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★Xboxゲームレビュー★
実在した都「平安京」を舞台に、武器や巫術で妖鬼を倒していく後方視点の3Dアクションゲーム。「O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~」 では、前作「O・TO・GI」の主人公「源頼光」のほか、新主人公の陰陽師「安倍晴明」が登場。さらに「頼光四天王」も加わり、プレーヤーキャラクタは総勢6名に増加。それぞれ攻撃や移動などといった能力に特徴があり、それぞれ異なったスタイルでプレイが楽しめる。
全27ステージには「ステージボスを討伐する」、「結界を守り抜く」といったクリア条件が与えられており、それぞれの条件をクリアしながらゲームを進めていく。プレーヤーキャラクタには体力ゲージのほかに、時間の経過とともに減少していく巫力ゲージが設定されている。巫力ゲージが残っている間は、敵の攻撃などで失った体力が自動的に回復する。体力ゲージがゼロになると生命力の珠を一個消費し、すべての生命力の珠が無くなるか、転落死するとゲームオーバーになる。
筆者が「O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~」を推すポイントを簡潔に列挙すると……
■ 妖鬼と6人の闘士が織り成す御伽絵巻 プレーヤーが選択できるキャラクタは、実に個性豊かな戦士が揃っている。スタンダードタイプの主人公キャラクタである「源頼光」、パワータイプの「坂田公時」、攻撃範囲が広い「渡辺綱」、移動速度が早い「碓氷貞光」、巫術と滞空制御に長けた「卜部季武」、そしてもうひとりの主人公である「安倍晴明」。 フロム・ソフトウェアの作品は、クオリティと同時に難易度の高さでも定評があるが、「O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~」も例外ではない。相変わらず難易度はハードであり、ステージごとに用意されたトラップやボスキャラクタの攻略は一筋縄ではいかない。だが、能力の異なる6人のキャラクタを使い分けることで“必ずクリアできる”ように調整されている。
たとえば、クリア条件が「上空を飛行する敵の浮き船をすべて沈めよ」というステージでは、船から船へと飛び移るために何度でも連続ジャンプの可能な「卜部季武」か、ダッシュの距離が長い「碓氷貞光」を選択するのがベストだろう。このように、各ステージに適したキャラクタを選んで攻略パターンを構築しながらクリアするといったプロセスが、実に楽しいものになっているのだ。
ストーリーの主軸は、「安倍晴明」と「源頼光」が、人の世を脅かす妖鬼を退けていくというもの。ステージの要所には美麗なデモムービーが挿入される。これらのデモムービーは「O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~」の持つ奥深い世界観に一層の深みを与えるとともに、バトルシーンの緊張感を解きほぐすインターバルの役割も果たしている。
ストーリーデモには1カ所ほど演出過剰というか惨たらしいシーンがあり、個人的に少々引いてしまった。それは、ゲームスタート直後に頼光四天王が一斉に自決するデモムービー。喉笛を鴉に突付かせるという映像は、下手なホラー映画より背筋が凍る衝撃的なシーンだった。
■ 「O・TO・GI」シリーズならではのスピーディーな操作感覚 これはあくまでも個人的な嗜好に基づく話だが、筆者の嫌いなタイプのアクションゲームは、(誰でも嫌だとは思うが)プレーヤーキャラクタの移動速度が無意味にモッサリしていて、思い通りに動かせないモノ。 プレーヤーの意思がキャラクタに反映されないアクションゲームはイライラしてしまいがちだが、その点「O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~」はキャラクタ本来の移動速度が速いうえに、全キャラクタに高速移動手段のダッシュが実装されている。このため、プレーヤーキャラクタの操作にまったくストレスを感じさせない仕上がりとなっていて、実に気持ちがいい。
敵を視界に入れた状態でロックオントリガを引くと“マーカー”が表示され、対象の敵を常に画面の中心に捕らえることが可能。敵をロックオンすると攻撃が当たりやすくなるほか、ダッシュがターゲットの敵を追尾するようになる恩恵が得られる。
