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★PCゲームレビュー★

光と影が織り成す恐怖空間、再び
「DOOM 3:Resurrection of Evil」

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:id Software
  • 発売元:サイバーフロント
  • 価格:5,040円(日本語マニュアル付き英語版)
  • プラットフォーム:Windows 2000/XP
  • 発売日:発売中(4月5日)



 FPSの元祖である「DOOM」が最新の技術やグラフィックスで「DOOM 3」となって復活、全国の気の小さいゲーマー(主に筆者)やしょっぱいスペックの旧型PCユーザー(主に筆者)を震え上がらせたのが2004年夏の話。

 今回レビューする「DOOM 3:Resurrection of Evil」はその拡張パックであり、本編から2年後の同じ火星UAC基地を舞台にしたシングルプレイと、拡張されたマルチプレイが追加されている。本作は拡張パックという事なので、当然本編である「DOOM 3」を持っていないと遊べないので注意して欲しい。

ストーリーは本編の2年後。半年ぶりに地獄のゲートが再オープンすることになる。今回は主人公のアーティファクトを追って3体のボスが! 扉を開ければスプラッタなゾンビどもが暗闇からこんにちは。相変わらずお化け屋敷要素満載なゲーム展開。音で映像で、随所に怖い演出満載 こちらが今回の主人公、渋い中年のオッサン。最初に何の予備知識もなくパッと見た印象は、悪役キャラかと思いました。でも主人公だったのでビックリ



■ 火星から謎の電波を受信! 調査チームにだけは入りたくない!

 舞台は、2145年、火星の研究施設。軍事産業や科学技術の研究を主体に行なっている巨大企業、UAC(Union Aerospace Corporation)は瞬間移動装置、テレポーターの研究を進めていた。しかしそこでテレポーターは予期せぬ邪悪な空間へとつながってしまう。地獄へのゲートは開かれ、人知を超えたクリーチャーたちが次々に出現し、たちまち死の世界と化す施設。そこで数少ない生き残りとなった主人公のサバイバルこそが、本編である「DOOM 3」のメインストーリーだった。

 「DOOM 3:Resurrection of Evil」はそれから2年後、同じくUACの研究施設が舞台となる。サイト1と呼ばれる初期の研究施設で、例の事件が起こる際も忘れ去られていた古い施設でもある。そこから謎の信号を捉えたUACは、科学者と軍人で構成された調査チームを派遣。しかし、早くもプロローグシーンでチームはあっという間に壊滅してしまう。再び繰り広げられる惨劇に、調査チームの海兵隊エンジニアである主人公(プレーヤー)が、またまた生き残りをかけて戦う、という展開だ。

 はっきり言って、本シリーズに細かいストーリー説明は不要だろう。要するに地獄の悪魔が攻めてきたのでガンガン倒して進んで生き残れ、というシンプルなものである。ちなみに主人公は無口で渋い悪人面のオッサンという共通項はあるものの、本編の人物とは別人になる。まぁ筆者が本編の主人公だったら、もっかい火星へ行ってくれる? なんて言われても絶対行かないんですけどね。

 サイバーフロントから発売されている本作は、いわゆる日本語マニュアル付き英語版であり、マニュアルと言ってもインストール方法や簡単なストーリー解説、マルチのルール等が掲載されている簡素なものである。ゲーム中のPDAによる情報や生存者との会話、ミッション表示等は、本編同様すべて英語となる。それでもゲームの性質上、ほとんど英字情報をすっとばして遊んでも、詰まるシーンもなく問題なく楽しめるだろう。

本編同様、火星の地表にも出ます。ただ相変わらず空気がすぐ切れるため、広い空間でバンバン撃ちあうという展開にはならない そのレベルで何をすればいいのか、オブジェクトは簡単な英語で表示。これも本編同様。基本的に一本道なので何も考えず進めばいい ゲーム中には主人公以外にも、何人か調査チームの生き残りがいる。中でも女性チーフは、いろいろ主人公に指示を出してくる



■ シングルプレイは良くも悪くも本編と同様、ものすごく怖い

 ゲームの流れは本編同様、主人公があるポイントに来たら床や天上から敵が襲ってきたり、ワープしてきたりといったスクリプトベースのFPSである。レベルデザインは遺跡や火星地表、下水路なども用意されているが、大半は本編同様、施設内であり、ゲームデザインはほとんど変わっていない。

