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★PS2ゲームレビュー★

新データ&システムを導入し、スピーディーな展開でさらに面白くなった
「プロ野球スピリッツ2」

  • ジャンル:スポーツ
  • 発売元:コナミ株式会社
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:プレイステーション2
  • 発売日:発売中(4月7日)



 今シーズンのペナントレース開幕時のデータをいち早く採用した、リアル志向野球ゲームのシリーズ第2弾。話題の新球団、「東北楽天ゴールデンイーグルス」はもちろん、名称が変わった「福岡ソフトバンクホークス」と「オリックス・バファローズ」が初登場。各選手の顔や体格、フォームなどはこれまでのシリーズ同様きめ細かく再現され、また球場も「楽天」の本拠地である「フルキャストスタジアム宮城」のデータまでもが搭載され、忠実にシミュレートされている。


■ さらに洗練された新システムが、野球ファンの心をくすぐりまくる!

 今回もさまざまな新システムが導入されているが、前作からの変更点で筆者が最も特筆しておきたいのはピッチャーの能力設定である。

 なんと本作品では、各ピッチャーの球種ごとに球威およびコントロールなどの能力がそれぞれ異なるのだ! この新システムによって、球は速いがキレがない、球種は多いがコントロールが悪いなど、ピッチャーごとの個性がよりはっきりと出るようになった。

 筆者がいろいろと試したなかで印象に残ったのは「オリックス」のケビン投手。直球とスライダー系の制球力は平均以上だが、シュートだけは極端にコントロールが悪く、コースがズレやすくなっているのだ。良くも悪くも、制球が定まらないシュートをいかに利用して相手を抑えるのかを考えさせられ、実際に使ってみて非常に面白かった。

 データ量が一気に増えたので初めのうちは面食らうかもしれないが、「トレーニングモード」で少し練習すればすぐに特徴をつかめるのでまったく気にする必要はない。もし球種などを忘れてしまっても、試合中にいつでも確認することが可能なので安心してプレイできる。

 配球の組み立て方によって、得意・苦手コースがリアルタイム変化するシステムも面白い。特定のバッターに対して同じコースばかり投げていると、バッターがそのコースへの対応力が徐々に高くなるため打たれやすくなってしまうのだ。相手の得意なゾーンを作らないように、より工夫した配球を組み立てる楽しみが増したと言えるだろう。

 バッティングでは通常よりも引きつけてミートすることが可能な「流し打ちボタン」が新登場。通常のスイングよりもパワーはやや落ちるようだが、よりバットに当たりやすく、ミートカーソルさえしっかり合わせてしまえば空振りする危険性はかなり少ないので、初心者のバッティング練習には最適だ。

 また、ストレートに振り遅れてしまいがちな速球派のピッチャーに使用したり、ヒットエンドランや(右バッターで)2塁ランナーを3塁へ進めるための進塁打を狙いたいときなど、実戦でも非常に役に立つシステムだ。さらには「強振」との併用もできるので、ランナーが3塁にいるときには犠牲フライを狙う際にも重宝するだろう。応用次第でいろいろと作戦の幅が広がるので、うまく使いこなせばゲームが一段と面白くなるはずだ。

 なお、これまでと同様に打つタイミングで打球の方向を調整することも可能なので、「流し打ちボタン」を使うのかどうかは自分の好みで判断してもらえればいい。

 守備面においては、これまでの視点を180度反対にした「リバースビュー」のアイディアが素晴らしい。初期のアーケードゲームではすでに存在していたアイディアだが、ここ最近の野球ゲームではちょっとお目にかかったことがなく、今となっては斬新なシステムだ。

 初期設定では従来どおりのネット裏から見た視点になっているが、筆者としてはこれまでとはまったく違う感覚で守備が楽しめるので、設定をリバースにしてプレイすることをおすすめする。筆者がプレイした限りでは、視点が変わったからといって打球が見えにくくなることは特になかった。とりわけ外野フライの打球を追い、落下点を探し出すときの緊張感をぜひとも堪能してほしい。

 唯一残念だったのは、リバース設定時に操作ボタンが一部変更されることが画面上で説明されていなかったこと。リバースにするとピッチャーが投げるときは×ボタンが△ボタンに変わり、野手が送球する際のボタンもすべて自動で変更されしまうのだ。

