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会場:有明TFTホール
「格闘新世紀III」は、今年の初めから各地で行われてきた予選大会を勝ち抜いてきた44名に、全国規模の大会に優勝し、特別称号を持つ招待選手4名を加えた計48名のトーナメントで争われた。「お手並み拝見4」が「VFFT」発売直後に開催されたのに対し、今大会は「VFFT Ver.B」の稼働から3カ月が経過しており、各キャラクタも各々戦術が固まってきていることだろうと予想された。
また、「VF4」が発売されてから「VF4 EVO」、「VFFT」とバージョンアップを重ねてきて、通算7回目の大会となる今回は、「これでセガオフィシャルの全国大会は最終回になるのでは?」とも噂されており、いよいよ「VF4」の大会としても終盤フェイズに差し掛かっていることも間違いない。プレーヤーにとっても、真の強さが試される大会であるとも言えるだろう。 ■ 世代交代の嵐が吹き荒れたのか? 出場選手層に変化が
前大会まではしっかりとポジションをキープしていたリオンが今回1人しか出場しておらず、ちび太氏、ふ~ど氏、アルマジロ弟氏、pe氏などの有名プレーヤーが出場していないことも興味深い。他にもサラ、ゴウ、ジェフリーの3キャラは1人もおらず、あいかわらず少々キャラの偏りが見られたが、「VFFT Ver.B」になってから初ということもあり、意外と数多くのキャラクタが登場したといえるかもしれない。その中でも「VFFT」で大きく強化されたと噂のブラッドが2人入ってきており、こちらの動向にも注目したい。
全体的には前回までの全国大会に比べ、前述のちび太氏も含め全国大会常連勢がその数を減らし、本大会で全国大会初出場と思われるプレーヤーが決勝に進出してきている印象を受けた。戦術も煮詰まってきており、若手プレーヤーが徐々に力をつけてきているため、世代交代が進んでいると言うことなのだろうか? ■ 一方的勝利あり、華麗な逆転劇ありと波乱に満ちた決勝大会 試合の方は、1回戦第1試合で拳王・ジン氏(カゲ)が調布K・Kサラ氏(ラウ)にストレートで負けるなど、いきなり波乱を予感させる始まりとなった。ジン氏は前大会でも圧倒的な強さを見せており、今大会でも優勝候補筆頭だっただけに、これには観衆も驚きの表情を隠せなかったようだ。 続く第2試合も千人斬り氏(カゲ)がSin#氏(ジャッキー)に敗れ、大方の予想を大きく裏切る結果に。千人斬り氏は3ラウンド目、弧延落(63214P+G)からコンボを決めればラウンドを取れる場面で痛恨のコンボミスをしてしまい、ラウンドを落としての敗退。全国大会のプレッシャーがいかに大きいかを改めて感じさせられた。 その後も優勝最右翼と思われたカゲ使いが相次いで1回戦で姿を消し、1回戦でその人数が半数以下に減ってしまう。しかしその中でも最近の成長株筆頭とされるこえど氏(カゲ)は安定した実力を見せ、危なげなくベスト4へ。最多出場人数であったラウでは、すこやかヒゲラウ氏(ラウ)が意外な底力を発揮し3回戦まで勝ち上がるも、準々決勝でこえど氏に敗退。 ジャッキーはSin#氏、拝人氏、YOSUKE氏(ジャッキー)、弐代目風雷坊氏(ジャッキー)らがいずれも見せ場を作るものの、あと一息のところで敗退してしまう。アキラではムームーダンス氏(アキラ)、超南アキラ氏が準々決勝まで勝ち上がるが、ここでいずれもパイ使いに敗退し、姿を消してしまう。パイは今回4人と多く、その中でもブリマム氏(パイ)、KING氏(パイ)が意外な活躍を見せ、ベスト4まで勝ち上がる。 個人的には注目していたブラッドは、1回戦でミヤウチ氏(ベネッサ)のロースピンスライサー(2K+G)に対し、鋭いニーアッパー(6K)での暴れなどを見せ勝ち上がった軟体氏(ブラッド)だったが、2回戦でスカンク氏(レイフェイ)に敗退し、姿を消してしまった。 今大会最大の盛り上がりを見せた場面が準々決勝、第1試合。「調布K・Kサラ氏(ラウ)を阻止するために今日の大会を勝ち上がってきた」とマイクパフォーマンスをした板橋ザンギエフ氏(シュン)と、その張本人である調布K・Kサラ氏の対決。対戦中に板橋ザンギエフ氏がカメラに向かってアピールするなどのパフォーマンスを見せながら、試合の方は2-2のフルセットまでもつれ込む大接戦。最後にお互い体力僅かの状態で、板橋ザンギエフ氏の仰穿腿(2K)がヒットしKOとなった。その直後に調布K・Kサラ氏がカードを投げ捨てて会場から飛び出すパフォーマンスを見せるなど、会場のボルテージは最初のヤマを迎えた。また、「VF」の全国大会では「吼えた方が負ける」というジンクスはついに破られた。
■ ベスト4にはカゲ、シュン、そしてパイが2名! 勝利は誰の手に?
