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Electronic Entertainment Expo 2005現地レポート

今年も“ビンテージゲーム”が大集合!
~「The History of Videogames」~

会期:5月18日~20日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 E3の10周年記念企画として、昨年KENTIA HALLで開催された「The History of Videogames Museum」展。これが好評だったのか、今年も引き続き「The History of Videogames」として開催された。出展されたゲーム機は'80年代前半のアーケード機と、歴代のコンソール機+携帯ゲーム機たち。アーケード機はすべてフリープレイで遊べ、コンソール機でも展示とは別に、フリープレイ用として十数台のハードが用意された。昨年より展示スペースが削減されたが、それでもこれだけのビンテージゲームが一堂に並ぶ姿は壮観だ。

 ちなみに今年のE3の目玉がプレイステーション 3、Revolution、Xbox 360という新ハードの発表だったことは言うまでもない。しかし実際に手にとって遊べたのはXbox 360だけで、他は1時間近く並んだあげく、筐体のモックアップが見られたのみ。Xbox 360にしても人が多すぎるなどの理由で、一般参加者によるプレイが制限される一幕もあった。一方で「ASTEROIDS」や「ATARI2600」など、別の意味で貴重なゲームが自由に遊べたのは皮肉な話である。フリープレイには故障やコンパネの劣化などの問題もあるからだ。まあ、堅い話はともかく多くの入場者が一時の憩いを楽しんでいた。

 会場はアーケードコーナーとコンソールコーナーに分かれ、会場の中央通路に用意された。アーケードコーナーではソファとテレビを囲むようにハードが展示され、当時のリビングルームの雰囲気を再現。日本ならさしずめちゃぶ台とテレビというところだろうか。出展されたアーケード機は'80年代前半のタイトル群。ボタンやレバーなどの保存状態もなかなか良く、快適にプレイすることができた。今では任天堂のコーポレートキャラクタとなったマリオも、「ドンキーコング」筐体上で往年のデザインを拝見できた。おそらくここまで成長するとは、当時は誰も思っていなかっただろう。

テレビとソファを中心に三方から展示されたアーケード機たち 展示ゲーム機は'85年までのもの。すでに四半世紀近い時がすぎているものもある
「ドンキーコング」に登場したマリオ。今よりもずっとオヤジ顔だ 「ドンキーコング3」の主人公スタンリーとコング。以後スタンリーの行方は知れない
「スターウォーズ エピソード3」公開と重なったこともあり、2台のスターウォーズ題材ゲームも展示されていた(「STAR WARS」、「STAR WARS RETURN of JEDI」)


 コンソールコーナーでは、昨年同様に「インテレビジョン」、「Vectrex」などの歴史的名機から、NES、SUPER-NES、そして3DO、バーチャルボーイまで約30台強。さらにゲームボーイ、Linksなどの携帯ゲーム機が展示された。Xboxまで展示された昨年度より数が減少したのは残念だが、ハードの進化が一望できる魅力は変わらない。

 PCでは往年の名機アップルと初代IBM-PCが仲良く出展。さらに今年はレア中のレア、「ATARI VIDEO MUSIC」も登場した。これは'76年にアタリが発売したビジュアルシンセサイザーで、ステレオから流れる音楽を取り込んでドット絵によるCG映像を自動作成し、テレビに出力するというもの。メディアプレーヤーにおける視覚エフェクトの先駆けだろう。ちなみにこの翌年、アタリは同社初のテレビゲーム「ATARI2600」を発売する。こうした技術が初期のテレビゲーム開発に影響を及ぼしたことがわかる。

コンソールコーナーの全景。貴重なビンテージゲームを普通に触ることができる コンソールコーナーに展示されたアップルIIと初代IBM-PC(THE PC) ATARI800とソフトウェアの展示。ATARI800は同社のホームコンピュータラインで代表的な機種
視覚エフェクトの先駆け「ATARI VIDEO MUSIC」。こうした機械のデモが見られるのもE3ならでは
「インテレビジョン」、「コレコ ホームゲームシステム」のゲームが楽しめるテレビ接続型の玩具。ビンテージゲームを今の技術でリメイクした存在だ


 さて、昨年はコンソールのコントローラーについて簡単な分析を行なったので、今年はアーケードタイトルについても同じ考察をしてみよう。ご存じの通りアーケードゲームではコンソールに比べて自由なコントロールパネルを開発し、組み込んできた。これがゲームの進化に大きな影響を果たしてきたわけだ。そこで出展されたハードを年代順に並べ、操作系の変遷を調べてみた。ちなみにパブリッシャー名と発売年は筐体のコピーライト表記に基づくもので、日本のメーカー名や実際の発売年度とは必ずしも一致しない点は了承いただきたい。またレバーのカッコ内の数値は、それぞれレバーの動く方向数を示している。たとえば「1レバー(4)」は、4方向デジタルレバーが1基あることを示している。