 アイテムを取ると周囲が暗くなって敵がワープしてきたり、扉を開けるとゾンビと対面したり、鍵やスイッチを探して施設の奥まで進み、戻ってくる道中で敵がワンサカ出現といった“行きは良い良い帰りは怖い”系のパターンなんかも相変わらずで、とにかくあらゆる手段でプレーヤーを恐怖に陥れるる演出は本編から変わっていない。最新のエンジンが描画する陰影を強調したリアルでグロテスクなグラフィックスもあって、相変わらず始終ドキドキさせられっぱなしだった。

 部屋に入ると天井のライトがバチン! とショートしたり、壁がわざとらしく大きな音と共に外れたり、随所にビックリ演出てんこ盛りであり、まさにお化け屋敷系ホラーシューティングといった内容。本編でもそうだったのだが、肝っ玉の小さい筆者は自分の足音や背後で自分が通ってきたドアの閉まる音にすらビビってしまうありさま。例え本編をクリアしていても、怖いものは何度やっても怖いのだ。

 ライトと武器が別々であるゲームシステムももちろんそのまま。これにより、突然襲ってきた敵に大慌てで武器を持ち替えたらライトだったり、暗闇に向かって闇雲に連射して弾薬を無駄にしたり、なんて事も相変わらず繰り返した。まあ、人間は学習しないもんである。

 武器とライトと言えば、ゲーム中盤で下水道を進むシーンがあるのだが、そこでライト付きのヘルメットなんて便利なものを装備できる。ヘルメットのデザインは懐かしい旧「DOOM」シリーズの主人公! って感じでやぼったさが素敵だったりするのだが、何よりもライトと武器が同時に持てるのは便利だった。ずっとこのヘルメット被ってればいいのに、下水道を抜けると脱いじゃうんですけどね。残念。

 と、ここでひとつ気になった点があった。これは筆者の環境だけのバグ? なのか仕様なのか不明だが、この下水道で環境タンク残量が一度でも0になると、その後、いくらボンベを入手してもメーターがマイナスになるばっかりで、補充されないのだ。当然、苦しそうに唸りまくってダメージを食らう主人公に、敵は容赦なく攻めてくる。このおかげか、ここだけ若干難易度が上がって苦労させられた。これって筆者の環境だけだろうか……。

下水道のようなステージを進む際、主人公はライト付きのヘルメットを装着する。でもその場だけ。これ、このままずっと付けて行動すればいいのに! 一度環境タンクがカラになると、いくら補充してもマイナスになるだけ。これってそういうものなの? なんかヘンじゃない? うちの環境だけ? 今回も登場する味方の援護ロボ。非常に頼もしい存在で耐久力も高い。ただ全部まかせっきりにしてると、ダメージ食らいすぎて途中で壊れたりもする


 シングルプレイのレベル数、ボリュームはだいたい本編の半分くらい。FPSに慣れたゲーマーが気合を入れて一気にプレイすれば、数日でクリアできるだろう。これでもか、とギチギチに詰め込まれていた本編に比べると若干寂しい印象だが、また同じ施設を舞台にしても飽きやすいし単調になるので、新たにボス戦を充実させてゲームにメリハリを付け、これくらいのボリュームに収めたバランスは個人的には良いかな、とも思う。

 ゲームバランスについては本編とほぼ同じか、若干簡単になったかな? という印象。これは後記するアーティファクトの影響も大きい。基本的にモンスターの攻撃はその凶悪な見た目に比べてダメージは低めで、アーマーさえきちんと補充しながら進めば、それほど怖くはない。不意打ちや前後からの挟み撃ちも本編に比べれば少ないし、弾薬や回復アイテムも大量に手に入るので、ある程度FPSを経験したプレーヤーがノーマル難易度を遊ぶなら、体力ギリギリで死にそうになるシーンはめったにない。

 ただし、本編に比べて即死系のトラップが非常に多く、そのあたりでコンティニューが増える事になる。壁に挟まれたり、崖の下に落ちたり、モンスターの攻撃よりもそういったトラップでゲームオーバーになるパターンが多かった。

 これは筆者の場合だが、このゲームはそのシステム上、とにかく疲れやすい。薄暗いマップをライトで照らしながら、いつ襲ってくるともしれないモンスターに脅え、背後に気を配り、耳を澄まして暗闇を覗き込むプレイスタイルは、精神的にかなりキツかったりする。ある程度ゲームに慣れた中盤以降でさえ、休憩を挟んで休み休みプレイしないと、グッタリ疲れてしまうのだ。そういう意味では、よほど精神的に強いプレーヤーでない限り、一気に連続プレイであっという間にクリア! なんて事にはならないと思う。

本編で登場したモンスターも出現。人間の頭のような、カニのような気持ち悪いやつも出てくる。海兵隊員はいらないから、ロボをもっと量産して欲しい 今回はボス戦が結構楽しい。単純に撃ちまくってるだけでは勝てない。最初のボスは新兵器、重力銃グラバーで青い光をキャッチして投げろ! 2番目のボスは、開いた腹が弱点。動きがす早いので、こちらもアーティファクトを使って対抗しないとキツイ。勝てばアーティファクトは大パワーアップ



■ 新要素はアーティファクトに重力銃、そして超強力ショットガン!

