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UKゲームショウ現地レポート

「Tom Clancy's Splinter Cell: CHAOS THEORY」がプレイアブル展示
あのカリスマ・ステルス親父にもうすぐ会える!

Ubi Soft、「Splinter Cell」展示セクション
9月1日~5日まで開催(現地時間)

会場:ExCeL London

等身大(?)サム・フィッシャーが来場者をお出迎え
 Xbox用ソフトとして数少ないミリオンセラーを記録し、いまやコナミの「メタルギアソリッド」とは双璧をなすほどのステルスゲームの強力ブランドシリーズとなりつつある「Splinter Cell」。その最新作がE3ではUbi Softブース内の特設シアターで公開が行なわれたわけだが、さすがは一度公開すると発売までがスピーディなUbi Soft。最新作の「Splinter Cell 3」こと、「Splinter Cell: Chaos Theory」は早くも今年の発売が決定した。

 プラットフォームはXboxとPC。共に、カナダのUbi Softモントリオールスタジオにて並行開発されてきたこともあり、特別な市場戦略が採択されない限りはXbox版とPC版はほぼ同時に発売される見込み。

 今作のストーリーは我らが日本も絡んでくるだけに興味深い。

 現在から数年後の極めて近い近未来、北朝鮮と日本との国交を悪化させるような情報操作がサイバーテロの形で勃発。両国の関係は悪化し、戦争寸前の状況にまで追い込まれる。事態を重く見たサム・フィッシャーが所属するNSAスプリンターセル部隊は、このサイバーテロの黒幕を暴き、世界秩序を取り戻すために乗り出すのであった。



■ 見所は新3Dグラフィックスエンジンによるハイディテール表現

Ubi Softの3DプログラマDany Lepage氏
 「Splinter Cell 3」の開発は、「Splinter Cell 1」のオリジナルチームが「Splinter Cell」の大ヒットを確認してからすぐに始まったそうで、それから現在で2年が経過したことになる。

 ちなみに今年頭に発売されたばかりの「Splinter Cell 2」こと「Splinter Cell: Pandora Tomorrow」は、中国のUbi Soft上海スタジオが「Splinter Cell 1」エンジンをベースにして開発したものであり、今作の「Splinter Cell 3」こそが「本当の新作」という位置づけになる。

 3Dグラフィックエンジンの開発には3Dプログラマのダニー・リペイジ(Dany Lepage)氏の全面指揮の下に開発されており、PC版はプログラマブルシェーダ2.0ベースで、Xbox版はそのシェーダの仕様を簡略化し、プログラマブルシェーダ1.x仕様へポーティングする形で開発されている。

 リペイジ氏は'97年から2000年の間、カナダのMatrox Graphicsに勤務、Millennium G200/G400の設計チームのメンバーを務め、その後、米NVIDIAへ移ってGPU設計チームに参加し、「GeForce 3」、「GeForce 4 Ti」の設計に参加、そしてXboxのGPU、APU、MCPの設計にも参加して、2002年にUbi Softに引き抜かれた“曰く付き”の人物。現役3Dゲームプログラマのなかでも最もGPUに精通した人物のうちの1人として知られており、「Splinter Cell 3」では彼の新しいアイディアが余すことなく導入されている。

顔の目鼻立ち等のディテール表現、衣装の凹凸表現などが全て法線マップによるもの
 そのうち、今作でもっとも目に付くのが、最近の3Dゲームグラフィックス表現のトレンドになりつつある「法線マップによるディテール表現」の全面導入だ。法線マップとは簡単に言えばバンプマップとほぼ同義のもの。超多ポリゴンでモデリングされたディテールのジオメトリ情報を削減して法線ベクトル化し、これをテクスチャに格納しておく(法線マップ化)。実際のリアルタイムレンダリング時には、この法線マップから法線ベクトルを取り出して、ピクセル単位に陰影処理して、視線から見ればあたかも「超多ポリゴンモデルに見えてしまう」という寸法だ。ゲーム中では、人物の顔の造型や舞台セットのディテール表現に使われており、PC版ではオフラインレンダリングのクオリティに見まごうほどの高いビジュアルクオリティが達成されている。

 今回展示されていたバージョンで面白かったのは障子シェーダー。東洋が舞台として多分に登場する今作では、日本伝統の部屋仕切りの障子が登場するのだが、障子の向こう側の人物キャラの影が、光源からの距離に応じて異なったぼやけ率と拡大率で半透明に投射されるのだ。技術的にはそれほど高度ではないシェーダーだが、前作で笑いを誘った「液晶シェーダー」(ゲーム中に登場する液晶モニタが視線角度によって色が反転してしまうに通ずる、リペイジ氏のシェーダーアイディアが光る表現だ。

