★ PCゲームレビュー★


進化したFPSの対戦は「DOOM 3」から始まる!!
新世代のデスマッチモードに要注目

DOOM 3
~マルチプレイ編~

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:id Software
  • 発売元:サイバーフロント
  • 価格:8,190円
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:8月12日(発売中)


 ついに「DOOM 3」が日本でも発売され、この原稿を読んでいる読者の多くはまずはシングルプレイをじっくり堪能していることだろう。しかし、「DOOM 3」の楽しみははシングルだけではない。最近のFPSの主流はチームベースの協力プレイを前提とした多人数対戦が多い。しかし、「DOOM 3」はそんな世の中の流れとはまったく異なる独自のアプローチによるマルチプレイモードを実現している。

 中でも初代「DOOM」のころから連綿と続く、デスマッチモードでは、「自分以外はすべて敵」という基本ルールに、「DOOM 3」ならではの妙味を加え、新たなゲームプレイを提案している。それではさっそく「DOOM 3」のマルチプレイモードについてたっぷりご紹介していこう。


■ 少人数、狭くて暗いマップ、「DOOM 3」のゲーム性を踏まえたマルチプレイモード

三つ巴の激しい打ち合いとなっている。4人対戦が前提となっているため、従来のQuakeマップのように広くなく、混戦状態となりやすい
敵を倒すとその場で崩れて骨となる。この演出もidらしさといえるだろう
瀕死の状態の時に火力のある武器で攻撃されると相手が初心者でないかぎりほぼ確実に死んでしまう。常に体力回復アイテムをとるように心がけよう
1on1では相手との読みあい合戦といっても過言ではない、プレーヤーはアイテムの出現時間や、相手の動きを頭の中で考えながら先手を打って回り込む必要がある
 今回「DOOM 3」では、以下の4種類のマルチプレイモードが採用されている。まずは各モードの概要から紹介していこう。

・デスマッチモード
 これまでにFPSを経験した人にはあまり説明の必要がないと思われるほどポピュラーなモード。規定人数を倒すか、規定時間が終わるまでを戦いぬくゲームモードだ。自分以外すべてのプレーヤーが敵となり、己に襲い掛かってくる。生き残るためには「今、だれが攻撃される側にいるのか、そしてほかのプレーヤーはどこにいるのか」を意識しておきたい。

・チームデスマッチ
 2チームに分かれて2対2で戦うモード。「Quake III」と違い、味方のアイコンが頭上に出ないために誤射してしまう事も多い。味方との意思疎通ができていないとちぐはぐな動きとなってしまいがちになる。しかし、その場での即席チームでの対戦も非常に盛り上がるため、お手軽にマルチの面白さを味わえる。オススメのモードだ。

・ラストマンスタンディング
 このモード、聞きなれない読者も多いと思う。このモードは誰が最後まで生き残る事ができるかを競うモードだ。一度死んでしまうとその場からは除外されてしまう。このモードで勝ち抜くには、必要以上に撃ち合いをせず、計画的にヘルスやアーマーなどをとり装備を整え続けることだ。若干逃げ気味の戦法になるため卑怯だ! といわれるかもしれないが、勝つためには当然の努力だと思ってほしい。ただ撃ち合っているだけでは勝利する事はできない。

・トーナメント
 大会等でメインとして扱われるのはこのモードで対戦方法は1on1(1対1)形式だ。規定時間内に相手をどれだけ倒す事ができるかを競うモード。もし負けてしまうと観戦席(スペクテーターという、観戦モード)に強制的に戻らされてしまい、他の観戦者が勝者と戦うのを眺めることになる。

 上級者ともなるとパワーアップアイテム等を効率良く取得するため、あらかじめ巡回ルートを設定しておき、アーマーや弾薬など取りこぼしが無いように移動をする。このアイテム取得プロセスは非常に奥が深く、上級者は一定間隔で出現するアイテムを取るタイミングをわざと遅くし、出現時間などを完全にコントロールしてしまう。そのため、このモードは対戦スキルの差がはっきりと出てしまうのだ。このプロセスがわかっていない初心者は一度も武器やアイテムを取ることができないのだ。

