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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】Activisionブースレポート その2 |
会場:Los Angeles Convention Center
さて、昨日のブースレポートで掘り下げてご紹介することをお約束していた、Activisionの2大FPS「DOOM3」と「Call of Duty: United Offensive」。これに関して今日の取材で判明したことを中心にお伝えしよう。
■「DOOM 3」~PC版を忠実に再現したXbox版は、Xboxの底力を見せたハイクオリティFPS!
まず、Xbox版だけの機能として注目できるのが、Xbox Liveなどを利用して実現される4人でのCooprative(協力)モードの存在だ。実際にモンスターと戦ってみるとわかるのだが、薄暗い世界、生理的嫌悪感をもよおすオブジェクト、攻撃方法がわからない敵キャラなどの要素が詰まった異常な世界を、1人で突き進んでいくためには、かなりの腕と肝の太さが要求される。4人で一緒に遊べることができるのなら、これほど心強いことはないだろう。PC版の「DOOM3」では、ゲーム内オブジェクトは好きに破壊でき、対戦では、オブジェクトの破壊情報はプレーヤーのマシン同士で同期されるという新しいフューチャーが盛り込まれているが、Xbox版にはない。また、Xbox版の「DOOM3」では倒した敵が残ることはなく、一定時間で消えてしまう。Xbox版では、PC版よりも処理データが軽減されたため、Cooprativeモードを実装することが可能になったわけだ。
さて、遊んでみて気づいたのは、これまで公開されたPC版のムービーなどの雰囲気そのままという、Xbox版への移植度の高さだ。キャストシャドウやセルフシャドウ、ダイナミックライティングを多用した、ハイクオリティな光と影の表現が特徴的だったPC版の「DOOM3」の雰囲気は、Xbox版でもそのままに移植されている。頭上の巨大送風機から差し込む光によって影が揺れる表現や、部屋で唯一の光源である蛍光灯を撃って揺らすと影が大きく伸び縮みしたりといった表現が、Xbox版でもきっちり見ることができるのだ。
こういった表現を多用しているベンチマークソフトや、最新のゲームソフトはえてして重く感じられる。しかし、今回のXbox版ではPC版における最新ゲームのような重さは感じられず、その挙動はなめらかだったことを追記しておく。ショットガンを撃った瞬間などは一瞬処理落ちをすることもあったが、ライトを投光したり、普通に歩いたり、マシンガンを撃ったりしても、「こりゃだめだ」と思わせるような重さは無かったように感じる。
こういった光影表現の中で進められるシングルゲームだが、ゲームの雰囲気はこれまであったどのFPSとも違う「DOOM風」の味付けがなされている。とにかくプレーヤーを恐怖に陥れる演出が多用されているのだ。たとえば、うめき声が常に聞こえている通路で、釣り照明しかついておらず、そこかしこに暗闇があるような場合、モンスターが飛びかかってくるのが予想できるため、プレーヤーは常に緊張感をもって行動することになる。しかし、予想できているのにも関わらず、「DOOM3」におけるモンスター達は暗闇から飛びかかってくるタイミングが絶妙なため、必ず驚かされてしまう。飛びかかられた瞬間、プレーヤーは「冷静に敵を打ち倒す」のではなく、「とりあえず逃げ出して状況確認」という行動を取ってしまうのだ。こういった演出タイミングのうまさは、さすがid softwareということができるだろう。
このシングルデモでは、昨年からのデモに登場していた人型のモンスター(細型、デブ型)のほかに、2つの顔を持って地面をはいずり回るモンスターや、火炎弾を投げつけてくるモンスター、ショットガンをもって迫ってくる人型のモンスター、天井に張り付けられてプレーヤーを察知すると仲間を呼ぶモンスターなどと戦うことができた。モンスター達の攻撃はどれも強力で、とくに初めて出会うタイプのモンスターは、どういった攻撃をしてくるかがわからず、さらに前へ前へとプレーヤーににじり寄ってくるので生理的な嫌悪感を感じさせる。
Xbox版の発売は、今夏発売と発表されたPC版「DOOM3」の後になると予想されるが、Xboxユーザーは首を長くして待つだけの価値はあるのではないだろうか。
【スクリーンショット】 | ||
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「Doom」シリーズ独特とも言える雰囲気を持った敵モンスターたち。特に「Doom3」では、メカニカルな部分とグロテスクな部分が合成されたモンスター達が多い |
