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気軽にドリフトが楽しめる快作
セガAC「OutRun2」

シングルタイプコクピット。筐体が2台以上あれば通信対戦可能
12月中旬より稼動中

 株式会社セガ(開発:株式会社SEGA-AM2)のドライブゲーム「OutRun2」がいよいよ稼動を開始した。そろそろ読者の方々の周辺店舗でもプレイできるころだろう。今回は、数時間ではあるが、集中的にプレイしてみたので、インプレッションをお届けしよう。
 

■ 「OutRun2」はセガドライブゲームの魅力の集合体

簡単快適ドリフトマシンと化すフェラーリたちが非常に痛快
 まず、最初にこのゲームをプレイしてみた感想から述べてみたい。初代「OutRun」からかなりの年月が経過しているが、3D表現となった「2」においてもその魅力は失われるどころか、しっかり継承されている。筆者が考える「OutRun」らしさというのは、「綺麗な背景」、「豪快で爽快なドライブフィール」、「簡単な操作」、「多彩なBGM」といったあたりだが、それはすべて「2」においてきちんと取り入れられているし、むしろ洗練されている。コースアウトしてドカーンとクルマが宙に舞う演出もまさに「OutRun」といえるものになっている。

 そもそも、ゲームとしてのドライブゲームは、多少のごまかしはあるものの、むしろ実車ではできないような強引なライン取りができてみたり、日ごろの運転によるストレスをスカッと解消してくれるような、「夢」を実現するところから進化していったと個人的には考えている。

 その意味で、「2」は、映像表現を追求し、1プレイで複数の風景を堪能できることはもちろん、極端にコース幅に差のある初代さながらの個性的なコースレイアウトを採用している。そこを忠実に再現された姿の歴代フェラーリの名車たちで爆走するというシチュエーションになっているのだが、シミュレータ全盛の昨今、ここまで簡素な操作で豪快なドリフトが決められるものはかえって新鮮だ。

 正直、シミュレータ系レースゲームには多少疲弊気味であった自分にとって、「ブレーキ」>「ステアリング」>「アクセルON」でツツーっとテールが流れ、そのままの姿勢をあっさり維持したまま弱オーバーステア気味にコーナーを駆け抜けられるお手軽感覚は、ドライブゲームをプレイした人はもちろん、シミュレータ系ゲームしか知らない層にも十分新鮮に映るだろう。当然ドリフトばかりではかえってとっちらかってしまうのだが、5~6回もプレイすればオールクリアは十分可能な難易度になっている。ことこのゲームに関しては、ヘアピンのようなきついRのコーナーでも平気でドリフトで抜けることができるため、旧来の「ブレーキを踏まずにクリア」できる作りになっている。

 そのドリフト感覚は、「デイトナUSA」、「スカッドレース」などに通じる「スピードが極端に落ちないし、ドリフトアングルの維持はアクセルを踏みっぱなしでOK」といういい意味でのウソのドリフト(やり方も当然セガ伝統のそれに準じたものになっている。公式には前述の方法ではあるが、MTでプレイされる方はお試しいただきたい)なのだが、肝心なのはそのウソのつき方。「2」はこれがまた気持ちいいし、そういったゲームに慣らされてきた世代にとってはグッとくるシンクロ感覚だ。

こんな深々としたドリフトアングルは遅い? そんなことがないのがこのゲームのいいところ
 まるでラリーのようにフェイント気味にコーナーへとステアしていくだけで、そのまま滑りっぱなしでコーナーを手軽に抜けていけるその感覚は、やはり「ゲームだけに許される」特権だ。3Dだけに視点切り替えがついたりと、「OutRun」としての進化ポイントはいくつか見受けられるが、カメラ位置の設定や、ドリフトのすべり具合などを見ているとやはり「デイトナUSA」や「スカッドレース」などの歴代セガレーシングゲームを思い起こさずにはいられない。さらに、初代にはない強烈なアップダウンの取り入れられたコースになっているので、見た目の爽快感はさらに増している。

 今作はどちらかといえば、ドリフトに持ち込むよりも、そこから体制を立て直すことのほうが難しい。ドリフト状態は一種のコマンド技みたいなものなので、姿勢の解除はステアリングをカウンター方向(コースの向き)に持っていったり、アクセルを抜くことで行なうのだが、カウンターステアは多少クイックさを要求される。理想のラインを維持しながら姿勢を戻すには多少慣れがいるだろう。他社のゲームを引き合いに出すのは失礼かもしれないが、細かいことを抜きにすればスーパーファミコンの「マリオカート」と同じ理屈なのだ。

 ただ、当然のことながら微妙なアクセル操作やステアリング操作にはきちんと対応してくれるし、ステアリングのキレもかなりクイックかつ敏感になっている(ハンドリング重視の車でなくても、だ)。初代で苦労したS字コーナーなどはあっさりとクリアできるようになっているだろう。そのあたりは3Dエンジンを採用した効果や、それに伴うチューニングの成果だと思えるし、タイムアタックを狙う人にはかなり重要なポイントといえる。


■ マシンセレクトとコースセレクトが難易度を変える

モード選択の後、マシンをチョイスする。パラメータに注目してセレクトしよう
 初心者はどのクルマを選んだらいいのかがわからないかもしれない。車をセレクトする際には、マシンをハンドルで選択した後に表示される各種グラフを参考にしてみよう。筆者のオススメは、F50/360 Spider(平均的で穴がない)、テスタロッサ/288 GTO(加速重視でリカバリが楽)あたり。