 本作で新たに登場する新要素が、アーティファクトだ。もともとこれを調べるために主人公らは火星の古い施設までやってきたわけで、これは人間の心臓に似た不気味なアイテムである。実はこのアーティファクトはゲーム序盤でこそ何の役にも立たないが、ボスを倒すごとにその能力が強化されていく。

 最初のボスを倒して得られる能力は“加速”で、これはアーティファクトを発動した瞬間、主人公以外の時間の流れが極端に遅くなるというもの。「サイボーグ009」が奥歯を噛んで使用していた加速装置のような仕様であり、発動中ならば強敵の集団や壁プレスのような即死トラップすら怖くなくなる。

 2番目のボスを倒すと、これにさらに“移動速度・攻撃力アップ”効果が加わる。この時点でほぼアーティファクト発動中は主人公が無敵の強さになるのだが、実際に三番目のボスを倒してほんとの“無敵”効果が加わり、アーティファクトの強化は完成となる。

 非常に強力なアーティファクトではあるが、発動の際はエネルギーが必要になり、これは横たわっている死体からチャージされる。このエネルギーは3つまでしか蓄積できないため、何も考えないで使いまくるといざ強敵に出会った時は周囲に死体がなくて大弱り、なんて事も……。ただ、死体はかなり頻繁に見かけることができるし、いかにもここはアーティファクトを使ってクリアしますよ、といったポイント手前には死体があるので、わりと考えなしにガンガン使って進んでもそんなに困らない。このあたりが難易度的には前作よりも若干簡単かな、と感じた理由だ。

 武器に関しては、本編で登場した武器はチェーンソウ以外はすべて登場する。今回はそれに加えて、新兵器としてグラバーと呼ばれる重力銃が扱える。これは「Half-Life2」に出てきたグラビティガンと同じ効果を持つ銃で、落ちている箱やらドラム缶やら死体やら、果ては小型モンスターやらモンスターが放ったエネルギー弾やらもキャプチャーし、正面に向かって射出する。

 弾薬を消費しないのでゲーム序盤は使い勝手が良い武器である。まあ、この銃を入手する際、前の持ち主が敵の弾をキャッチして打ち返して撃破! みたいな華麗なテクニックを披露してくれるのだが、実際はそこまでするくらいなら、ショットガンでガンガン攻撃した方が効率がよく、弾薬が豊富に手に入るゲーム中盤くらいになるとあまり使わなくなってしまうのが残念なところである。

 それよりも新兵器で気持ち良かったのが、「DOOM 2」以来となるアンティーク兵器、ダブルバレルショットガンだ。一度に装填される弾丸は2発のみで、その2発もワントリガーで発射してしまうため、連射はできずリロードも遅いという欠点があるものの、威力は絶大。接近戦ではまさに鬼に金棒。強烈で暴力的な発射音と格好良いリロードアクションがシビレる武器であり、ゲーム中盤以降はショットガンの弾も豊富に手に入る事もあって、筆者はほとんどこの武器をメインにしてしまった。

アーティファクトを発動させるには、死体からエネルギーを得なければならない。赤いオーラをまとった死体を探し悪人面の主人公は右往左往 アーティファクトを発動すると、画面の四隅がゆがんで時間の流れが遅くなる。この状態でも主人公はスイスイ動けるため、まさに無敵である ものすごい速さで左右からプレスする壁。アーティファクトを使って走り抜けないと、潰されて即死。本作ではこういった即死トラップが結構ある
細い足場を進むのだが、左右から飛んでくる光に触れれば問答無用で即死。ここでもやはりアーティファクトが大活躍。アクションゲーム的な展開である モノレールに乗ってたら、遠くにボスが出現。近くにいた人間を投げつけて窓は血だらけに。動物園のゴリラですか!? こんなアトラクションは嫌だ! ゲーム中、所々に設置されたアーケードゲーム機は、そのまま遊べたりする。色々な種類があるが、写真はブロック崩し



■ マルチプレイは相変わらずそれなりに……といった印象

 本作のマルチプレイは本編である「DOOM 3」と同じモードが搭載されている。まず「デスマッチ」と「チームデスマッチ」。復活できる回数が限られている「ラストマンスタンディング」。それに1対1で試合を行い他のプレーヤーは観戦モードになる「トーナメント」。これに今回は2チームに分かれて旗を取り合いする「キャプチャーザフラッグ」も最初から入っている。

