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World Cyber Games 2004現地レポート

「Counter-Strike: Condition Zero」トーナメント
王者SKGaming、3位入賞すらならず! 韓国代表MaveNが大金星!

会期:10月6日~10日(現地時間)

会場:Bill Graham Civic Auditorium

 日本期待の4DimensioNが予選リーグで早々に姿を消してしまった「Counter-Strike: Condition Zero」トーナメント。WCGは全世界から参加チームが集まるため、アメリカ、ヨーロッパ勢が参加チームの中心であるCyber Professional League(CPL)やESWC(Electronic Sports World Cup)などの大会と違って、意外な国(チーム)が勝ち進んできたり強豪チームがコロッとやられたりといったドラマが繰り広げられる。今回のWCG2004もそういった新たなドラマが発生した大会であった。本稿では今回のWCG2004で発生したドラマを象徴するにふさわしい4つの戦いを解説していきたい。



■ 前評判の高かった欧米勢が順当にトーナメントを通過

 WCGは国別対抗と言うことで、アメリカやヨーロッパの国内予選大会で強豪同士がつぶし合ったため、16チームが参加した決勝トーナメントに出場してきた欧米の世界トップレベルの強豪チームは、スウェーデン代表のSKGaming、デンマーク代表のTitans、ブラジル代表のmibr、ドイツのALTERNATE aTTaX(今回の大会では2413というチーム名になっている)、カナダ代表のTeamEGといったところになった。これらのチームはトーナメント開始時点で上手くばらけたため、ベスト8以降の展開は若干チームの違いはあるがCPLなどの世界大会とそう変わらないと思われていた。

・凄腕スナイパーの存在が試合の要となったTitans vs mibr戦

 この強豪同士の激突が始まったのはベスト8以降。口火を切ったのはデンマークのTitansとブラジルのmibrだ。e-Sports専門サイトでは世界4位、強豪集まるヨーロッパランクでも3位にランキングされているTitansと、ランキングには顔を出してきていないもののCPLやWCGでは常に上位に顔を見せているmibrの戦いということで、競技エリアとは別の場所に用意された観戦用ステージには多くの観客が訪れていた。

 この試合、両者の実力は拮抗しており、一進一退の盛り上がった戦いとなった。特に注目したいのは、mibrのcogu選手のAWP(スナイパーライフル)の射撃がすばらしく光った、1戦目のde_train戦だろう。操車場を舞台としたこのマップには列車が多く設置されており視界が通りにくいため、基本的にAWPは使いづらい。にもかかわらず、上級者になるとマップ内に何カ所かあるスナイピングポイントで的確に狙撃してくるマップだ。試合ではTitansはこのスナイピングポイントを当然心得ており、これを迂回する形で列車の上を通るルートで移動していた。しかし、mibrのcogu選手はこの1枚上をいった。列車の上を通るTitansの選手達を列車の下から狙い、片っ端から打ち倒していったのだ。

 だが、そこで終わらないのが世界大会レベルの試合だ。mibrの要がcogu選手であると判断したTitansは、cogu選手に対して人数を裂いた対coguシフトとも言える作戦をとった。試合の結果としてはmibrが勝ったものの、cogu選手がやられるとmibrがズタボロにされていったのが印象的であった。

 その後、第2戦目のde_inferno戦は最終的には12-12という引き分けで延長戦にまでもつれ込む大激戦。結局この延長戦をTitansはストレートで制し、第3戦目のde_aztecもその勢いに乗る形でtitansが勝利、ベスト4への進出を決めた。



■ 王者SKの凋落と韓国MaveNを初めとしたアジア勢の盛り上がり

 今回のトーナメント、やはり注目が集まったのはスウェーデン代表のSKGamingだろう。CPLを初めとした世界大会で大きな実績を上げており、その安定した試合ぶりから王者と言っても過言ではないほどの評価を受けている。しかし、今回のWCGのトーナメントでは、どうもその実力にかげりが見えてきた印象を受ける。

・Team 3D vs SKGaming

CPL 2004 Summerにて自分たちを破ったEYEBALLERSからHyper選手を迎え、さらに強力なメンバーでWCGに望んだSKGaming
 それが明確な形で現れたのが、セミファイナルであたったアメリカ代表Team 3Dとの試合だろう。第1戦目のde_trainこそ、SKGamingが貫禄を見せつけてTeam 3Dに勝利したが、第2戦目から試合の様子が変わってきた。明確に見せ場があったわけではないのだが、これまで練り上げてきた戦術を前面に押し出して攻めてきたSKGamingを、Team 3Dは個々の技量でねじ伏せた形となった。もともと、「Counter-Strike」というゲームは「個人の技量では勝てない、チーム全体の動きによる総合力こそが勝利の近道である」と思われていただけに、この展開は意外であった。

