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★PS2ゲームレビュー★
■ 「やりたい放題」とはどういうことなのか? 「ファントム・ブレイブ」の謳い文句である「やりたい放題シミュレーション」をプレイ後に解釈するならば、「自由度が高く、戦闘マップ上で使用できるオブジェクトが極度に多いシミュレーションRPG」といったところだろうか。
その自由度の高さをかいつまんで説明すると、引っこ抜いた木やユニットの死体を武器に転用できるといった傍若無人ぶりだ。ここでは“やりたい放題”の魅力をさらに深く知るべく、今作の「(アイテムを)持つ」、「投げる」、「コンファイン」、「場外」といった珍しい要素と、同社作品「魔界戦記ディスガイア」の流れをくむキャラクタ育成の醍醐味を紹介していきたい。
■ ファンタジーでおなじみの種族をメイキング可能
プレーヤーが作成できる味方キャラクタユニットは、キャッチーな絵柄と種族の多さが魅力。ファイター、ナイト、アーチャーといったファンタジージャンルの定番ユニットはもちろん、ゾンビ、ネコサーベル、フェンリルなど、魔族に至るまでの数十種類が登場する
■ 戦闘パートの基本操作は直感的で動かしやすいのだが…… 戦闘パートについては、直感的に何をすればいいかがわかりやすく設計されており、相当インターフェイスに気を使っているのだなと感じられた。たとえば、ユニットの移動システム。一般的なシミュレーションゲームならユニットの移動力を調べて何ヘックス(orブロック)分進めるか、地形効果により移動力の影響はあるかなど、移動を実行する前に綿密な情報収集を必要とすることが多い。だが、「ファントム・ブレイブ」の場合は、ユニットを中心とした赤い円の範囲内で移動先を指定するだけで良い。いわばマウス操作におけるドラッグ&ドロップにも似た感覚だ。
もし移動に失敗したと感じた場合は、×ボタンを連打すれば直前の状態に戻ることが可能。自分が納得いくまでやり直しができるというユーザーフレンドリーな移動システムになっている。好きなようにユニットを動かせるという点で、シミュレーションゲームが苦手な人にも適したタイトルといえる。
攻撃に関しても、プレーヤーの直感とセンスが問われる所が多い。今作ではマップ上のオブジェクト――木、岩、ドクロ、樽、ユニットやユニットの死体(!)など、さまざまなオブジェクトを「持つ」または「投げる」ことが可能。オブジェクトアイテムを持ち上げることで、ユニット本体のスキル(攻撃技)にアイテム固有のスキルが追加される。敵ユニットの攻撃で武器を落としたとしても、近くにいる敵を持ち上げて「人間凶器」として活用することができるのだ。「持つ」動作は全ユニット共通の動作なので、思いつくままにアイテムを拾って使うだけでも、立派な戦法として通用する。
「ファントム・ブレイブ」における攻撃や移動などの基本システムは、キャッチーでわかりやすいと筆者は思う。だが、高度な戦術の根幹であり、同時に初心者が頭を悩ませてしまいがちな独自のシステムが本作には存在する。それが次から説明する「コンファインシステム」だ。
■ ユニットを任意のタイミングで戦場に呼び出せる「コンファイン」
戦闘がスタートすると、マップ上に存在する味方ユニットはマローネひとりだけ。味方ユニットをマップに出すためには、オブジェクトアイテムの岩や木などに味方の霊魂を憑依させる必要がある。これが「コンファインシステム」である。イメージしやすいように補足するならば「マップ上に存在するアイテムを味方ユニットに変身させるシステム」と考えればいい。
コンファインで登場させたユニットは、戦闘マップに存在できる時間に限りがある。一定回数行動させると、ユニットはマップから取り除かれてしまうのだ。取り除かれたキャラは同一マップに再登場できない。この「味方ユニットは一定時間しか存在できない」というコンファインの性質が、戦闘の鍵を握る。 たとえば、スタート時に主力級の味方ユニットを並べたとする。だが、仮に戦闘が長引いてしまうと、次々と味方ユニットが時間切れで消滅し(アイテムに戻る)残存する敵ユニットが撃破不能という事態に陥る。大量のユニットをコンファインで登場させ一気に敵勢力を殲滅させるか、長期戦を見越してユニットを小出しにするか……このコンファインのさじ加減が最大の醍醐味であり、悩みどころでもあるのだ。
さらに、アイテムとアイテムの間には「プロテクション」という特殊な影響が発生することがある。たとえば、岩と木がプロテクション関係にあり、岩がプロテクション「攻撃力+30」を与える側であった場合は、木はプロテクション「攻撃力+30」が付与されていることになる。この木に味方キャラクタをコンファインさせると、攻撃力に+30のボーナスが付くという仕組みだ。
「コンファイン」は非常に斬新なシステムだが、唯一のネックはそのルールの複雑さ。親切なチュートリアルはあるのだが、プロテクション、パラメータ変化などのルールが二重三重と絡んでくるために、完全に理解するにはかなりの時間を要するだろう。
チュートリアルのメッセージそのままなのだが、コンファインシステムは「いつ、どのアイテムに誰の霊魂をコンファインさせるか?」といった作戦を立てることが最大の楽しみと筆者は考える。自分のイメージした作戦通りにマップをクリアできた場合は、確かな充足感が味わえる。
やり込み要素を極めるために、数多くのアイテムが必要となる今作では、持ち帰りボーナスがプレーヤーの物欲を刺激する。持ち帰りを成功させるために、敵のザコユニットを一体残し、味方ユニットがリムーブするまでじっと行動終了を繰り返す。「持ち帰り成功率64%なのに失敗しやがった!」と、本来のステージ攻略を忘れて泣く泣くリセットする場面も数回あったほどだ。
