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団塊世代のためのゲーム講座「諸兄、ゲームやろうぜ!」開催 |
TSUTAYA EBISUBASHI店
講師を務めるゲームアナリストの平林久和氏。コントローラの持ち方を始め、押すべきボタンの位置など、実際に示しながらひとつひとつ丁寧にアドバイス |
全国5店舗で開催されることになった今回の講座の皮切りとなったのは、大阪のTSUTAYA EBISUBASHI店。9月の阪神優勝の時の記憶も新しい、あの戎橋の正面に位置する大型店舗である。受講者は店内のチラシなどの募集によって集まった定員いっぱいの12名。こぢんまりした規模と思う方もいるかも知れないが、受講者ひとりひとりにプレイステーション 2と専用のモニタが用意され、サポートスタッフも配されることを考えると店舗レベルの開催では妥当な数とも思われる。
講師を務めるのはゲームアナリストの平林久和氏。6月にサードエイジスタイルの主催により東京国際フォーラムにて「諸兄、ゲームやろうぜ!~大人のためのテレビゲーム講座~」が全6回で開催されたが、それに引き続いての登板となった。元々はこの教養講座が好評で、SCEJ側がこれを元に講師用のテキストや生徒用の教科書、運営ノウハウなどをまとめて展開を希望する店舗へ提供を行なうことになったという経緯がある。
定刻の14時から始まった講座は、TSUTAYA EBISUBASHI店副店長の挨拶のあと平林氏が登場。「講師、受講生という堅い名称でありますが、私は先生ではなく(ゲームの)先輩にすぎません。サポートするスタッフも、皆さんから見れば目下のものばかりですから遠慮なくこき使ってください(笑)。ゲームなんですから、堅くならず楽しくやりましょう」と、50代、60代の人生の先輩達に語りかけることから始まった。
講座の素材となっているのは「みんなのGOLF3」。操作が簡単で幅広いユーザー層に受け入れられやすいことに加え、参加者のなかには実際にクラブを握っていたり、週末のテレビ中継などを見ている人も含まれているなど、意外に親しみやすいテーマである。
プレイステーション 2の電源投入、ゲームCDの挿入とリセットの仕方からはじまり、「みんなのGOLF3」へのプレーヤー名入力までゆっくりと手順を追って説明していく。途中でとまどってしまう参加者にはすかさずスタッフがサポートして、参加者の足並みをそろえていく。プレーヤーキャラに、初心者向けのナナコを選んでホールに立ったところで準備完了だ。
平林氏が「『みんなのGOLF3』では、これだけ覚えれば十分」というポイントとしていたのが、ショットにおける“ちゃー・しゅー・めん”のリズム。読者の多くはちばてつや氏の漫画「あした天気になあれ」の主人公、向太陽がショットでタイミングを図る時のキーワードということを十二分にご存じと思うが、平林氏はこのタイミングを、「みんなのGOLF3」にもあてはめて、「“ちゃー”でショット開始、“しゅー”で打力を決定、“めん”でインパクトします」とゆっくり丁寧に説明していく。受講者のほうも最初はインパクトのタイミングを外しチョロを連発するが、ものの5分もしないうちにインパクトが規定範囲に収まるようになってきた。
講座は10分の休憩をはさんで、パットも含めさらに練習は続く。多くの参加者は休憩時間中もコントローラを握ってショットを続けていた。なかにはなかなかタイミングが取れない参加者もいたが、そこいらへんはスタッフのサポートと持ち前の関西ノリでカバー。ショットはいまいちながらも、楽しげなコントローラさばきが続く。
ショットの練習を続けながら、平林氏は「みんなのGOLF3」に関するもう少し詳しい情報も紹介していた。風向きの把握や、クラブの変更など、スクリーンを指し示しながら、少し上達してきた参加者へのフォローも忘れていない。そして、1時間30分ほどの講座の締めくくりは、3ホールを使った参加者全員でのコンペ。なんと2名が3ホールを見事パープレイして、ポイント差により優勝者に平林氏から記念品が贈られた。1時間余り前は、プレーヤー名の入力ですらたどたどしかったことを考えるとハードルはほんの一山というところだろうか。
今回参加した受講者のほとんどは、同店舗の近所にお住まいのいわゆる“普通のおじさんとおばさん”。友達同士で連れ添ってきたり、なかには娘の薦めで参加したというご夫婦もいた。一様に「ゲームを買うかどうかはまだわからないけど、今日は楽しかった」という。自分自身は手にしたことはないものの、世帯内にすでにプレイステーション 2をはじめとするゲーム機があるという人も少なくない。
終了後に平林氏から得たコメントによれば、「いまのところ、団塊世代の市場に占める割合はごくわずか。市場をプールに例えたらバケツ一杯にもならないかも知れない。ただ総量としてはごくわずかだが、伸びという点だけ見たら目を見張るものがある。なんといっても元はほとんどゼロな訳ですから……」という。また、高齢者向けの施設などからプレイステーション 2をはじめとするゲーム機器や、ソフトの導入について助言を求める声もあるそうで、「諸兄、ゲームやろうぜ!」という今回の取り組みと、その可能性に意欲を見せていた。
SCEJによると、今回の5店舗での講座からさらにノウハウを蓄積して、来年以降はさらに規模を拡大して取り組みを続けていく意向だ。
(2003年11月13日)
[Reported by 矢作晃]
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