランスになっている。例えレベルを上げても、最終的に勝敗を決するのは指先と頭脳である。相手の攻撃パターンを見切り、的確にかわし、チャンスを逃さず攻撃するテクニックが必要となる。たとえ負けてもすぐに再挑戦できるので、くじけずに何度も挑むことができる。それでもかなわなければレベル上げをするか、ゲームを一端止めて、イメージトレーニングをするのも良いだろう。

 ボスとのギリギリの戦いは、シリーズに共通した熱い要素だ。イージーならば力押しも可能だが、更なる駆け引きを楽しむために、一回クリアした後はノーマルに挑戦してみたいところだ。公式ページの情報によると、ゲームをクリアするとボスとの戦いのみを楽しめるタイムアタックモードが登場するとのこと。指先に神経を集中して思う存分攻防を楽しもう。

 筆者が好きなボスは「ギラン」という炎のドラゴン。蛇のように手足のないドラゴンで、昔懐かしい竹製の蛇のオモチャのように身体がパーツにわかれている。倒していくと、パーツがはずれどんどん短くなっていく。このデザインはファルコムの「ロマンシア」に登場したボス・ヴァイデスそのままなのだ。ファルコムファンならば気がつくであろうこういう仕掛けが、ファンを魅了し続けているんだろうなあと、改めて感じた。

 今回の、アクションよりのゲームバランスは、やはりオールドファンには特にうれしい要素だろう。コンシューマゲームのほとんどのアクションが3Dになった現在、2Dゲームの匂いを強く残す本作の演出、それでいながら快適さと爽快感をきちんと持っているこのさじ加減は、心地よいノスタルジーに浸れる。だからといって、「イース」初挑戦のプレーヤーや、年齢の低いプレーヤーが本作を楽しめないとは、筆者は思わない。

 長年のファルコムファンを自認している人も、はじめて「イース」に触れたのはそれこそ中学生や小学生だったのではないだろうか、モンスターと戦い、世界の謎に迫り、困っている女の子を助ける。何百回もさまざまなゲームや小説で繰り返されているシンプルなストーリーを真っ正面から取り込み、、指先に神経を集中させるアクション性を持たせる。本作、そして「イース」が持つこの魅力は世代を越え伝わると思う。本作はきちんとシリーズの本質を受け継ぎ、進化させている。初代「イース」が生まれて18年、シリーズは親子でも楽しめるような作品となったといえるだろう。

街の住人の生活を支えるラバール鉱が産出されるティグレー採石場。魔物が出現する危険な場所となってしまっている 火山の近くにあるイルバーンズ遺跡。邪神を崇拝していたと言われる場所であり、魔道士のようなモンスターなどたくさんの魔物が徘徊している 溶岩地帯まで遺跡は広がっていた。炎のモンスターが行く手を阻み、溶岩の熱がアドルの体力を徐々に奪っていく
円形の魔弾を打ち出してくるエルフェール。剣では攻撃できず、炎の腕輪の力で立ち向かわなくてはならない オールドファンにはヴァイデスを思い出させるギルン。風の腕輪を使った攻撃が有効だ 溶岩地帯の深奥部でアドルを待ち受けるギャルバ。高度を下げて攻撃してきた時がダメージを与えるチャンスだ
まだまだたくさんのステージや仕掛けがこの後も用意されている。どんなストーリーが展開するのだろうか?

(C)2005 Nihon Falcom Corporation. All Rights Reserved.


【イース-フェルガナの誓い-】
  • CPU:PentiumIII 800MHz以上 (PentiumIII 1GHz以上を推奨)
  • メモリ:Windows Me/98:128MB以上 Windows XP/200:256MB以上
  • HDD:1.3GB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上

□日本ファルコムのホームページ
http://www.falcom.co.jp/
□「イース -フェルガナの誓い-」のページ
http://www.falcom.co.jp/ysf/index.html
□「ファルコム通販の『イース -フェルガナの誓い-』Order」のページ
http://www.falcom.co.jp/ysf/order/index.html
□関連情報
【4月17日】日本ファルコム、WIN「イース -フェルガナの誓い-」
発売日が6月30日に決定。初回限定特典は音楽CD8枚組
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050425/ys.htm
【3月17日】日本ファルコム、WIN「イース -フェルガナの誓い-」
登場キャラクタや新要素などの情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050317/ysf.htm
【3月16日】日本ファルコム、「イース フェルガナの誓い」を6月に発売
「イース III」の世界観をモチーフにしたシリーズ最新作
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050316/newys.htm
【2003年9月25日】PCゲームレビュー「イースVI ナピシュテムの匣」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030925/ys6.htm

(2004年6月30日)

[Reported by 勝田哲也]



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