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★PS2ゲームレビュー★
'71年からTV放送が始まった「仮面ライダー」シリーズ。シリーズ開始から32年目となる現在は、「仮面ライダー555(ファイズ)」が放映中であり人気を博している。本作品は、この作品を題材にした対戦アクション。対戦アクションと聞くと複雑なコマンド操作が要求されると思いがちであるが、本作においては複雑なコマンドは一切なく、特に低年齢層を意識した、誰もが気軽に対戦を楽しめる操作形態となっている。
まず、最初に驚くのがオープニングムービー。使用している曲はTVと同様ISSA氏の「JustyΦ's」であるが、TV同様の演出をレンダリングCGで再現している。また「ファイズ」だけでなく、「カイザ」、「デルタ」の3人の仮面ライダーを前面に押し出した演出となっている。「ファイズ」ファンなら、これだけでも必見の価値はあるだろう。
■ 簡単な操作で、格闘ゲーム初心者でも安心して遊べる キャラクタの基本動作は、方向ボタンで移動、〇ボタンで小攻撃、×ボタンで大攻撃、□ボタンでつかみ技(投げ技)、△ボタンで使用する武器の選択、反撃技、必殺技を使うことができる。各キャラクタごとに違いはあるが、基本的には小攻撃と大攻撃を合わせて使用することで様々な連続攻撃を繰りだすことができる(キャラクタによっては連続攻撃がないこともある)。また、方向ボタンと併用することで、入力方向によって攻撃が変化する。 小攻撃は攻撃発生が早く、攻撃後の隙が少ない。これに対して、大攻撃は攻撃発生が遅く攻撃後の隙が大きい。攻撃は、上・中・下段の3カ所に振り分けられ、上・中段の大攻撃がカウンターでヒットすると相手はうずくまったようにダウンするので、相手が倒れる前に追い討ち攻撃を決めることができる。下段攻撃がカウンターヒットした場合、相手はダウン状態となる。ダウン中もスライディングなどが当たるようになっている。ほかにも、大攻撃などにアッパーを持つキャラは、空中コンボを狙うことも可能。 さらに、原作通りのシチュエーションを生み出すための要素として「ウェポンチェンジシステム」、「アタックシステム」、「フォースバランサーシステム」といった3つのシステムが存在する。
「ウェポンチェンジシステム」は、相手に攻撃がヒットするたびに画面下あるチャージゲージが増えていく。ゲージが溜まった時点で、ゲージの上にある「ウェポンパネル」が青く点灯するので、その時点で△ボタンを押すことで武器を装備することが可能となる。武器を装備すると攻撃力がアップし、チャージゲージの上がり方も上昇するが、武器での攻撃は×ボタンの大攻撃となっているので、選択した武器によっては連続攻撃が使用できなくなるといったデメリットもある。また、キャラクタによっては、武器がないキャラクタも存在する。
チャージゲージが最大まで溜まると、△ボタンを押すことにより、好きなときに「必殺技」を使うことができるようになる。「必殺技」を使うと、「必殺技」デモに切り替わり、「フォースバランサーシステム」へと移行する。 このシステムへ移行すると画面下中央に「ジャッジングライン」と呼ばれるバーが表示され、「ジャッジングライン」の中央を境に指定された〇、△、□、×ボタンのいずれかを連打することによって、矢印を相手方向へ押しやるのだ。連打によって大ダメージ、小ダメージ、回避といった3つの結果に収束する。
「アタックシステム」は、自分の体力ゲージが半分になった時点で使うことができる。キャラクタごとに違いがあるが、使用後は「アタック」デモに移行し、支援メカによる支援攻撃か形態変化による強力技を行なう。 「アタック」デモ中は「必殺技」と同じく「フォースバランサーシステム」へ移行し、連打によるヒットの有無を決定することとなる。また、キャラクタによっては「アタックシステム」が存在しない(これは原作の設定によるものになっているため、致し方ないところだ)。
