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コーエー、「大航海時代 Online」の発表会を開催
日本以外はクライアントを無料配布、2004年冬正式サービス予定

4月14日開催

会場:コーエー本社ビル

 株式会社コーエーは、2003年11月に正式発表したMMORPG第2弾「大航海時代 Online」の記者発表会を開催した。提供プラットフォームはWindowsのみで、今夏よりβテストを実施し、早ければ今冬にも正式サービスが始まる見込み。対応OSはWindows 98/Me/2000/XPで、パッケージの価格、月額料金は未定としている。


■ フリークライアント戦略で75万ユーザーの獲得を狙う

代表取締役会長襟川恵子氏。「大航海時代 Online」プロジェクトの事実上の舵取り役といっていいようだ
オンラインゲーム担当執行役員松原健二氏。淡々とした口調の中に同作に対する絶大な自信が伺えた
アジア地域の獲得ユーザー目標数。松原氏自ら告白したようにこれはずいぶん控えめの数字。特に中国は見積もりより一桁少ない数字と見ていい
 「大航海時代 Online」は、15世紀から17世紀にかけて西ヨーロッパを中心に発生した大航海時代の海洋冒険ロマンを描いたリコエイションシリーズ「大航海時代」シリーズをモチーフにしたMMORPG。「信長の野望 Online」に続く同社のMMORPG第2弾として、丸2年の開発期間、最大時で100人もの人材を投入し、そしてWindows向けとしては過去最大規模の予算をかけて開発されているビッグプロジェクトだ。

 発表会はまず同社代表取締役会長襟川恵子氏の挨拶から始まった。まず、最近は発表会が終わるとすぐ記事化され、その情報が世界中に公開されるため、メーカーとしてその対応に苦慮していることを悲喜こもごもといった感じで語り、今作は構想直後から日本のみならず、韓国、中華圏、そして東南アジア地域での展開を考えていることを明らかにした。

 また、同社の創業者で、また会長の夫でもあり、現在エグゼクティブプロデューサーを担当しているシブサワ・コウ氏と2000年に行ったというヨーロッパ旅行のエピソードを紹介し、その時から「『大航海時代』はネットワークゲームに向いているなあ」と感じていたという。さらに、同作のプロモーションムービーに関しても、演出やサウンドエフェクトまわりに至るまで細かく注文を付けていることを披露し、会長肝いりのプロジェクトであることを伺わせてくれた。

 続いて登壇したネットワークゲーム担当執行役員松原健二氏は、各種統計資料を引き合いに出しながら、昨今のネットワークゲームの取り巻く環境についてコメントした。中でも強調されていたのは、年々日本国内のゲーム市場が冷え込んでいるのとは対照的に、圧倒的な勢いで右肩上がりの成長を続けているということだ。

 事実、同社は一度中断した中華圏市場への本格参入を再び検討しており、「信長の野望 Online」と「大航海時代 Online」という性質の異なる2種類のMMORPGをもって、大々的に展開していく方針のようだ。「大航海時代」シリーズは中華圏と韓国の両市場で、「信長の野望」や「三國志」をしのぐほどのネームバリューを誇っており、同社のMMORPG第2弾が「三國志」ではなく「大航海時代」になったのは、多分に中華圏市場からの強い要請があったものと見られる。

 「大航海時代 Online」は、Windowsのみでアジア規模での展開を考えており、日本についてはパッケージ販売と月額課金という従来通りのスタイルを採用し、その他の地域についてはクライアントは無料で、月額料金のみでのビジネスモデルを検討しているという。日本のみやや高いハードルが設定されることになるが、こうなると月額の利用料金設定が気になるところだ。

 運営については国別に提供されている同社のゲームポータルGAMECITYを通じてサービスが展開されることになる。運営も各国の法人に一任するため、サーバークライアントとも国別で用意されることになる。最後に松原氏は、ゲームのターゲットについて、「大航海時代」シリーズのファンに加えて、「新しいタイプのオンラインゲームを待ち望むゲームファン」を挙げた。

