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【特別インタビュー】
「キャッスルヴァニア」 |
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山根:今回はシリーズの始まりの11世紀のお話ということなので、音楽も始まりはシュールに始まって、そこからだんだん「キャッスルヴァニア」の世界観を形作っていくようにしたいと思っていました。
冒頭部分は、合唱曲のコーラスの声や、怪しげな感じの音といったアンビエントな感じの静かなものから始まって、段々派手にしています。エリアの曲にも静かな曲があるんですが、広い場所も1曲か2曲でもたせる分、全部ガンガンだと疲れるので、ガンガン勢いのある方と、静かで綺麗な雰囲気を重視する方に分けて2曲を用意しました。あと、エリアは背景がすごく綺麗なステージが多いので、綺麗なステージにはとことん綺麗な曲にしよう、と心掛けました。
それから今回は、デモ部分にも音楽が入っていて、お話が盛り上がってキャラクタの感情が高ぶる「ここぞ」というところに、感情を表す盛り上がる曲を入れています。
Game Watch:シリーズ物はモチーフが同じだと、だんだんネタがなくなって大変だと思うのですが、どのようにして作られるのですか?
山根:今のところはハードが進化してきているので、作るごとに表現の幅が広がっています。今後は歌を入れたり、ノンオーケストラ(※1)とかもやってみたいですね。もちろん作る側も工夫をしていきますし、お話の時代設定が変わればそれに合わせて表現方法を変えることができるので、まだ大丈夫です(笑)。
Game Watch:曲を作る時は、具体的なグラフィックを見た上で作るのですか?
山根:今回は、早いところは実際の絵が出ていたんでそれを見て、まだ出ていないところはデザイナーさんが参考にしている西洋の石畳の写真や、宮殿の写真などの資料を見せてもらって、イメージを膨らませて浮かんだところから作っていきました。
Game Watch:11、12世紀の古い時代の曲は作りやすいのかにくいのか、どうですか?
山根:私は大学で作曲の勉強をしたので、その時の知識が役に立っていますし、こういうゴシックな感じのクラシックっぽい曲を作るのは全然苦ではないです。まぁ、学校で勉強したことだけじゃダメなんですけど、基本的な知識を活かして表現していい「キャッスルヴァニア」の音楽をやることになって、良かったなぁと思います。
Game Watch:その時代の曲の、構成上のポイントはどういうところにあるんですか?
山根:例えば、旋律が和音になる前の単旋律だけのグレゴリアンチャント(※2)であるとか、もうちょっと進んで旋律が2本になり3本になり、重なり合う感じのバッハとか。更に進んでモーツァルトとかベートーベンですかね。西洋音楽が教会音楽として始まって、だんだん宮廷音楽になっていく辺りが、「キャッスルヴァニア」の音楽のエッセンスとして入っている、というのは言えるかもしれません。
■ 初回限定版CDに収録のアレンジ楽曲について
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IGA:初回限定版の中身は、GBA版「キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲」とPS版「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」から数曲、そしてPS2版「キャッスルヴァニア」の中からは3曲しか入っていませんが、アレンジ曲が8曲入ってます。
ゲームを1回クリアすると曲を聞ける仕掛けを作っているので、同じ物をCDでもらう以上の別の面白みを持たせるために、初回限定版CDにはアレンジ曲を入れています。
Game Watch:劇中のBGMも、CDクオリティにしてしまえば、昔のゲームミュージックと違って差別化しにくいですよね。その場合、もとの曲を更にアレンジするのはどういう作業になるのでしょうか。
山根:昔は3パートしかなかったものをゴージャスにするだけですごく意味がありましたけど、今のゲーム音楽のアレンジバージョンっていうのは、もとの曲を1回バラしてそのエッセンスを持った別の曲を作る作業に近いです。だからリミックスと割り切って、別の曲を作っているような感じがしますね。アレンジするなら生の楽器だけでやるとか、逆にシンプルにバイオリン、ピアノ、チェロだけで静かにやって、その代わり上手な演奏者に弾いてもらう、などといった部分に工夫をしないと、意味が無くなっちゃいますよね。
Game Watch:曲数が多いですが、苦労した曲はありますか?