■ あくまでも劇中に忠実に、こだわりの演出がゲームを盛り上げる? この世に格闘ゲームが数多く存在する中で、本作の魅力は「ウェポンチェンジシステム」と「アタックシステム」を使用した際に発生するデモシーン(演出)だろう。この演出は、登場シーンからしても、TVのワンシーンを見ているのかと錯覚するぐらいに綺麗なGCで表現されているので、見ていて楽しい。劇中BGMも原作のものが採用されており、演出面はかなりマンパワーを割いて制作したことがうかがえる。原作のキャスト陣が声をあてていることもファンアイテムとしてはツボを押さえている。 だが、アクションゲームとしての作りに重きが置かれていることもあって、対戦ツールとして考えるとちょっと長い、という印象は残る。特に「必殺技」デモは、ボタンを連打するという行為はあるが単調になりがちである。本作は対戦時間というものがないので、1試合にかかる時間は凄く短いはずであるが、デモシーンを合わせて考えると1試合にかかる時間が長くなってしまう。この“間”は「ファイズ」ファンなら納得はできると思うが、純粋な格闘ゲームファンには受け入れられないところだろう。 そして、本作には「ストーリーモード」が存在しない。メインとなるのは「チャレンジモード」であるが、「ファイズ」の世界観やキャラクタ同士の因縁など、劇中で語られてきた深遠な物語が、一切語られることはない。これではTVを見ていないプレーヤーには、誰がどのような立場におかれているのかわからないだろう。フォローがないのが非常に残念である。
格闘ゲームファンが不満と感じる部分はこれだけではなく、投げ技のモーションが全キャラクタ同じで投げ抜けができないほか、基本攻撃の種類が少ないため、攻撃の振り分け(上・中・下段)も効果的なものが存在しないところにある。キャラ別にコンビネーション技が存在するが、突き詰めると攻防の読み合いよりも、ボタン連打によって勝敗が決まるといってもいいだろう。対象年齢を下げるという意図は理解できるが、題材の世界観がしっかりできあがっている作品だけに、これらに複雑にならない程度にでもちょっと手を加えるだけで格闘ゲームとしてもグッとおもしろいものとなったはずだ。
■ 対戦以外にも楽しめる多彩なゲームモード ゲームモードとしては、ほかにも「スロットマシーンモード」と「ギャラリーモード」の2種類が用意されている。「スロットマシーンモード」は、対CPU戦モードの「チャレンジモード」を遊ぶことにより、プレイ後にもらえるポイントを使うことで遊ぶことができる。スロットの絵柄が揃うことで、「ギャラリーモード」のCGが追加されるほか、隠されたキャラクタも使用可能となるので、「スロット」は苦手というプレーヤーも遊ばないとソンをすることになる。
「ギャラリーモード」は、各キャラクタのイメージショットがカード形式で格納されている。のみならず、○、△、□、×ボタンを押すことよって各キャストのセリフも聞くことができる。コアなファンならニヤリと思わず口元が緩んでしまう台詞も収録されている。
■ 進化した「ファンのためのゲーム」? 子供から大人まで、誰もが知っている「仮面ライダー」シリーズという作品。劇中の雰囲気を壊さずにゲーム化するということは非常に好感が持てるが、劇中の演出と対戦ゲームにおける演出は大幅に異なると筆者は思う。 お互いのいい部分を共有し、ゲームとしても単体で楽しめるレベルまで作りこまれていることが理想だが、本作はあくまでも「仮面ライダー555(ファイズ)」の世界をPS2のクオリティできっちりと再現することに注力された“ファンのためのゲーム”である。ただ、ファンとしては、ファイズにアクセルフォームやブラスターフォームがあるのはうれしいが、オーガやサイガといった仮面ライダーが登場しないのはさびしいと感じるかもしれないし、オルフェノクももっと登場して欲しいと思うかもしれない。 前述の通り、対戦ゲームとしては、まだまだ改善をすべきところがあるが、ファンアイテムとして見れば、映像表現をはじめとして、アクションゲームとしてかつてない仕上がりであることは間違いないだろう。
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□バンダイのホームページ (2003年12月24日) [Reported by 志賀康紀] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
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