ついに「DOOM 3」が日本でも発売され、この原稿を読んでいる読者の多くはまずはシングルプレイをじっくり堪能していることだろう。しかし、「DOOM 3」の楽しみははシングルだけではない。最近のFPSの主流はチームベースの協力プレイを前提とした多人数対戦が多い。しかし、「DOOM 3」はそんな世の中の流れとはまったく異なる独自のアプローチによるマルチプレイモードを実現している。
中でも初代「DOOM」のころから連綿と続く、デスマッチモードでは、「自分以外はすべて敵」という基本ルールに、「DOOM 3」ならではの妙味を加え、新たなゲームプレイを提案している。それではさっそく「DOOM 3」のマルチプレイモードについてたっぷりご紹介していこう。 ■ 少人数、狭くて暗いマップ、「DOOM 3」のゲーム性を踏まえたマルチプレイモード
・デスマッチモード
・チームデスマッチ
・ラストマンスタンディング
・トーナメント 上級者ともなるとパワーアップアイテム等を効率良く取得するため、あらかじめ巡回ルートを設定しておき、アーマーや弾薬など取りこぼしが無いように移動をする。このアイテム取得プロセスは非常に奥が深く、上級者は一定間隔で出現するアイテムを取るタイミングをわざと遅くし、出現時間などを完全にコントロールしてしまう。そのため、このモードは対戦スキルの差がはっきりと出てしまうのだ。このプロセスがわかっていない初心者は一度も武器やアイテムを取ることができないのだ。 こうしたことからトーナメントモードは若干玄人向けのモードとも言えるが、手っ取り早く対戦スキルをあげるには1on1を数こなすのが一番いい。以上の4つが今作で採用されているモードだ。
特徴的なのは「DOOM 3」にはCTFモード(旗取り合戦)がない。これは「DOOM 3」の基本的な対戦人数は4人となっているためだと思われる(5人以上はサポート対象外となる)。その一方で、新たに採用されたラストマンスタンディングは4人という人数だからこそ楽しめる内容だ。狭いマップの中、少ない人数で誰が最後まで生き残れるかを競いあうバトルロイヤル的な雰囲気は、多くの人に緊張感を持たらすゲームモードだといえるだろう。「DOOM 3」は、これまで広く開放的なマップで反射神経と読みを競う時代から、暗く狭いマップで敵の察知能力と読みを競い合う時代へと、FPSゲームを誘おうとしているのかもしれない。 ■ 登場する武器は10種類! これらを駆使して敵の屍を乗り越えていけ! マルチプレイで欠かせない存在なのが銃器。ここでは「DOOM 3」のマルチプレイモードで使用できる武器を紹介していきたい。 「DOOM 3」では、idのゲームとしては初めて頭部ダメージが採用されており、武器の使い勝手もこれまでの「DOOM」や「Quake」シリーズに比べて大きく変わっている。また、これまでのシリーズにはなかった弾薬のリロードが新たに追加された。これにより、ただ撃ちっぱなしですんでいた戦闘に、弾薬量の調節、リロードのタイミングという概念が追加された。敵のリロードタイミングを計って、逃げから攻撃に転ずるなどこれまで以上に反撃のチャンスが増えそうな予感がする。 本章では筆者視点での武器紹介と、ダメージデータを掲載することにした。しかし、ダメージデータはあくまで弊誌調査の数値で、公式データとは違う可能性があるので、参考程度に留めておいてもらいたい。体力はフル状態で100、アーマーはフル状態で125となっている。
■ 勝敗を左右する3つの重要なアイテムの特徴をつかめ! 「DOOM 3」のマルチプレイにおいて、勝敗を左右しかねない重要なアイテムが3つある。これらは他のアイテムと違って特殊を持っており、これを取得するだけで戦況が一気に変わることもあるほどの絶大な効果を秘めている。
・バーサーカー
問題点は、参加プレーヤーの多くが出現位置に集まり必ず取り合いになるために、乱戦覚悟で取得場所へ飛び込む必要がある点だ。また、標準マップではテレポーターを使用して取得することが多い。このテレポーターで移動中に他のプレーヤーがテレポーターに飛んでくると、ワープ先で先に出たプレーヤーに後からワープしてきたプレーヤーが重なり、先に飛び込んだプレーヤーが即死(テレフラグという)してしまう。ワープ前には必ず前後を確認してから飛び込みたい。
しかし、スイッチを押す際に無防備になるため、背後から攻撃されぬよう迅速に行動する必要がある。また、スイッチを押してからこのアイテムを取得するまでも敵と交戦状態になりやすいため、アーマーなどで固めてから取得しに行くのが無難だ。