 こうしたことからトーナメントモードは若干玄人向けのモードとも言えるが、手っ取り早く対戦スキルをあげるには1on1を数こなすのが一番いい。以上の4つが今作で採用されているモードだ。

 特徴的なのは「DOOM 3」にはCTFモード(旗取り合戦)がない。これは「DOOM 3」の基本的な対戦人数は4人となっているためだと思われる(5人以上はサポート対象外となる)。その一方で、新たに採用されたラストマンスタンディングは4人という人数だからこそ楽しめる内容だ。狭いマップの中、少ない人数で誰が最後まで生き残れるかを競いあうバトルロイヤル的な雰囲気は、多くの人に緊張感を持たらすゲームモードだといえるだろう。「DOOM 3」は、これまで広く開放的なマップで反射神経と読みを競う時代から、暗く狭いマップで敵の察知能力と読みを競い合う時代へと、FPSゲームを誘おうとしているのかもしれない。


■ 登場する武器は10種類! これらを駆使して敵の屍を乗り越えていけ!

 マルチプレイで欠かせない存在なのが銃器。ここでは「DOOM 3」のマルチプレイモードで使用できる武器を紹介していきたい。

 「DOOM 3」では、idのゲームとしては初めて頭部ダメージが採用されており、武器の使い勝手もこれまでの「DOOM」や「Quake」シリーズに比べて大きく変わっている。また、これまでのシリーズにはなかった弾薬のリロードが新たに追加された。これにより、ただ撃ちっぱなしですんでいた戦闘に、弾薬量の調節、リロードのタイミングという概念が追加された。敵のリロードタイミングを計って、逃げから攻撃に転ずるなどこれまで以上に反撃のチャンスが増えそうな予感がする。

 本章では筆者視点での武器紹介と、ダメージデータを掲載することにした。しかし、ダメージデータはあくまで弊誌調査の数値で、公式データとは違う可能性があるので、参考程度に留めておいてもらいたい。体力はフル状態で100、アーマーはフル状態で125となっている。

【パンチ】
素手での殴り、リーチも非常に短く、当てるのは難しい。序盤で装備が整う前のハンドガンによる撃ち合いの際、弾が切れたら使うことになる。ただし、武器を持っている相手にパンチを当てると、殴られた側の武器を奪う事ができるという特殊ルールがある。パンチを駆使した戦法としては、柱の裏などの光の届かない真っ暗な所で体力回復アイテムがある場所に潜み、武器を持った敵がくるのをひたすら待つといったものがあるだろう。また、バーサーカー(後述)時に殴りが成功すると体力100の状態から-92まで減り即死した。バーサーカー時、ダメージ量が約10倍になることに加え足が速くなっているので、すれ違いざまにパンチを狙ってみるのもありである。ちなみに10発殴るまでの時間は約5.5秒となっている。ダメージは胴体で20で、頭部が40となっている

【ハンドガン】
他の武器を取得できていない序盤限定のサブウェポン。ダメージもあまり高いとはいえない。近距離での撃ち合いならダメージの大きさに任せて、パンチで攻めてしまうほうを選ぶ人も多いだろう。弾数も12発で、連続して撃っていると約4秒で1マガジンを使ってしまうため、使い勝手もいまひとつ。ダメージは胴体に当たった時が15で、頭部に当たった時が30

【ショットガン】
「DOOM 2」を彷彿とさせるような強さを誇るショットガン。近距離~中距離での使い勝手が非常によく、相手に対するダメージも申し分がない。バーサーカーを取得し、強化された際に使うと反則に近いまでのダメージを与える。最大装填数は8発で、全弾を打つのに約9秒かかる。ショットガンは射撃時に攻撃判定を持つ線(不可視)が約15個散弾するようになっている。できるだけ照準の中心点で相手に喰らわせておきたいが、ネットワークの遅延なども考慮し、相手のすこし手前くらいを撃つようにすると高いダメージを与えやすいようだ。ダメージは、散弾1個につき20(1発で15個の散弾を撃ち出すので至近距離で300)