 筆者は初めこれに気付かず、「ボタンが壊れたのか?」と勘違いしてしまった……。設定変更時には、「守備のボタン操作が変更されます」などと注意を促すメッセージを表示すればなおよかったように思われる。

【スクリーンショット】
ご覧の通り、各ピッチャーの球種ごとに実に細かくデータが設定されている。「ちょっと待った画面」を使えば忘れたデータも一発表示。同時に対戦成績や配球までもがすべて確認できるから凄い!
配球によって、ストライクゾーン内の得意(赤い部分)・苦手(青い部分)コースが随時変化する。同じコースばかり投げていると、徐々にバッターの対応力が高くなって赤いゾーンが拡大するのだ。


■ ペナントレースはさらに白熱。CPUの難易度調整もバッチリ改善

 ペナントレース(「レギュラーペナント」と「真剣ペナント」の両モード)においては、今シーズン最大の目玉ともいうべき交流試合(異なるリーグのチーム同士が対戦)の日程はもちろん、パ・リーグのプレイオフ制度もバッチリ採用している。

 ゲームは昨年暮れに行なわれたドラフト会議の場面からスタートするのだが、ここで実際と同じ選手だけではなく、「スピリッツモード」(後述)で育成したオリジナル選手を指名して入団させることができるのがとにかく嬉しい! また、オフシーズン時にはドラフト以外にもキャンプや選手の金銭トレードを要請することができるなど、いわゆる「ストーブリーグ」を楽しむアイディアも採用している。

 また、今回からは最長3年までの複数年にわたるペナントレースができるようになった。シーズンごとの個人成績だけでなく、通算成績がシーズンをまたいですべてカウントされるのも特徴だ。これらのデータを見て、選手の補強や新システムのポジションコンバートを実施するのも面白いだろう。

 さらに「真剣ペナントモード」においては、前作でもおなじみの監督ミッションが大幅に増加した。「開幕戦勝利」や「盗塁を決める」など、その数はなんと約100種類もある。漠然とゲームに勝つという目標だけにとどまらず、これらのミッションをクリアして監督のカリスマ値を上げるという楽しみが増えるので、長いシーズンでも飽きることなく続けることができるのだ。

 このシステムによって、普段は下位打線や交代要員として起用される地味な存在の選手であっても、数々のミッションを与えて楽しめる要素を増やしているのは実に画期的なアイディアだ。本モードにおいて、筆者が最も高く評価したいポイントである。

 前作においてはCPUの難易度設定がかなり極端で、初期設定の「ノーマル」でも簡単に完封で勝ててしまうのが不満であったが、今回はきちんと修正されているので、そのようなことは一切ない。ただし、そうは言っても初期設定はやや低めの難易度になっているので、野球ゲームに慣れている人はあらかじめ高めに変更してからプレイすることをおすすめする。

 特に多くの試合(実際の公式戦と同じ数)をこなす「真剣ペナントモード」をプレイする際は、途中で飽きてしまわないように自分がCPU相手にほぼ確実に勝てるレベルからワンランク高めの難易度に設定したほうがよい。設定の際は、ゲーム終盤まで3点差以内でもつれるような展開になるレベルを基準に判断するといいだろう。

 ちなみに(手前味噌のような話で恐縮だが……)筆者が初期設定のまま「楽天」を使用して「真剣ペナントモード」をプレイしたところ、開幕戦を40対2で勝つことができてしまった。特に腕に自信がある人は、球速が最も速く、ミートが難しい「リアルスピード」に設定してプレイすることをおすすめしたい。

【スクリーンショット】
ドラフトではオリジナル選手を入団させることが可能。リアルタイムで更新される個人記録&タイトルランキングは今回も健在。昨シーズンにホークスの松中が久々に達成したせいか、打撃部門には三冠王の項目までもがある。
監督ミッションなどの機能も実に多彩。普段はベンチ要員となっている選手の底上げを促すなど、プレーヤーのモチベーションを高める要素が満載だ。