■ 勝利するためにマップを必ず覚えろ!! 「Quake」や「Unreal Tournament」、「Counter-Strike」など、FPSで勝利の鍵となるのは戦いの場となるマップをいかに研究しているかだろう。マップの構造や、相手に対して有利な立ち位置を覚える事によってゲーム展開を有利に運ぶ事が可能となる。ある上級プレーヤーは、後ろ向きに進んでも脇道におちることなく完璧に移動をこなせるほどにマップ研究をしていると発言をしていた。それぐらいマップの研究は重要なわけだ。 「DOOM 3」でも、マップ上のわずかなでっぱりを使うことでマップ移動をショートカットをすることや、普通ではいけないような位置に陣取ることも可能だ。それを効率よく行なうためにもマップの攻略は必要不可欠だろう。今回はその中から1マップ「D3DM-DELTA LAB」を攻略してみようと思う。 まずはエレベータ周辺のポイントから解説していこう。エレベーターが結ぶ吹き抜けのフロア、下の階は箱などの障害物が多めに配置されていたり、遮蔽物となる物があるため、マシンガンやチェーンガンといった「直接弾を当てることでダメージを与える」武器では攻撃を当てにくい。 また、敵が下層にあるロケットランチャーを取ってエレベーターを使用して上の階に移動してしまうと、爆風などの攻撃を使って下の敵にたやすくダメージを与えることが可能となる。そのため、必要以上に下の階に居る事はできるだけ避ける必要があるだろう。また、エレベーターを出た正面には回復アイテムがあり、エレベーターホールの上層の右奥壁付近には、チップアーマー(アーマーに+5加算される)もある。このエリアを利用するならば、上の階でアイテムを取りつつ安全確認をして、すばやく下層のロケットランチャーを取得してエレベーターに乗って上層に戻るべきだろう。
次にジェネレータールーム、ここではメガスフィアを生成する事が可能だ。写真のようにジェネレーターの操作パネルをクリックすると、20秒間のカウントダウンがスタートし、20秒後、不気味な音と共にメガスフィアが出現する。また、このジェネレーターはスフィアを生成後に、しばらく使用が不可能となり、約1分ほどコントロールが一切効かなくなる。そのため、カウントダウンから数えると約1分15~20秒ほどの周期で巡回ルートを組む事ができれば連続してメガスフィアを取得し続けれる可能性が高くなる。
このジェネレータールームも先述したエレベーターエリアと同様に上からの攻撃が圧倒的有利だ。しかし、ここは上部エリアに対する侵入経路が4つあるため、常に周囲を警戒しなければならない。もし、下からのロケットランチャーなどの攻撃で死にかけた場合は、次の小技を参考までにお勧めしたい。
つまり、相手に対して階段を下りてくると思わせ、上階からの攻撃で相手の虚をつく事も可能となる。相手にメガスフィアを取得されていたとしてもこの位置からだと階段もカバーができ、上階だけでなく、ドアと反対の通路にもいけるため、重要なポイントとなるだろう。 また、今回より、一部照明を破壊する事が可能となった。照明を破壊する事により、より相手に視認させないようにする事が可能となる。筆者が観戦した海外の1on1サーバーではロケットランチャーなどの強力な武器が出現する場所の照明をわざと消して、相手から見えにくくし、武器の出現まで待ちつづけるといったプレイを確認することができた。だからといって壊して回ると、こちらも敵を見つけにくくなるだけであり、破壊してまわれば良いというわけではない。真っ暗闇になるとフラッシュライトを使わなければ前が見えないが、使いっぱなしで移動するとすぐ位置がばれてしまうので要注意だ。
■ シングル重視のタイトルだけに、現時点では気になる課題も多い
また、「Quake」シリーズ16人対戦を前提とした広めのマップが多かったのに対し、「DOOM 3」は4人対戦が前提ということもあり、マップが非常に狭く製作されている。広めの空間自体がほぼ皆無で、これまで「Quake」シリーズやUTシリーズをやって来た人にとっては狭い通路での撃ち合いに戸惑う事も多いだろう。移動スピードに関してもQuakeシリーズ等とは打って変わって若干スローテンポになっている。逆にQuakeシリーズは早すぎてちょっと……という人には良いバランスなのではないだろうか。 現在、「DOOM 3」に関してid Software側はあくまで4人を前提としている。しかし、サーバー側のセッティングを変更することにより、これを増やす事も可能だ。現在4人サーバーに次いで多く立てられているのが8人サーバーで、ただでさえ狭く作成されているマップに想定人数以上にプレーヤーがいるために、殺されて、新たに復活しても速攻で殺される現象、通称「レスキル」状態が発生しやすくなっている。 人数の多いサーバーでは、サーバーだけでなく、当然クライアントにも相当な負荷がかかる。筆者のAthlonXP2400+、メモリ512MB、RADEON9700というスペックのマシンでは耐えられなかった。これを機にマシンスペックを上げようかと真剣に悩んでしまうほど負荷がかかるのだ。 