 今回、マルチプレイの最大人数は“公式に”8人までサポートされるようになった。本編である「DOOM 3」では公式で4人までだったので倍になったわけだが、それでも昨今のネット対戦FPSにしては寂しい上限ではある。正味の話、8人でも「キャプチャーザフラッグ」で1チーム最大4人というのは、お話にならないレベルといえる。

 もともと「DOOM 3」のマルチに関しては、開発のid Softwareも当初シングル向けに作ったゲームであり、マルチはサポートしないと公言していたほどで、マルチはオマケ的なスタンスが見え隠れしていた。本作でもそれはあまり変わっておらず、正直マルチに関しては微妙、というのが筆者の感想だ。

 それを反映してかサーバーの数もそれほど多くはなく、それよりもなによりも、まずプレーヤー自体が少ない。時間帯や日にちを変えて何度もマルチで遊んでみたのだが、全世界で100人くらいしか遊んでないような寂しい日々がほとんどで、“現状では”あまり盛り上がっている様子もなく、やはり本作のマルチに関してはあくまでオマケ、くらいに考えておいた方がいいかもしれない。

 ネットコードに関してはさすがid Softwareで、かなり高PINGのサーバーでもそれなりに遊べる。ただ、対戦人数が少ないとどうしてもひとりひとりのパワーバランスが重要になり、それだけ腕の差も出やすくなる。そんな中、PING180だの200だの叩き出すサーバーでは、たとえ見かけ上ラグが少なく頑張って動けていたとしても、他の低PINGゲーマーと互角に戦うのは難しかった。現状では低PINGの国内サーバーも少ないため、PING150前後の海外サーバーがメインとなるのだが、これは仕方ない所である。微妙なマルチプレイではあるが、シングルはさすがに「DOOM」。斬新さはないものの、手堅い作りで安心して遊べる内容である。

 本作は良くも悪くも本編である「DOOM 3」の延長線上にある拡張パックであり、本編が楽しめた人なら、本作も同様に楽しめる。アーティファクトのおかげでゲームが進むほど、難易度が下がっていく印象があるが、超人的な力を手に入れた主人公が恐ろしい悪魔どもをバッタバッタと圧倒するシーンは、それはそれで爽快で面白い。暗闇の探索でストレスを貯めて、アーティファクト発動で大発散させるという展開は本編では味わえなかった楽しさでもあり、「DOOM 3」が好きだった人なら、遊んでみる価値は十分ある作品といえる。

超強力な武器でガツンガツン撃ちあう、やや大雑把なバランスのマルチプレイ。スピーディな展開はまさにスポーツ系FPS。対戦人数が少ないのが難点 今回、マルチプレイにはCTF(旗取り戦)を搭載。とはいえ最大人数が8人なのが、なんとも微妙。まぁ最大4人だった本編に比べればマシになっている CTFと言っても1チーム4人までなので、ひとりひとりの戦力がかなり重要になる。現実的な線で、ゲームが楽しめるのはPING150くらいまでだろう


DOOM 3: Resurrection of Evil (C) 2005 Id Software, Inc. All rights reserved. Distributed by Activision Publishing, Inc. under license. DOOM and ID are registered trademarks of Id Software, Inc. in the U.S. Patent and Trademark Office and/or some other countries. Activision is a registered trademark of Activision, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.


【DOOM 3:Resurrection of Evil】
  • CPU:Pentium 4 1.5GHz以上
  • メインメモリ:384MB以上
  • HDD:630MB以上の非圧縮な空き容量
  • ビデオメモリ:VRAM64MB以上、ハードウェアT&L必須(GeForce 3/TiまたはRadeon 8500以降)


□id Softwareのホームページ
http://www.idsoftware.com/
□サイバーフロントのホームページ
http://www.cyberfront.co.jp/
□「DOOM 3」の公式ページ
http://www.doom3.com/
□関連情報
【2004年8月12日】★PCゲームレビュー★「DOOM 3」~マルチプレイ編~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040813/doom3_02.htm
【2004年8月12日】★PCゲームレビュー★「DOOM 3」~シングルプレイ編~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040812/doom3_01.htm
【2004年8月6日】国内発売直前!! 「DOOM 3」開発者インタビュー
「史上最高のシングルプレイFPSを作りたかった」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040806/doom3int.htm
【2004年8月4日】サイバーフロント、「DOOM 3 日本語マニュアル版」発売日を8月12日に前倒し
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040804/doom3.htm

(2005年5月14日)

[Reported by 三須隆弘]


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