 そして、その展開を決定的に印象づけたのが第3戦目のde_dust2での試合だ。Team 3Dはテロリスト、カウンターテロリスト、共にこれまで彼らが使ってきた作戦に忠実にゲームを進めてきた。これまでであったら、SKGamingに作戦を読まれてTeam 3Dは各個撃破されて終わりであったはずなのだ。しかし、今回のTeam 3Dはこれまでとまったく違った。テロリスト側、キャットと呼ばれるマップ中央の通路を攻めたのだが、待ちかまえているSKGamingを、AK(攻撃力は高いがリコイルの激しさから扱いづらいと言われる)を巧みにコントロールして突破していく。このキャットとAロングとよばれる通路、2カ所から同時に突っ込む作戦をTeam 3Dは多用して勝利を重ねた。通常、これだけ似たような作戦を多用すると作戦を見破られて逆襲されるのがオチなのだが、SKGamingがこれを防げなかったのが印象的であった。結局このテロリスト側は10-2と、Team 3Dが圧勝する結果となった。

 テロリスト側のピストルラウンドでは、Team 3DはSKGamingに負けているのだが、2ラウンド目にDesertEagleという強力なピストルを購入し、通常であれば装備の差から負けてしまうこのラウンドを勝利している。DesertEagleは非常に強力なピストルではあるのだが、その威力が発揮できるかどうかは個人の射撃能力によるところが大きく、この第2ラウンドはTeam 3Dの射撃能力、そして個々の能力の高さを実証するものと言えるだろう。

 そして、後半のカウンターテロリスト側の第1ラウンド、SKがBポイントを攻めようとソロソロと移動しているのに対し、通常はAポイントとBポイントに分かれてメンバーを配置するところで、全員がBへ行く超変則シフト。これが大当たりし、Team 3Dは重要な後半のピストルラウンドを制した。その後の2-6ラウンド、SK Gamingは何とか食らいつくものの、第7ラウンドでまたもやTeam 3Dが変則シフトをとった。カウンターテロリスト側は攻めてくるテロリストを待ち受けるのが基本であるにもかかわらず、2名が前半彼らが突破していったキャットから逆に攻め込んでいった。SK Gamingはこれに動揺したのか、続く第8ラウンドもポイントを取られて敗北。Team 3Dの決勝進出が決定した。

負けが込んできたせいか、これまでの世界大会以上に深刻そうな表情を見せているSKGamingのメンバー達。いつもならば倍以上にふくらんで見えるHeaton選手の背中が、人並みサイズに見えてしまったのは筆者だけだろうか……


・MaveN vs SKGaming

 今回のWCGの「Counter-Strike: Condition Zero」でもうひとつ象徴的だったのが、韓国代表のMaveNを初めとするアジア勢が大活躍したことだ。今回決勝トーナメントベスト16には、韓国代表のMaveN、4DimensioNを破ったシンガポール代表の[GBR]Grudg3、台湾代表のFFTWNと3カ国の姿があった。[GBR]Grudg3は決勝トーナメントの1回目、カナダ最強チームの呼び声も高いTeamEGとの戦いだったのだが、[GBR]Grudg3はこれを余裕で打ち破っている。そして、アジア勢の大活躍を象徴するのが、韓国代表のMaveNとスウェーデン代表のSKGamingの3位決定戦だろう。

 この試合、一番目立ったのはMaveNのピストルラウンドの巧さだろう。第1戦のde_train、第2戦のde_cbble、第3戦のde_aztec、全部で8回(de_trainで延長戦があったため)あったピストルラウンドのうち、MaveNが取りこぼしたのは1回のみ。世界大会のレベルでここまで一方的な展開となるのは珍しい。「Counter-Strike」ではゲーム開始直後のピストルラウンドを取ると、相手の装備が整いきる第3ラウンドまでを有利に運ぶことができる。そのため、このピストルラウンドを取れるか取れないかというのは、試合そのものの方向性を位置づける重要な試合になるのだ。MaveNはこのピストルラウンドを徹底的に練習しているようで、彼らと練習試合をすることが多かった4DimensionNのXrayN選手も、「MaveNのピストルラウンドでの勝負強さは異常」とコメントしていた。今回の試合では、そんなMaveNの特徴が遺憾なく発揮されたと言える。