そして、多くの人々が群がっていたのが今年秋に発売される予定のPC版「Call of Duty」の拡張パック「Call of Duty: United Offensive」だ。今回の拡張パックは、Quake3エンジンを使ったシングルゲームとして評価の高い「Return to Castle Wolfenstein」を作った、Gray Matter Studiosの手によって制作されている。開発期間について聞くと、どうも「Call of Duty」本編と平行して開発されたようで「本編よりも手間が掛かってます」とのことだ。
そんな担当者の弁によると、今回追加されたシナリオは「Call of Duty」本編と変わらず、アメリカ・イギリス・ロシアの3国に関わるストーリーミッションが全部で10マップ用意されているとのこと。そして、新ミッションの追加に伴い、マシンガンや火炎放射器など10の武器が新しく追加され、10の乗り物も新しく追加されている。また、プレーヤー自身ができる行動にも幅ができた。前作では手榴弾を投げる際、ピンを抜いて投げるまではホールドできた。今回はピンを抜いてカバーをはずして点火した後にホールドできるようになったのだ。手榴弾は爆発まで約5秒かかるのだが、点火してすぐ投げてしまうと敵AIに投げ返されるおそれがあった。それを防ぐため、今回の拡張パックではカバーをはずして点火した後、3秒カウントしてから投げる「Cock Off」という行動ができるようになっているそうだ。また、機関銃の放火の中を駆け抜けたり、スナイパーがねらっているところをどうしても通らなくてはならないような場面で役立つ「Sprint」と呼ばれるダッシュも使えるようになった。
今回見せてもらったデモの中で、非常に目を引いたのがB17にのった主人公が迫りくるメッサーシュミットの群れを対空砲で落としまくる、というミッション。編隊を組んで飛んでいた僚機が、プレーヤーの目の前を炎と煙を上げながら墜落していくシーンなど、もう生唾物のかっこよさだ。説明の担当員の話によれば今回はグラフィック、とくに煙の表現に力を入れているとのことで、確かに対空砲からでる煙が機内や周囲にもうもうと付近に立ちこめ、視界が悪くなるという表現も見ることができた。そして、地上での塹壕戦では、野砲の煙や手榴弾による砂煙、霧など、あたりに立ちこめているほか、煙と同じような処理を使った火炎放射器なども見れ、オリジナル版から大幅にパワーアップしたグラフィックが誇示されていた。
また、サウンドに関してだが、音も取り直しが行なわれている。さらにEAX 3にも対応しているとのことで、音による臨場感というものが、前作以上にパワーアップしている。ゲーム内の音が大音響で流されるE3の会場では、目をつぶるといきなり第2次世界大戦の戦場に放り込まれたような錯覚を受けてしまった。サウンドというとなかなか目立った存在になりにくいが、さりげない部分にも120%の力を注いでいるのはすばらしい。
さて、今回の拡張パックのマルチプレイに関してふれておこう。今回、マルチプレイ用に追加されたのは9つのマップ。その中には2つの新モードに対応したマップも用意されている。今回追加された新対戦モードは2つ。1つは、「TankBattle」と呼ばれる「Call of Duty」本編のソ連ミッションで見られた、戦車戦を主軸においた対戦モード、そしてもう1つは拠点を巡っての「Domination」モードとなっている。両方とも「Call of Duty」というゲームを生かしたゲームモードと推測されるだけに、期待できる。
最後に、今後の「Call of Duty」の方向性について「『Medal of Honer』のように太平洋戦線へ移行するのか?」と聞いてみたら以下のようなコメントが帰ってきた。
「私たちは、戦場で個人が繰り広げるドラマを描くことを主眼に置いています。そういうことを考えると、ヨーロッパ戦線にはまだまだ美談や注目すべき逸話が多く残っています。当分ヨーロッパ戦線をベースにゲームを作ることになると思いますよ」
2004年秋に本拡張パックを発売することで、シリーズ物としての離陸を図る「Call of Duty」シリーズ。今後も新作を期待して待ち続けることができそうだ。
実際のプレイ風景。画面の動きが早いために写真がぶれてしまっているが、雰囲気はおわかりいただけるのではないかと思う。左から、塹壕戦、B17の中を移動している様子、B17から爆弾を投下する瞬間となっている |
イメージカットと侮るなかれ、空のグラデーションや、雲や煙の表現はそのままゲームの中で見ることができる。次々と襲いかかるメッサーシュミットをどれだけたたき落とすことができるだろうか |
雨の中での塹壕戦の様子。本作では天候の概念も新要素として追加しており、雨のほかにも雪などが降るという。3枚めの煙の表現や戦場の雰囲気の表現は、前作以上に実際の戦場を感じさせてくれる |
(2004年5月14日)
[Reported by tyokuta]
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