デフォルトの設定では、近づいた敵をオートでロックオンする「自動ロックオン」がオンになっている。「そんな敵狙っていないのに、勝手にロックオンするなよ!」といった事故が頻発するため、ゲームスタート時に「自動ロックオン」をオフにしておき、ロックオンのオン・オフを手動で行なう操作に慣れたほうがいいだろう。
■ 破壊本能を揺り動かす華麗かつダイナミックなバトルシーン 攻撃の基本操作は、Aボタンがジャンプ、Bボタンが小攻撃、Yボタンが大攻撃とつかみまたは投げ、Xボタンが巫術と呼ばれる魔法攻撃にそれぞれ対応している。 小攻撃を連打するだけでも一応コンボは成立するが、より爽快感を求めるなら「B→B→Y」のように入力して大攻撃で連続攻撃をシメるのがコツ。大攻撃を敵に当てると、敵は派手に吹っ飛んでいく。吹き飛んだ敵は壁に当たると追加ダメージが入り、ビリヤードの玉のように何度もバウンドする。
前作では敵を大攻撃を当てても背景にめり込んで終わることが多かったが、今作では吹き飛ばした敵が背景オブジェクトや敵をなぎ倒すという破壊の連鎖が大幅にパワーアップしている。これが非常に気持ちいいのだ。
魔法にあたる巫術は、キャラクタに“霊符”と呼ばれるアイテムを装備させることで使用できる。使い勝手の良い巫術は、召喚した龍が敵を自動追尾する「蒼龍」と、広範囲をフォローできる「胡蝶」。装備時はプレーヤーキャラクタのステータスが補正されるため、ステージに出現する敵に合わせて付け替えることも重要だ。
攻撃の新要素として追加された「つかみ&投げ」が使えるのは、「坂田公時」と「安倍晴明」のみ。Yボタンを押すことで敵をつかみにかかるのだが、特筆すべきは、その投げ間合の広さ。実際使ってみると、2キャラ分ほど離れていても腕を伸ばしてつかむことが可能。あまりの間合いの広さに、初めて使った人はみな驚くことだろう。
通常ステージでは、大攻撃や巫術の汎用性に対し影が薄くなりがちな「つかみ&投げ」だが、「(敵を投げつけて)結界を壊せ」などの特定ステージでは脚光を浴びるシーンがある。また、後述の「百鬼討伐」でも「つかみ&投げ」がフィーチャーされるステージが存在するため、決して無駄な技というわけではない。
■ 与えられた課題を達成していくトライアルモード――百鬼討伐
「百鬼討伐モード」は、パズルゲームのように頭を使わされるステージもあれば、ひたすら敵を殲滅するといった破壊を追及したステージもある。「百鬼討伐モード」では、ステージに適する装備品や巫術の選択も含めて、「ストーリーモード」以上に緻密な戦略性が要求される。「ストーリーモード」と「百鬼討伐モード」は性質も攻略内容もまったく異なるが、「百鬼討伐」全17ステージの完全クリアは、「ストーリーモード」のクリアよりも難易度が高いように感じられた。
参考までに、筆者のクリアタイムは12時間53分。難易度的な問題に関していえば、前作はプレーヤーに高いジャンプテクニック――制御力と判断力が要求されたが、今作ではキャラクタの増加と「高所から落ちて一撃死」というスリリングなステージが減ったおかげで適度な難易度にまとまったように感じる。アクションゲームが苦手なプレーヤーでも、ダッシュのコツに慣れてしまえば一気に道は開けるはずだ。
本レビューに目を通して、もし少しでも興味が出てきたのなら、「O・TO・GI~百鬼討伐絵巻~」を体験して、圧倒的な破壊感とXboxの性能を最大限に引き出したフロム・ソフトウェアの技術力とセンスの結晶であるグラフィックを堪能してほしい。特に最終ステージの「月の御座」は必見。筆者がこのステージとラストボスを見た時は、感動で一歩もモニターの前から離れられなくなったほどだ。「安倍晴明」の言葉を借りるなら、このレビューの読後に「疾(と)く」購入していただきたいと思う。
ボイスを英語にすると、ゲーム中は絶対にしゃべらないはずの「頼光」にボイスが追加される。無口でストイックなキャラクタであるはずの「頼光」が、「ハー!」、「タアー!」と掛け声を発する様は衝撃的。ぜひ、1月末までにスペシャルパックを購入し「O・TO・GI:Myth of Demons」もプレイしていただきたい。
□フロム・ソフトウェアのホームページ (2004年1月23日) [Reported by 福田柵太郎]
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