板橋ザンギエフ氏はほぼ毎回先に2本取られる展開が多かったが、その都度的確に飲酒を重ね、試合を有利に運んで行くのが上手な印象を受けた。こえど氏は避けキャンセル揚撃(2_3P)の精度が高く、防御力が非常に高かった。この2人の対決も2-2のファイナルセットまでもつれ込むも、最後はこえど氏の浮身乱弾撃((葉隠流 陽・十文字中)P+G)を板橋ザンギエフ氏がしゃがみでスカし、連蹴背下掌(KK2P)で反撃して勝利を収める。このレベルまで来ると、反撃にもほとんどミスがなく、キャッチ投げに対する対処も完璧にできていた。
準決勝もう1組の闘いは、ブリマム氏とKING氏のパイ対決。お互いに「VFFT」からの新技である半旋風(44K)や跳歩蒼下捶(66P+K)などをうまく絡めたトリッキーな攻めが上手な印象を受けたが、ブリマム氏が先に2本取った状態からKING氏が逆3タテを決めて勝利。受身に跳歩蒼下捶を重ねていく攻めで、受身を取らない相手にはキャンセルして起き攻めに回るなど、確認の精度が高く、様々な場面での集中力の高さを窺わせる立ち回りだった。
1試合目を先行された板橋ザンギエフ氏にとって、2試合目は勢いを取り返していきたいところだったが、そのままKING氏の勢いは止まらず、あっという間に2試合目も2-0の状態まで追いつめられる。その時点でしかも飲酒数は0!! 会場の誰もが「もはやこれまでか……」と思ったに違いない最大のピンチに思われたが、そこから板橋ザンギエフ氏が驚異的な粘りを見せる。 その後は1試合目とまったく逆のパターンとなった。「ひょっとすると、1試合目~2試合目途中まで、KING氏のクセを学習し、反撃態勢を整えるまでに使っていたのかも?」と思うほどの対応力と、怒涛の攻めをしっかりガードでしのぎきる「鉄の精神力」を発揮した板橋ザンギエフ氏は、1本取り返してから怒涛の3連取。逆に3-2で2試合目を取り返した。そのまま3試合目も一方的なペースで押し切り、3-1で勝利。セガオフィシャル大会初のシュンでの優勝となった。 さて、セガオフィシャルの全国大会と言えば、気になるのは優勝者に送られる特殊称号。今回の優勝者である板橋ザンギエフ氏に送られた特殊称号は「天帝」。数々の難敵を打ち破ってきた板橋ザンギエフ氏にふさわしい特別称号と言えるのではないだろうか。 「VF4」における最後のオフィシャル大会とも噂されている今回の大会、全体を通じて見ると、やはりこえど氏、ブリマム氏、KING氏などの若手新興勢力の台頭が目立った大会であった。最後の最後で徐々に力をつけてきたプレーヤー達が頭角を現してきた、と言うことなのだろうか。そしてこれら若手プレーヤーを抑え、優勝を勝ち取った板橋ザンギエフ氏の実力はやはり本物だったと言える。
セガオフィシャルの大会はこれで最後だとしても、「VFFT」での戦いはまだ終わらない。これからもまだしばらくは、これら若手プレーヤー達の動向から目が離せないだろう。
■ ラストは光吉氏の「バーチャファイター」ソングでシメ!
□セガのホームページ (2005年3月22日) [Reported by 米澤大祐 Photo by 佐伯憲司]
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