■ 敵・味方問わず一撃で排除の「場外」 戦闘でもうひとつ、クセのあるシステム「場外」を説明しておこう。アイテムやユニットがエリアマップの外に落下すると「場外」扱いとなる。場外となったアイテムやユニットは、二度とマップに復帰することができない。ただし、敵を「場外にすると、マップに残った敵キャラクタがランダムでレベルアップする。
デメリットもあるが、ここで重要なのは、たとえレベル1の弱小ユニットでも、高レベルのユニットを持ち上げて場外に投げ捨てれば「場外勝ち」ができるという点。ターンが回ってくる速度の早いユニットをそろえておけば、バトルが始まったと同時に「持つ→投げる」、「ジャイアントスイングなど場外に押し出す系統の攻撃を当てる」ことで、敵戦力を一掃することも可能だ。
もちろん、すべてのアイテムやユニットに「場外システム」が適用されるわけではない。アイテムを持った状態のユニットは持つことができないし、投げ禁止や場外禁止プロテクションが作用しているユニットやアイテムも場外の恐怖から免れる。また、敵勢力の一番最後に残ったユニットも場外に投げられない。こうして条件を列挙すると、場外を狙うのは困難に思えるが、実際のバトルでは敵ユニットはそれほど場外を警戒していないため、バリバリと場外が狙えるのが楽しい。
「場外システム」を初めて見た時は、ユニットが一撃で消滅するというぶっ飛んだ豪快さに正直言って頭を抱えてしまった。だが、マップを進めていくうちに感覚は逆転。ケースバイケースではあるが、場外システムを中心にマップ攻略を考える脳内ロジックができあがっていたから不思議だ。一歩間違えばゲームバランスの破綻にも繋がりかねない「場外」だが、前述のように戦術に組み込めば、これほど効率の良い勝ち方はない。賛否両論はあるだろうが、やりたい放題がテーマの「ファントム・ブレイブ」にはふさわしいシステムだと思う。
■ やり込み要素の2大柱:「ランダムダンジョン」と「アイテム改造・合成」 日本一ソフトウェアの意欲作「魔界戦記ディスガイア」にあったやり込みがいのあるキャラ育成のように、「ファントム・ブレイブ」にもプレーヤーのチャレンジ精神をサポートする仕掛けがふんだんに盛り込まれている。それが「ランダムダンジョン」と「アイテムの改造と合成」だ。
ランダムダンジョンは、入るたびにマップや敵が自動生成されるダンジョンのこと。ランダムダンジョンは作成する時点で敵のレベルが調整できるため、味方ユニットの経験値稼ぎに最適の場所。ユニットのレベルが短時間で跳ね上がっていくのは、何とも気持ちがいいものである。
合成は、ふたつのキャラやアイテムをひとつにしてパワーアップを図るシステム。強化させたいアイテムに、他のアイテムやキャラクタのステータスやスキルを合成・移植させることが可能だ。アイテムを装備した時の性能、コンファインした時の性能も引き上げることができるので、マナが貯まったらすぐに使っていきたい。
改造と合成を繰り返すことによって、キャラクタやアイテムをディープにカスタマイズすることが可能。かくいう筆者も、幽霊青年アッシュにスキルを集中させるため、しばらく「ランダムダンジョン」と「改造・合成」の魅力から抜け出せなかった。
■ ランダムダンジョン中毒症にご注意 クリアまでの総プレイ時間は40時間38分。全20話と書くとボリュームが少な目に感じるが、マップ数は100マップ以上こってりと用意されており、クリアがとても長い道のりに感じられた。ストーリーをこなすだけでもかなりの時間が必要になるだろう。これがもしストーリーマップだけなら中弛みした可能性があったかもしれないが、ランダムダンジョンや合成を間に挟むことで、飽きることなく物語を楽しむことができた。 筆者は久しくキャラクタ育成系のやり込みとは縁遠い生活を送っていたが、「ファントム・ブレイブ」のランダムダンジョンや合成で、若かりし日の情熱が再燃した気がする。そういう意味では、全国のおっさんゲーマーたちのリハビリにもってこいのタイトルともいえる。マローネ嬢には「おじさま」と呼ばれそうですが……(なんという推薦なんだか)。
本作は、キャラクタ育成のやり込みに関しては間違いなくロングスパンで楽しめる。日本一ソフトウェアの「ラ・ピュセル」や「魔界戦記ディスガイア」を未プレイの人にもオススメできる一本だ。今はまだ明かせないが、日本一ソフトウェアのタイトルをプレイした人にとっては嬉しいオマケもあるので、ぜひ「ファントム・ブレイブ」をプレイしていただきたい。
本DVDは、同社の歴代作品「マール王国の人形姫」、「リトルプリンセス」、「天使のプレゼント」、「ラ・ピュセル 光の聖女伝説」、「魔界戦記ディスガイア」のプロモーションムービーが収録された特別バージョンです。 これを「ファン垂涎」と言わずしてなんというのかっ!!と力説したくなる今日この頃ですが、いくら力説したところで、読者プレゼントにつき私腹を肥やすことはまかりならんわけで……あ、そうだ。今のうちに「1名様」に変えちゃえー。とか思ったら横でデスクが激睨みにつき、生命財産に危機感を覚えたため前述のとおり2名様に進呈させていただきます。どしどしご応募くださいませ。
記 者 : ……せめて開封してリッ
応募締切 :2月20日 12:00(正午)まで
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□日本一ソフトウェアのホームページ (2004年2月12日) [Reported by 福田柵太郎]
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