【マシンガン】
ダメージはあまり高くないが、速射性があるため中距離~遠距離での戦いで使い勝手が良く、牽制用にも有用。マップ中にある破壊可能なドラム缶などを爆発させて、付近の敵にダメージを与えるなら、ハンドガンがマシンガンを使用したほうが安定だ。1マガジンには60発装填されており、約6秒でこれを使い切る。リロード時間が長いため、敵との撃ち合いになったら1マガジンを使い切る間に倒すのがセオリー。弾数を気にしながらリロードをするか、弾切れになったらほかの武器に思い切って持ち替えてしまうほうがいいだろう。ダメージは胴体に当たった時が12で、頭部に当たった時が24

【チェーンガン】
今作での筆者一押し武器がこのチェーンガン、マシンガンと同じ1マガジン60発で使い切るのに約6秒とここまではマシンガンと同じだが、ダメージがマシンガンより高く、1発で40ものダメージを食らわせることが可能だ。また、マシンガン同様に弾速も早く、遠距離の相手に対しても高いダメージを与える事ができる。さらに特筆すべきことは、ヘッドショット時に80という非常に高いダメージを与えること。このため、バーサーカー取得時にチェーンガンによる攻撃をすると、アーマーをガチガチに固めている敵もあっという間に倒すことができる。ダメージ量を考慮しても、照準は首の高さか、頭を直接狙うのが効率が良いだろう。ダメージは胴体に当たった時が40で、頭部に当たった時が80

【ハンドグレネード】
「Quake II」以来の登場となるハンドグレネード。マルチプレイでは開始時にハンドガン、ライト、パンチとともにハンドグレネードを所持した状態でスタートする。ゲーム開始直後はハンドガンでの撃ち合うケースが多いが、最初からハンドガンではなくまずはハンドグレネードでダメージを与えるのがセオリーだ。実際直撃したときのダメージが65以上で、確認できた最大ダメージが74だった。牽制として転がしたり、うまく攻撃を当てる事さえできれば序盤での武器収集で相手より有利になる可能性は高い。また、爆発までタイムラグがあるため、マップ中に設置してあるドラム缶や、爆発性のあるボンベなどに転がしておいてから追跡者に対して足止めをする事も可能だ。ダメージは距離によって不確定だが65~74

【プラズマガン】
プラズマエネルギーの球体を連続して射出するSF銃。1マガジンで30発を発射可能だ。注意しなければならないのはこの銃で射出されるプラズマの速度。「Quake III」や「DOOM 2」と異なり弾速がかなり遅く、中距離~遠距離の相手には余裕で避けられてしまう。また、約3秒で1マガジンを使い切ってしまうため、頻繁にリロードが発生し、攻撃のチャンスを無駄にロスするケースが多い。しかし、近距離や乱戦中の相手に対して使用すると、1発でのダメージは30とそこそこ大きく、一気に死体の山を築くことができる。また、弾速が遅い事を利用して逆に相手の動きを制限するために、牽制として使用する事もできる。ダメージは胴体に当たった時が30で、頭部に当たった時が60

【ロケットランチャー】
「DOOM 3」のロケットランチャーは、「DOOM 2」のロケットランチャーに似て弾足は遅め。「Quake」シリーズの弾速のはやいロケットランチャーに慣れ親しんでいると違和感を覚えるかもしれない。1カートリッジで5発発射が可能。弾薬のリロードという新しい概念の影響をもっとも受けている武器ともいえる。直撃時のダメージは100となっており、ダメージそのものは大きいが、遠距離でのロケットランチャーの打ち合いは弾速の問題で避けられてしまうため効果は薄い。また、爆風によるダメージもこれまでのシリーズより狭くなっており、爆心地から距離が離れるとダメージがほとんど与えられないこともある。ダメージは胴体に当たった時が100で、頭部に当たった時が200(直撃時の数値、爆風は距離に応じてダメージ変化)