 今回展示されたのはXbox版のみだが、そのハードウェア制約の中で精一杯、法線マップテクを酷使しており、前作の「Splinter Cell 2」と見比べればビジュアル表現は明らかに向上しているのが実感できる。まるで現行Xboxが、新たなグラフィック表現を獲得したかのようにも見えるかもしれない。



■ ゲームの内容そのものもパワーアップ

 毎回注目が集まる、主人公のサム・フィッシャーのアクションだが、今作ではますます忍者化が進んた印象だ。たとえば前作からあったパイプ伝い姿勢から、下半身をパイプに固定したまま、上半身だけをおろして敵の首を締めたりできる。銃を構えたときに銃身の角度が上手く合わないときには、「Rainbow Six」シリーズにあった姿勢をずらすアクションも可能となった。

【スクリーンショット】
ビニールのカーテンをナイフで切り裂きつつ相手を羽交い締め。サム・フィッシャー……敵に回したくない男である


 地形へのインタラクティビティのバラエティが増加。敵が持っているフレアをピンポイントで狙撃して周囲を暗闇に落とし込んだり、行く手を遮っている樹脂シートをナイフで切り裂いたりといったことが可能になっている。前者はリアルタイム光源処理が、後者は物理エンジンによる布の挙動シミュレーションが、それぞれの表現の実現に結びついている。

【スクリーンショット】
背後から忍び寄って……。じゃまなビニールカーテンはナイフでカット


 そして今作からは、ステルス行動システムに従来からあった「敵からの可視度メーター」に加え「敵からの可聴度メーター」が追加されている。これは、敵から自分の行動がどの程度聞こえているかを示すもので、高い位置からジャンプしての着地やダッシュ走りといった行動ではその都度大きな音を立てることになり、これが敵に聞かれると敵の関心をこちらに引きつけてしまう結果となる。今いる場所の環境音がある程度大きければ、この可聴度メーターは最初からある程度振れているので、こちらがある程度の音を立てても相手はこちらに気がつかない。この効果を利用して、自分が降り立つ場所周辺で、わざと音を立てるような細工をして、こちらの立てる音を相手に聞かせないように工夫することができる。

【スクリーンショット】
雨が降っていれば雨音でサムの足音はほとんど相手に気にされることがない。そこを背後から……。ちなみに今作も操作中に視点の移動が可能


敵をナイフで脅して尋問
 前作から指摘されていた「敵AIに賢さが足りない」という問題点についても改善を見ている。Ubi Softスタッフによれば「同じUbi SoftグループのCRYTEKが開発した『FarCry』のAIを意識した作りにした」とのことで、こちらの存在に気が付くと直線的にやってくるのではなく、敵同士が援護し合ってじりじりと距離を詰めてきたり、有機的な動きで夾撃を狙ってきたりする。

 また、今回登場する敵達の中にはサム・フィッシャーと同等のサーマルビジョンを装備したハイテク軍団も登場するため、前作のようにただ身を影に潜めているだけでは敵に狙い撃ちされてしまうこともある。これに対してはまたまた素晴らしいアイディアを持ってサム・フィッシャーは対抗するのだ。「冷水シャワーを浴びて、制限時間付きながら体温を下げて敵のサーマルビジョンからこちらの姿を消す」という対抗手段がとれるのである。

 グラフィックスだけでなく、ゲームプレイにおいても新要素が満載の「Splinter Cell 3」、その登場が今から待ち遠しい。

□Ubi Soft Entertainmentのホームページ
http://www.ubi.com/
□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□European Games Networkのホームページ
http://www.europeangamesnetwork.co.uk/
□Game Stars Liveのホームページ
http://www.gamestarslive.co.uk/
□「Splinter Cell: Chaos Theory」のページ
http://www.splintercell3.com/
□関連情報
【9月2日】Game Stars Liveレポート UBI SOFTブースレポート
~二刀流忍者になって帰ってきたペルシャ王子
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040902/ubi.htm
【5月16日】「Tom Clancy's Splinter Cell 3」プレビュー
世界最強のスニークアクションは3で独走態勢に入る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040516/e3sc3.htm

(2004年9月2日)

[Reported by トライゼット西川善司]

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