Xboxキーパーソンインタビュー
Xbox Live開始と、台湾オリジナルメーカーによって
大きな変化を迎える台湾のXbox
昨年に引き続き、台湾MicrosoftのHome & Entertainment部門を統括する周文英(Grace Chou)さんに伺った。非常に気さくな雰囲気を持った方で、筆者の質問に、笑顔で応えていただけた。今回は特に「台湾ならではの展開」についてのお話になり、言葉の端々からXboxの台湾における意気込みが感じられた。
■台湾でのXboxの状況
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台湾MicrosoftのHome & Entertainment部門を統括する周文英さん。インタビューでは台湾ユーザーの反応から、イベントの計画、さらにMicrosoftの戦略までさまざまな質問をさせていただいたのだが、よどみなくお答えがいただける。まさに、リーダー的な役割を担っている方なのだということを実感させられた |
Q.台湾でのXboxのユーザ数、普及状況をお知らせください
A. ユーザー数などは台湾だけの情報は取っていません。日本、韓国、オーストラリア、台湾などで130万台です。
現状を“感触”という言葉で表現すれば、確かな手応えを感じています。台湾ではPS2をふくめたゲーム市場は確実に増加しています。体感的なものですが、昨年までは台湾の市場はコンシューマが3に対して、PCゲームが7という感覚でしたが、今年は4:6といったところです。PCゲーマーが減っているのではなく、むしろ増加している。両方が増加しており、コンシューマーの伸びが大きいということです。台湾政府の機関の調査でも、コンシューマ業界の大きな成長は報告されています。
Xboxユーザーの特徴として、昨年以上に低年齢層のユーザー、女の子のユーザーが増加したということがあげられます。台湾では、Xboxユーザーはどちらかというと「カジュアルゲーマー」なのです。PS2のソフトの方が、“クールでホットだ”と受け取られていて、年齢層の高いユーザーが多い。15歳以下のユーザーが多いのは圧倒的にXboxの方なのです。
人気を集めたXboxタイトルは「PROJECT GOTHAM RACING 2」、「MAGATAMA」そして「Counter-Strike」です。多いものは、7,000本以上のセールスを記録しています。
「Counter-Strike」は、まだXbox Liveは始まってないため、通信対戦ができませんが、それでも強い人気を誇っています。プレーヤーはシングルプレイを楽しんでいるのです。台湾ゲーマーはPCゲームで非常にポピュラーなこのタイトルに強い興味を持ってくれています。Xbox
Liveが始まれば、このタイトルの人気はさらに高まるでしょう。
最近では「ソニックヒーローズ」と「O-TO-GI」が人気を集めました。特に「O-TO-GI」は年末に発売されてから、もう3度も売り切れになってしまうほどの人気でした。台湾ユーザーにとって、日本のゲームは非常に人気が高いです。特にセガとテクモの人気が高いですね。
Q. 台湾ではXboxはどのくらいの規模で販売されているのですか?
A. 台湾には、1,500ほどPCゲームコンシューマゲームを扱っているお店があります。中にはコピー商品を大きく扱う店もありますが……。Xboxを扱っているお店は半分ほど。直営店などは置いていません。
■いよいよスタートする台湾でのXbox Live
Q. 次にXbox Liveのことについてお聞きしたいと思います。正式サービスの日時をお知らせください。
A. 2004年の4月中旬です。昨年のインタビューでは2003年中とお答えしたのですが、Xbox Liveの課金の関係で、台湾政府の許可が下りず、この時期になってしまいました。本来はオーストラリアや韓国と同時にサービスを開始したかったのですが……。スタート時の課金方式は日本と同じ、クレジットカードのみとなります。