■ さらにスピーディなゲーム進行を実現! オリジナル選手がすぐに作れる「スピリッツモード」

 オリジナル選手を育成する「スピリッツモード」は、前作から大きくシステムが変更された。

 今回はカードゲームのようなコマンドを使用して選手の能力を強化していくシステムとなった。「打撃練習」、「全体練習」などの練習メニューが書かれたカードを選んで実行するだけなので、ルールがとても簡単でわかりやすい。なおかつ前作以上に進行が早いため、爽快感が非常に高いのだ。

 練習メニュー実行後、新たに補充されるカードの内容はランダムで変化する。運の要素が絡むことには賛否両論あるかもしれないが、極めて短時間で育成が完了するため、それ自体がデメリットということにはまったくならないと断言していいだろう。気に入らなければいつでも中断できるし、またこの練習だけで出来不出来の差が極端に大きくなることもないので、心配は一切ご無用だ。

 練習メニューが終了すると、前作と同様にオープン戦を3試合プレイして、その結果をデータに反映させて育成が完了する。オープン戦では育成選手のみの操作となるので、こちらも極めて展開がスピーディだ。

 筆者が打者の育成を数回試したところ、なんといずれも1時間足らずで完了してしまった。今まで面倒がって敬遠していた人も、この機会にぜひオリジナル選手の作成にトライしてほしい。

 そして今回も、おなじみの「パワプロ」シリーズ(『実況パワフルプロ野球11』と『実況パワフルプロ野球11超決定版』の2タイトル)のサクセスモードで育成した選手をそのまま使える機能を搭載している。まとまった時間がなかなかとれない社会人にとっては、本当にありがたいサービスだ。一部の特殊能力や音声データが対応していないのはちょっと残念だが、時間節約のメリットを考えれば問題にするほどではないだろう。

【スクリーンショット】
好きな練習メニューを書いたカードを選ぶだけでどんどんゲームが進む。それでも時間がないよという人は、「パワプロ」のサクセス選手を移籍させアレンジチームを作って楽しもう!


■ スピーディなゲーム展開と多彩な視点の変化で、爽快感はさらに向上!

 通常の対戦プレイにおいて、メンバー設定などの手間を省いた「クイック対戦モード」を用意したのをはじめ、各種リプレイ・デモ画面をいつでもキャンセルできるようにするなど、各モードにおいてスムーズなゲーム進行を実現させている。徹頭徹尾、プレーヤーが気持ちよく遊べるように配慮しているのがとにかく嬉しい。

 ちなみに1試合の所要時間は、筆者が調べた限りではおよそ35分前後で、これは前作および「パワプロ」シリーズとほとんど同じだ。あらゆる演出を施しているにもかかわらず、いかにゲームの進行が早いかがおわかりいただけるだろう。

 また、1人の選手のみを操作する新モード「選手プレイモード」を利用すれば、さらにテンポよくプレイすることが可能だ。しかも本モードでは自分中心の視点に特化されるので、バッターならネクストバッターズサークルからグラウンドを眺めたり、自分の打球を目で追いながら1塁ベースへ走る場面が見られるなど、今までにない臨場感が堪能できる。特にヒットの打球の行方を見ながらベースを回る場面はこの上ない優越感にひたれて、とても爽快感が高い。

 本シリーズをずっと遊び続けているコアユーザーはもちろん、操作方法さえ覚えてしまえば初心者でも問題なく楽しめることだろう。筆者としては、多忙でまとまった時間がとれない社会人の方に対して特におすすめしたい作品である。実際のペナントレース観戦と並行しながら、ぜひゲームも一緒に楽しんでいただきたい。

【スクリーンショット】
1人称視点で楽しめる「選手プレイモード」。チームの一員としてゲームに参加し、まさに気分はプロ野球選手だ!!


(C)2005 Konami
(社)日本野球機構承認 NPB BIS プロ野球公式記録使用 フランチャイズ13球場公認
※ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2004年プロ野球ペナントシーズン中のものを基に制作しています。

□コナミのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□製品情報
http://www.konami.jp/gs/game/prospi/2/
□関連情報
【2004年10月12日】PS2ゲームレビュー「プロ野球スピリッツ2004クライマックス」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041012/psc.htm
【1月14日】コナミ、PS2「プロ野球スピリッツ2」
甲子園と東京ドームにて体験イベントを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050307/pbs.htm

(2005年4月7日)

[Reported by 鴫原 盛之]


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