【BFG9000】
公式マップには登場しないBFG9000。緑色の光球を発射し、光球の近くにいる敵に対してフレアのようなものが吸着し、徐々に体力を削り始める。「DOOM 3」のBFGは、弾速が非常に遅いうえに、過去のQuakeやDOOMシリーズで出た歴代のBFGの中でも一番弱いかもしれない。どちらかというと、「Quake II」のBFGに近く、DOOM2のように一発で相手を即死をさせられるタイプの武器でもない

【チェーンソー】
チェーンソーも公式マップ未登場の武器。近距離武器マニアには非常に残念だが、ユーザー作成によるカスタムマップが今後多数リリースされ、使用する機会が増えるところを祈りたいところだ

【フラッシュライト】
フラッシュライトも一応武器として使用できる。フラッシュライトを持った状態で殴りつけると、40というパンチの2倍のダメージを与えることができる。また、敵のパンチを浴びてもフラッシュライトは奪われないため、序盤では意外と重宝するかもしれない。しかし、ライトをかざしたまま移動すると、照らした光によって自分の位置を敵に知らせているような物だ。いつでもとっさに出し入れできるようにショートカットキーを設定しておく必要がある。ダメージは胴体に当たった時が40で、頭部に当たった時が80


■ 勝敗を左右する3つの重要なアイテムの特徴をつかめ!

 「DOOM 3」のマルチプレイにおいて、勝敗を左右しかねない重要なアイテムが3つある。これらは他のアイテムと違って特殊を持っており、これを取得するだけで戦況が一気に変わることもあるほどの絶大な効果を秘めている。

・バーサーカー
 真っ赤なドクロのアイテム。これを取得することにより、移動速度だけでなく、攻撃力も増す。基本的に攻撃力が3~4倍に増えるが、パンチだけは例外で約10倍まで攻撃力が増加する。先でも述べたように、チェーンガンやショットガンと組み合わせると超強力な攻撃が可能となる。

 問題点は、参加プレーヤーの多くが出現位置に集まり必ず取り合いになるために、乱戦覚悟で取得場所へ飛び込む必要がある点だ。また、標準マップではテレポーターを使用して取得することが多い。このテレポーターで移動中に他のプレーヤーがテレポーターに飛んでくると、ワープ先で先に出たプレーヤーに後からワープしてきたプレーヤーが重なり、先に飛び込んだプレーヤーが即死(テレフラグという)してしまう。ワープ前には必ず前後を確認してから飛び込みたい。

・メガスフィア
 体力を一次的に+100することができるアイテム。プレーヤーがマップ上でスイッチを押して生成するか、壁の中に隠されているのを発見する必要がある。取得後、自動的にプラスされた分が減少し、時間がたつにつれて基本値である100へと戻る。乱戦の多いマップではできる限り取得し、相手よりも体力の多い状態で戦う事が望ましい。

・インビジビリティ
 プレーヤーをほぼ完全に透明化することが可能で、敵からの視認が困難になる。特にこれをとって暗闇に隠れられると、発見はまず不可能だ。取得方法だが、基本的にはジェネレータースイッチを押して出現させるパターンが多い。よって、巡回ルートの中に、スイッチからインビジビリティまでのルートを加える事をお勧めする。

 しかし、スイッチを押す際に無防備になるため、背後から攻撃されぬよう迅速に行動する必要がある。また、スイッチを押してからこのアイテムを取得するまでも敵と交戦状態になりやすいため、アーマーなどで固めてから取得しに行くのが無難だ。

戦闘能力が大幅にアップするバーサーカーは、毎回取り合いになってしまう。目前で撃ち合いになることもしばしばだ 写真中央の青い球体がメガスフィアだ。良く見ると赤ん坊のような顔が描かれている。こういったところにもコンセプトが良く出ている グリーンの球体はインビジリティ。こちらも顔が描かれている


■ 勝利するためにマップを必ず覚えろ!!