日本と中国の市場規模を比較した資料。見事に左右対称になっている。しかし、よく見ればわかるが、日本はパッケージゲームを対象にした2002年までの数字なのに対して、中国はオンラインゲームのみの予測で2004年までの数字を出している。ある意味数字のマジックを利用したグラフだが、オンライン市場に関して、日本より中国のほうが成長率が高いのは事実だ

「大航海時代 Online」の基本展開について明らかにしたパネル。こっそり「信長の野望 Online」Windows版のアジア展開が明らかにされている。

【オープニングムービー】
オープニングムービーの一部。発表会で初公開されたプロモーションムービーでも同様の映像が見ることができた。このオープニングムービーにはBGM代わりにハミングを挿入するなどユニークな試みが盛り込まれている。主導しているのは襟川会長だという


■ 冒険、交易、海戦。3つの生き方が選べる自由なゲームデザイン

デルフィンチームリーダー上野彰三氏。交易や海戦シーンはβテストでのお楽しみということだ
夕暮れ時の海域を進む艦隊。最大艦数は5隻、つまり最大5人パーティーとなる
ロンドンの酒場でコミュニケーションを楽しむ。チャットは吹き出しとログの2段階で表示される。よくまとまったインターフェイスだ
ストーリーを進めると遭遇できるNPCたち。海賊、海商、総督、族長などさまざまな容姿のキャラクタが用意されている
 ゲームの説明を担当したのは、社内の開発チーム「デルフィン」のリーダー上野彰三氏。上野氏は、かつて「三國志 Battlefield」のプロデューサーを担当し、そのほか携帯向けのコンテンツなど、主にオンライン畑を歩んできた人物だ。

 上野氏は、「大航海時代 Online」はモンスターと戦って成長していく従来のMMORPGとはまったく異なり、新航路の探索や遺跡探検、交易、海戦など、新しいタイプのオンラインゲームを待ち望むユーザーのためのMMORPGであることを強調した。

 プレーヤーの分身である主人公の役回りについては、ポルトガル、イスパニア、イングランドといったヨーロッパの海洋国家のいずれかに所属する一隻の帆船を持つ船長とし、冒険家見習、商人見習、軍人見習の3種類の基本職業のいずれかを選択し、大航海時代に乗り出すことになる。ちなみに職業は大総督、大海賊など全部で50種類前後になるという。

 基本的なゲームの展開は、各職業が所属しているギルドに赴き、いわゆるクエストを請け負い、それを仲間と共に達成していくことになる。このあたりの展開は「信長の野望 Online」に近いものがあるが、同作の強みはストーリーが用意されているところだろう。

 「大航海時代 Online」は、クエストを達成して名声を高めることで、所属国の王から勅命が下る。勅命が下ることにより、新たな海域への進入が許可され、新しいエリアでその勅命を遂行していくことになる。この勅命は、「ファイナルファンタジー XI」における所属国別のミッションのようなシステムと捉えて良さそうだが、勅命遂行中にはイベントキャラクタが登場し、所属国家の情勢に応じたストーリーが展開するという。

 また、この勅命は、場合によっては大海戦(大規模PvP)の引き金になる場合もあるということで、大きな可能性を秘めた新システムだ。ストーリーを楽しみたい人、明確な目的が与えられた方がモチベーションが上がる人には、いいシステムだ。

 なお、今回は実機を使ったリアルタイムデモも見ることができた。フランス南部の港湾都市マルセイユからスタートし、そこで仲間を集めて艦隊を編成し、地中海を突っ切ってトリポリへ向かい、そこでクエストを達成したあと、クエストを受けた冒険者ギルドがあるイスパニアの首都セビリアで報酬を受け取るという内容。