【展示アーケードタイトル一覧】
タイトル パブリッシャー 操作系
'79 ASTEROIDS ATARI 5ボタン
'80 ASTEROIDS DELUXE ATARI 5ボタン
'80 ASTRO BLASTER Gremlin/SEGA 4ボタン
'80 TARG EXIDY 1レバー(4)+1ボタン
'80 GORF MIDWAY 1レバー(4)+1ボタン
'80 MISSILE COMMAND ATARI 3ボタン+トラックボール
'80 PAC-MAN MIDWAY 1レバー(4)
'81 BOSCONIAN MIDWAY 1レバー(8)+1ボタン
'81 VENTURE EXIDY 1レバー(8)+1ボタン
'81 SEGA TURBO SEGA 特殊(1ハンドル+1シフト+1ペダル)
'81 DONKEY KONG NINTENDO 1レバー(4)+1ボタン
'81 SCRAMBLE STERN ELECTRONICS 1レバー(8)+2ボタン
'82 Ms.PAC-MAN NAMCO 1レバー(4)
'82 JOUST Williams 1レバー(8)+1ボタン
'82 MILLIPECIE ATARI トラックボール+1ボタン
'82 BUBBLES Williams 1レバー(8)
'82 ROBOTRON 2084 Williams 2レバー(8+8)
'82 POPYEYE NINTENDO of AMERICA 1レバー(4)+1ボタン
'82 PENGO SEGA 1レバー(4)+1ボタン
'83 STAR WARS ATARI 特殊(1レバー(4)+2ボタン相当)
'83 DRAGON'S LARE MAGICOM 1レバー(4)+1ボタン
'83 SPACE ACE MAGICOM 1レバー(4)+1ボタン
'83 DONKEY KONG3 NINTENDO 1レバー(8)+1ボタン
'83 JUNO FIRST KONAMI 1レバー(8)+2ボタン
'83 MAD RLANETS GOTTLIEB 1ダイアル+1レバー(8)+1ボタン
'83 MOTORACE-USA Williams 1レバー(2)+2ボタン
'84 COBRA COMMAND DATE EAST USA 1レバー(8)+2ボタン
'84 FROGGER SEGA/Gremlin 1レバー(4)
'84 STAR WARS RETURN of JEDI ATARI 特殊(1レバー(4)+1ボタン相当)
'85 INDIANA JONES and the TEMPLE ADVENTURE ATARI 1レバー(8)+1ボタン


 サンプル数が限られるので荒っぽい議論になってしまうが、この表からわかることが幾つかある。まず1つは、もともとボタンによる操作から始まったのが、'80年を境にレバーによる操作が加わること。その結果、操作系が自機の移動(レバー)と、攻撃などの補助入力(ボタン)に視覚的・機能的に分離し、より直感的な入力が可能になった。

 2つ目は、ゲームの内容にあわせて操作系が変わり、特殊な操作系のゲームにはユニークな内容のものが多いことだ。トラックボールと3ボタンの組み合わせという「MISSILE COMMAND」などは、その好例だろう。ただし特殊な操作系の筐体は汎用性に乏しいという側面もある。ゲームごとに操作系がバラバラでは操作に慣れるまでに時間もかかってしまう。

 そして3つ目が、こうした流れから次第に1レバー+2ボタンの操作系が定着していくことである。これを表中のゲームタイトルの流れとしてまとめると、次のようになる(この他に代表的な例としては、1ダイアルの「PONG!」('72)や「BRAKEOUT」('76)、当初3ボタンで始まり、後に2方向レバー+1ボタンに変更された「スペースインベーダー」('78)などがある。

 '80 ASTEROIDS  ボタンのみ
 '80 PAC-MAN   4方向レバー
 '80 GORF       4方向レバー+攻撃
 '81 BOSCONIAN  8方向レバー+攻撃
 '81 SCRAMBLE   8方向レバー+攻撃1+攻撃2
 '83 JUNO FIRST  8方向レバー+攻撃1+攻撃2(2ボタンシステムの定着)

5ボタンシステム(ASTEROIDS/'80) トラックボール+3ボタン(MISSILE COMMAND/'80)
8方向レバー+1ボタン(VENTURE/'81年) 8方向レバー+8方向レバー(ROBOTRON 2084/'82)
8方向スティック+2ボタン(COBRA COMMAND/'84) 8方向レバー+ダイアル+1ボタン(MAD RLANETS/'83) 特殊(4方向レバー+1ボタン相当)、(STAR WARS RETURN of JEDI/'84)


 ちなみに現在のアーケード筐体は8方向レバー+3ボタンの操作系がひとつの標準になっているようである(JAMMA規格が標準でサポートしているのが3ボタンまで、ということも大きいだろう)。今回の展示は'85年までだったが、3ボタンシステムのゲームとして「グラディウス」('85)などが登場していたが、コンソール機では'87年のセガ・マスターシステムまで2ボタンパッドが採用され、'89年のメガドライブで3ボタンパッドとなった。その後'91年に「ストリートファイターII」が発表され、6ボタンシステムが一気にブレイクしたのは周知の通りだ。まあ、数ある見方の1つとして参考になれば幸いだ。

   ちなみに、こうした遊び的な考察が可能なのも、今回のようなプレイアブル前提のゲームハードの展示会があればこそである。KENTIA HALL名物として、来年以降も定番化してほしいイベントだ。

□Electronic Entertainment Expoのホームページ
http://www.e3expo.com/
□関連情報
【2004年5月15日】遊べる“ビンテージゲーム”が大集合!
~The History of Videogames Museum~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040515/tgm.htm

(2005年5月21日)

[Reported by 小野憲史]


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