 「Quake」や「Unreal Tournament」、「Counter-Strike」など、FPSで勝利の鍵となるのは戦いの場となるマップをいかに研究しているかだろう。マップの構造や、相手に対して有利な立ち位置を覚える事によってゲーム展開を有利に運ぶ事が可能となる。ある上級プレーヤーは、後ろ向きに進んでも脇道におちることなく完璧に移動をこなせるほどにマップ研究をしていると発言をしていた。それぐらいマップの研究は重要なわけだ。

 「DOOM 3」でも、マップ上のわずかなでっぱりを使うことでマップ移動をショートカットをすることや、普通ではいけないような位置に陣取ることも可能だ。それを効率よく行なうためにもマップの攻略は必要不可欠だろう。今回はその中から1マップ「D3DM-DELTA LAB」を攻略してみようと思う。

 まずはエレベータ周辺のポイントから解説していこう。エレベーターが結ぶ吹き抜けのフロア、下の階は箱などの障害物が多めに配置されていたり、遮蔽物となる物があるため、マシンガンやチェーンガンといった「直接弾を当てることでダメージを与える」武器では攻撃を当てにくい。

 また、敵が下層にあるロケットランチャーを取ってエレベーターを使用して上の階に移動してしまうと、爆風などの攻撃を使って下の敵にたやすくダメージを与えることが可能となる。そのため、必要以上に下の階に居る事はできるだけ避ける必要があるだろう。また、エレベーターを出た正面には回復アイテムがあり、エレベーターホールの上層の右奥壁付近には、チップアーマー(アーマーに+5加算される)もある。このエリアを利用するならば、上の階でアイテムを取りつつ安全確認をして、すばやく下層のロケットランチャーを取得してエレベーターに乗って上層に戻るべきだろう。

エレベーター上層部分。左側には回復アイテム、右側にはチップアーマーがある。基本的にはここから下の敵をいじめるのがいいだろう エレベーター下層部分。ロケットランチャーという強い武器がある一方で、上から撃たれまくる難所である 柱の裏などには回復アイテムや、チップアーマーだけでなく、弾薬袋もあったりする。撃ち合いの激しいマップだけに、弾薬の消費も激しいので後に弾切れで死んで後悔しないように確実に取っておこう

 次にジェネレータールーム、ここではメガスフィアを生成する事が可能だ。写真のようにジェネレーターの操作パネルをクリックすると、20秒間のカウントダウンがスタートし、20秒後、不気味な音と共にメガスフィアが出現する。また、このジェネレーターはスフィアを生成後に、しばらく使用が不可能となり、約1分ほどコントロールが一切効かなくなる。そのため、カウントダウンから数えると約1分15~20秒ほどの周期で巡回ルートを組む事ができれば連続してメガスフィアを取得し続けれる可能性が高くなる。

ジェネレータールーム。右側の赤いフロアにメガスフィアが生成される パネルにはメガスフィア生成までの残り時間が表示される。しかし、これをじっと見ていてはいいまとになってしまう メガスフィアの生成を掛けたら、一時その場を離れて寄ってくる敵を迎え撃ちたい。目の前にお宝があると、以外に周囲への警戒がおろそかになる物だ

 このジェネレータールームも先述したエレベーターエリアと同様に上からの攻撃が圧倒的有利だ。しかし、ここは上部エリアに対する侵入経路が4つあるため、常に周囲を警戒しなければならない。もし、下からのロケットランチャーなどの攻撃で死にかけた場合は、次の小技を参考までにお勧めしたい。

まず、先ほどの位置から少しさがり、階段を見下ろせる位置までさがる。この写真の位置までさがると、右側に緑色にライトアップされたでっぱりがある。このでっぱりにジャンプすると乗る事ができる

