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Microsoft Chuck Blevens氏インタビュー
「Halo」フランチャイズの今後の構想を聞く

2月17日収録

会場:INTERNET PC CAFE

 「Halo for Windows Worldwide Championship」の仕掛け人として、大会運営に携わった米MicrosoftのPromotion & Event ManagerであるChuck Blevens氏。E3前に「Halo」フランチャイズの今後の展開を聞く絶好の機会ということで、大会終了後の打ち上げパーティー直前のわずかな時間を利用して単独インタビューに応じていただいた。

 今後、「Halo」フランチャイズの中核製品となる「Halo 2」に関しては、Microsoft Game Studiosの膨大なタイトル群の中でももっとも戦略性の高いタイトルであるため、具体的な話はほとんど聞かれなかったが、米Microsoftの「Halo」世界戦略の一端を聞くことができ、非常に興味深かった。なお、インタビューには会場に視察に訪れていたBungie StudiosのCommunity Development Manager Brian Jarrard氏にも同席していただいた。


■ 北米は意外にもゲーム大会ビジネスの後進国

編集部 まず最初に、「Halo for Windows Worldwide Championship」の開催に至るまでの経緯についてお聞かせください。

Microsoft Chuck Blevens氏 事の発端はユーザーコミュニティの間から生まれてきた。「Halo」の発売直後から個人戦や団体戦の大会を開催してほしいという要望があって、今回の大会はそうしたユーザーの希望に答えたものだ。Microsoftとしても単に名前だけ貸すのではなく、実際に大会のサポートをすることが重要だと考え、Igamesというパートナーと一緒に大会を開催する運びとなった。

 最初は北米限定の構想だったものが、後に構想がふくらんで世界大会になってしまったということですが。

Chuck Xbox版は最初から北米限定という計画だったが、大会開催によって多くのことを学び、Windows版ではワールドワイド規模にしたほうが良さそうだと判断し、初めての世界大会にした。

 Xbox版の北米大会で学んだことというのは何でしょうか?

Chuck Windows版で世界大会をやろうと思ったのは、Xbox版の大会そのものでヒントを得たわけではなく、Windows版はワールドワイドレベルで見ればXbox版よりインストールベースが多いため、北米だけで終わらせてしまっては有効なプロモーションにならないと考えたからだ。

 実際に大会を終えてみて、どのような感想を持ちましたか?

Bungie Brian Jarrard氏 一言でいうと非常にクールな大会だった(笑) 企画段階からこれが世界大会であることは認識していたが、実際に世界中から集まった19カ国の代表選手の顔を見ることで、こんなに様々な国の人たちに我々のゲームがプレイされているんだということを実感し、目が開かされた思いがした。

Chuck 私のほうからひとつ付け加えておくと、今回集まった19カ国の選手は言葉も違えば文化も違うわけだが、「Halo」を媒介して同じ楽しみを共有できるということが素晴らしいと思ったね。

 今回参加する前はさぞかし大量のギャラリーが応援に駆けつけるものと想像していましたが、実際にはギャラリーは家族やプレスぐらいで一般からの参加はほぼゼロだったように思います。このあたりの方針はどうなっていたのですか?

Brian 北米でも今回のようなネットカフェを使ったゲーム大会はいくつか行なわれているが、ギャラリーが観戦するという風習はあまり一般的ではない。北米全体で見てもトーナメント戦の数は増えているし、賞金総額も高くなっているが、一般ユーザーがゲーム大会を観戦するというのはまだまだ珍しいと思う。

 すると、ショービジネス的なゲーム大会の運営は、実は日本の方が進んでいて、米国はやや遅れていると考えていいのでしょうか?

Chuck そのとおりだ。北米におけるエンターテインメントビジネスの中で、ゲームの地位は高くない。それを日本や韓国などと同様のレベルまで活発化させることが我々の仕事になるが、現時点ではゲーム大会をショービジネス的な観点で運営したことはない。

 PCゲームの場合はさらに状況はひどく、日本と同じように北米でもゲームといえばコンソールゲームのことを指している。アメリカ人が、エンターテインメントということを考えた場合、PCというのはオフィスで使うものというイメージが根強いため、我々としてはいかにPCゲームがエンターテインメント性が高いものであるかをコンソールゲーマーに紹介することに苦心している。


■ 「Halo」フランチャイズの今後、そして「Halo 2」について

 「Halo」は全世界ででどれぐらい売れているのですか?

Chuck Xboxは400万本以上。PC版が昨年末の時点で50万本。Microsoftのゲームプロダクトとしては過去最高に近い売れ行きだ。

 日本で「Halo」というと、まだまだシングルプレイに特化したFSFPSという印象が強いのですが、それでもPC版発売後は、オンライン対戦も楽しいゲームという認識が徐々に広まりつつあります。こうしたユーザーレベルでの意識の変化についてどのように捉えていますか?