 また、興味深いのが第3戦目のde_aztecだろう。MaveNは、結局カウンターテロリスト側で10-2と大きくリードして折り返し、テロリスト側のピストルラウンドを制してSKにとどめを刺した格好になったのだが、このカウンターテロリスト側の勝ち方が特徴的だった。de_aztecでカウンターテロリスト側がここまで大勝する場合、ほとんどはAWPを大量に用意して、突っ込んでくるテロリスト側を一方的に撃ち倒すことが多い。しかし、今回はまったく違ったのだ。テロリスト側でスタートしたSKGamingは、Aポイントへ向けて橋と下側の通路に分かれて進む作戦を多用した。しかし、これをことごとくMaveNは打ち砕いたのだ。

 今回のWCG、「Counter-Strike: Condition Zero」が種目に選ばれたのは、韓国国内で「Counter-Strike: Condition Zero」がかなり売れていたからという背景がある。世界的にはあまりメインではない「Counter-Strike: Condition Zero」を、MaveNの選手はよく研究していたのだろう。通常の「Counter-Strike 1.6」に比べて、ダメージ値の高いHEを効果的に投げ込んで大量のダメージを与えて、アサルトライフルで確実にとどめを刺していったのだ。

ラウンドに勝利したり、仲間がすばらしい動きで敵を倒すと思わずガッツポーズを見せるMaveNの選手達。こういった世界大会では、自己暗示に近い効果もあるのだろう
SKGamingに勝った瞬間抱き合って喜ぶMaveNのメンバー達。やはりアジア勢で初めて世界大会におけて入賞を果たしただけに、その姿は非常に感慨深いものがある 戦いに敗れ、荷物を片づけるSKGamingの面々。その姿はうら寂しいものを感じさせるが、決してこれで終わるほど底の浅いチームではないはずだ。CPL 2004 Winter大会での彼らの復活を期待したい




■ 無冠の強豪と言われていたTeam 3Dがついにタイトルゲット!

・Team 3D vs Titans

 王者SKGamingの敗退、MaveNを初めとするアジア勢の躍進など見るべき点はおおかった今回のトーナメント。それまでの世界大会とはまったく違った雰囲気となったなか、アメリカ代表Team 3Dとデンマーク代表のTitansによる決勝戦が始まった。

 注目すべきだったのは、決着を付けた第2戦目のde_cbble戦だろう。Team 3Dがカウンターテロリスト側で始まった前半戦、攻めるテロリスト側のTitansをことごとくシャットアウト。Titansは手も足も出ないまま前半戦を11-1というスコアで折り返すことになった。こうなると俄然活気づくのはTeam 3Dである。すでに第1戦目のde_trainで勝利を収めており、第2戦目の前半戦で11ラウンドも取れればもう勝利は目前という意識になっても不思議ではないだろう。しかし、これが後半Team 3Dの足を引っ張る結果となったのだ。

 Titansは後半、kk選手をマップ中央のタワー下の空間を見通せる形でAWPを持たせて配置する作戦をとり、試合を立て直した。de_cbbleではこのタワー下の空間をAWPに押さえられると進行ルートがかなり限られてしまうというマップ構造的な事情もあり、Team 3Dはkk選手を排除しようとムキになっていた印象がある。確かにkk選手さえ倒してしまえば、そのラウンドが一気に強気に出られるし、あと2本ラウンド取ってしまえば優勝である。しかし、このムキになってかかってくるTeam 3Dをkk選手のAWPが無情にも打ち砕いていく。また、Titansはマップ中央のタワーに1人配置して、しつこく牽制をかける作戦を多用しており、Team 3Dはあれよあれよという間にラウンドを取られて気づけば1-11と、後半戦は前半戦と完全に逆転したスコアになってしまった。

ゲーム中、被っている帽子を直して気合いを入れ直す。最大限の緊張の中で展開されるこれらの試合では、こういった些細なことが自分の中での流れを取り返すきっかけにもなるのだろう 決勝のレベルになってくると、敵を1人倒すだけでも笑みがこぼれることがしばしば。流れに乗っているときはなおさらだろう
チームメイトの華麗なプレイに先にやられてしまった選手は拍手を送る。互いに互いを盛り上げあう、仲間の心強さを実感できる瞬間だろう 3Dのマネージャーを務めるCraig氏。試合のスタート時や勝ったラウンド、選手が華麗なプレイを見せたとき、実に上手いタイミングで競技スペースの中にいる選手達へ声援を送る。プレイはしないもののチームにとっては重要な人物だ