またデモファイルの巨大さも驚きのひとつ。FPSではオンライン大会などが開催されると選手の動きを記録したデモファイルがインターネットを介してユーザーに配布される。このデモファイルは、CSやQ3では大きくても20MB~40MBというサイズ止まりなのに対し、「DOOM 3」では15分間のデモファイルを生成した時に約1.5GBにもなる。 圧縮ソフトを使うと約10分の1の150MBくらいになるが、それでも1試合分のデモファイルとしては巨大だ。ましてやデモを見るためには解凍して専用のフォルダに入れなければならないために、結局の所、1ファイル当たりに1GB以上のスペースを要求することには変わりない。なぜここまでサイズがでかくなるのかイマイチわからないが、録画者の操作記録だけでなく、ギミックの稼働やパワーアップアイテムの生成といった、マップのオブジェクトデータも一緒に保存しているために肥大化しているのではないかと思っている。 多少問題点を挙げたものの、全体的に見ればゲーム面では、これまでのいい所を継承しており、スイッチパネルや、弾薬のリロード概念などの新たな試みも見られ、プロ向けFPSとしても十分及第点を付けられるクオリティを備えている。 今回新たな戦法として、暗闇などを駆使しながら聞き耳をたててアイテムを取っていくという部分が対戦の面白さを引き立てているといえるだろう。また、ヘッドショットの導入により、頭部被弾時のダメージが2倍となり、即座に殺されることも多くなった。これらの新要素により、「DOOM」らしさを引き立てる要因になっているのはファンとして嬉しい部分だ。 「DOOM 3」のマルチプレイは、昨今のハイスピードで繰り広げられるスポーツ系FPSとは大きく異なり、かなりスローテンポな展開だが、強力な武器でダメージを与えながら撃ち合うという「DOOM 2」の対戦さながらの熱い戦いが楽しめた。筆者としては10年ぶりの「DOOM」の新作が本当に「DOOM」なのか? と半信半疑だったが、実際に遊んでみて「DOOM」の対戦らしさを継承していることが分かり正直ほっとしている。 そして、なにより筆者が期待しているのは、今後の世界中のMOD製作者たちの動向だ。「Quake III」ではおなじみのOSPという対戦用にゲームを特化させるMODがすでに対応を表明している。ゲーム自体のルールや見栄えも変更するMODではTeam Fortressタイプ(ヘビーガンナーなど複数のクラスが用意され、陣取り合戦を行なう)のゲームも開発が表明されており、MOD方面ではすでにいくつかの情報が出てきている。ここで期待したいのはやはりCTFだ。今回オフィシャルのゲームモードとしてはカットされてしまっていたが、ヘビーユーザーとしてはやはりCTFで遊んでみたいところ。ユーザー作成のCTFが出れば、「DOOM 3」のマルチプレイもよりいっそう盛り上がるだろう。 現状の「DOOM 3」はどちらかというと若干プレイ環境を左右してしまいがちで、今後、id softwareがオフィシャルのアップデートパッチ等の配布で対戦時の負荷の軽減や、RADEON環境での速度の向上など、対応して欲しい点は多い。それ以上にプレーヤー側がマシンスペックを高める必要はどうしてもあるだろう。しかし、まだまだDOOM3はリリースされたばかりであり、対戦やMOD開発などはこれから盛り上がって新しい発見もあるだろう。初代「DOOM」でさえ、万人が楽しめるゲームに仕上がるまで1年はかかったのだ。この先1年間の動向が「DOOM 3」の今後を決めると言っても過言ではないだろう。 (C) 2004 id software, Inc. All Rights Reserved.
□「DOOM 3」の公式ページ http://www.doom3.com/ □関連情報 【8月12日】PCゲームレビュー「DOOM 3」シングルプレイ編 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040812/doom3_01.htm 【8月6日】国内発売直前!! 「DOOM 3」開発者インタビュー 「史上最高のシングルプレイFPSを作りたかった」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040806/doom3int.htm 【8月4日】サイバーフロント、「DOOM 3 日本語マニュアル版」発売日を8月12日に前倒し http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040804/doom3.htm (2004年8月13日)
[Reported by BRZRK@ukeru.net]
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