再度同じ要領で正面の足場までジャンプをする。着地後左をむくと写真の位置になる。この写真の主人公の正面左のほうにあるドアを開けると、右図の位置へと出る

 つまり、相手に対して階段を下りてくると思わせ、上階からの攻撃で相手の虚をつく事も可能となる。相手にメガスフィアを取得されていたとしてもこの位置からだと階段もカバーができ、上階だけでなく、ドアと反対の通路にもいけるため、重要なポイントとなるだろう。

 また、今回より、一部照明を破壊する事が可能となった。照明を破壊する事により、より相手に視認させないようにする事が可能となる。筆者が観戦した海外の1on1サーバーではロケットランチャーなどの強力な武器が出現する場所の照明をわざと消して、相手から見えにくくし、武器の出現まで待ちつづけるといったプレイを確認することができた。だからといって壊して回ると、こちらも敵を見つけにくくなるだけであり、破壊してまわれば良いというわけではない。真っ暗闇になるとフラッシュライトを使わなければ前が見えないが、使いっぱなしで移動するとすぐ位置がばれてしまうので要注意だ。

上の蛍光灯をハンドガンで割ると、その下に位置する通路の隅が完全な真っ暗闇になる。影を利用した新しい戦法が見いだせそうだ


■ シングル重視のタイトルだけに、現時点では気になる課題も多い

マップの構成上、写真のように至近距離での戦闘が発生しやすい。広いマップで構成されていた「Quake」シリーズではここまで近距離で戦う事はほぼ皆無であった
ガラスの壊れ方も全てが崩れるわけでなく、破片をちらしながら壊れていく。こういった細かいギミックがデモファイルのサイズを肥大化させている原因のひとつかもしれない
生まれでる場所が悪いと、通りかかったバーサーカー状態のプレーヤーに瞬殺されてしまうことも
 まず、筆者が驚いたのは最初から搭載されているデスマッチ用マップの少なさだ。なんと5つしか収録されていない。おそらくユーザー側が作成するマップで充実させようという考えなのだと思うが、「Quake III」や「Unreal Tournament」などに比べれば非常に少ない。

 また、「Quake」シリーズ16人対戦を前提とした広めのマップが多かったのに対し、「DOOM 3」は4人対戦が前提ということもあり、マップが非常に狭く製作されている。広めの空間自体がほぼ皆無で、これまで「Quake」シリーズやUTシリーズをやって来た人にとっては狭い通路での撃ち合いに戸惑う事も多いだろう。移動スピードに関してもQuakeシリーズ等とは打って変わって若干スローテンポになっている。逆にQuakeシリーズは早すぎてちょっと……という人には良いバランスなのではないだろうか。

 現在、「DOOM 3」に関してid Software側はあくまで4人を前提としている。しかし、サーバー側のセッティングを変更することにより、これを増やす事も可能だ。現在4人サーバーに次いで多く立てられているのが8人サーバーで、ただでさえ狭く作成されているマップに想定人数以上にプレーヤーがいるために、殺されて、新たに復活しても速攻で殺される現象、通称「レスキル」状態が発生しやすくなっている。

 人数の多いサーバーでは、サーバーだけでなく、当然クライアントにも相当な負荷がかかる。筆者のAthlonXP2400+、メモリ512MB、RADEON9700というスペックのマシンでは耐えられなかった。これを機にマシンスペックを上げようかと真剣に悩んでしまうほど負荷がかかるのだ。

 またデモファイルの巨大さも驚きのひとつ。FPSではオンライン大会などが開催されると選手の動きを記録したデモファイルがインターネットを介してユーザーに配布される。このデモファイルは、CSやQ3では大きくても20MB~40MBというサイズ止まりなのに対し、「DOOM 3」では15分間のデモファイルを生成した時に約1.5GBにもなる。