Q. Xbox Liveでは、どのくらいのユーザーを見込んでいるんでしょうか?
A. 具体的な数字はお知らせできませんが、明るい見通しがあります。Taipei Game Show 2004では6日に先着100名を対象にしたXbox
Liveスターターキットののプレゼントイベントを開催したのですが、会場と同時にたくさんのファンが来てくれたのがうれしかったですね。インターネットでも同様の先着イベントを開催したところ、30分で100名に達してしまいました。ユーザーの興味が非常に強いことを実感させられました。
Taipei Game Show 2004はもちろんとして、年末に台北で行われたIT関連での台湾最大のイベント「Info Month」でも出展したときはユーザーの反応は非常に良かったです。イベント中に2,000台の売り上げがありました。
こういった大きな催し物に出展する以外にも、独自にアピールするイベントも計画中です。「4days event」というタイトルで、Xbox
Liveを紹介するイベントです。現在、大きな会場を探しているところです。ちなみに、台北の三越でも開催したことがあります。私たちは、販売店規模での小さなイベントではなく、大きな場所での、大規模なイベントをやることでアピールしていきたいと考えています。
Xbox Live対応のソフトも充実させていく予定です。スタート時には30以上のタイトルが用意できるでしょう。その中には、台湾で発売される完全オリジナルタイトル「Daemon
Vecter」もあります。XPECという台湾のメーカーによるアクションでXbox Liveを介して、多人数での冒険が楽しめます。さらに「バタフライ」というタイトルもあります。こちらも台湾のメーカー、インターサーブから発売されます。
Q. Xbox Liveのユーザーは英語圏の人が多く、日本のユーザーの中からは、英語が苦手で参加しにくい、といった声も聞かれます。台湾のユーザーはそういった心配はないでしょうか?
A. オンラインゲームに親しんでいる台湾ユーザーは大丈夫だと思います。むしろ、積極的に韓国や日本、さらに世界のユーザーと話したがると思いますよ。
■Microsoftがバックアップする台湾オリジナルメーカー
Q. 先ほどお話に上がった台湾オリジナルタイトルについてお聞きしたいと思います。XPECやインターサーブ以外にもオリジナルタイトルを製作する台湾ゲームメーカーはこれから増えてくるのでしょうか?
A. 現在10社ほどが名乗りを上げています。ガマニアや、オーディンといったメーカーです。これまで、コンシューマゲームを作る台湾メーカーというのはほとんどありませんでした。しかしこれからはXPECの「Daemon
Vecter」を皮切りに、多くのタイトルが出てくる予定です。
これらのタイトルはもちろん台湾だけでなく、アメリカや、日本でも発売されます。「Daemon Vecter」は日本語版も発売されますし、「バタフライ」は日本ではサミーと組んで展開していきます。「バタフライ」はMMORPGという見方もできますが、厳密に言うと名前が付けられないジャンルのゲームになりそうです。これからの情報を楽しみにしてください。
この時期になって台湾の各メーカーがオリジナルタイトルを発表していく背景には、台湾Microsoftのみならず、米国本社もふくめた積極的な働きかけがあります。開発機材を貸し出し、セミナーを開催、さらに米国市場へ販売するための橋渡しなどさまざまなバックアップをしているのです。台湾のメーカーには、特にXbox
Liveを視野に入れたゲームを作っていってもらおうと考えています。
台湾と、本社にも彼らをサポートするチームが組まれています。台湾のユーザのニーズに合う作品を製作できる体制を目指しているのです。これらの計画はしばらく前から実行されており、ようやく実を結びつつあります。台湾メーカーによる、台湾ユーザーに強くアピールできるソフトを制作していく。こういった体制を作り上げることは、私の使命だとも考えています。
Q. 周さん個人では、どのような台湾製のゲームが生まれてきて欲しいと考えていますか?
A. 台湾ならではの、台湾ローカルの題材を扱ったゲームが生まれてきて欲しいです。題材としては、三国志、武侠小説、そして麻雀でしょうか。麻雀はまだXboxで出てきてないゲームなので、是非とも欲しいです。Xbox
Liveで、4人で麻雀を打ちたいですね。
Q. 最後にXboxユーザーにメッセージをお願いします。
A. Have Fun! Play together! 昨年のインタビューではPlay more!だったのですが、Xbox
Liveで、私たち台湾のユーザーと、日本のユーザーは接点を持つことになります。一緒に、互いに楽しみましょう!
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台湾Microsoftは、Taipei Game Showが開催されている世界貿易中心から歩いて10分ほどのビルの中にある。一年ほど前にテナントとして入ったというビルは非常に立派で、新しい。他には、IBMやエプソンが入っているという。インタビューの日は土曜なため、通常業務はお休み。インタビューはこの中での予定だったが、急遽ホテルでということになり、残念ながら中の様子を見ることはできなかった。 |
□Taipei Game Show 2004のホームページ
http://tgs.tca.org.tw/
□関連情報
【2003年2月23日】Xboxキーパーソンインタビュー 台湾編
~ 台湾でのXboxLive成功の鍵は、プリペイドカードが握る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030223/tgsxb.htm
(2004年2月8日)
[Reported by 勝田哲也]
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