Brian 北米では特にPC版の発売によってユーザーの意識が変わったという感じはない。というのは北米では「Halo」のインターネット対戦に必要なインフラが整っているのが大都市に限定されているためだ。北米全域にインフラが整えば、ユーザーの意識が変わるのは早いだろう。Bungie.netをチェックすると、常に100以上のLANパーティーが開催されていることがわかる。潜在的な需要は非常に高いはずだ。

Chuck 米国ではブロードバンドの普及率がわずか15%しかない。すでにインフラが整っている日本や韓国とは違い、北米ではオンラインプレイに対応したキラーコンテンツを投入することで、インフラの導入を促進させる必要性があるわけだ。

 ここ数年でCPLやWCGなど、ワールドワイドレベルのゲーム大会がすっかりメジャーな存在になってきましたが、この点についてどのように考えていますか?

Brian CPL Winterは私も観戦に行ったが、賞金が300万という高額なものになっており、高い注目を集めるのも当然という気がする。またゲーム大会のメジャー化については私は諸手を挙げて歓迎している。

 WCGに関しても、昨年はXbox版が正式種目のひとつに選ばれたこともあって、Bungieから手伝いたいと申し入れて積極的にサポートしたという経緯がある。

 現在、「Halo」はXbox版とPC版と中身の異なる2つのプロダクトが存在するわけですが、今後「Halo」フランチャイズはどうなるのでしょうか?

Brian ゲーム大会の主催者あるいは一般ユーザーから、もっと大会に適したトーナメントモードを入れてくれといった要望をもらっている。それらの要望にできるだけ応えていくつもりだ。

 今のお話だと、「Unreal」と「Unreal Tournament」のように、別々のプロダクトとしてリリースされるような印象もありますが、「Halo」のマルチプレイ特化バージョンのリリースは考えられるのでしょうか?

Brian 私はあくまで開発会社の人間だから、開発したゲームがどういう形で販売されるのかはわからないが、個人的にその選択肢はないと思う。やはり「Halo」の魅力はアドベンチャー要素たっぷりのシングルプレイにあり、マルチプレイはそれに従属するものという扱いは今後も変わらないだろう。開発者としてはいずれか一方だけではなく、どちらも楽しんでもらえるように開発を進めていくつもりだ。

 「Halo」はネットコードがウィークポイントであるという指摘を良く聞きますが?

Brian そういう報告は我々の方でも受けている。Windows版はもともとオンライン対戦できなかったXbox版をベースにオンライン対戦モードを付け加えたものだから、開発は非常に難航した。ネットコードが優秀な「Counter-Strike」などはもともとPCゲームであり、オンライン対戦機能も標準で備えていた。Gearboxはいい仕事をしてくれたと思っている。

 とすると、Xbox Live!対応として開発が進められている「Halo 2」ではネットコードの問題は解決済みと捉えていいのでしょうか?

Brian 現時点で我々が言えるのはいいものを作るということだけだ。

 「Halo 2」ではXbox版とWindows版が同時発売されて、同じサーバーでプレイできることを期待しているのですが。

Brian 「Halo 2 for Windows」に関しては一切アナウンスしていない。現在はXbox版の開発に注力している。ただし、もし出るとすれば、その移植作業は「Halo」の時よりも格段に容易になるだろう。

 「Halo 2」のマルチプレイはどのようなものになるのでしょうか?

Brian シングルプレイとは違った楽しさをいかに出していくか。現時点では具体的なことは何も話せないが、オフライントーナメントの開催も視野に入れ、「Halo」よりももっとおもしろいものになることだけは確かだ。

 最後の質問です。「Halo」の世界大会は来年も開催されるのでしょうか?

Chuck こうした大会に対する要望は最初に伝えたように非常に高いので、今後も引き続き似たようなゲーム大会の開催を検討していきたい。

 それはより多くの参加国、参加者が集まる、より大規模な大会にするということでしょうか

Chuck そうなるかもしれない。我々としては「Halo for Windows Worldwide Championship」を早く名実共に世界的な大会にしたいと考えている。

 ありがとうございました。

□Microsoftのホームページ
http://www.microsoft.com/games/
□「Halo for Windows Worldwide Championship」のホームページ
http://igames.org/tournaments/MiniNewsView.asp?MiniID=3&AssetID=24
□関連情報
【2月18日】「Halo World Wide Championship」日本予選決勝大会が開催
Windows対Xboxのエキシビジョンマッチが実現
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040218/halo_01.htm
【1月19日】「Halo World Wide Championship」日本予選決勝大会が開催
Windows対Xboxのエキシビジョンマッチが実現
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040119/halo.htm

(2004年2月19日)

[Reported by 中村聖司]


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