 圧縮ソフトを使うと約10分の1の150MBくらいになるが、それでも1試合分のデモファイルとしては巨大だ。ましてやデモを見るためには解凍して専用のフォルダに入れなければならないために、結局の所、1ファイル当たりに1GB以上のスペースを要求することには変わりない。なぜここまでサイズがでかくなるのかイマイチわからないが、録画者の操作記録だけでなく、ギミックの稼働やパワーアップアイテムの生成といった、マップのオブジェクトデータも一緒に保存しているために肥大化しているのではないかと思っている。

 多少問題点を挙げたものの、全体的に見ればゲーム面では、これまでのいい所を継承しており、スイッチパネルや、弾薬のリロード概念などの新たな試みも見られ、プロ向けFPSとしても十分及第点を付けられるクオリティを備えている。

 今回新たな戦法として、暗闇などを駆使しながら聞き耳をたててアイテムを取っていくという部分が対戦の面白さを引き立てているといえるだろう。また、ヘッドショットの導入により、頭部被弾時のダメージが2倍となり、即座に殺されることも多くなった。これらの新要素により、「DOOM」らしさを引き立てる要因になっているのはファンとして嬉しい部分だ。

 「DOOM 3」のマルチプレイは、昨今のハイスピードで繰り広げられるスポーツ系FPSとは大きく異なり、かなりスローテンポな展開だが、強力な武器でダメージを与えながら撃ち合うという「DOOM 2」の対戦さながらの熱い戦いが楽しめた。筆者としては10年ぶりの「DOOM」の新作が本当に「DOOM」なのか? と半信半疑だったが、実際に遊んでみて「DOOM」の対戦らしさを継承していることが分かり正直ほっとしている。

 そして、なにより筆者が期待しているのは、今後の世界中のMOD製作者たちの動向だ。「Quake III」ではおなじみのOSPという対戦用にゲームを特化させるMODがすでに対応を表明している。ゲーム自体のルールや見栄えも変更するMODではTeam Fortressタイプ(ヘビーガンナーなど複数のクラスが用意され、陣取り合戦を行なう)のゲームも開発が表明されており、MOD方面ではすでにいくつかの情報が出てきている。ここで期待したいのはやはりCTFだ。今回オフィシャルのゲームモードとしてはカットされてしまっていたが、ヘビーユーザーとしてはやはりCTFで遊んでみたいところ。ユーザー作成のCTFが出れば、「DOOM 3」のマルチプレイもよりいっそう盛り上がるだろう。

 現状の「DOOM 3」はどちらかというと若干プレイ環境を左右してしまいがちで、今後、id softwareがオフィシャルのアップデートパッチ等の配布で対戦時の負荷の軽減や、RADEON環境での速度の向上など、対応して欲しい点は多い。それ以上にプレーヤー側がマシンスペックを高める必要はどうしてもあるだろう。しかし、まだまだDOOM3はリリースされたばかりであり、対戦やMOD開発などはこれから盛り上がって新しい発見もあるだろう。初代「DOOM」でさえ、万人が楽しめるゲームに仕上がるまで1年はかかったのだ。この先1年間の動向が「DOOM 3」の今後を決めると言っても過言ではないだろう。

(C) 2004 id software, Inc. All Rights Reserved.


【DOOM 3】
  • CPU:Pentium 4 1.4GHz以上
  • メインメモリ:384MB以上
  • HDD:2.2GB以上
  • ビデオメモリ:64MB以上


□「DOOM 3」の公式ページ
http://www.doom3.com/
□関連情報
【8月12日】PCゲームレビュー「DOOM 3」シングルプレイ編
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040812/doom3_01.htm
【8月6日】国内発売直前!! 「DOOM 3」開発者インタビュー
「史上最高のシングルプレイFPSを作りたかった」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040806/doom3int.htm
【8月4日】サイバーフロント、「DOOM 3 日本語マニュアル版」発売日を8月12日に前倒し
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040804/doom3.htm

(2004年8月13日)

[Reported by BRZRK@ukeru.net]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.