 デモではところどころデバッグコマンドを使ってワープしていたが、距離にして数千kmにも及ぶ大航海で、実際は軽く数時間はかかりそうな内容だった。航海中も艦隊(パーティー)チャットが可能だが、まだアルファ版のためか、航海中のイベントはまったく発生せず、退屈しそうな印象だった。いずれにしてもタイムスケールは数分の1に短縮されるということだが、それでも新大陸を目指す場合は、直行しても軽く数時間はかかるだろう。βテストでは航海中の処理をどうするかが大きな検討材料のひとつになりそうだ。

 オリジナル開発のゲームエンジンは、フル3D、フルインタラクティブのビジュアルを実現しており、際だった演出こそ見られなかったが、全体的にそつのないディテールで、個人的には好印象だった。具体的には海面への環境マッピングや、朝日が昇る際のグレア表現など、MMORPGとしては贅沢な3D表現を駆使しつつ、キャラクタモデルは適度なポリゴン数に抑えたり、地面や遠景にはLoD(Level of Detail)を採用するなど、ゲームパフォーマンスにも気を配ったバランスのいいビジュアルだった。これならビジュアルにやかましいコアユーザーも満足させつつ、マシンスペックもそれほど高いものは要求しないだろう。

 さてクエストの内容は遺跡を発見するというもので、トリポリ寄港後に、街の門を抜けてフィールドに行き、その奥にある遺跡の前で視認スキルを使用することで発見したことになるようだ。クエストを達成するとギルドから報奨金と名声がもらえる。これは行動を共にしたメンバーにも自動的に分け与えられるようになっており、システム的にヘルプしやすいようになっている。

 ちなみに野外フィールドについては、敵対生物や旅人の姿はなく、完全に無人の荒野といった印象だった。エンカウントバトルが発生することもないようで、海域に加えて、野外フィールドにどうメリハリを付けるかも今後注目されるところだ。

 デモ終了後は質疑応答が行なわれた。矢継ぎ早に日本のプレスのほか、海外のプレスからの質問が相次ぎ、注目度の高さを伺わせてくれた。この質疑応答では、サーバーキャパシティは5,000人を想定していること、初期時点の世界の広さはヨーロッパ圏を中心とした海域とし、明言はしなかったが新大陸や極東エリアは拡張キットでの追加になること、艦隊の枠を越えたコミュニケーションシステムとして商会(いわゆるギルド)の存在、戦闘については白兵戦はなく、テンポの良さを重視した内容になるといったことが明らかにされた。

【スクリーンショット(海上)】
寄港先でたっぷり資材や食料、弾薬を積み込んで出航する。時間の進みはかなり早く、太陽の動きがはっきりわかるほど。航行中は雨や嵐といった天候変化も発生する

【スクリーンショット(街、野外)】
ロンドン、リスボンといった首都は大規模な街が構築されている。それ以外にもヨーロッパ中に無数の寄港地が用意されている。所属国によって展開がかわる。どこを選ぶか悩むところだ

【職業】
プレーヤーは3つの職業から選択できる。これはあくまで大項目で、ストーリーを進めていくことでさまざまな職業に枝分かれしていく。職業の違いはギルドで得られるクエストの内容と習得スキル。軍人でも交易したり、冒険することは可能なので、あまり深く考えなくてもよさそうだ

【デモンストレーション映像】
本日行なわれたリアルタイムデモの一部始終を収めた映像。マルセイユ酒場からスタートし、地中海航海を経て、トリポリ、トリポリ東、レプティスマグナの遺跡、セビリアとなる。途中、トリポリからセビリアの航路はカットされているが、実際は軽く数時間はかかりそうなコースだ

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□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp
□「大航海時代 Online」のホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/dol/
□関連情報
【2003年11月18日】コーエー、中間決算概要説明会でMMORPG「大航海時代ONLINE」発表
襟川氏「PSP発売と同時期にソフトを発売したい」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031118/koei.htm

(2004年4月14日)

[Reported by 中村聖司]


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