山根:2周目専用のボス曲には苦労しました。ほぼ曲を作り終わっていて、次はどこの曲を作ろうかとなったときに2周目が残っていて、けれど全ての曲を変えることはできないので、じゃあ2周目専用のボス敵の曲を作ろうと。この曲は、PS版「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の「ドラキュラ城」と「黒の饗宴」を合わせたリミックスですので、過去にプレイしてくれた人には懐かしんで聞いてもらえると思います。
Game Watch:プレイする方に是非聞いて頂きたい、この辺りに力が入っている、というところはどこでしょうか?
山根:隅々まで行ってみて下さい、そうすると良い曲があるかもしれないので。普段はバシバシ戦って忙しいと思うので、安全な場所ででも一休みしながら聞いてみて下さい。
IGA:音楽じゃないんですけど、今回は日本語と英語の両方が音声収録されています。日本人が「ロケットパーンチ!」とか言ってるのはありますけど、外国人のそういう類の叫びは、なかなか聞かないと思うんです。技名が英語になっていたりもしますし、わりと日本っぽくやっていただいたので、面白く文化の違いを感じて頂けるかと(笑)。
Game Watch:最後に、ユーザーの方、読者の方にメッセージを一言お願いします。
山根:今回の「キャッスルヴァニア」の音楽は、今までの流れを汲みつつ、新しい試みもありつつ、一生懸命やりましたのでどうぞゲームと一緒に楽しんでください。「キャッスルヴァニア」を末永く、よろしくお願い致します。
Game Watch:ありがとうございました。
※1 ノンオーケストラ……オーケストラ以外の音源で作られた映画のサウンドトラックを指し、その中にはテーマ音楽やバックグラウンド・ミュージックなどが含まれる。
※2 グレゴリアンチャント(グレゴリオ聖歌)……6C世紀~12世紀の教会で歌われた、カソリック教会の典礼に用いられる単声聖歌。教会旋法による、単音・無伴奏の歌。
▼山根さん 使用機材リスト
キーボード……KURZWEIL/K2500,YAMAHA/EX5
サウンド・モジュール……ROLAND/JV1080,JV2080,JP8080
デジタル・サンプラー……AKAI/S6000
ソフトウェア・サンプラー……SAMPLE CELL,EXS24
コンピュータ……Power Mac/G4
ソフトウェア……Logic Audio5.3,Peak2.55
ミキサー……YAMAHA/O1V,Pro Mix01
■ 山根さんの曲を聴いてみよう!
というわけで、コナミさんより「キャッスルヴァニア」のBGMを2曲後提供いただきましたので、ぜひ聞いてみてください。MP3形式、64kbpsとなっています。
「キャッスルヴァニア」山根セレクションダウンロード |
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ボタンをクリックするとファイルがダウンロードされます。 |
□コナミのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□「キャッスルヴァニア」シリーズのホームページ
http://www.konamityo.com/castlevania/
□関連情報
【11月27日】PS2ゲームレビュー
華麗なムチさばきを3Dで楽しめる!
「キャッスルヴァニア」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031127/cv.htm
【11月27日】PS2「キャッスルヴァニア」
ボスキャラクタ、基本アクションを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031127/cas.htm
【11月21日】コナミ、PS2「キャッスルヴァニア」関連イベントを多数開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031121/konami.htm
【9月28日】TGS2003ブースレポート~コナミ編 Part2~
「キャッスルヴァニア」CM完成披露に
イメージキャラクタのソニンさんが登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030928/tgs_k2.htm
【9月22日】コナミの「悪魔城ドラキュラ」シリーズが、さらなる進化を遂げる
PS2「キャッスルヴァニア」(Part1)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030922/castle.htm
(2003年12月22日)
[Reported by 河本真寿美]
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