 しかし、そこは決勝まで進んできた両チーム。このままズルズルとTitansの優勝が決まったわけではなかった。なんと延長戦を2回経ても決着はつかず、3回目までもつれ込む大激戦となった。最初の延長戦、ピストルラウンドを制したTitans。2ラウンド目もTeam 3Dが装備を整える資金がないためにそのまま勝利するであろうと皆が思っていた。しかし、Team 3Dはこの2ラウンド目をこのままTitansに勝たせてしまっては次はないと判断したのか、限られた資金の中で威力の高いデザートイーグルとアーマーを購入。圧倒的に不利な状況にも関わらず、2ラウンド目を勝利した。ピストルラウンドを制すれば次のラウンドも勝てるのが「Counter-Strike」における常識だ。そのため、Team 3Dがこの状況をひっくり返した瞬間、会場内からどよめきが起こり、その後には割れんばかりの声援が上がった。

 このまま波に乗った3Dは続けて次のラウンドをとり、延長戦前半を1ポイントリードで折り返した。だが延長戦後半、Titansも意地を見せてTeam 3Dに食い下がり、同点に持ち込み再延長戦へと突入。この再延長戦でも決着がつかず、結局3回目の延長戦。Team 3Dが後半のカウンターテロリスト側を3本立て続けに取り、2004年World Cyber Games、「Counter-Strike: Condition Zero」の優勝をもぎ取った。

延長に突入し、空気すら凍り付くような緊張感の中で進む試合。見ている方は口がカラカラに乾いてしまうほど。実際に試合をしている選手達の緊張は想像以上だろう Team 3Dもゲーム中要所要所で檄が飛ぶ。世界大会では上位陣になってくると実力的にそう大きな違いはない。最後の一押しを決めるのは精神力の世界になってくる 試合が終わり、世界中の記者に囲まれてのインタビューに応じるTeam 3Dのメンバー達。ちなみに賞金の使い方は「とりあえず家賃……」だそうで、いきなり生活感を感じさせるコメントでウケを取っていた




 これまで数々の大会に姿を見せつつも、昨年のWCG2003における銀メダル以外に明確なタイトルを取れなかったTeam 3Dが激戦の末にWCG2004を制した。しかし筆者としてはそのことよりも、MaveNがアジア勢として初めて世界規模の大会においてメダルを獲得したことの方が重要だと考えている。これまでFPSに関してはアメリカやヨーロッパの独壇場だと思われていた。FPS後進国と考えられていたアジアから出てくるチームは、世界大会では物珍しい存在でしかなかったのだ。それは、2003年のCPL Winterに日本から出場したNicotineが、目新しさから海外のe-Sportsメディアに取り上げられたことを見ても明らかだ。

 しかし、2004年のCPL Summerにおいて4DimensioNがブートキャンプ(強化合宿)を張り、CPL本戦前に行なわれたPre-CPL大会において活躍し、一定の評価を受けたことでその流れが変わってきた。そして、今回韓国代表であるMaveNが世界最強と評価を受けていたSK Gamingを倒して3位になったことで、そういった欧米のアジアに対する評価は一変していくことが予想される。そして、アジアのプレーヤー達にとっては、これまで別次元の世界だと思われた世界の強豪達に指がかかったわけだ。それはそのまま海外の強豪チームが、アジアからのチームをライバルとして本気で挑んでくることと同義であり、アジア勢にとってはこれからドンドンと世界へ出て行くチャンスと言える。今後CPLの夏冬大会、そして来年のCPLと世界大会でのアジア勢の活躍を期待したい。

□World Cyber Games 2004のホームページ
http://www.worldcybergames.com/
□World Cyber Games 2004日本公式サイトのホームページ
http://www.worldcybergames.jp/2004/
□関連情報
【10月12日】日本代表レポート hanbei選手、FPS種目では初の決勝Tへ進出
期待を背負ったCSCZ代表の4DNは、予選リーグで惜しくも敗北
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041010/wcg3.htm

(2004年10月12日)

[Reported by Tyokuta@ukeru.jp]


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