こちらが残り4車種
 ちなみに1列目で4車種、視点変更ボタンを押すことで残りの4車種が出現するが、1列目と2列目は走行性能の傾向が同じ順で並んでいる。左から「平均的」、「ハンドリング重視」、「加速重視」、「最高速重視」の順だ。当然タイムアタック狙いなら「最高速重視」のエンツォかF40になるだろう。

 クルマのボディカラーは実車同様のものがそろえられており、シングルプレイ時のみ、マシンセレクト時、ブレーキを踏みながら、シフトUPおよびDOWNで変更できる(ボディカラーは変わらないが、右下にカラーの略号が表記される)。決定はアクセルONとなっている。その後にシフトを選択するのだが、そこは好みでOKだ。

ピラミッド上の上のほうが難易度が低めになっている
 まず、最初にプレイする方にオススメしたい「アウトランモード」だが、コースはピラミッド上に並んでいるルートの上のほうが難易度が低く、下に行くにしたがって難しくなっていく。一番簡単なのはAばかり1-2-3-4-5と続けて走る(分岐時左に入れっぱなし)コースだろう。ここで慣れてきたら、分岐のたびに右へステアし、B、C、D、Eと遊んでいくといい。

 実際にコースを走ってみるとわかることだが、このゲームを最後まで走りきるためのコツは、「どのコーナーがドリフトでないと綺麗に抜けられないのか」を見極めることだ。大雑把なライン取りをしても十分クルマの性能が高いのでフォローは利くが、どーおしても抜けられないコーナーが2、3出てくるはず。そこだけドリフトで綺麗に抜けていければ十分。逆にガンガンテールを流して走りっぱなし、というのもなかなかオツな楽しみ方なので、それはそれで楽しいのでオススメしておきたい。


■ 課題をクリアしつつゴールを目指す「ハートアタックモード」

このマークが登場すると美女の思いつき(?)でクエストスタートだ
 「2」から新たに加わった「ハートアタックモード」は、走行中にパッセンジャーシートに鎮座する金髪美女から与えられる課題をクリアする、というクエストクリア型モードとなっている。一定ポイントに到達すると、画面中央に課題が表示され、一定区間は「ハートアタック」のためのコースとなる。

 課題はさまざまなものが用意されており、「車を抜いて!」は区間内でどれだけ前走車を追い抜けるか、「ドリフトして!」は区間内をどれだけ流しっぱなしで走れるか、「コーンをとばして!」は区間内に設置されたパイロンを接触して吹き飛ばせるか、「青い(ライン)を走って!」はそのまま、青い走行ラインをいかにトレースするか、といった課題が適宜出題される。

 ちなみに「ドリフトして!」が「タイムアタック」や「アウトラン」モードで必要な場所でドリフトさせるか、といえばそうではない。そういった意味でほかの課題もすべてコース攻略に役立つものではなかったりするあたりが面白い。むしろ「なんでここで?」という場面で登場する。要するに「美女は気まぐれ」ということなので(謎)。

 このモードでは、ほかのモードとはまた違った走りを要求される。課題の出現順を覚えるまではいかにアドリブをこなせるかが要求されるし、わかったところでそれなりの走り方を考える必要がある。ちなみにどう考えてもトータルタイムは遅くなるので、他のモードよりも難易度が上がっていると言い切れる。ただ、コレが意外と面白い。「OutRun」はコース分岐はあるものの、意外と1コースが長いため、目の前ににんじんをぶら下げられ(課題を与えられる)て、すぐにクリアできるというのは楽しいものだ。

 課題の達成率に応じてすぐに評価が下されるのもわかりやすくていい。高評価を続けていけばさらにいいこと(スペシャルリクエスト)があるので、ぜひチャレンジしてもらいたいモードといえるだろう。

ベストラインかどうかは美女の好みしだいなのでなんともいえないが、マシンコントロールを要求される クエストが終われば達成度に応じて評価が下される 好評価を続けていると、このように「スペシャルリクエスト」が登場する



■ 気楽にドカーンと楽しめる快作
最大4人まで通信対戦可能なので、わいわいプレイするのもあり

 くどくどと述べてきたが、要は気楽にアクセルを踏み込んでスカッと豪快に走りきれるというなじみやすいレースゲームになっている。アミューズメントスポットに足を運んだ際は、1度気軽にコインを投入してみてはいかがだろうか?

Product under license of Ferrari S.p.A.
Original Game (C)SEGA (C)SEGA-AM2/SEGA, 2003
All trade marks used with permission of the owners.
AMD, the AMD ARROW Logo and combinations thereof are trademarks of Advanced Micro Devices, Inc.

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□SEGA-AM2のホームページ
http://www.sega-am2.co.jp/
□製品情報
http://www.sega-am2.co.jp/outrun2/index.html
□関連情報
【10月1日】SEGA「OutRun2」ニューマシン公開と
「アウトランモード」コース紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031001/am2.htm
【8月26日】SEGA「OutRun2」続報
「アウトランモードや登場車種など紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030826/am2.htm
【7月11日】セガ、「プライベートショー2003~春~」を開催
名作レースゲーム「OutRun」新作が今冬登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030711/sega.htm

(2003年12月24日)

[Reported by 佐伯憲司]


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